1,382 / 1,455
もとをただせば
事の発端
しおりを挟む
「また……今年も映画を作ることになったんだけど……ねえ……」
司法局実働部隊隊長室。通称『ゴミ箱』でこの部屋の主、嵯峨惟基特務大佐は口を開いた。
呼び出された司法局の人型機動兵器アサルト・モジュール部隊の第一小隊隊員である神前誠曹長も配属して半年が過ぎ、この部屋の異常な散らかりぶりに慣れてきたところだった。
応接セットをどかして床に敷いた緋毛氈の上には『遼州同盟機構軍軍令部』と書かれた紙と硯が転がっているのは、一流の書家でもある嵯峨に看板の字の依頼が来たのだろう。かと思えば執務机にはいつものとおり、万力がボルトアクションライフルの機関部をくわえている。そしてどちらの上空にも窓からの日差しで埃が舞っているのが目に見えた。
「なんでこの面子?」
明らかに不機嫌なのは西園寺かなめ大尉である。喫煙可と言うことで口にタバコをくわえて頭を掻いている。その隣で嵯峨の言葉に目を輝かせているのは司法局実働部隊の巡洋艦級運用艦『ふさ』副長のアメリア・クラウゼ少佐と彼女の部下のサラ・グリファン中尉の二人だった。186cmの長身の誠の隣に彼より少し小さいアメリア、160センチに若干届かないかなめと小柄なサラ。まるでマトリューシカ人形だと思って思わず誠の口もとに笑みが浮かぶ。
「豊川市役所か?飽きもせずにそんな馬鹿なこと言ってきたの。アタシがなんで付き合わなきゃなんねえんだ」
かなめは頭を掻きながら抜け出すタイミングを計っている。面白いものには食いつく彼女がいつでも抜け出せるようにドアのそばにいるのは東和軍の領空内管理システムのデバック作業中に呼び出されたせいなのは誠にもわかった。
「これも任務だ。市民との交流を深めるのも仕事のうちなんだ」
完全に諦めたと言う表情でそう言うのは、第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉だった。嵯峨の言葉を聞いてアメリアの反対側に立って、隣の誠を前に押し出すように彼女が半歩下がったのを誠は見逃さなかった。
「カウラの言うとーりだ。これもお仕事。だからオメー等でなんとかしろ」
執務机に座って頭の後ろに手を組んでいる嵯峨の隣には、司法局実働部隊の最高実力者として知られた機動部隊長のクバルカ・ラン中佐控えている。そしていろいろ愚痴を言いたい隊員達でも彼女の言葉に逆らう勇気のあるものはこの部屋にはいなかった。実働部隊の上部組織である遼州同盟司法局の幹部の明石清海中佐も諦めた調子でうなづいていた。
「それで隊長。映画と言ってもいろいろありますが……」
アメリアのその言葉に嵯峨は頭を掻きながら紙の束を取り出した。
「まあ……内容は……去年と同じでこっちで決めてくれって。なんなら投票で決めるのがいいんでないの?」
そう言って全員に見えるようにその紙をかざす。
『節分映画祭!希望ジャンルリクエスト!』
ランはすぐにその紙の束を受け取ると全員にそれを渡した。
「希望ジャンル?私がシナリオ書きたいんですけど!」
そう言ってアメリアは鉄粉の積もっている隊長執務机を叩く。その一撃で部屋中に鉄粉と埃が舞い上がり、椅子に座っていた嵯峨はそれをもろに吸い込んでむせている。
「オメエに任せたらどうせ一人で1時間みっちり古典落語の大ネタをやるとか言うのになるだろうが!」
そう言ってかなめはアメリアの頭をはたく。カウラはこめかみに指を当てて、できるだけ他人を装うように立ち尽くしている。
「それにどうせアメリアが撮影とかを仕切るんだろ?」
かなめはそう言ってため息をついた。
「まあな。アメリアは去年の実績もあるしな。それに一応コントビデオとか作ってた実績もあるし、その腕前を見せて頂戴よ。どうせ素人の演技だ。お前さんの特殊技術で鑑賞にたえるものにしてくれねえと俺の面子がねえからな……まあ俺はプライドゼロだからどうでもいいけど」
そう言うと嵯峨は出て行けというように左手を振った。
全員が廊下に出たところで独り言のようにかなめがつぶやく。
「あのなあ、アメリア」
「何、ロボ大尉」
アメリアの毒舌を聞きながらかなめは頭を掻きつつ振り返る。
「一応、俺等でジャンルの特定しないと収拾つかなくなるぞ。島田とか菰田あたりが整備の連中や管理部の事務屋を動員してなんだかよくわからないジャンルを指定してきたらどうするつもりだよ」
そう言うとかなめはアンケート用紙をアメリアから取り上げた。誠はいい加減なかなめがこういうところではまじめに応対するのがおかしくなって笑いそうになって手で口を押さえた。
「あれこれ文句言ったくせにやる気があるじゃないの?」
そんなアメリアの言葉に耳を貸す気はないとでも言うようにかなめは投票用紙を持って一番広い会議室を目指す。かなめが扉のセキュリティーを解除すると、一行は部屋に入った。
「ここが一番静かに会議ができるだろ?」
そう言うとかなめは椅子を入ってきた面々に渡す。誠、アメリア、かなめ、カウラ、サラ。
「そこで皆さんに5つくらい例を挙げてもらってそれで投票で決めるってのが一番手っ取り早いような気がするんだけどな」
そう言うとかなめは早速何か言いたげなサラの顔を見つめた。
「合体ロボが良いわよ!かっこいいの!」
目を輝かせてサラが叫んだ。めんどくさそうな顔でかなめはサラを見つめる。だが、サラはかなめを無視してアメリアに期待一杯の視線を投げかける。
「私は最後でいいわよ」
そう言うとアメリアは隣のカウラを見つめる。アメリアに見つめられてしばらく考えた後、カウラはようやく口を開いた。
「最近ファンタジー物の小説を読んでるからそれで……」
カウラは一言意見を言ってやり遂げたと言う表情を浮かべている。その瞳が正面に座っているかなめに向かう。そこに挑発的な意図を見つけたのか、突然立ち上がったかなめは手で拳銃を撃つようなカッコウをして見せた。
「やっぱこれだろ?」
「強盗でもするの?」
突っ込むアメリアをかなめはにらみつける。
「刑事もののアクションね。うちなら法術特捜の茜ちゃんとかからネタを分けてもらえるかもしれないかもね。あっちはいろいろ捕物の経験もあるだろうし」
「そうですね……」
誠は愛想笑いでそれに相槌を入れる。
「はい、刑事物と」
そう言うとかなめの後ろのモニターに『西園寺 刑事物』と言う表示が浮かんでいた。
「えーと。ロボ、ファンタジー、刑事物と。おい、神前。お前は何がしたい」
そう言ってかなめが振り向く。誠は周りからの鋭い視線にさらされた。まずタレ目のかなめだが、彼女に同意すれば絶対に無理するなとどやされるのは間違いなかった。誠の嗜好は完全にばれている。いまさらごまかすわけには行かない。
カウラの意見だが、ファンタジーは誠はあまり得意な分野では無かった。彼女が時々アニメや漫画とかを誠やアメリアの影響で見るようになってきたのは知っているが、その分野はきれいに誠の抑えている分野とは違うものだった。
サラ。彼女については何も言う気は無かった。サラが実はロボットモノ好きはかなり前から知っていたが、正直あの暑苦しい熱血展開が誠の趣味とは一致しなかった。
そこでアメリアを見る。
明らかに誠の出方をうかがっていた。美少女系でちょっと色気があるものを好むところなど趣味はほとんど被っている。あえて違うところがあるとすれば神前は原作重視なのに対し、アメリアはコメディータッチで笑えるものに傾倒しているということだった。
「それじゃあ、僕は……」
部屋中の注目が誠に向いてくる。気の弱い誠は額に汗がにじむのを感じていた。
「煮詰まってんなアタシも混ぜろよな」
そう言って侵入してきたのはクバルカ・ラン中佐だった。セキュリティーを上司権限で開けて勝手に椅子を運んできて話の輪に加わろうとする。そんなランはしばらく机の上の紙切れをめくってみた後、かなめの操作しているモニターに目をやった。そして明らかに落胆したような様子でため息をつく。
「おい、どれもこれも……馬鹿じゃねーのか?」
かなめにランは正直な感想をもらす。すぐにいつものその見た目とは正反対な思慮深い目でかなめがいじっている端末の画面をのぞき見る。
「で、サラが巨大ロボット?そんなもん島田にでも頼んで作ってもらえよ。カウラは剣と魔法のファンタジー?ありきたりだなあ、個性がねーよ。かなめが刑事モノ?ただ銃が撃ちてーだけだろ?」
ランはあっさりとすべての案をけなしていく。
「じゃあ、教導官殿のご意見をお聞かせ願いたいものですねえ」
そんなランにかなめが挑戦的な笑みを浮かべる。ランは先月まで東和国防軍の教導部隊の隊長を務めていた人物である。かなめもそれを知っていてわざと彼女をあおって見せる。
そこでランの表情が変わった。明らかに予想していない話題の振り方のようで、おたおたと視線を彷徨わせた。
「なんでアタシがこんなこと考えなきゃならねーんだよ!」
「ほう、文句は言うけど案は無し。さっきの見事な評価の数々はただの気まぐれか何かなんですかねえ」
かなめは得意げな笑みを浮かべる。その視線の先には明らかに面子を潰されて苦々しげにかなめを見つめるランがいた。
「アタシは専門外だっつうの!オメーが仕切ればいいだろ!……義理と人情の任侠モノはこのご時世ご法度だし……」
ランの口を尖らせて文句を言う姿はその身なりと同様、小学校低学年のそれだった。
「じゃあ、仕切ると言うわけで。神前」
そう言ってアメリアは誠を見つめる。明らかに逃げ道はふさがれた。薄ら笑いを浮かべるアメリアを見ながら誠は冷や汗が流れるのを感じていた。
「それじゃあ戦隊モノはどうですか?」
破れかぶれでそう言ってみた。
「いいね!それやろう!」
サラは当然のように食いつく。
「おい、オメエのロボットの案はどうしたんだ?」
呆れたようにかなめが口を開いた。
「戦隊モノねえ。そうすると男性枠が増えるけど……島田を呼んでくるか?」
カウラのその言葉に急に表情を変えたのは意外なことにかなめだった。
「バーカ。島田の馬鹿に英雄なんて務まるわけねだろ?アイツはただのヤンキーだぜ……悪人Aとかで十分だろ」
そのかなめの言葉にアメリアが珍しくうなづく。
「キャストを決めるのは後でだろ。じゃあ……クラウゼ。貴様はどうしたいんだ?」
自信満々で口を開くアメリアだった。
「まず『萌え』と言うことでランちゃんは欠かせないわね。色は当然ピンク」
「げっ!」
ため息をつくランをめんどくさそうに一瞥したかなめはすぐにアメリアに視線を移す。
「そしてクールキャラはカウラちゃんでしょうね。ブルーのナンバー2っぽいところはちょうどいいじゃないの。それに影の薄い緑は誠ちゃん」
「僕ってそんなに影薄いんですか?」
そう言いながら誠は弱ったように苦笑いを浮かべた。さらにアメリアは言葉を続けた。
「そして黄色の怪力キャラは……当然リアル怪力のかなめちゃん!」
「てめえ、外出ろ!いいから外出ろ」
そう言って指を鳴らすかなめを完全に無視してアメリアは言葉を続けた。
「なんと言ってもリーダーシップ、機転が利く策士で、カリスマの持ち主レッドは私しかいないわね!」
「おい!お前のどこがカリスマの持ち主なんだ?ちゃんとアタシに納得できるように説明しろよ!」
叫ぶかなめを完全に無視してアメリアはどうだという表情でかなめを見つめる。
「なるほどねえ、よく考えたものだ。もし神前の意見となったら頼む。それじゃあ……それでお前は何がしたいんだ」
カウラは彼女達のどたばたが収まったのを確認すると、半分呆れながらアメリアの意見を確認した。
「それは当然魔法少女よ!」
「あのー、なんで僕を指差して言うんですか?」
アメリアはびしっと音が出そうな勢いで人差し指で誠を指しながらそう言い切った。
「おめー日本語わかってんのか?それともドイツ語では『少女』になんか別の意味でもあるのか?アタシが大学で習った限りではそんな意味ねーけどな」
淡々と呆れた表情でランが突っ込みを入れる。
「ああ、それじゃあアメリアは『神前が主役の魔法少女』と」
「あの、西園寺さん?根本的におかしくないですか?」
カウラはさすがにやる気がなさそうにつぶやくかなめを制した。
「何が?」
「少女じゃねーよな、神前は」
そう言いながらランは同情するような、呆れているような視線を誠に送る。
「じゃあ……かわいくお化粧しようよ!」
そう言って手を打つサラ。
「女装か。面白いな」
「わかってるじゃないですかかなめちゃん!それが私の目論見で……」
「全力でお断りします」
さすがに自分を置いて盛り上がっている一同に、誠は危機を感じてそう言った。
「えー!つまんない!」
サラの言葉に誠は心が折れた。
「面白れーのになあ」
ランは明らかに悪意に満ちた視線を誠に向けてくる。
「……と言う意見があるわけだが」
かなめは完全に他人を装っている。
「見たいわけではないが……もしかしたらそれも面白そうだな」
カウラは好奇心をその視線に乗せている。
誠はただ呆然と議事を見ていた。
「やめろよな。こいつも嫌がってるだろ!」
そう言ってくれたかなめに誠はまるで救世主が出たとでも言うように感謝の視線を送る。
「魔法少女なら中佐がいいじゃねえの?」
かなめはそう言うとランを指差した。
「やっぱりかなめちゃんもそう思うんだ」
そう言うアメリアは自分の発言に場が盛り上がったのを喜んでいるような表情で誠を見つめた。
「誠ちゃん本気にしないでよ!誠ちゃんがヒロインなんて……冗談に決まってるでしょ?」
ようやく諦めたような顔のアメリアを見て、誠は安心したように一息ついた。
「なるほどねえ……とりあえず意見はこんなものかね」
そう言うとかなめは一同を見渡した。
「良いんじゃねーの?」
ランはそう言うと目の前のプリントを手に取った。
「隊員の端末に転送するのか?」
そう言いながら手にしたプリントをカウラに見せ付ける。
「ああ、わかってるよ。とりあえずアンケートはネットで知らせるが、記入は叔父貴が用意したのを使った方が良いよな」
「そうね、自分の作ったアンケート用紙を捨てられたら隊長泣いちゃうから」
かなめの言葉にアメリアがうなづく。
「隊長はそう言うところで変に気が回るからな」
ランがそう言いながらここにいる全員にプリントを配る。
「じゃあ、神前。お前がこいつを配れ」
そう言ってランはプリントの束を誠に渡す。
「そうだよね!誠ちゃんが一番階級下だし、年下だし……」
「そうは見えないがな」
かなめはいたずらっぽい視線をサラに送る。そんなかなめの言葉にサラは口を尖らせた。
「ひどいよかなめちゃん!私のほうが誠ちゃんよりお姉さんなんだぞ!」
「じゃあ、みんなで配りましょう!」
口を尖らせるサラを無視してアメリアは誠の手を取って立ち上がった。それに対抗するようにカウラとかなめも立ち上がる。
「おう、全員にデータは転送したぜ。配って来いよ」
かなめの声を聞くとはじかれるようにアメリアが誠の手を引っ張って部屋を出ようとする。
「慌てるなよ。それよりどこから配る?」
「決まってるじゃないの!人数の一番多い技術部整備班……島田君のところから行くわよ」
アメリアはそう言ってコンピュータルームを後にする。誠はその手にひきづられて寒い廊下に引き出された。かなめとカウラもいつものように誠の後ろに続く。そのまま実働部隊の詰め所で雑談をしている第二小隊と明石を無視してそのまま島田麾下の技術部員がたむろしているハンガーに向かった。
司法局実働部隊隊長室。通称『ゴミ箱』でこの部屋の主、嵯峨惟基特務大佐は口を開いた。
呼び出された司法局の人型機動兵器アサルト・モジュール部隊の第一小隊隊員である神前誠曹長も配属して半年が過ぎ、この部屋の異常な散らかりぶりに慣れてきたところだった。
応接セットをどかして床に敷いた緋毛氈の上には『遼州同盟機構軍軍令部』と書かれた紙と硯が転がっているのは、一流の書家でもある嵯峨に看板の字の依頼が来たのだろう。かと思えば執務机にはいつものとおり、万力がボルトアクションライフルの機関部をくわえている。そしてどちらの上空にも窓からの日差しで埃が舞っているのが目に見えた。
「なんでこの面子?」
明らかに不機嫌なのは西園寺かなめ大尉である。喫煙可と言うことで口にタバコをくわえて頭を掻いている。その隣で嵯峨の言葉に目を輝かせているのは司法局実働部隊の巡洋艦級運用艦『ふさ』副長のアメリア・クラウゼ少佐と彼女の部下のサラ・グリファン中尉の二人だった。186cmの長身の誠の隣に彼より少し小さいアメリア、160センチに若干届かないかなめと小柄なサラ。まるでマトリューシカ人形だと思って思わず誠の口もとに笑みが浮かぶ。
「豊川市役所か?飽きもせずにそんな馬鹿なこと言ってきたの。アタシがなんで付き合わなきゃなんねえんだ」
かなめは頭を掻きながら抜け出すタイミングを計っている。面白いものには食いつく彼女がいつでも抜け出せるようにドアのそばにいるのは東和軍の領空内管理システムのデバック作業中に呼び出されたせいなのは誠にもわかった。
「これも任務だ。市民との交流を深めるのも仕事のうちなんだ」
完全に諦めたと言う表情でそう言うのは、第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉だった。嵯峨の言葉を聞いてアメリアの反対側に立って、隣の誠を前に押し出すように彼女が半歩下がったのを誠は見逃さなかった。
「カウラの言うとーりだ。これもお仕事。だからオメー等でなんとかしろ」
執務机に座って頭の後ろに手を組んでいる嵯峨の隣には、司法局実働部隊の最高実力者として知られた機動部隊長のクバルカ・ラン中佐控えている。そしていろいろ愚痴を言いたい隊員達でも彼女の言葉に逆らう勇気のあるものはこの部屋にはいなかった。実働部隊の上部組織である遼州同盟司法局の幹部の明石清海中佐も諦めた調子でうなづいていた。
「それで隊長。映画と言ってもいろいろありますが……」
アメリアのその言葉に嵯峨は頭を掻きながら紙の束を取り出した。
「まあ……内容は……去年と同じでこっちで決めてくれって。なんなら投票で決めるのがいいんでないの?」
そう言って全員に見えるようにその紙をかざす。
『節分映画祭!希望ジャンルリクエスト!』
ランはすぐにその紙の束を受け取ると全員にそれを渡した。
「希望ジャンル?私がシナリオ書きたいんですけど!」
そう言ってアメリアは鉄粉の積もっている隊長執務机を叩く。その一撃で部屋中に鉄粉と埃が舞い上がり、椅子に座っていた嵯峨はそれをもろに吸い込んでむせている。
「オメエに任せたらどうせ一人で1時間みっちり古典落語の大ネタをやるとか言うのになるだろうが!」
そう言ってかなめはアメリアの頭をはたく。カウラはこめかみに指を当てて、できるだけ他人を装うように立ち尽くしている。
「それにどうせアメリアが撮影とかを仕切るんだろ?」
かなめはそう言ってため息をついた。
「まあな。アメリアは去年の実績もあるしな。それに一応コントビデオとか作ってた実績もあるし、その腕前を見せて頂戴よ。どうせ素人の演技だ。お前さんの特殊技術で鑑賞にたえるものにしてくれねえと俺の面子がねえからな……まあ俺はプライドゼロだからどうでもいいけど」
そう言うと嵯峨は出て行けというように左手を振った。
全員が廊下に出たところで独り言のようにかなめがつぶやく。
「あのなあ、アメリア」
「何、ロボ大尉」
アメリアの毒舌を聞きながらかなめは頭を掻きつつ振り返る。
「一応、俺等でジャンルの特定しないと収拾つかなくなるぞ。島田とか菰田あたりが整備の連中や管理部の事務屋を動員してなんだかよくわからないジャンルを指定してきたらどうするつもりだよ」
そう言うとかなめはアンケート用紙をアメリアから取り上げた。誠はいい加減なかなめがこういうところではまじめに応対するのがおかしくなって笑いそうになって手で口を押さえた。
「あれこれ文句言ったくせにやる気があるじゃないの?」
そんなアメリアの言葉に耳を貸す気はないとでも言うようにかなめは投票用紙を持って一番広い会議室を目指す。かなめが扉のセキュリティーを解除すると、一行は部屋に入った。
「ここが一番静かに会議ができるだろ?」
そう言うとかなめは椅子を入ってきた面々に渡す。誠、アメリア、かなめ、カウラ、サラ。
「そこで皆さんに5つくらい例を挙げてもらってそれで投票で決めるってのが一番手っ取り早いような気がするんだけどな」
そう言うとかなめは早速何か言いたげなサラの顔を見つめた。
「合体ロボが良いわよ!かっこいいの!」
目を輝かせてサラが叫んだ。めんどくさそうな顔でかなめはサラを見つめる。だが、サラはかなめを無視してアメリアに期待一杯の視線を投げかける。
「私は最後でいいわよ」
そう言うとアメリアは隣のカウラを見つめる。アメリアに見つめられてしばらく考えた後、カウラはようやく口を開いた。
「最近ファンタジー物の小説を読んでるからそれで……」
カウラは一言意見を言ってやり遂げたと言う表情を浮かべている。その瞳が正面に座っているかなめに向かう。そこに挑発的な意図を見つけたのか、突然立ち上がったかなめは手で拳銃を撃つようなカッコウをして見せた。
「やっぱこれだろ?」
「強盗でもするの?」
突っ込むアメリアをかなめはにらみつける。
「刑事もののアクションね。うちなら法術特捜の茜ちゃんとかからネタを分けてもらえるかもしれないかもね。あっちはいろいろ捕物の経験もあるだろうし」
「そうですね……」
誠は愛想笑いでそれに相槌を入れる。
「はい、刑事物と」
そう言うとかなめの後ろのモニターに『西園寺 刑事物』と言う表示が浮かんでいた。
「えーと。ロボ、ファンタジー、刑事物と。おい、神前。お前は何がしたい」
そう言ってかなめが振り向く。誠は周りからの鋭い視線にさらされた。まずタレ目のかなめだが、彼女に同意すれば絶対に無理するなとどやされるのは間違いなかった。誠の嗜好は完全にばれている。いまさらごまかすわけには行かない。
カウラの意見だが、ファンタジーは誠はあまり得意な分野では無かった。彼女が時々アニメや漫画とかを誠やアメリアの影響で見るようになってきたのは知っているが、その分野はきれいに誠の抑えている分野とは違うものだった。
サラ。彼女については何も言う気は無かった。サラが実はロボットモノ好きはかなり前から知っていたが、正直あの暑苦しい熱血展開が誠の趣味とは一致しなかった。
そこでアメリアを見る。
明らかに誠の出方をうかがっていた。美少女系でちょっと色気があるものを好むところなど趣味はほとんど被っている。あえて違うところがあるとすれば神前は原作重視なのに対し、アメリアはコメディータッチで笑えるものに傾倒しているということだった。
「それじゃあ、僕は……」
部屋中の注目が誠に向いてくる。気の弱い誠は額に汗がにじむのを感じていた。
「煮詰まってんなアタシも混ぜろよな」
そう言って侵入してきたのはクバルカ・ラン中佐だった。セキュリティーを上司権限で開けて勝手に椅子を運んできて話の輪に加わろうとする。そんなランはしばらく机の上の紙切れをめくってみた後、かなめの操作しているモニターに目をやった。そして明らかに落胆したような様子でため息をつく。
「おい、どれもこれも……馬鹿じゃねーのか?」
かなめにランは正直な感想をもらす。すぐにいつものその見た目とは正反対な思慮深い目でかなめがいじっている端末の画面をのぞき見る。
「で、サラが巨大ロボット?そんなもん島田にでも頼んで作ってもらえよ。カウラは剣と魔法のファンタジー?ありきたりだなあ、個性がねーよ。かなめが刑事モノ?ただ銃が撃ちてーだけだろ?」
ランはあっさりとすべての案をけなしていく。
「じゃあ、教導官殿のご意見をお聞かせ願いたいものですねえ」
そんなランにかなめが挑戦的な笑みを浮かべる。ランは先月まで東和国防軍の教導部隊の隊長を務めていた人物である。かなめもそれを知っていてわざと彼女をあおって見せる。
そこでランの表情が変わった。明らかに予想していない話題の振り方のようで、おたおたと視線を彷徨わせた。
「なんでアタシがこんなこと考えなきゃならねーんだよ!」
「ほう、文句は言うけど案は無し。さっきの見事な評価の数々はただの気まぐれか何かなんですかねえ」
かなめは得意げな笑みを浮かべる。その視線の先には明らかに面子を潰されて苦々しげにかなめを見つめるランがいた。
「アタシは専門外だっつうの!オメーが仕切ればいいだろ!……義理と人情の任侠モノはこのご時世ご法度だし……」
ランの口を尖らせて文句を言う姿はその身なりと同様、小学校低学年のそれだった。
「じゃあ、仕切ると言うわけで。神前」
そう言ってアメリアは誠を見つめる。明らかに逃げ道はふさがれた。薄ら笑いを浮かべるアメリアを見ながら誠は冷や汗が流れるのを感じていた。
「それじゃあ戦隊モノはどうですか?」
破れかぶれでそう言ってみた。
「いいね!それやろう!」
サラは当然のように食いつく。
「おい、オメエのロボットの案はどうしたんだ?」
呆れたようにかなめが口を開いた。
「戦隊モノねえ。そうすると男性枠が増えるけど……島田を呼んでくるか?」
カウラのその言葉に急に表情を変えたのは意外なことにかなめだった。
「バーカ。島田の馬鹿に英雄なんて務まるわけねだろ?アイツはただのヤンキーだぜ……悪人Aとかで十分だろ」
そのかなめの言葉にアメリアが珍しくうなづく。
「キャストを決めるのは後でだろ。じゃあ……クラウゼ。貴様はどうしたいんだ?」
自信満々で口を開くアメリアだった。
「まず『萌え』と言うことでランちゃんは欠かせないわね。色は当然ピンク」
「げっ!」
ため息をつくランをめんどくさそうに一瞥したかなめはすぐにアメリアに視線を移す。
「そしてクールキャラはカウラちゃんでしょうね。ブルーのナンバー2っぽいところはちょうどいいじゃないの。それに影の薄い緑は誠ちゃん」
「僕ってそんなに影薄いんですか?」
そう言いながら誠は弱ったように苦笑いを浮かべた。さらにアメリアは言葉を続けた。
「そして黄色の怪力キャラは……当然リアル怪力のかなめちゃん!」
「てめえ、外出ろ!いいから外出ろ」
そう言って指を鳴らすかなめを完全に無視してアメリアは言葉を続けた。
「なんと言ってもリーダーシップ、機転が利く策士で、カリスマの持ち主レッドは私しかいないわね!」
「おい!お前のどこがカリスマの持ち主なんだ?ちゃんとアタシに納得できるように説明しろよ!」
叫ぶかなめを完全に無視してアメリアはどうだという表情でかなめを見つめる。
「なるほどねえ、よく考えたものだ。もし神前の意見となったら頼む。それじゃあ……それでお前は何がしたいんだ」
カウラは彼女達のどたばたが収まったのを確認すると、半分呆れながらアメリアの意見を確認した。
「それは当然魔法少女よ!」
「あのー、なんで僕を指差して言うんですか?」
アメリアはびしっと音が出そうな勢いで人差し指で誠を指しながらそう言い切った。
「おめー日本語わかってんのか?それともドイツ語では『少女』になんか別の意味でもあるのか?アタシが大学で習った限りではそんな意味ねーけどな」
淡々と呆れた表情でランが突っ込みを入れる。
「ああ、それじゃあアメリアは『神前が主役の魔法少女』と」
「あの、西園寺さん?根本的におかしくないですか?」
カウラはさすがにやる気がなさそうにつぶやくかなめを制した。
「何が?」
「少女じゃねーよな、神前は」
そう言いながらランは同情するような、呆れているような視線を誠に送る。
「じゃあ……かわいくお化粧しようよ!」
そう言って手を打つサラ。
「女装か。面白いな」
「わかってるじゃないですかかなめちゃん!それが私の目論見で……」
「全力でお断りします」
さすがに自分を置いて盛り上がっている一同に、誠は危機を感じてそう言った。
「えー!つまんない!」
サラの言葉に誠は心が折れた。
「面白れーのになあ」
ランは明らかに悪意に満ちた視線を誠に向けてくる。
「……と言う意見があるわけだが」
かなめは完全に他人を装っている。
「見たいわけではないが……もしかしたらそれも面白そうだな」
カウラは好奇心をその視線に乗せている。
誠はただ呆然と議事を見ていた。
「やめろよな。こいつも嫌がってるだろ!」
そう言ってくれたかなめに誠はまるで救世主が出たとでも言うように感謝の視線を送る。
「魔法少女なら中佐がいいじゃねえの?」
かなめはそう言うとランを指差した。
「やっぱりかなめちゃんもそう思うんだ」
そう言うアメリアは自分の発言に場が盛り上がったのを喜んでいるような表情で誠を見つめた。
「誠ちゃん本気にしないでよ!誠ちゃんがヒロインなんて……冗談に決まってるでしょ?」
ようやく諦めたような顔のアメリアを見て、誠は安心したように一息ついた。
「なるほどねえ……とりあえず意見はこんなものかね」
そう言うとかなめは一同を見渡した。
「良いんじゃねーの?」
ランはそう言うと目の前のプリントを手に取った。
「隊員の端末に転送するのか?」
そう言いながら手にしたプリントをカウラに見せ付ける。
「ああ、わかってるよ。とりあえずアンケートはネットで知らせるが、記入は叔父貴が用意したのを使った方が良いよな」
「そうね、自分の作ったアンケート用紙を捨てられたら隊長泣いちゃうから」
かなめの言葉にアメリアがうなづく。
「隊長はそう言うところで変に気が回るからな」
ランがそう言いながらここにいる全員にプリントを配る。
「じゃあ、神前。お前がこいつを配れ」
そう言ってランはプリントの束を誠に渡す。
「そうだよね!誠ちゃんが一番階級下だし、年下だし……」
「そうは見えないがな」
かなめはいたずらっぽい視線をサラに送る。そんなかなめの言葉にサラは口を尖らせた。
「ひどいよかなめちゃん!私のほうが誠ちゃんよりお姉さんなんだぞ!」
「じゃあ、みんなで配りましょう!」
口を尖らせるサラを無視してアメリアは誠の手を取って立ち上がった。それに対抗するようにカウラとかなめも立ち上がる。
「おう、全員にデータは転送したぜ。配って来いよ」
かなめの声を聞くとはじかれるようにアメリアが誠の手を引っ張って部屋を出ようとする。
「慌てるなよ。それよりどこから配る?」
「決まってるじゃないの!人数の一番多い技術部整備班……島田君のところから行くわよ」
アメリアはそう言ってコンピュータルームを後にする。誠はその手にひきづられて寒い廊下に引き出された。かなめとカウラもいつものように誠の後ろに続く。そのまま実働部隊の詰め所で雑談をしている第二小隊と明石を無視してそのまま島田麾下の技術部員がたむろしているハンガーに向かった。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が怒らないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
俺は異端児生活を楽しめているのか(日常からの脱出)
れ
SF
学園ラブコメ?異端児の物語です。書くの初めてですが頑張って書いていきます。SFとラブコメが混ざった感じの小説になっております。
主人公☆は人の気持ちが分かり、青春出来ない体質になってしまった、
それを治すために色々な人が関わって異能に目覚めたり青春を出来るのか?が醍醐味な小説です。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
初恋フィギュアドール
小原ききょう
SF
「人嫌いの僕は、通販で買った等身大AIフィギュアドールと、年上の女性に恋をした」 主人公の井村実は通販で等身大AIフィギュアドールを買った。 フィギュアドール作成時、自分の理想の思念を伝達する際、 もう一人の別の人間の思念がフィギュアドールに紛れ込んでしまう。 そして、フィギュアドールには二つの思念が混在してしまい、切ないストーリーが始まります。
主な登場人物
井村実(みのる)・・・30歳、サラリーマン
島本由美子 ・ ・・41歳 独身
フィギュアドール・・・イズミ
植村コウイチ ・・・主人公の友人
植村ルミ子・・・・ 母親ドール
サツキ ・・・・ ・ 国産B型ドール
エレナ・・・・・・ 国産A型ドール
ローズ ・・・・・ ・国産A型ドール
如月カオリ ・・・・ 新型A型ドール
幻想遊撃隊ブレイド・ダンサーズ
黒陽 光
SF
その日、1973年のある日。空から降りてきたのは神の祝福などではなく、終わりのない戦いをもたらす招かれざる来訪者だった。
現れた地球外の不明生命体、"幻魔"と名付けられた異形の怪異たちは地球上の六ヶ所へ巣を落着させ、幻基巣と呼ばれるそこから無尽蔵に湧き出て地球人類に対しての侵略行動を開始した。コミュニケーションを取ることすら叶わぬ異形を相手に、人類は嘗てない絶滅戦争へと否応なく突入していくこととなる。
そんな中、人類は全高8mの人型機動兵器、T.A.M.S(タムス)の開発に成功。遂に人類は幻魔と対等に渡り合えるようにはなったものの、しかし戦いは膠着状態に陥り。四十年あまりの長きに渡り続く戦いは、しかし未だにその終わりが見えないでいた。
――――これは、絶望に抗う少年少女たちの物語。多くの犠牲を払い、それでも生きて。いなくなってしまった愛しい者たちの遺した想いを道標とし、抗い続ける少年少女たちの物語だ。
表紙は頂き物です、ありがとうございます。
※カクヨムさんでも重複掲載始めました。
スペースシエルさんReboot 〜宇宙生物に寄生されましたぁ!〜
柚亜紫翼
SF
真っ暗な宇宙を一人で旅するシエルさんはお父さんの遺してくれた小型宇宙船に乗ってハンターというお仕事をして暮らしています。
ステーションに住んでいるお友達のリンちゃんとの遠距離通話を楽しみにしている長命種の145歳、趣味は読書、夢は自然豊かな惑星で市民権とお家を手に入れのんびり暮らす事!。
「宇宙船にずっと引きこもっていたいけど、僕の船はボロボロ、修理代や食費、お薬代・・・生きる為にはお金が要るの、だから・・・嫌だけど、怖いけど、人と関わってお仕事をして・・・今日もお金を稼がなきゃ・・・」
これは「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に投稿している「〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜」の元になったお話のリメイクです、なので内容や登場人物が「リーゼロッテさん」とよく似ています。
時々鬱展開やスプラッタな要素が混ざりますが、シエルさんが優雅な引きこもり生活を夢見てのんびりまったり宇宙を旅するお話です。
遥か昔に書いたオリジナルを元にリメイクし、新しい要素を混ぜて最初から書き直していますので宇宙版の「リーゼロッテさん」として楽しんでもらえたら嬉しいです。
〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/652357507/282796475
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる