463 / 1,474
第24章 ありふれた事件
街
しおりを挟む
師走の町。どこでもそうだがこの東都浅草寺界隈も特に赤い色が街を包んでいた。
東都のクリスマスは乾いた冬の寒空の下にあった。その下町の商店街を歩いてみれば、どこか忙しげに歩く人にせかされるように歩みが速くなるのを誠は感じていた。
そればかりではなく誠には周りの男性陣からの痛い視線が突き立っていた。
豊川ではいつものことだが、かなめとアイシャが妙な緊張関係を保ちながら歩いている。二人とも黙っているのは地元で何度か恥ずかしい目にあったからと言うのがその理由だった。
お互いに冷やかしあっているうちに、周りを忘れて怒鳴りあいになって、人だかりに取り残される。そう言う失敗を繰り返して少しばかり学習していた二人。そしてそうなると、いつの間にか野次馬の中にカウラに手を引かれた誠がいたりするのだから、二人とも黙って一定の距離を保って歩くのはいつものことだった。
東都浅草寺の門前町で客の数が豊川駅前商店街の比ではないアーケード街で恥をかく必要も無い。誠はそんな二人をちらちらと横に見ながら先頭をうれしそうに歩く母に付き従った。
「よう!誠君じゃないか!」
そう声をかけてきた八百屋のおやじだった。誠は頭を掻きながら立ち止まる。名前は忘れたが高校時代の野球部の先輩の実家だったことが思い出される。
「薫さんも今日もおきれいで」
「本当にお上手なんだから!」
薫はニコニコしながら八百屋の前で立ち止まる。
「この人達、美人でしょ?なんでも誠の上司の方たちなんですって。凄いわよねえ」
確かにエメラルドグリーンのポニーテールのカウラと紺色の長い髪をなびかせているアイシャは明らかに人目を引く姿だった。確かに二人に比べれば黒いおかっぱ頭のようなかなめは目立たなかったが、その上品そうなタレ目の色気に通行人の何割かが振り返るような有様だった。
「えーと、誠君は陸軍だっけ?海軍だっけ?」
「同盟司法局です」
たずねられたので誠はつい答えてしまった。そのとたんにおやじの顔が渋い面に変わった。
「ああ、この前官庁街で銃撃戦やった……」
予想はしていた答えである。任務上、出動は常に被害を最小限に抑える為の行動ばかりである司法実力機関の宿命とはいえ、同情するようなおやじの視線には誠も少し参っていた。そんな男達を無視するように母は店頭に並ぶ品物を眺めている。
「白菜……ちょっと高いんじゃないの?」
そう言いながら薫はみずみずしい色をたたえている白菜を手に取る。思わず苦笑いをしながらおやじは講釈を始めた。
「薫さん今年はどこも雨不足でねえ……量が少ないんですよ。でも太陽は一杯ですから。味のほうは保障しますよ」
薫は手にした白菜を誠の隣で珍しそうに店内を眺めていたカウラに手渡した。寮ではほとんど料理を任されることの無いカウラはおっかなびっくり白菜を受け取ってじっと眺める。
「ああ、お姉さんの髪は染めたんじゃないんだねえ……素敵な色で」
「ああ、ありがとう」
人造人間と出会うことなどほとんど無い東和の市民らしく、見慣れない緑色の髪の女性に戸惑うおやじ。それを見ると対抗するように後ろから出てきたアイシャがカウラから白菜を奪い取る。
「おじさん。これいくらかしら?」
そう言うアイシャのわき腹を肘で突いたかなめが白菜の置かれていた山の前にある値札を指差す。一瞬はっとするものの、アイシャは開き直ったように得意の流し目でおやじを見つめる。
「お姉さんもきれいな髪の色で……青?」
ピクリとアイシャの米神が動くのを誠は見逃さなかった。
「紺色、濃紺。綺麗でしょ?」
「色目使ってまけさせようってか?品がねえなあ」
そう言ってかなめが笑う。だがまるで無視するように、カウラと同じくほとんど野菜などに手を触れたことがないと言うのに切り口などを丹念に見つめているアイシャがそこにいた。
「まあねえ、まけたいのは山々だけど……」
おやじがためらっているのは店の奥のおかみさんの視線が気になるからだろう。あきらめたアイシャは手にした白菜を薫に返した。
「じゃあ、にんじんとジャガイモ。皆さんどちらも大丈夫?」
「好き嫌いは無いのがとりえですから」
カウラの言葉にアイシャが大きくうなづく。だが、かなめの表情は冴えない。
「ああ、かなめさんはにんじん嫌いだっけ?」
「ピーマンだ!にんじんなら食える」
「ならいいじゃないの」
いつものようにアイシャにからかわれてかなめはむくれる。そんな二人のやり取りを見て笑いながらおやじはジャガイモとにんじんを袋につめる。
「じゃあ、おまけでこれ。いつもお世話になってるんで」
奥から出てきたおかみさんが瓶をおやじに手渡す。仕方がないというようにおやじは袋にそれを入れた。
「今年漬けたラッキョウがようやくおいしくなって。うちじゃあ二人で食べるには多すぎるから」
誠はこうして比べてみるといつも自分の母が異常に若いことに気がつかされる。いつもすっぴんで化粧をすることが珍しい薫だが、ファンデーションを塗りたくったおかみさんよりもかなり整った肌をしていることがすぐにわかる。
「良いんですか?いつも、ありがとうございます」
薫がそう言って笑うのに微笑むおやじをおかみさんが小突いた。たぶんおやじも誠と同じことを考えていたのだろう。それを思うと誠はつい噴出してしまいたくなる。
「毎度あり!」
あきらめたようにそう叫んだおやじに微笑を残して薫は八百屋を後にする。
「でも……お母さん、何を作るのですか?」
「薫さんはオメエのお袋じゃねえだろ?」
「良いじゃないの!」
揉めるアイシャとかなめに薫は立ち止まって振り返る。彼女は笑顔でまず手にしたにんじんの袋をアイシャに手渡す。
「まずこれはスティック状に切って野菜スティックにするの。昨日、お隣さんからセロリと大根もらってるからそれも同じ形に切ってもろ味を付けて食べるのよ」
その言葉に思わずかなめが口に手を当てた。誠ははっと気がついてうれしそうな母親とかなめを見比べる。かなめの額には義体の代謝機能が発動して脂汗がにじんでいた。
「そうか、西園寺はセロリも苦手だったな」
かなめの反応を楽しむようにカウラが笑顔で薫に説明した。
その様子をかなめは不機嫌そうに見ていた。だが次の瞬間に誠達の腕につけていた携帯端末が着信を告げた。
東都のクリスマスは乾いた冬の寒空の下にあった。その下町の商店街を歩いてみれば、どこか忙しげに歩く人にせかされるように歩みが速くなるのを誠は感じていた。
そればかりではなく誠には周りの男性陣からの痛い視線が突き立っていた。
豊川ではいつものことだが、かなめとアイシャが妙な緊張関係を保ちながら歩いている。二人とも黙っているのは地元で何度か恥ずかしい目にあったからと言うのがその理由だった。
お互いに冷やかしあっているうちに、周りを忘れて怒鳴りあいになって、人だかりに取り残される。そう言う失敗を繰り返して少しばかり学習していた二人。そしてそうなると、いつの間にか野次馬の中にカウラに手を引かれた誠がいたりするのだから、二人とも黙って一定の距離を保って歩くのはいつものことだった。
東都浅草寺の門前町で客の数が豊川駅前商店街の比ではないアーケード街で恥をかく必要も無い。誠はそんな二人をちらちらと横に見ながら先頭をうれしそうに歩く母に付き従った。
「よう!誠君じゃないか!」
そう声をかけてきた八百屋のおやじだった。誠は頭を掻きながら立ち止まる。名前は忘れたが高校時代の野球部の先輩の実家だったことが思い出される。
「薫さんも今日もおきれいで」
「本当にお上手なんだから!」
薫はニコニコしながら八百屋の前で立ち止まる。
「この人達、美人でしょ?なんでも誠の上司の方たちなんですって。凄いわよねえ」
確かにエメラルドグリーンのポニーテールのカウラと紺色の長い髪をなびかせているアイシャは明らかに人目を引く姿だった。確かに二人に比べれば黒いおかっぱ頭のようなかなめは目立たなかったが、その上品そうなタレ目の色気に通行人の何割かが振り返るような有様だった。
「えーと、誠君は陸軍だっけ?海軍だっけ?」
「同盟司法局です」
たずねられたので誠はつい答えてしまった。そのとたんにおやじの顔が渋い面に変わった。
「ああ、この前官庁街で銃撃戦やった……」
予想はしていた答えである。任務上、出動は常に被害を最小限に抑える為の行動ばかりである司法実力機関の宿命とはいえ、同情するようなおやじの視線には誠も少し参っていた。そんな男達を無視するように母は店頭に並ぶ品物を眺めている。
「白菜……ちょっと高いんじゃないの?」
そう言いながら薫はみずみずしい色をたたえている白菜を手に取る。思わず苦笑いをしながらおやじは講釈を始めた。
「薫さん今年はどこも雨不足でねえ……量が少ないんですよ。でも太陽は一杯ですから。味のほうは保障しますよ」
薫は手にした白菜を誠の隣で珍しそうに店内を眺めていたカウラに手渡した。寮ではほとんど料理を任されることの無いカウラはおっかなびっくり白菜を受け取ってじっと眺める。
「ああ、お姉さんの髪は染めたんじゃないんだねえ……素敵な色で」
「ああ、ありがとう」
人造人間と出会うことなどほとんど無い東和の市民らしく、見慣れない緑色の髪の女性に戸惑うおやじ。それを見ると対抗するように後ろから出てきたアイシャがカウラから白菜を奪い取る。
「おじさん。これいくらかしら?」
そう言うアイシャのわき腹を肘で突いたかなめが白菜の置かれていた山の前にある値札を指差す。一瞬はっとするものの、アイシャは開き直ったように得意の流し目でおやじを見つめる。
「お姉さんもきれいな髪の色で……青?」
ピクリとアイシャの米神が動くのを誠は見逃さなかった。
「紺色、濃紺。綺麗でしょ?」
「色目使ってまけさせようってか?品がねえなあ」
そう言ってかなめが笑う。だがまるで無視するように、カウラと同じくほとんど野菜などに手を触れたことがないと言うのに切り口などを丹念に見つめているアイシャがそこにいた。
「まあねえ、まけたいのは山々だけど……」
おやじがためらっているのは店の奥のおかみさんの視線が気になるからだろう。あきらめたアイシャは手にした白菜を薫に返した。
「じゃあ、にんじんとジャガイモ。皆さんどちらも大丈夫?」
「好き嫌いは無いのがとりえですから」
カウラの言葉にアイシャが大きくうなづく。だが、かなめの表情は冴えない。
「ああ、かなめさんはにんじん嫌いだっけ?」
「ピーマンだ!にんじんなら食える」
「ならいいじゃないの」
いつものようにアイシャにからかわれてかなめはむくれる。そんな二人のやり取りを見て笑いながらおやじはジャガイモとにんじんを袋につめる。
「じゃあ、おまけでこれ。いつもお世話になってるんで」
奥から出てきたおかみさんが瓶をおやじに手渡す。仕方がないというようにおやじは袋にそれを入れた。
「今年漬けたラッキョウがようやくおいしくなって。うちじゃあ二人で食べるには多すぎるから」
誠はこうして比べてみるといつも自分の母が異常に若いことに気がつかされる。いつもすっぴんで化粧をすることが珍しい薫だが、ファンデーションを塗りたくったおかみさんよりもかなり整った肌をしていることがすぐにわかる。
「良いんですか?いつも、ありがとうございます」
薫がそう言って笑うのに微笑むおやじをおかみさんが小突いた。たぶんおやじも誠と同じことを考えていたのだろう。それを思うと誠はつい噴出してしまいたくなる。
「毎度あり!」
あきらめたようにそう叫んだおやじに微笑を残して薫は八百屋を後にする。
「でも……お母さん、何を作るのですか?」
「薫さんはオメエのお袋じゃねえだろ?」
「良いじゃないの!」
揉めるアイシャとかなめに薫は立ち止まって振り返る。彼女は笑顔でまず手にしたにんじんの袋をアイシャに手渡す。
「まずこれはスティック状に切って野菜スティックにするの。昨日、お隣さんからセロリと大根もらってるからそれも同じ形に切ってもろ味を付けて食べるのよ」
その言葉に思わずかなめが口に手を当てた。誠ははっと気がついてうれしそうな母親とかなめを見比べる。かなめの額には義体の代謝機能が発動して脂汗がにじんでいた。
「そうか、西園寺はセロリも苦手だったな」
かなめの反応を楽しむようにカウラが笑顔で薫に説明した。
その様子をかなめは不機嫌そうに見ていた。だが次の瞬間に誠達の腕につけていた携帯端末が着信を告げた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる