547 / 1,474
第17章 突然クライマックス
巨大ロボ
しおりを挟む
それはコックピットのようだった。
一応、誠もアサルト・モジュールパイロットでありコックピットには慣れていたが、その巨大なコックピットにはなぜか燃えるものを感じた。
『これ!戦隊モノのロボのコックピット!一度、座ってみたかったんだ。ここに』
誠は二つとなりのシャムが座るコックピットを羨望のまなざしで見つめた。
「キャラットシャム!キャラットサマー!キャプテンシルバー!ブラッディーラン!こちらはマジューンスペルター!」
誠の声に飛行する巨大マシンを見上げるシャム達。
「これが僕達のの切り札だ!転移を!」
誠の叫びにシャムと小夏はうなづく。
「私にはその資格は無い……」
うなだれるラン。だが、シャムは叫ぶ。
「そんなわけ無いよ!ランちゃんは一生懸命やったじゃない。この世界を救うために力を貸して!」
シャムの言葉。彼女の治療魔術でほぼ傷の癒えたランは静かに頷いて手をかざす。少し恥ずかしそうにランが手を伸ばす。そしてランとシャムの手が重なった瞬間二人の周りの空気が輝き始めた。
そして瞬時に全員がそれぞれの座席へと転移した。モニターには理性が崩れかけて破壊を繰り返す機械魔女メイリーンの姿があった。
「変形よ!」
『おう!』
シャムの声にあわせて全員で目の前の無駄に大きなボタンを押す。高らかに流れるクライマックスな音楽。
『心配そうな顔しないでよ、誠ちゃん。ああ、この音楽、権利的には大丈夫だからね。吉田さんの曲なんだって』
アイシャのあっけらかんとした声が響く。
『おい、俺の曲だからきっちりあとで礼をしろよ』
吉田の言葉を無視して超巨大戦闘機のような姿の機体が変形していく。
『いつも思うんだけどなんでこのときに攻撃を仕掛けないかな……』
そんな不謹慎なことを考えていた誠だが、やはり同じ意見のような明華はきっちり肩のミサイルポッドからミサイルの雨を浴びせてきた。
「うわ!」
お約束は守るだろうと高をくくっていたシャムが顔面からコンソールに頭をぶつける様子が目に入る。
笑いをこらえながら誠は叫ぶ準備をした。
「卑怯だよ!」
「戦いに卑怯も何も無い!油断するな!キャラットシャム!」
誠の台詞にシャムは元気一杯よみがえる。
「こんな攻撃で変形は止められないよ!」
そんな叫び声にあわせて変形が進行する。さらに高鳴る音楽を聴いてさすがの明華も空気を読んでおとなしくしていた。お約束の腕が伸び、首が回転し、ひざが伸びてロボットの形になる。そのままどういう理屈か良く分からないエンジン音を流しながらがっちりと採石場の中央に着地するロボ。
「マジューンシュペルターロボ!見参!」
シャムは得意げに見得を切ってみせる。今後突っ込みどころがあっても完全に出来上がったモードのシャムに誠は黙っていようと心に決めた。
誠の目の前、五人全員からみえる巨大なモニターにはすでに第二波のミサイルが映し出されていた。
「うわー!」
シャムの大げさに過ぎる叫び声を聞きながら巨大ロボはそのまましりもちをつくような感じで倒れた。
「憎し!この世界!憎し!」
理性が破壊されているらしい明華こと巨大化した機械魔女メイリーンは巨大な鞭を手に倒れたロボに襲い掛かる。
「かわすよ!」
シャムの叫び声で右に大きく転がって明華の攻撃を避ける。明華は再び鞭を振るう。そしてシャムが避けると言うことが繰り返された。
『良く動くな。このロボ』
誠は半分観客気分でころころ転がるので揺れまくっているロボの中でアトラクション気分を満喫していた。
「これなら!」
胸の前で腕を十字に交差させると言うまったく意味の分からないポーズをとった小夏が目の前の一つしかないボタンを押す。いきなりロボのバックパックからジェットが噴射され、浮き上がったロボが体勢を立て直した。
『こういうのがあるなら早く使えば良かったのに』
そう思いながら隣を見ると、飽きたような感じのかなめことキャプテンシルバーがあくびをしていた。
「かなめさん、戦闘中ですよ!」
「だって仕方がねえだろ?することねえしよ」
そう言いながら素に戻ったかなめは再びあくびをする。
「今度はこっちの番だよ!」
シャムの叫びとともに目の前の空間に手をかざしたロボ。光に包まれたその手には巨大な剣が握られていた。
「チャンバラか」
興味がなさそうにかなめがつぶやく。誠はただ冷や汗をかきながらそんな彼女を見つめていた。
「ふっ!たかが剣の一本で!」
そう叫んだ明華の鞭がうなりをあげてロボを襲う。
「舐めるな!」
ランがそう叫んで目の前のレバーを下げる。ロボの頭部を襲おうとした鞭は空を切った。そしてロボの剣が鞭を切り落とした。
「なっ、何!」
うろたえる巨大明華。再び剣を握りポーズをとるロボ。
「それじゃあみんな行くよ!」
シャムは笑顔でそう叫んだ。
誠のバイザーの下に台詞が映し出される。
『マジ?これ読むの?』
その台詞に焦る誠。だが高らかに最終決戦を告げる音楽が流れる。嫌でも盛り上がる雰囲気。そして誠は見栄を捨てた。
「世の中に!」
誠はとりあえず恥を捨てて叫んだ。
「悪の栄えた!」
ランはすっかりノリノリだった。
「たとえなし!」
やけなのがすぐに分かるかなめ。
「今!」
短い台詞に明らかに不満な小夏。
「必殺!」
一番力の入っているシャムの雄たけび。
『一刀!真剣!瞬殺斬!』
その言葉とともにロボは明らかにばればれの避ければいいじゃないかと誠にも見える太刀筋で、目の前の巨大明華を一刀両断にした。
『グモー!!機械帝国万歳!!』
そう叫んで巨大明華は大爆発する。そしてロボは決めポーズを見せる。
『はい!お疲れ!』
アイシャのOKが出てほっと胸をなでおろすシャム達。誠も安心してシーンが終わるのを確認するとバイザー付きのヘルメットを外した。
そこに香ばしいにおいが立ち込めていることを誠はすぐに悟った。
「ずるい!ずっこい!」
食べ物のことなら彼女と言うシャムが叫んでいる声が聞こえる。上体を起こした誠は嵯峨と春子、そしてなぜか特務公安隊の隊長、安城秀美までがどんぶりを抱えて誠達を見つめている光景に出くわした。
「なんだ、これが良いのか?」
そう言って安城がどんぶりの中の食べかけのアナゴのてんぷらを見せ付ける。
「あ!それ佃屋のでしょ!」
小夏がそのきらびやかな赤い柿右衛門風のどんぶりを指差した。
「いいじゃないの、さっき春子さんのお弁当散々食べてたでしょ?」
食べ終わったどんぶりを手にアイシャがそう言うが、シャムと小夏はじりじりとアイシャに近づいていく。
「へえ、餌付けかよ。ずいぶんな熱の入れようだねー、安城少佐」
ランは明らかに安城に敵意を込めてにらみつける。その先では余裕の表情で春子とランを見回しながらアナゴを食べる安城の姿があった。
「餌付け?何のこと?」
涼やかな印象がある美女、安城がとぼけたのが気に入らないと言うようにランは今度は春子を見つめた。
「ああ、これね。安城さんの差し入れ。他にもあるわよ」
そう言って奥に寄せてあったテーブルの上のどんぶりモノを指差す春子。
「やったー、じゃあカツどんある?」
「オメエさっきもとんかつ食べてたじゃねえか!」
かなめの忠告を無視してシャムはラップのかけてあるどんぶりを覗いて回る。
「師匠!親子丼しかないですよ」
小夏はそう言って自分の分のどんぶりを確保する。シャムも仕方ないと言うように小夏から親子丼のどんぶりを受け取る。
「アタシは天丼で、神前は?」
かなめに声をかけられて誠は我に返った。
「じゃあ僕も親子丼で」
「残念!私が最後の親子丼を食べるのよ!」
アイシャはかなめが手を伸ばしたどんぶりを奪い取る。にらみつけるかなめだが、アイシャは気にせずラップをはがすと口にくわえていた箸をどんぶりに突き刺す。
「テメエは餓鬼か!」
呆れながらアイシャを見ていたかなめだが、サラやパーラ、マリア。そしていつの間にか来ていた島田と言った面々がどんぶりを取っていくのを見て仕方なく適当に一つのどんぶりを確保した。
「これで良いだろ?」
誠が受け取ったどんぶりは深川丼だった。
「ああ、僕は貝が大好物ですから!」
そう言って誠はうれしそうなふりをしてラップをはがす。
「嘘つくなよ、この前アサリ汁飲まなかった奴が……」
低い声でかなめがにらんでくるので誠は静かに箸を置く。
「じゃあ、私のかき揚げ丼と交換するか?」
誠の後ろに立っていたカウラの言葉に誠は自分のどんぶりを差し出した。
「俺のは?」
吉田が窓際で叫ぶ。両手にどんぶりを持っていたシャムがちょこちょことかけていって吉田にどんぶりを差し出した。
「……安城にしては良い差し入れだな」
喜ぶ部下達を見て複雑な表情でランがつぶやく。誠はその様子を見てアイシャを見つめた。
アイシャはそのまま誠の袖を引き、入り口の嵯峨達から遠い場所で誠の耳に囁いた。
「あのね、安城さんもランちゃんも隊長に気があるのよ」
そう言われてみれば安城とランが微妙な距離を取っているのも、春子とばかり話す嵯峨を時々覗き見るのも納得できた。
一応、誠もアサルト・モジュールパイロットでありコックピットには慣れていたが、その巨大なコックピットにはなぜか燃えるものを感じた。
『これ!戦隊モノのロボのコックピット!一度、座ってみたかったんだ。ここに』
誠は二つとなりのシャムが座るコックピットを羨望のまなざしで見つめた。
「キャラットシャム!キャラットサマー!キャプテンシルバー!ブラッディーラン!こちらはマジューンスペルター!」
誠の声に飛行する巨大マシンを見上げるシャム達。
「これが僕達のの切り札だ!転移を!」
誠の叫びにシャムと小夏はうなづく。
「私にはその資格は無い……」
うなだれるラン。だが、シャムは叫ぶ。
「そんなわけ無いよ!ランちゃんは一生懸命やったじゃない。この世界を救うために力を貸して!」
シャムの言葉。彼女の治療魔術でほぼ傷の癒えたランは静かに頷いて手をかざす。少し恥ずかしそうにランが手を伸ばす。そしてランとシャムの手が重なった瞬間二人の周りの空気が輝き始めた。
そして瞬時に全員がそれぞれの座席へと転移した。モニターには理性が崩れかけて破壊を繰り返す機械魔女メイリーンの姿があった。
「変形よ!」
『おう!』
シャムの声にあわせて全員で目の前の無駄に大きなボタンを押す。高らかに流れるクライマックスな音楽。
『心配そうな顔しないでよ、誠ちゃん。ああ、この音楽、権利的には大丈夫だからね。吉田さんの曲なんだって』
アイシャのあっけらかんとした声が響く。
『おい、俺の曲だからきっちりあとで礼をしろよ』
吉田の言葉を無視して超巨大戦闘機のような姿の機体が変形していく。
『いつも思うんだけどなんでこのときに攻撃を仕掛けないかな……』
そんな不謹慎なことを考えていた誠だが、やはり同じ意見のような明華はきっちり肩のミサイルポッドからミサイルの雨を浴びせてきた。
「うわ!」
お約束は守るだろうと高をくくっていたシャムが顔面からコンソールに頭をぶつける様子が目に入る。
笑いをこらえながら誠は叫ぶ準備をした。
「卑怯だよ!」
「戦いに卑怯も何も無い!油断するな!キャラットシャム!」
誠の台詞にシャムは元気一杯よみがえる。
「こんな攻撃で変形は止められないよ!」
そんな叫び声にあわせて変形が進行する。さらに高鳴る音楽を聴いてさすがの明華も空気を読んでおとなしくしていた。お約束の腕が伸び、首が回転し、ひざが伸びてロボットの形になる。そのままどういう理屈か良く分からないエンジン音を流しながらがっちりと採石場の中央に着地するロボ。
「マジューンシュペルターロボ!見参!」
シャムは得意げに見得を切ってみせる。今後突っ込みどころがあっても完全に出来上がったモードのシャムに誠は黙っていようと心に決めた。
誠の目の前、五人全員からみえる巨大なモニターにはすでに第二波のミサイルが映し出されていた。
「うわー!」
シャムの大げさに過ぎる叫び声を聞きながら巨大ロボはそのまましりもちをつくような感じで倒れた。
「憎し!この世界!憎し!」
理性が破壊されているらしい明華こと巨大化した機械魔女メイリーンは巨大な鞭を手に倒れたロボに襲い掛かる。
「かわすよ!」
シャムの叫び声で右に大きく転がって明華の攻撃を避ける。明華は再び鞭を振るう。そしてシャムが避けると言うことが繰り返された。
『良く動くな。このロボ』
誠は半分観客気分でころころ転がるので揺れまくっているロボの中でアトラクション気分を満喫していた。
「これなら!」
胸の前で腕を十字に交差させると言うまったく意味の分からないポーズをとった小夏が目の前の一つしかないボタンを押す。いきなりロボのバックパックからジェットが噴射され、浮き上がったロボが体勢を立て直した。
『こういうのがあるなら早く使えば良かったのに』
そう思いながら隣を見ると、飽きたような感じのかなめことキャプテンシルバーがあくびをしていた。
「かなめさん、戦闘中ですよ!」
「だって仕方がねえだろ?することねえしよ」
そう言いながら素に戻ったかなめは再びあくびをする。
「今度はこっちの番だよ!」
シャムの叫びとともに目の前の空間に手をかざしたロボ。光に包まれたその手には巨大な剣が握られていた。
「チャンバラか」
興味がなさそうにかなめがつぶやく。誠はただ冷や汗をかきながらそんな彼女を見つめていた。
「ふっ!たかが剣の一本で!」
そう叫んだ明華の鞭がうなりをあげてロボを襲う。
「舐めるな!」
ランがそう叫んで目の前のレバーを下げる。ロボの頭部を襲おうとした鞭は空を切った。そしてロボの剣が鞭を切り落とした。
「なっ、何!」
うろたえる巨大明華。再び剣を握りポーズをとるロボ。
「それじゃあみんな行くよ!」
シャムは笑顔でそう叫んだ。
誠のバイザーの下に台詞が映し出される。
『マジ?これ読むの?』
その台詞に焦る誠。だが高らかに最終決戦を告げる音楽が流れる。嫌でも盛り上がる雰囲気。そして誠は見栄を捨てた。
「世の中に!」
誠はとりあえず恥を捨てて叫んだ。
「悪の栄えた!」
ランはすっかりノリノリだった。
「たとえなし!」
やけなのがすぐに分かるかなめ。
「今!」
短い台詞に明らかに不満な小夏。
「必殺!」
一番力の入っているシャムの雄たけび。
『一刀!真剣!瞬殺斬!』
その言葉とともにロボは明らかにばればれの避ければいいじゃないかと誠にも見える太刀筋で、目の前の巨大明華を一刀両断にした。
『グモー!!機械帝国万歳!!』
そう叫んで巨大明華は大爆発する。そしてロボは決めポーズを見せる。
『はい!お疲れ!』
アイシャのOKが出てほっと胸をなでおろすシャム達。誠も安心してシーンが終わるのを確認するとバイザー付きのヘルメットを外した。
そこに香ばしいにおいが立ち込めていることを誠はすぐに悟った。
「ずるい!ずっこい!」
食べ物のことなら彼女と言うシャムが叫んでいる声が聞こえる。上体を起こした誠は嵯峨と春子、そしてなぜか特務公安隊の隊長、安城秀美までがどんぶりを抱えて誠達を見つめている光景に出くわした。
「なんだ、これが良いのか?」
そう言って安城がどんぶりの中の食べかけのアナゴのてんぷらを見せ付ける。
「あ!それ佃屋のでしょ!」
小夏がそのきらびやかな赤い柿右衛門風のどんぶりを指差した。
「いいじゃないの、さっき春子さんのお弁当散々食べてたでしょ?」
食べ終わったどんぶりを手にアイシャがそう言うが、シャムと小夏はじりじりとアイシャに近づいていく。
「へえ、餌付けかよ。ずいぶんな熱の入れようだねー、安城少佐」
ランは明らかに安城に敵意を込めてにらみつける。その先では余裕の表情で春子とランを見回しながらアナゴを食べる安城の姿があった。
「餌付け?何のこと?」
涼やかな印象がある美女、安城がとぼけたのが気に入らないと言うようにランは今度は春子を見つめた。
「ああ、これね。安城さんの差し入れ。他にもあるわよ」
そう言って奥に寄せてあったテーブルの上のどんぶりモノを指差す春子。
「やったー、じゃあカツどんある?」
「オメエさっきもとんかつ食べてたじゃねえか!」
かなめの忠告を無視してシャムはラップのかけてあるどんぶりを覗いて回る。
「師匠!親子丼しかないですよ」
小夏はそう言って自分の分のどんぶりを確保する。シャムも仕方ないと言うように小夏から親子丼のどんぶりを受け取る。
「アタシは天丼で、神前は?」
かなめに声をかけられて誠は我に返った。
「じゃあ僕も親子丼で」
「残念!私が最後の親子丼を食べるのよ!」
アイシャはかなめが手を伸ばしたどんぶりを奪い取る。にらみつけるかなめだが、アイシャは気にせずラップをはがすと口にくわえていた箸をどんぶりに突き刺す。
「テメエは餓鬼か!」
呆れながらアイシャを見ていたかなめだが、サラやパーラ、マリア。そしていつの間にか来ていた島田と言った面々がどんぶりを取っていくのを見て仕方なく適当に一つのどんぶりを確保した。
「これで良いだろ?」
誠が受け取ったどんぶりは深川丼だった。
「ああ、僕は貝が大好物ですから!」
そう言って誠はうれしそうなふりをしてラップをはがす。
「嘘つくなよ、この前アサリ汁飲まなかった奴が……」
低い声でかなめがにらんでくるので誠は静かに箸を置く。
「じゃあ、私のかき揚げ丼と交換するか?」
誠の後ろに立っていたカウラの言葉に誠は自分のどんぶりを差し出した。
「俺のは?」
吉田が窓際で叫ぶ。両手にどんぶりを持っていたシャムがちょこちょことかけていって吉田にどんぶりを差し出した。
「……安城にしては良い差し入れだな」
喜ぶ部下達を見て複雑な表情でランがつぶやく。誠はその様子を見てアイシャを見つめた。
アイシャはそのまま誠の袖を引き、入り口の嵯峨達から遠い場所で誠の耳に囁いた。
「あのね、安城さんもランちゃんも隊長に気があるのよ」
そう言われてみれば安城とランが微妙な距離を取っているのも、春子とばかり話す嵯峨を時々覗き見るのも納得できた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる