499 / 1,455
第3章 もとをただせば
配布
しおりを挟む
「そう言えば今度、二人新人が配属になるって本当か?」
カウラはそれとなくアイシャに声をかけてみる。だが、アイシャはどうでもいいというようにそのまま歩いていく。
「あれ?四人おそろいで何をしようって言うんですか?」
その声の主は司法局実働部隊の運用艦『高雄』のブリッジを模したシミュレーションマシンから出てきた技術部の火器整備班の班長キム・ジュンヒ少尉だった。司法局実働部隊二番狙撃手である彼が明らかに同情をこめた視線で誠達を見つめていた。先ほどのメールで誠の手にあるものの意味がわかっているのだろう。だがアイシャはそんなことを気にする様子もなくシミュレータの扉を開けて中を覗き込んでいる。
「エダと何やってたの?」
アイシャはニヤニヤと笑いながらキムを見つめる。彼女の部下で正操舵手のエダ・ラクール少尉とキムが付き合っていることは誠も知っていた。左右を見ればかなめとカウラが興味津々と言うようにキムを見つめている。だが、いじられるのがあまり好きでないキムはすばやく敬礼してそのまま早足で自分の持ち場である技術部の格納庫にある小火器管理室へと去っていった。
「かわいそうになあ、明華の姐御の説教が待っているって言うのに」
そう言いながらかなめもアイシャに付き合うようにしてシミュレーションルームを覗き込んだ。
「なんだ、エダは居ねえじゃん」
かなめのその言葉に興味を失ったアイシャは隣の自分の机のある運行班の詰め所に向かおうとする。
「チョイ!」
そう言いながらかなめは遅れて歩き出そうとする誠の袖を引いた。誠が振り向くとそこにはシミュレーションルームから顔を出すエダの姿があった。入り口からは陰になるコンソールにでも隠れていたらしくかなめを見つけると驚いたような表情を浮かべる。
「そのまま隠れてな」
そう小声でエダに言うとかなめはそのままシミュレーションルームを後にした。何事も無かったように誠はアイシャ達についていった。彼女はすでにノックもせずに運行班の扉を押し開けていた。
「今のうちだ!」
そんなかなめの合図にエダは頭を下げながら廊下を走り出した。
「何しているのよ!」
部屋から顔を出すアイシャにかなめは愛想笑いを浮かべる。彼女は廊下で突っ立っているカウラの肩を叩きながら部屋の奥に鎮座している来週の産休明けを前に書類の整理に出てきた鈴木リアナを見つつ部屋に入った。実働部隊の次に階級の高い将校が多いことと、部員の全員が女性と言うこともあり、かなり落ち着いた雰囲気の部屋だった。
誠は良く考えればこの部屋には二、三回しか来た事が無かった。だが一つ、部屋の奥にある大き目の机の持ち主が誰かと言うことはわかった。机の上には同人誌やフィギュアが正確な距離を保って並んでいる。その主の几帳面さと趣味に傾ける情熱が見て取れた。
アイシャは自分の席に特に仕事になるようなものが無いことを確認する。そんなアイシャのところにニコニコといつものように笑う部隊の女性士官唯一の既婚者。鈴木リアナ中佐がやってきた。
「ご苦労様ねえ。じゃあ私も手伝うわね、配るの」
そう言って誠の手のプリントをリアナは取り上げようとする。
「いいですよお姉さん!私達の仕事ですから!」
そう言ってアイシャは今にもはしゃぎだしそうな表情のリアナを座らせようとする。
「そう?別にたいしたことじゃないから手伝ってあげても……」
残念そうに机に座ると、サラがリアナに入れたばかりの日本茶を運んでくる。
「それじゃあお茶くらい飲んで行かない?誠君達にこういうことばかりさせてるのも悪いし」
その言葉にサラは奥の給湯室へと消えていく。
「別に気を使わなくても……」
カウラはそう言いながら誠の後頭部を叩く。それがお前も同意しろと言う意味なのもわかってきた誠も手を大きく振る。
「そんな気を使わせるなんて悪いですよ。それに管理部とか配るところが結構ありますから」
「大変ねえ。がんばってね!」
そう言うリアナにかなめがアンケート用紙を渡す。そして愛想笑いを浮かべつつリアナに頭を下げるアイシャを残して誠とかなめ、そしてカウラは廊下へと退散した。
「じゃあ、あとは上の茜さんのところと実働部隊と管理部だけね」
そう言いながらアイシャは意気揚々と階段を上がる。
「そう言えばよう。この階段上がるの久しぶりだな」
かなめがそんなことを口にした。日中とはいえ電気の消された北側の階段には人の気配も無く、初冬の風が冷たく流れている。
「私は時々上るぞ。まあ確かに出勤の時は直接ハンガーに顔を出すのが習慣になっているからな、私達は」
カウラもうなづきながらひやりとするような空気が流れる寒色系に染められた階段を上る。彼女達の言うように、誠もこの階段を上ることはほとんど無かった。上がればすぐ更衣室であり、本来ならそれなりに使うはずの階段だった。この階段の前の正面玄関のそばにカウラのスポーツカーが毎朝止まるのだから、それで通う誠とかなめ、そしてカウラとアイシャにとって駐車場から更衣室にはこちらを使う方がはるかに近道だった。だがなぜか誠達はここを通ることは無かった。
「まあ、それだけ整備の人達とのコミュニケーションが取れているから良いんじゃないの?そう言えば私も誠ちゃんの家にお世話になるようになってからだわね、整備のメンバーの顔と名前が一致するようになったの」
「神前の家じゃねえだろ!ありゃ元は司法局実働部隊の男子寮だ」
アイシャはかなめの突っ込みを無視しながら階段を上りきり、踊り場の前に張られたポスターを見る。
『ストップ!喫煙!ニコチンがあなたの心臓を!』
そう書かれたポスターとその隣の扉。じっとアイシャがかなめを見たのはかなめのヘビースモーカー振りを非難してのことなのだろう。かなめはまるっきり無視すると言う構えで誠のうち腿に軽く蹴りを入れる振りをしている。
「そう言えばドクターのってあるの?」
アイシャはそう言いながら後に続いてきたかなめと誠の顔を見つめる。
司法局実働部隊付きの医務官。ドム・ヘン・タン大尉。小柄で気さくな軍医だが、健康優良児ぞろいの司法局では健康診断の時にしか活躍しないと思われていた。
「あるんじゃないですか?それに今朝会いましたよ、男子トイレで。もしはぶられたら怒るでしょうから……」
誠のその言葉にかなめは不思議そうな顔をする。そのままノックもせずに扉を開いた誠はぼんやりと天井を見上げているドムを見つめることになった。
「おう、先生。元気か?」
かなめの声でドムはようやく状況をつかめたと言うような表情を浮かべて手にしていた競馬雑誌をデスクに置く。
「お前等も大変だねえ……さっき吉田から連絡があった奴か……うちに電話して決めてもらうよ」
そう言いながら誠からアンケート用紙を受け取る。
「でも本当にこれでいいのか?候補。大の大人がやることじゃないだろ」
ドムはシンやマリアほどではないが常識人である。一応、所帯持ちなのでそれなりの体面もある。
「そう言えば先生の家って娘さんが……」
「違う。息子が二人だ」
アイシャの言葉をさえぎるようにドムが言う。その視線はアンケート用紙と誠を行ったり来たりしていた。
「まあいいや、どうせ次があるんだろ?早く行けよ」
そう言ってドムは再び競馬情報誌を手に取る。追い出されるようにして誠達は男女の更衣室が並ぶ廊下へと放り出された。
カウラはそれとなくアイシャに声をかけてみる。だが、アイシャはどうでもいいというようにそのまま歩いていく。
「あれ?四人おそろいで何をしようって言うんですか?」
その声の主は司法局実働部隊の運用艦『高雄』のブリッジを模したシミュレーションマシンから出てきた技術部の火器整備班の班長キム・ジュンヒ少尉だった。司法局実働部隊二番狙撃手である彼が明らかに同情をこめた視線で誠達を見つめていた。先ほどのメールで誠の手にあるものの意味がわかっているのだろう。だがアイシャはそんなことを気にする様子もなくシミュレータの扉を開けて中を覗き込んでいる。
「エダと何やってたの?」
アイシャはニヤニヤと笑いながらキムを見つめる。彼女の部下で正操舵手のエダ・ラクール少尉とキムが付き合っていることは誠も知っていた。左右を見ればかなめとカウラが興味津々と言うようにキムを見つめている。だが、いじられるのがあまり好きでないキムはすばやく敬礼してそのまま早足で自分の持ち場である技術部の格納庫にある小火器管理室へと去っていった。
「かわいそうになあ、明華の姐御の説教が待っているって言うのに」
そう言いながらかなめもアイシャに付き合うようにしてシミュレーションルームを覗き込んだ。
「なんだ、エダは居ねえじゃん」
かなめのその言葉に興味を失ったアイシャは隣の自分の机のある運行班の詰め所に向かおうとする。
「チョイ!」
そう言いながらかなめは遅れて歩き出そうとする誠の袖を引いた。誠が振り向くとそこにはシミュレーションルームから顔を出すエダの姿があった。入り口からは陰になるコンソールにでも隠れていたらしくかなめを見つけると驚いたような表情を浮かべる。
「そのまま隠れてな」
そう小声でエダに言うとかなめはそのままシミュレーションルームを後にした。何事も無かったように誠はアイシャ達についていった。彼女はすでにノックもせずに運行班の扉を押し開けていた。
「今のうちだ!」
そんなかなめの合図にエダは頭を下げながら廊下を走り出した。
「何しているのよ!」
部屋から顔を出すアイシャにかなめは愛想笑いを浮かべる。彼女は廊下で突っ立っているカウラの肩を叩きながら部屋の奥に鎮座している来週の産休明けを前に書類の整理に出てきた鈴木リアナを見つつ部屋に入った。実働部隊の次に階級の高い将校が多いことと、部員の全員が女性と言うこともあり、かなり落ち着いた雰囲気の部屋だった。
誠は良く考えればこの部屋には二、三回しか来た事が無かった。だが一つ、部屋の奥にある大き目の机の持ち主が誰かと言うことはわかった。机の上には同人誌やフィギュアが正確な距離を保って並んでいる。その主の几帳面さと趣味に傾ける情熱が見て取れた。
アイシャは自分の席に特に仕事になるようなものが無いことを確認する。そんなアイシャのところにニコニコといつものように笑う部隊の女性士官唯一の既婚者。鈴木リアナ中佐がやってきた。
「ご苦労様ねえ。じゃあ私も手伝うわね、配るの」
そう言って誠の手のプリントをリアナは取り上げようとする。
「いいですよお姉さん!私達の仕事ですから!」
そう言ってアイシャは今にもはしゃぎだしそうな表情のリアナを座らせようとする。
「そう?別にたいしたことじゃないから手伝ってあげても……」
残念そうに机に座ると、サラがリアナに入れたばかりの日本茶を運んでくる。
「それじゃあお茶くらい飲んで行かない?誠君達にこういうことばかりさせてるのも悪いし」
その言葉にサラは奥の給湯室へと消えていく。
「別に気を使わなくても……」
カウラはそう言いながら誠の後頭部を叩く。それがお前も同意しろと言う意味なのもわかってきた誠も手を大きく振る。
「そんな気を使わせるなんて悪いですよ。それに管理部とか配るところが結構ありますから」
「大変ねえ。がんばってね!」
そう言うリアナにかなめがアンケート用紙を渡す。そして愛想笑いを浮かべつつリアナに頭を下げるアイシャを残して誠とかなめ、そしてカウラは廊下へと退散した。
「じゃあ、あとは上の茜さんのところと実働部隊と管理部だけね」
そう言いながらアイシャは意気揚々と階段を上がる。
「そう言えばよう。この階段上がるの久しぶりだな」
かなめがそんなことを口にした。日中とはいえ電気の消された北側の階段には人の気配も無く、初冬の風が冷たく流れている。
「私は時々上るぞ。まあ確かに出勤の時は直接ハンガーに顔を出すのが習慣になっているからな、私達は」
カウラもうなづきながらひやりとするような空気が流れる寒色系に染められた階段を上る。彼女達の言うように、誠もこの階段を上ることはほとんど無かった。上がればすぐ更衣室であり、本来ならそれなりに使うはずの階段だった。この階段の前の正面玄関のそばにカウラのスポーツカーが毎朝止まるのだから、それで通う誠とかなめ、そしてカウラとアイシャにとって駐車場から更衣室にはこちらを使う方がはるかに近道だった。だがなぜか誠達はここを通ることは無かった。
「まあ、それだけ整備の人達とのコミュニケーションが取れているから良いんじゃないの?そう言えば私も誠ちゃんの家にお世話になるようになってからだわね、整備のメンバーの顔と名前が一致するようになったの」
「神前の家じゃねえだろ!ありゃ元は司法局実働部隊の男子寮だ」
アイシャはかなめの突っ込みを無視しながら階段を上りきり、踊り場の前に張られたポスターを見る。
『ストップ!喫煙!ニコチンがあなたの心臓を!』
そう書かれたポスターとその隣の扉。じっとアイシャがかなめを見たのはかなめのヘビースモーカー振りを非難してのことなのだろう。かなめはまるっきり無視すると言う構えで誠のうち腿に軽く蹴りを入れる振りをしている。
「そう言えばドクターのってあるの?」
アイシャはそう言いながら後に続いてきたかなめと誠の顔を見つめる。
司法局実働部隊付きの医務官。ドム・ヘン・タン大尉。小柄で気さくな軍医だが、健康優良児ぞろいの司法局では健康診断の時にしか活躍しないと思われていた。
「あるんじゃないですか?それに今朝会いましたよ、男子トイレで。もしはぶられたら怒るでしょうから……」
誠のその言葉にかなめは不思議そうな顔をする。そのままノックもせずに扉を開いた誠はぼんやりと天井を見上げているドムを見つめることになった。
「おう、先生。元気か?」
かなめの声でドムはようやく状況をつかめたと言うような表情を浮かべて手にしていた競馬雑誌をデスクに置く。
「お前等も大変だねえ……さっき吉田から連絡があった奴か……うちに電話して決めてもらうよ」
そう言いながら誠からアンケート用紙を受け取る。
「でも本当にこれでいいのか?候補。大の大人がやることじゃないだろ」
ドムはシンやマリアほどではないが常識人である。一応、所帯持ちなのでそれなりの体面もある。
「そう言えば先生の家って娘さんが……」
「違う。息子が二人だ」
アイシャの言葉をさえぎるようにドムが言う。その視線はアンケート用紙と誠を行ったり来たりしていた。
「まあいいや、どうせ次があるんだろ?早く行けよ」
そう言ってドムは再び競馬情報誌を手に取る。追い出されるようにして誠達は男女の更衣室が並ぶ廊下へと放り出された。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が怒らないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
俺は異端児生活を楽しめているのか(日常からの脱出)
れ
SF
学園ラブコメ?異端児の物語です。書くの初めてですが頑張って書いていきます。SFとラブコメが混ざった感じの小説になっております。
主人公☆は人の気持ちが分かり、青春出来ない体質になってしまった、
それを治すために色々な人が関わって異能に目覚めたり青春を出来るのか?が醍醐味な小説です。
鉄錆の女王機兵
荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。
荒廃した世界。
暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。
恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。
ミュータントに攫われた少女は
闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ
絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。
奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。
死に場所を求めた男によって助け出されたが
美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。
慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。
その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは
戦車と一体化し、戦い続ける宿命。
愛だけが、か細い未来を照らし出す。
いつか日本人(ぼく)が地球を救う
多比良栄一
SF
この小説にはある仕掛けがある。
読者はこの物語を読み進めると、この作品自体に仕掛けられた「前代未聞」のアイデアを知ることになる。
それは日本のアニメやマンガへ注がれるオマージュ。
2次創作ではない、ある種の入れ子構造になったメタ・フィクション。
誰もがきいたことがある人物による、誰もみたことがない物語がいま幕を開ける。
すべてのアニメファンに告ぐ!! 。隠された謎を見抜けるか!!。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
25世紀後半 地球を襲った亜獣と呼ばれる怪獣たちに、デミリアンと呼ばれる生命体に搭乗して戦う日本人少年ヤマトタケル。なぜか日本人にしか操縦ができないこの兵器に乗る者には、同時に、人類を滅ぼすと言われる「四解文書」と呼ばれる極秘文書も受け継がされた。
もしこれを人々が知れば、世界は「憤怒」し、「恐怖」し、「絶望」し、そして「発狂」する。
かつてそれを聞いた法皇がショック死したほどの四つの「真理」。
世界でたった一人、人類を救えも、滅ぼしもできる、両方の力を手に入れた日本人少年ヤマトタケル。
彼は、世界100億人全員から、救いを求められ、忌み嫌われ、そして恐れられる存在になった。
だが彼には使命があった。たとえ人類の半分の人々を犠牲にしても残り11体の亜獣を殲滅すること、そして「四解文書」の謎を誰にも知られずに永遠に葬ることだった。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
幻想遊撃隊ブレイド・ダンサーズ
黒陽 光
SF
その日、1973年のある日。空から降りてきたのは神の祝福などではなく、終わりのない戦いをもたらす招かれざる来訪者だった。
現れた地球外の不明生命体、"幻魔"と名付けられた異形の怪異たちは地球上の六ヶ所へ巣を落着させ、幻基巣と呼ばれるそこから無尽蔵に湧き出て地球人類に対しての侵略行動を開始した。コミュニケーションを取ることすら叶わぬ異形を相手に、人類は嘗てない絶滅戦争へと否応なく突入していくこととなる。
そんな中、人類は全高8mの人型機動兵器、T.A.M.S(タムス)の開発に成功。遂に人類は幻魔と対等に渡り合えるようにはなったものの、しかし戦いは膠着状態に陥り。四十年あまりの長きに渡り続く戦いは、しかし未だにその終わりが見えないでいた。
――――これは、絶望に抗う少年少女たちの物語。多くの犠牲を払い、それでも生きて。いなくなってしまった愛しい者たちの遺した想いを道標とし、抗い続ける少年少女たちの物語だ。
表紙は頂き物です、ありがとうございます。
※カクヨムさんでも重複掲載始めました。
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる