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第48章 猛将
見つめる瞳
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「なんだ、赤松は押されてるじゃないか」
会議室で参謀達に囲まれながら佐賀はつぶやいた。周りでも今からでも清原派に加担する為に泉州艦隊を迂回する為に大回りをしている越州などの艦隊に道を明けるべきだと主張したい士官達がざわめいていた。
「しかし今行ってどうします?」
そう言ったのは小見だった。本家嵯峨家の被官であり、猛将嵯峨惟基の教えを受けた実力者の言葉にあたりは静まり返った。
「今なら間に合うんじゃないかな。それに圧倒的に清原君の部隊の方が優勢じゃないか」
長身で痩せ型。どう見ても実戦の経験の無い佐官の言葉にきっと見据える小見。その殺気だった目ににらまれて哀れな指揮官は黙り込むしかなかった。
「優勢なのは確かです。そして我が艦隊が参戦すれば万が一にも赤松さんには勝ち目は無い」
「認めるんだな?我々が参加すれば勝負がつくことを」
佐賀の言葉に小見は大きく頷いた。
「だが一つ忘れてはならないことをお忘れのようなので」
「何が言いたい」
あっさりと自分の言うことを認める小見に佐賀は怪訝そうな視線を投げる。
「勝ち馬に乗る。それが自力なら問題は無いでしょう。ですが私を含めて殿上家の被官を勝手に動かしたことは事実ですよね」
そんな小見の言葉に佐賀の顔は引きつった。
本来は泉州コロニーの管理を殿上嵯峨家から命じられているだけの佐賀が自分の手持ちの陸軍師団と一緒に今回は出撃させていた。そのことは明らかに越権行為であり、嵯峨惟基から見れば暴挙と言うことになるのは目に見えていた。
「泉州は勝ちの決まった清原候を支持して勝ち馬に乗った。しかもその戦いは本家の意図とはかけ離れている。世間に対して恥ということを知っている人間のすることではない。そう言われて戦いが終わって捨てられた武人がどれほどいることか……」
小見の独り言のようなつぶやきに会議室のモニターを見つめている幹部達は肝を冷やしていた。
「な、ならば貴官は赤松側に付けと言うのか!黙ってみていろと言い出したのは貴様ではないか!」
髭面の士官に表情を殺したように目を向ける小見。その慌てる姿に同調するように佐賀は小見の顔を覗き込んだ。
「いえ、私はどちらにつくかまでは言っていませんよ。ただ見ていればどちらが勝つかは見えてくる。そしてどちらに着くべきかの選択は佐賀高家閣下のご存念に添った形にするのが一番だと申し上げたまでですが?」
小見の言葉に一斉に視線が佐賀に集まる。佐賀は慌てたように咳払いをすると静かに椅子に腰を下ろした。
「赤松に逆転の要素は無いのか?」
渋々声を絞り出す佐賀。そしてその声でつい笑顔を浮かべそうになった若手の情報将校が驚いたように端末の操作を開始する。
「まだ……始まったばかりだ」
それだけ言うと佐賀は黙り込んだ。その表情があまりにも慌てているように見えたので周りの参謀達は不安そうに小見に目を向ける。
小見は一人、涼しい表情で自分の方に視線を向ける参謀達の視線を浴びていた。
テーブルの中央のモニターに戦況が表示される。拡大された左翼にはすさまじい勢いで赤松側のアサルト・モジュールを撃墜している清原側のエースの姿が見えていた。
「現在、『播磨』に向けて安東貞盛大佐が攻撃をかけています」
淡々と感情を殺したようにつぶやく士官の言葉に会議室がざわめく。
「安東君か。彼はなかなかの腕前だが……彼が出なければならないほどなのか?」
佐賀の言葉に情報将校は黙り込んだ。そして佐賀の目は若手のおどおどした情報将校から小見に向けられた。
「いい試金石がいるではないですか」
満面の笑みの小見。そしてその笑みを不愉快に感じた佐賀はそのまま視線をテーブルの上のモニターに再び向けることになった。
会議室で参謀達に囲まれながら佐賀はつぶやいた。周りでも今からでも清原派に加担する為に泉州艦隊を迂回する為に大回りをしている越州などの艦隊に道を明けるべきだと主張したい士官達がざわめいていた。
「しかし今行ってどうします?」
そう言ったのは小見だった。本家嵯峨家の被官であり、猛将嵯峨惟基の教えを受けた実力者の言葉にあたりは静まり返った。
「今なら間に合うんじゃないかな。それに圧倒的に清原君の部隊の方が優勢じゃないか」
長身で痩せ型。どう見ても実戦の経験の無い佐官の言葉にきっと見据える小見。その殺気だった目ににらまれて哀れな指揮官は黙り込むしかなかった。
「優勢なのは確かです。そして我が艦隊が参戦すれば万が一にも赤松さんには勝ち目は無い」
「認めるんだな?我々が参加すれば勝負がつくことを」
佐賀の言葉に小見は大きく頷いた。
「だが一つ忘れてはならないことをお忘れのようなので」
「何が言いたい」
あっさりと自分の言うことを認める小見に佐賀は怪訝そうな視線を投げる。
「勝ち馬に乗る。それが自力なら問題は無いでしょう。ですが私を含めて殿上家の被官を勝手に動かしたことは事実ですよね」
そんな小見の言葉に佐賀の顔は引きつった。
本来は泉州コロニーの管理を殿上嵯峨家から命じられているだけの佐賀が自分の手持ちの陸軍師団と一緒に今回は出撃させていた。そのことは明らかに越権行為であり、嵯峨惟基から見れば暴挙と言うことになるのは目に見えていた。
「泉州は勝ちの決まった清原候を支持して勝ち馬に乗った。しかもその戦いは本家の意図とはかけ離れている。世間に対して恥ということを知っている人間のすることではない。そう言われて戦いが終わって捨てられた武人がどれほどいることか……」
小見の独り言のようなつぶやきに会議室のモニターを見つめている幹部達は肝を冷やしていた。
「な、ならば貴官は赤松側に付けと言うのか!黙ってみていろと言い出したのは貴様ではないか!」
髭面の士官に表情を殺したように目を向ける小見。その慌てる姿に同調するように佐賀は小見の顔を覗き込んだ。
「いえ、私はどちらにつくかまでは言っていませんよ。ただ見ていればどちらが勝つかは見えてくる。そしてどちらに着くべきかの選択は佐賀高家閣下のご存念に添った形にするのが一番だと申し上げたまでですが?」
小見の言葉に一斉に視線が佐賀に集まる。佐賀は慌てたように咳払いをすると静かに椅子に腰を下ろした。
「赤松に逆転の要素は無いのか?」
渋々声を絞り出す佐賀。そしてその声でつい笑顔を浮かべそうになった若手の情報将校が驚いたように端末の操作を開始する。
「まだ……始まったばかりだ」
それだけ言うと佐賀は黙り込んだ。その表情があまりにも慌てているように見えたので周りの参謀達は不安そうに小見に目を向ける。
小見は一人、涼しい表情で自分の方に視線を向ける参謀達の視線を浴びていた。
テーブルの中央のモニターに戦況が表示される。拡大された左翼にはすさまじい勢いで赤松側のアサルト・モジュールを撃墜している清原側のエースの姿が見えていた。
「現在、『播磨』に向けて安東貞盛大佐が攻撃をかけています」
淡々と感情を殺したようにつぶやく士官の言葉に会議室がざわめく。
「安東君か。彼はなかなかの腕前だが……彼が出なければならないほどなのか?」
佐賀の言葉に情報将校は黙り込んだ。そして佐賀の目は若手のおどおどした情報将校から小見に向けられた。
「いい試金石がいるではないですか」
満面の笑みの小見。そしてその笑みを不愉快に感じた佐賀はそのまま視線をテーブルの上のモニターに再び向けることになった。
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