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第13章 中間派の消失
暗殺
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明石が首相波多野秀基暗殺の知らせを聞いたのは、嵯峨の隠密裏の胡州入国を聞いた三日後の話しだった。最新のアサルト・モジュール『飛燕』のテストを終え、機体の評価の報告書を隊長室で入力していたときに慌てて駆け込んできた正親町三条楓の一言にただじっとモニターを見つめていた。
「手口は?」
そう答えるのが精一杯だった。
「遼南の東モスレムのイスラム過激派が良くやる手法です。人体発火による自爆テロで波多野首相以下4名が即死、重軽傷者は100人を越えています」
「ほうか」
それだけ言うと明石は再び新型機の評価のレポートに向かった。ただ入り口で楓が報告を終えても立ち尽くしているのが見える。そして顔を上げてみれば半分開いたドアから部下達が恐る恐る様子をうかがっているのがわかった。
「ああ、下がってもええんやけど」
そう言うが明石を見つめたまま動かない楓。仕方なくレポートを保存した後、早速ニュースサイトを立ち上げて眺める明石を部下達は真剣な様子で眺めていた。
「隊長……」
楓の表情が曇る。彼女に映っているであろう自分の不愉快そうな顔を思い出して明石は苦笑いを浮かべながら立ち上がった。
「首相暗殺。治安部隊の警備体制は完全にテロリストにばれてたんちゃうか?確かに遼州系の人間には地球人にはない力を持っている人間もいるからのう。暗殺が議事堂から出たところでって言うが気になるわ。敷地に入るときのチェックでアストラル反応検査くらいはやってるはずやから手引きした人間がいると考えるのが普通やろな」
その言葉は楓の予想していた言葉の範囲内であるらしく黙って明石を見つめながら立ち尽くしている。
「あのなあ、ワシに何を期待しとるんじゃ?」
「これは烏丸派の……」
「わあっとる!」
楓の言葉が出る前に明石は叫んだ。予想された、予告されていた殺人。文明社会だと信じていた胡州でテロを許す体制が存在すると言う事実に正直なところ明石は打ちのめされていた。彼の仲間達が爆弾にしがみついて敵艦隊に突入してまで守りたかったのがテロが横行するこの胡州の今の状況だと言うことが腹立たしくてたまらなかった。
楓もさすがに怒鳴りつけた明石に驚いたように身を震わせるが一歩も引くことなく立ち尽くしていた。
「ほな、ワシはどないしたらええねん。ワシはただの教導部隊の隊長やぞ。憲兵の真似事なんざ出来るわけも無い」
「波多野氏の後任人事は?」
楓の言葉に明石はそり上げられた頭を掻いた。
「あのなあ、ワシは兵隊さんや。政治向きの話ならお前の伯父さんの方がよう知っとるやろ。そちらに話してみ」
「それは無いんじゃないですか!我等に黙ってみていろとでも?」
ここでようやく明石の部下達が隊長室に入ってきた。彼等は平民上がりである。軍に志願することが今の胡州で平民が出世できる数少ない場である。しかも明石のような西園寺恩顧の上官につかなければただの駒として消費されるしかない。そんな現状を知っている下士官達の顔をそれぞれ見つめた後、明石は諦めたように椅子に座りなおした。
「ワレ等の気持ちは分かった。別所に聞いてみるけ、今回は収めといてくれ」
明石の言葉に安心したように息を吐く楓。部下達に肩を叩かれながら出て行く楓を見送ると明石はすぐに別所に連絡を取り付けることにした。
「手口は?」
そう答えるのが精一杯だった。
「遼南の東モスレムのイスラム過激派が良くやる手法です。人体発火による自爆テロで波多野首相以下4名が即死、重軽傷者は100人を越えています」
「ほうか」
それだけ言うと明石は再び新型機の評価のレポートに向かった。ただ入り口で楓が報告を終えても立ち尽くしているのが見える。そして顔を上げてみれば半分開いたドアから部下達が恐る恐る様子をうかがっているのがわかった。
「ああ、下がってもええんやけど」
そう言うが明石を見つめたまま動かない楓。仕方なくレポートを保存した後、早速ニュースサイトを立ち上げて眺める明石を部下達は真剣な様子で眺めていた。
「隊長……」
楓の表情が曇る。彼女に映っているであろう自分の不愉快そうな顔を思い出して明石は苦笑いを浮かべながら立ち上がった。
「首相暗殺。治安部隊の警備体制は完全にテロリストにばれてたんちゃうか?確かに遼州系の人間には地球人にはない力を持っている人間もいるからのう。暗殺が議事堂から出たところでって言うが気になるわ。敷地に入るときのチェックでアストラル反応検査くらいはやってるはずやから手引きした人間がいると考えるのが普通やろな」
その言葉は楓の予想していた言葉の範囲内であるらしく黙って明石を見つめながら立ち尽くしている。
「あのなあ、ワシに何を期待しとるんじゃ?」
「これは烏丸派の……」
「わあっとる!」
楓の言葉が出る前に明石は叫んだ。予想された、予告されていた殺人。文明社会だと信じていた胡州でテロを許す体制が存在すると言う事実に正直なところ明石は打ちのめされていた。彼の仲間達が爆弾にしがみついて敵艦隊に突入してまで守りたかったのがテロが横行するこの胡州の今の状況だと言うことが腹立たしくてたまらなかった。
楓もさすがに怒鳴りつけた明石に驚いたように身を震わせるが一歩も引くことなく立ち尽くしていた。
「ほな、ワシはどないしたらええねん。ワシはただの教導部隊の隊長やぞ。憲兵の真似事なんざ出来るわけも無い」
「波多野氏の後任人事は?」
楓の言葉に明石はそり上げられた頭を掻いた。
「あのなあ、ワシは兵隊さんや。政治向きの話ならお前の伯父さんの方がよう知っとるやろ。そちらに話してみ」
「それは無いんじゃないですか!我等に黙ってみていろとでも?」
ここでようやく明石の部下達が隊長室に入ってきた。彼等は平民上がりである。軍に志願することが今の胡州で平民が出世できる数少ない場である。しかも明石のような西園寺恩顧の上官につかなければただの駒として消費されるしかない。そんな現状を知っている下士官達の顔をそれぞれ見つめた後、明石は諦めたように椅子に座りなおした。
「ワレ等の気持ちは分かった。別所に聞いてみるけ、今回は収めといてくれ」
明石の言葉に安心したように息を吐く楓。部下達に肩を叩かれながら出て行く楓を見送ると明石はすぐに別所に連絡を取り付けることにした。
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