777 / 1,474
第6章 西園寺サロン
権力の移ろい
しおりを挟む
「しかし、二人とも驚いていないとは……忠さんも良い部下がいるみたいだ」
「十分驚いとるように見えるんやけど。それと新三のところの切れ者に比べたらどうにも。あの吉田とか言う傭兵崩れがおればワシも安心して部隊を留守にできるんやけどな」
そう言って隣に忘れられたように置かれた杯を取る赤松。
「新三なんて言ってもこいつ等に言っても分からねえよ。ああ、忠さんと俺は高等予科学校からの同窓でな」
「本当にそれは何度も文句言いたい思うとったんやけど腐れ縁の間違いやぞ」
明石はそこであることを思い出した。
『胡州高等予科学校』。先の大戦の終戦前まで貴族の教育機関のひとつとして開設されていた学校である。軍に進む子弟の早期教育を目的に設立され、軍幹部にはその出身者が多かった。特筆すべきところは成績優秀者は陸軍士官学校や海軍兵学校を経ずに直接陸軍大学、海軍大学の受験資格があると言うところだったが、その試験は過酷で数年に一人という合格実績だった。
その数少ない合格者の一人が目の前の嵯峨だった。家柄も才能も優れた名将としていずれ彼が軍に重用されることになるのは当然の話と言えた。だが、その家柄ゆえに嵯峨は中央から追われることになったのは皮肉なものだった。
西園寺新三郎として四大公筆頭西園寺家の部屋住みだった彼が、ゲルパルトの名家シュトルベルク家の長女と結婚して中央政界から追放状態だった西園寺家に世の注目が集まると、軍は陸軍大学を出た彼を東和大使館付き武官として東都に送った。中尉待遇での花形デビューと言う体裁だが、事実は軍の中央から遠ざけることがその目的だった。事実その後も嵯峨は二度と軍の中央へ近づくことは無かった。
だが現在その胡州軍の中央と縁が薄いと言うことが嵯峨の優位に政治的状況が展開する可能性を秘めている。そう明石は見ていた。
元々嵯峨家の領邦には2億の民を抱えるコロニー群がある。全人口が八億に満たない胡州で図抜けた領邦とその人脈を使える嵯峨は未だ西園寺派や烏丸派とは一線を画して動くことが出来る状況にあった。彼の手足となる被官の陸軍の重鎮、醍醐文隆中将は西園寺家に近い立場とはいえ、三老の醍醐文隆の兄佐賀高家大将や池幸重(いけゆきしげ)准将などは烏丸派が勢力を持つ陸軍に会って中立を守っていた。
「二人とも俺がここにいるのは驚かなかったわけだ。だが、俺がなぜここにいるかは分かるか?」
いたずらをする子供のような瞳。明石は自分より一回り上の年であるはずの陸軍大佐の顔を見つめていた。
「それは先ほどおっしゃった……」
「それじゃあ子供の答えだ。胡州の動静をたどるなら部下や被官にやらせる方が良い。そうしないともし俺がそれだけの為にここにいるとばれたら奴等は自分達が信用されていないってことでへそを曲げるかも知れねえからな」
再び嵯峨は徳利を傾けた。
「じゃあ、お二人と協力して……」
そう言った別所に赤松が諦めたような視線を向ける。それも承知の上と言うようににやりと笑った別所が嵯峨の顔色を見ていた。
「保科公の健康やないですか?嵯峨大佐がにぎってはるのは」
明石は試しにそう言ってみた。西園寺と嵯峨の兄弟は顔色を変えなかったが、上司に当たる赤松が二人の顔色を見たところで明石は自分の問いが正解だったことに気づいた。
「良い目をしているよ。最近の保科さんの動き。明らかに目に付いてね。いろいろと調べたんだが、やはり相当悪いらしい。ただ血管がプッツンしてリハビリ中の大河内公爵とは違って消化器系の癌だがせいぜい延命が効く程度の対処しかできない。それも本人が断ったそうだがね」
今の胡州を支えている老人の死。一瞬で場が凍った。
「そして、兄貴に釘を刺しに来たわけだ」
しばらくの沈黙の後、嵯峨は兄の西園寺を見つめる。
「釘?何のことだ?」
そう言った西園寺に嵯峨は一通の手書きの書状をポケットから出して兄に渡す。
「もう少しこういうものは丁寧に扱えよ」
西園寺はすぐにそれを読みはじめるが、次第に目を嵯峨に向ける回数が増え始めた。
「まあ、池もまじめな男だからな。露骨に高家の領邦の半分を譲ると言われても俺にお伺いを立ててきやがる。困ったもんでしょ?」
嵯峨の言葉に読みかけの書状を放り投げた西園寺。それを拾った赤松は読まずにそれを畳んだ。
「じゃあ清原からの書類もあるやろ?」
赤松の言葉に今度は携帯端末を開いて文書を画面に表示する。そしてそれを西園寺と赤松。二人に見せる嵯峨。
「よく考えたもんだな。こちらでは嵯峨の直轄地まで切り取って池に差し出すと書いてあるぞ。新三、そんな予定はあるのか?」
半分笑うような調子で西園寺は画面から目を離して嵯峨の顔を覗き見た。
「なあに、西園寺派が倒れればそれに見合う領邦を俺に差し出すっていうつもりでしょ?清原さんは」
淡々と答える嵯峨。それを別所は冷たい目で見つめる。
「こんな紙切れが行きかっているとして今回の状況をどう運ぶおつもりですか」
怒りをこめた別所の言葉に白々しくおびえたふりをする嵯峨。
「怖い顔したってどうにもならないんだけどな。ただ烏丸さんや保科さんに会って分かったことは俺にゃあもう手を上げるしかねえってことだな」
そう言うと嵯峨は杯を干した。
「おい、お前がそないなこと言ったら……嵯峨家が終わるんちゃうか?」
赤松の言葉に悲しげな表情を作る嵯峨。それが本心からのものかは明石にも分からなかった。
「だってしょうがないだろ?この国の制度を根本から変えるにはどちらかが倒れるしか無いんだ。強力な指導体制により制度を根幹から変革することで国家の発展を目指す。これは俺もやったことだが人に勧めるつもりはないが、それ以外に今の胡州に選択の余地が無いことは理解しているつもりだよ……だがねえ……」
嵯峨はそう言うとタバコを取り出した。灰皿がこの屋敷に無いことを知っている別所が何か代わりのものを探そうとするが、嵯峨は手で押し止める。
「ああ、携帯灰皿を持ってるんだ。俺は昔から肩身の狭い愛煙家だからな」
そう言ってポケットから金属の小さな円盤を取り出す嵯峨。
「十分驚いとるように見えるんやけど。それと新三のところの切れ者に比べたらどうにも。あの吉田とか言う傭兵崩れがおればワシも安心して部隊を留守にできるんやけどな」
そう言って隣に忘れられたように置かれた杯を取る赤松。
「新三なんて言ってもこいつ等に言っても分からねえよ。ああ、忠さんと俺は高等予科学校からの同窓でな」
「本当にそれは何度も文句言いたい思うとったんやけど腐れ縁の間違いやぞ」
明石はそこであることを思い出した。
『胡州高等予科学校』。先の大戦の終戦前まで貴族の教育機関のひとつとして開設されていた学校である。軍に進む子弟の早期教育を目的に設立され、軍幹部にはその出身者が多かった。特筆すべきところは成績優秀者は陸軍士官学校や海軍兵学校を経ずに直接陸軍大学、海軍大学の受験資格があると言うところだったが、その試験は過酷で数年に一人という合格実績だった。
その数少ない合格者の一人が目の前の嵯峨だった。家柄も才能も優れた名将としていずれ彼が軍に重用されることになるのは当然の話と言えた。だが、その家柄ゆえに嵯峨は中央から追われることになったのは皮肉なものだった。
西園寺新三郎として四大公筆頭西園寺家の部屋住みだった彼が、ゲルパルトの名家シュトルベルク家の長女と結婚して中央政界から追放状態だった西園寺家に世の注目が集まると、軍は陸軍大学を出た彼を東和大使館付き武官として東都に送った。中尉待遇での花形デビューと言う体裁だが、事実は軍の中央から遠ざけることがその目的だった。事実その後も嵯峨は二度と軍の中央へ近づくことは無かった。
だが現在その胡州軍の中央と縁が薄いと言うことが嵯峨の優位に政治的状況が展開する可能性を秘めている。そう明石は見ていた。
元々嵯峨家の領邦には2億の民を抱えるコロニー群がある。全人口が八億に満たない胡州で図抜けた領邦とその人脈を使える嵯峨は未だ西園寺派や烏丸派とは一線を画して動くことが出来る状況にあった。彼の手足となる被官の陸軍の重鎮、醍醐文隆中将は西園寺家に近い立場とはいえ、三老の醍醐文隆の兄佐賀高家大将や池幸重(いけゆきしげ)准将などは烏丸派が勢力を持つ陸軍に会って中立を守っていた。
「二人とも俺がここにいるのは驚かなかったわけだ。だが、俺がなぜここにいるかは分かるか?」
いたずらをする子供のような瞳。明石は自分より一回り上の年であるはずの陸軍大佐の顔を見つめていた。
「それは先ほどおっしゃった……」
「それじゃあ子供の答えだ。胡州の動静をたどるなら部下や被官にやらせる方が良い。そうしないともし俺がそれだけの為にここにいるとばれたら奴等は自分達が信用されていないってことでへそを曲げるかも知れねえからな」
再び嵯峨は徳利を傾けた。
「じゃあ、お二人と協力して……」
そう言った別所に赤松が諦めたような視線を向ける。それも承知の上と言うようににやりと笑った別所が嵯峨の顔色を見ていた。
「保科公の健康やないですか?嵯峨大佐がにぎってはるのは」
明石は試しにそう言ってみた。西園寺と嵯峨の兄弟は顔色を変えなかったが、上司に当たる赤松が二人の顔色を見たところで明石は自分の問いが正解だったことに気づいた。
「良い目をしているよ。最近の保科さんの動き。明らかに目に付いてね。いろいろと調べたんだが、やはり相当悪いらしい。ただ血管がプッツンしてリハビリ中の大河内公爵とは違って消化器系の癌だがせいぜい延命が効く程度の対処しかできない。それも本人が断ったそうだがね」
今の胡州を支えている老人の死。一瞬で場が凍った。
「そして、兄貴に釘を刺しに来たわけだ」
しばらくの沈黙の後、嵯峨は兄の西園寺を見つめる。
「釘?何のことだ?」
そう言った西園寺に嵯峨は一通の手書きの書状をポケットから出して兄に渡す。
「もう少しこういうものは丁寧に扱えよ」
西園寺はすぐにそれを読みはじめるが、次第に目を嵯峨に向ける回数が増え始めた。
「まあ、池もまじめな男だからな。露骨に高家の領邦の半分を譲ると言われても俺にお伺いを立ててきやがる。困ったもんでしょ?」
嵯峨の言葉に読みかけの書状を放り投げた西園寺。それを拾った赤松は読まずにそれを畳んだ。
「じゃあ清原からの書類もあるやろ?」
赤松の言葉に今度は携帯端末を開いて文書を画面に表示する。そしてそれを西園寺と赤松。二人に見せる嵯峨。
「よく考えたもんだな。こちらでは嵯峨の直轄地まで切り取って池に差し出すと書いてあるぞ。新三、そんな予定はあるのか?」
半分笑うような調子で西園寺は画面から目を離して嵯峨の顔を覗き見た。
「なあに、西園寺派が倒れればそれに見合う領邦を俺に差し出すっていうつもりでしょ?清原さんは」
淡々と答える嵯峨。それを別所は冷たい目で見つめる。
「こんな紙切れが行きかっているとして今回の状況をどう運ぶおつもりですか」
怒りをこめた別所の言葉に白々しくおびえたふりをする嵯峨。
「怖い顔したってどうにもならないんだけどな。ただ烏丸さんや保科さんに会って分かったことは俺にゃあもう手を上げるしかねえってことだな」
そう言うと嵯峨は杯を干した。
「おい、お前がそないなこと言ったら……嵯峨家が終わるんちゃうか?」
赤松の言葉に悲しげな表情を作る嵯峨。それが本心からのものかは明石にも分からなかった。
「だってしょうがないだろ?この国の制度を根本から変えるにはどちらかが倒れるしか無いんだ。強力な指導体制により制度を根幹から変革することで国家の発展を目指す。これは俺もやったことだが人に勧めるつもりはないが、それ以外に今の胡州に選択の余地が無いことは理解しているつもりだよ……だがねえ……」
嵯峨はそう言うとタバコを取り出した。灰皿がこの屋敷に無いことを知っている別所が何か代わりのものを探そうとするが、嵯峨は手で押し止める。
「ああ、携帯灰皿を持ってるんだ。俺は昔から肩身の狭い愛煙家だからな」
そう言ってポケットから金属の小さな円盤を取り出す嵯峨。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる