1,371 / 1,455
第19章 昼食
誕生日の風景
しおりを挟む
「じゃあ……ケーキを切ってと……」
そう言ってアメリアは立ち上がった。カウラは相変わらずアメリアを監視するような視線で見つめている。
「おいおい、一応パーティーなんだぜ。そんなに真面目な面でじろじろアメリアを見るなよ」
かなめはいつも飲んでいる蒸留酒に比べてアルコールの少ないワインに飽きているようだった。
「皆さん遠慮しないで食べてね。でも本当に不思議よね、このお肉。ただヨーグルトに漬けただけなのにやわらかくて香りがあって……」
食事を勧めつつ、薫はレシピに基づいて作ったタンドリーチキンを口に運ぶ。誠も一段落着いたというように、タンドリーチキンにかぶりついた。
「ちょっと誠ちゃん!テーブルの上のケーキとって!」
台所の流しでアメリアが叫ぶ。
「こっちで切りゃいいだろ!」
「カウラちゃんのドレスにケーキのクリームが飛んだら大変でしょ?安全策よ」
そう言うとアメリアは誠を見つめる。仕方なく誠はそのままテーブルの中央に置かれたケーキを持ってアメリアが包丁を構えている流しに向かった。
「おい……神前。全然飲んでねえじゃないか」
かなめはそう言うとワインのボトルを手に立ち上がる。いつもよりペースが遅いかなめならいつものように誠の酒に細工をするようなことは無いと誠は安心していた。そしてそのまま手にしたケーキをアメリアに手渡した。
「ありがと。カウラちゃん!どれくらい食べる……って!かなめちゃん!」
アメリアの叫び声。誠が振り返る。
そこには手にしたワインの瓶の口をカウラにの顔面に押し付けようとするかなめの姿があった。
「止めろ!」
ニヤニヤ笑いながらワインの瓶を押し付けてくるかなめにカウラがそう叫んだ瞬間、かなめの姿が瞬時に彼女の前から消えた。
それは誠から見るとどう見ても『消えた』としか思えないものだった。
「え?」
彼女を助けようと振り向いた誠だが、次の瞬間、居間の壁際にかなめが大げさに倒れこんでいるのが見えると言う状況だった。
「本当に酔っ払いは……誠もそうだけど駄目駄目ね」
そう言って薫は何事も無かったかのように自分グラスの中のワインを飲み干す。まるで何が起きたかすべてを知っているような母の態度。だが、そこに踏み込むことは誠にはできなかった。
「なに?何があったの?」
アメリアはまるで状況が飲み込めないようだった。カウラもただ呆然と固まっている。
「うー……」
かなめはしばらく首をひねった後、ゆっくりと立ち上がって手にワインがなくなっているのを見つめた。
「あれ?ワインが無い……アタシは……あれ?」
かなめは周りを確認してその急激な変化にただ戸惑う。
「駄目よ、飲みすぎちゃ」
そう言った薫の左手にはワインのボトルが握られている。誠達はまったく状況がつかめなかった。ただ一人悠然とワインの瓶を手に薫は微笑んでいた。
「じゃあ続きよ」
説明が出来ない状況を追及するようなアメリアではない。そう言って流し台のケーキに包丁を入れる。誠もそれを見ながら切られていく白いクリームを見つめていた。
「アタシ……何があったか覚えてる奴いる?」
居間で相変わらず不思議そうにかなめがつぶやく。カウラも誠もアメリアも状況がわからず黙り込んでいた。
「飲みすぎたんじゃないのか?」
カウラの言葉にもただ当惑しているかなめが椅子に座った音が聞こえる。
「誠ちゃん。何があったかわかる?」
ケーキを皿に盛るアメリアは小声で誠に尋ねた。だが誠は首を振ることしか出来なかった。
「きっと母さんの仕業だろうけど……」
だが誠にそれを確認することはできなかった。法術の反応は明らかにあった。それは母から感じられていた。しかし母のそう言う能力の話は聞いていない。先日の法術適正検査でも、母からは能力反応が見られなかったと聞いていた。
「ほら!ケーキよ!」
やけになったようにアメリアは皿に盛ったケーキを運んでくる。誠もそれに続く。アメリアはまずプレートの乗った大きなかけらをカウラの前に置いた。
「ありがとう」
カウラはそう言ってチョコのプレートの乗ったケーキをうれしそうに見つめる。
「それでこっちがかなめちゃん」
イチゴが多く乗ったケーキの一切れがかなめの前に置かれる。
「ああ、うん」
まだ釈然としないと言うようにかなめはケーキを見つめる。そして彼女は思い出したように母にケーキを手渡す誠をにらみつけてきた。その犯人を決め付けるような視線に誠は戸惑っていた。
「そんな……僕も知りませんよ」
誠はそれしか答えることが出来なかった。それでも納得できないと言うようにかなめはグラスにワインを注ぎ始める。二人の微妙な距離感にカウラがあわてているのがわかり、二人ともとりあえず落ち着こうとワインを手にした。
「かなめちゃんはケーキを肴にワインを飲むの?」
自分のケーキをテーブルに置いて腰を下ろしたアメリアの一言。かなめは相変わらずどこか引っかかることがあると言うような表情でケーキをつついた。
「大丈夫よ。何も仕掛けはないから」
そう言ったのは薫だった。誠は何か隠している母を見つめてみたが、まるで暖簾に腕押し。まともな返答が返ってくるとは想像できなかった。誠は仕方なくケーキを口に運ぶ。
「あ!」
カウラがケーキのプレートを口に運びながら、突然気が付いたように声を上げた。のんびりと自分のケーキにフォークを突き刺していたアメリアが急に顔を上げてカウラを見つめる。その様子がこっけいに見えたのか、かなめが噴出した。
「なに?なんだ?何かわかったのか?」
笑いと驚きを交えたようにかなめはそう言った。今度はそんなかなめがおかしく見えたらしく、カウラの方が笑いをこらえるような表情になった。
「そんな大したことじゃない。思い出したことがあるんだ」
「だからなんなんだよ!」
怒鳴るかなめを見てカウラは困ったような表情を浮かべる。その様子を覗き見ながらアメリアは苦笑いを浮かべる。
「だからな。ケーキを食べるならコーヒーを入れたほうが……」
「おい……くだらないこと言うなよ」
かなめは怒りを抑えるようにこぶしを握り締める。アメリアも誠もつい噴出してしまう。
「いいわねえ……女の子は花があって。男の子はだめ。つまらないもの」
そんなかなめ達を眺めながらぼやいてみせる母に仕方がないというように誠は顔を上げた。
「すいませんねえ」
愚痴る母親を見上げながら誠は甘さが控えめで香りの高いケーキの味を楽しんでいた。
「でも……いいな。こう言うことは」
カウラがそう言った。祝うと言うことの意味すらわからなかっただろう彼女の言葉に誠は心からの笑みを浮かべていた。
「そうだな。悪くない」
「悪くないなんて……かなめちゃんひどくない?素敵だって言わなきゃ」
「まあ、あれだ。オメエがいなけりゃ最高のクリスマスだな」
「なんですって!」
再びかなめとアメリアがじゃれあう。誠もカウラの表情が明るくなるのを見て安心しながらケーキを口に運んだ。
そう言ってアメリアは立ち上がった。カウラは相変わらずアメリアを監視するような視線で見つめている。
「おいおい、一応パーティーなんだぜ。そんなに真面目な面でじろじろアメリアを見るなよ」
かなめはいつも飲んでいる蒸留酒に比べてアルコールの少ないワインに飽きているようだった。
「皆さん遠慮しないで食べてね。でも本当に不思議よね、このお肉。ただヨーグルトに漬けただけなのにやわらかくて香りがあって……」
食事を勧めつつ、薫はレシピに基づいて作ったタンドリーチキンを口に運ぶ。誠も一段落着いたというように、タンドリーチキンにかぶりついた。
「ちょっと誠ちゃん!テーブルの上のケーキとって!」
台所の流しでアメリアが叫ぶ。
「こっちで切りゃいいだろ!」
「カウラちゃんのドレスにケーキのクリームが飛んだら大変でしょ?安全策よ」
そう言うとアメリアは誠を見つめる。仕方なく誠はそのままテーブルの中央に置かれたケーキを持ってアメリアが包丁を構えている流しに向かった。
「おい……神前。全然飲んでねえじゃないか」
かなめはそう言うとワインのボトルを手に立ち上がる。いつもよりペースが遅いかなめならいつものように誠の酒に細工をするようなことは無いと誠は安心していた。そしてそのまま手にしたケーキをアメリアに手渡した。
「ありがと。カウラちゃん!どれくらい食べる……って!かなめちゃん!」
アメリアの叫び声。誠が振り返る。
そこには手にしたワインの瓶の口をカウラにの顔面に押し付けようとするかなめの姿があった。
「止めろ!」
ニヤニヤ笑いながらワインの瓶を押し付けてくるかなめにカウラがそう叫んだ瞬間、かなめの姿が瞬時に彼女の前から消えた。
それは誠から見るとどう見ても『消えた』としか思えないものだった。
「え?」
彼女を助けようと振り向いた誠だが、次の瞬間、居間の壁際にかなめが大げさに倒れこんでいるのが見えると言う状況だった。
「本当に酔っ払いは……誠もそうだけど駄目駄目ね」
そう言って薫は何事も無かったかのように自分グラスの中のワインを飲み干す。まるで何が起きたかすべてを知っているような母の態度。だが、そこに踏み込むことは誠にはできなかった。
「なに?何があったの?」
アメリアはまるで状況が飲み込めないようだった。カウラもただ呆然と固まっている。
「うー……」
かなめはしばらく首をひねった後、ゆっくりと立ち上がって手にワインがなくなっているのを見つめた。
「あれ?ワインが無い……アタシは……あれ?」
かなめは周りを確認してその急激な変化にただ戸惑う。
「駄目よ、飲みすぎちゃ」
そう言った薫の左手にはワインのボトルが握られている。誠達はまったく状況がつかめなかった。ただ一人悠然とワインの瓶を手に薫は微笑んでいた。
「じゃあ続きよ」
説明が出来ない状況を追及するようなアメリアではない。そう言って流し台のケーキに包丁を入れる。誠もそれを見ながら切られていく白いクリームを見つめていた。
「アタシ……何があったか覚えてる奴いる?」
居間で相変わらず不思議そうにかなめがつぶやく。カウラも誠もアメリアも状況がわからず黙り込んでいた。
「飲みすぎたんじゃないのか?」
カウラの言葉にもただ当惑しているかなめが椅子に座った音が聞こえる。
「誠ちゃん。何があったかわかる?」
ケーキを皿に盛るアメリアは小声で誠に尋ねた。だが誠は首を振ることしか出来なかった。
「きっと母さんの仕業だろうけど……」
だが誠にそれを確認することはできなかった。法術の反応は明らかにあった。それは母から感じられていた。しかし母のそう言う能力の話は聞いていない。先日の法術適正検査でも、母からは能力反応が見られなかったと聞いていた。
「ほら!ケーキよ!」
やけになったようにアメリアは皿に盛ったケーキを運んでくる。誠もそれに続く。アメリアはまずプレートの乗った大きなかけらをカウラの前に置いた。
「ありがとう」
カウラはそう言ってチョコのプレートの乗ったケーキをうれしそうに見つめる。
「それでこっちがかなめちゃん」
イチゴが多く乗ったケーキの一切れがかなめの前に置かれる。
「ああ、うん」
まだ釈然としないと言うようにかなめはケーキを見つめる。そして彼女は思い出したように母にケーキを手渡す誠をにらみつけてきた。その犯人を決め付けるような視線に誠は戸惑っていた。
「そんな……僕も知りませんよ」
誠はそれしか答えることが出来なかった。それでも納得できないと言うようにかなめはグラスにワインを注ぎ始める。二人の微妙な距離感にカウラがあわてているのがわかり、二人ともとりあえず落ち着こうとワインを手にした。
「かなめちゃんはケーキを肴にワインを飲むの?」
自分のケーキをテーブルに置いて腰を下ろしたアメリアの一言。かなめは相変わらずどこか引っかかることがあると言うような表情でケーキをつついた。
「大丈夫よ。何も仕掛けはないから」
そう言ったのは薫だった。誠は何か隠している母を見つめてみたが、まるで暖簾に腕押し。まともな返答が返ってくるとは想像できなかった。誠は仕方なくケーキを口に運ぶ。
「あ!」
カウラがケーキのプレートを口に運びながら、突然気が付いたように声を上げた。のんびりと自分のケーキにフォークを突き刺していたアメリアが急に顔を上げてカウラを見つめる。その様子がこっけいに見えたのか、かなめが噴出した。
「なに?なんだ?何かわかったのか?」
笑いと驚きを交えたようにかなめはそう言った。今度はそんなかなめがおかしく見えたらしく、カウラの方が笑いをこらえるような表情になった。
「そんな大したことじゃない。思い出したことがあるんだ」
「だからなんなんだよ!」
怒鳴るかなめを見てカウラは困ったような表情を浮かべる。その様子を覗き見ながらアメリアは苦笑いを浮かべる。
「だからな。ケーキを食べるならコーヒーを入れたほうが……」
「おい……くだらないこと言うなよ」
かなめは怒りを抑えるようにこぶしを握り締める。アメリアも誠もつい噴出してしまう。
「いいわねえ……女の子は花があって。男の子はだめ。つまらないもの」
そんなかなめ達を眺めながらぼやいてみせる母に仕方がないというように誠は顔を上げた。
「すいませんねえ」
愚痴る母親を見上げながら誠は甘さが控えめで香りの高いケーキの味を楽しんでいた。
「でも……いいな。こう言うことは」
カウラがそう言った。祝うと言うことの意味すらわからなかっただろう彼女の言葉に誠は心からの笑みを浮かべていた。
「そうだな。悪くない」
「悪くないなんて……かなめちゃんひどくない?素敵だって言わなきゃ」
「まあ、あれだ。オメエがいなけりゃ最高のクリスマスだな」
「なんですって!」
再びかなめとアメリアがじゃれあう。誠もカウラの表情が明るくなるのを見て安心しながらケーキを口に運んだ。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が怒らないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
俺は異端児生活を楽しめているのか(日常からの脱出)
れ
SF
学園ラブコメ?異端児の物語です。書くの初めてですが頑張って書いていきます。SFとラブコメが混ざった感じの小説になっております。
主人公☆は人の気持ちが分かり、青春出来ない体質になってしまった、
それを治すために色々な人が関わって異能に目覚めたり青春を出来るのか?が醍醐味な小説です。
鉄錆の女王機兵
荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。
荒廃した世界。
暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。
恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。
ミュータントに攫われた少女は
闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ
絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。
奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。
死に場所を求めた男によって助け出されたが
美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。
慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。
その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは
戦車と一体化し、戦い続ける宿命。
愛だけが、か細い未来を照らし出す。
いつか日本人(ぼく)が地球を救う
多比良栄一
SF
この小説にはある仕掛けがある。
読者はこの物語を読み進めると、この作品自体に仕掛けられた「前代未聞」のアイデアを知ることになる。
それは日本のアニメやマンガへ注がれるオマージュ。
2次創作ではない、ある種の入れ子構造になったメタ・フィクション。
誰もがきいたことがある人物による、誰もみたことがない物語がいま幕を開ける。
すべてのアニメファンに告ぐ!! 。隠された謎を見抜けるか!!。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
25世紀後半 地球を襲った亜獣と呼ばれる怪獣たちに、デミリアンと呼ばれる生命体に搭乗して戦う日本人少年ヤマトタケル。なぜか日本人にしか操縦ができないこの兵器に乗る者には、同時に、人類を滅ぼすと言われる「四解文書」と呼ばれる極秘文書も受け継がされた。
もしこれを人々が知れば、世界は「憤怒」し、「恐怖」し、「絶望」し、そして「発狂」する。
かつてそれを聞いた法皇がショック死したほどの四つの「真理」。
世界でたった一人、人類を救えも、滅ぼしもできる、両方の力を手に入れた日本人少年ヤマトタケル。
彼は、世界100億人全員から、救いを求められ、忌み嫌われ、そして恐れられる存在になった。
だが彼には使命があった。たとえ人類の半分の人々を犠牲にしても残り11体の亜獣を殲滅すること、そして「四解文書」の謎を誰にも知られずに永遠に葬ることだった。
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
幻想遊撃隊ブレイド・ダンサーズ
黒陽 光
SF
その日、1973年のある日。空から降りてきたのは神の祝福などではなく、終わりのない戦いをもたらす招かれざる来訪者だった。
現れた地球外の不明生命体、"幻魔"と名付けられた異形の怪異たちは地球上の六ヶ所へ巣を落着させ、幻基巣と呼ばれるそこから無尽蔵に湧き出て地球人類に対しての侵略行動を開始した。コミュニケーションを取ることすら叶わぬ異形を相手に、人類は嘗てない絶滅戦争へと否応なく突入していくこととなる。
そんな中、人類は全高8mの人型機動兵器、T.A.M.S(タムス)の開発に成功。遂に人類は幻魔と対等に渡り合えるようにはなったものの、しかし戦いは膠着状態に陥り。四十年あまりの長きに渡り続く戦いは、しかし未だにその終わりが見えないでいた。
――――これは、絶望に抗う少年少女たちの物語。多くの犠牲を払い、それでも生きて。いなくなってしまった愛しい者たちの遺した想いを道標とし、抗い続ける少年少女たちの物語だ。
表紙は頂き物です、ありがとうございます。
※カクヨムさんでも重複掲載始めました。
初恋フィギュアドール
小原ききょう
SF
「人嫌いの僕は、通販で買った等身大AIフィギュアドールと、年上の女性に恋をした」 主人公の井村実は通販で等身大AIフィギュアドールを買った。 フィギュアドール作成時、自分の理想の思念を伝達する際、 もう一人の別の人間の思念がフィギュアドールに紛れ込んでしまう。 そして、フィギュアドールには二つの思念が混在してしまい、切ないストーリーが始まります。
主な登場人物
井村実(みのる)・・・30歳、サラリーマン
島本由美子 ・ ・・41歳 独身
フィギュアドール・・・イズミ
植村コウイチ ・・・主人公の友人
植村ルミ子・・・・ 母親ドール
サツキ ・・・・ ・ 国産B型ドール
エレナ・・・・・・ 国産A型ドール
ローズ ・・・・・ ・国産A型ドール
如月カオリ ・・・・ 新型A型ドール
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる