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第2章 生と死
エターナルチルドレン
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そしてその時、誠は気づいた。手にしていた剣の柄が熱を持っているのを感じた。
「神前さんは何か気づいたことは?」
そう茜に言われて自然と誠は手にした刀を茜に差し出した。
「やはり待機状態に入ったようですわね」
茜はそう言うと口元に笑みを浮かべた。その視線は誠の手と握られた刀に向いていた。
「待機状態?なにか?この法術適正者の成れの果てを見て神前がビビルと何かが起きるのか?」
そんなかなめの言葉を無視して茜は開いた端末を仕舞うとさらに奥へと歩き始めた。
「まだこんなのが続くんですか?」
島田は明らかに食傷気味で手を握ってくるサラと一緒に一歩遅れて誠達に続く。隣の部屋は完全に金属のようなものが先ほどの強化ガラスの代わりに壁面を覆っていた。
「見えないわね」
アイシャがそう言うが、茜はその中央に覗き穴があるのを指差す。すぐに覗くアイシャ。だが、茜は中のモノには関心が無いというように誠の手の中の刀を見つめていた。
「やはりなんか感じます。でも嵯峨警視正、なんなんですかこれは?法術師の成れの果てって……聞いたことが無いですよ」
誠は正直中にあるだろう人であった物体には興味が無かった。いや、興味を持たないようにしていた。あれが法術適正者の成れの果てと言うならば、誠が同じ姿を晒すことになっても不思議ではない。
あえて中を見ずに誠は茜を見つめる。
「そうね、自己防衛本能が形になったようなものと考えていただければ良いと思いますわ」
それだけ言うと茜はそのまま中身を見終えたアイシャの隣の出っ張りに再び携帯端末を置く。中を見終えたアイシャとかなめがこの中の物体に変わってしまった人間の身元を眺めていた。人のよさそうな青年の顔がそこに浮かんでいる。
「神前、お前の番だ」
中を覗き終えたカウラがそう言うので仕方が無く誠は覗き穴に目を近づけた。
レンズに汚れがついているようで赤いものと黒いものがうごめいているような視界の中にしばらく誠は黙り込んで目を凝らした。だが、次第にその形がはっきりしていくにしたがって再び震えのようなものが体を支配していくのを感じていた。しばらくしてそこに人影があるのを発見して誠は大きく息をする。さらに集中して覗き穴を見つめる。手にした刀が熱く感じられてくる。
そこにはズボンをはいた上半身裸の男がいた。その男からは黒い見たこともない種類の煙が立ち上っている。
「見えるだろ?」
ランの言葉に誠は集中して中の男を見つめる。両手を挙げた男が、そのこぶしで自分の頭を叩いた。そのこぶしは頭蓋骨を砕いてそのまま頭にめり込む。血が吹き上げ、辺りを赤く染めた。
思わず誠は目をそらす。
「何が見えた?」
再びランが聞いてくる。誠はランの問いに答える代わりに再び中を覗き込んだ。
男の自分の頭にめりこんだこぶしが黒い霧に覆われている。その霧は頭の傷跡から血に代わって吹き上がり、すぐに頭を覆いつくした。うなり声を上げながら男が両手を差し上げるころには、へこんでいた頭の形が次第に元の姿に戻りつつあるように見えた。
そこで誠はそのまま覗き穴から目をそらして彼の後ろに立ち尽くしている茜の顔を見た。
「ご覧になりまして?」
茜の言葉。誠は感想を言おうとするが、口が震えて声にならなかった。
「あれが『エターナルチルドレン』と呼ばれる存在だ」
ランの言葉にどこと無く悲しげな色があった。
「神前さんは何か気づいたことは?」
そう茜に言われて自然と誠は手にした刀を茜に差し出した。
「やはり待機状態に入ったようですわね」
茜はそう言うと口元に笑みを浮かべた。その視線は誠の手と握られた刀に向いていた。
「待機状態?なにか?この法術適正者の成れの果てを見て神前がビビルと何かが起きるのか?」
そんなかなめの言葉を無視して茜は開いた端末を仕舞うとさらに奥へと歩き始めた。
「まだこんなのが続くんですか?」
島田は明らかに食傷気味で手を握ってくるサラと一緒に一歩遅れて誠達に続く。隣の部屋は完全に金属のようなものが先ほどの強化ガラスの代わりに壁面を覆っていた。
「見えないわね」
アイシャがそう言うが、茜はその中央に覗き穴があるのを指差す。すぐに覗くアイシャ。だが、茜は中のモノには関心が無いというように誠の手の中の刀を見つめていた。
「やはりなんか感じます。でも嵯峨警視正、なんなんですかこれは?法術師の成れの果てって……聞いたことが無いですよ」
誠は正直中にあるだろう人であった物体には興味が無かった。いや、興味を持たないようにしていた。あれが法術適正者の成れの果てと言うならば、誠が同じ姿を晒すことになっても不思議ではない。
あえて中を見ずに誠は茜を見つめる。
「そうね、自己防衛本能が形になったようなものと考えていただければ良いと思いますわ」
それだけ言うと茜はそのまま中身を見終えたアイシャの隣の出っ張りに再び携帯端末を置く。中を見終えたアイシャとかなめがこの中の物体に変わってしまった人間の身元を眺めていた。人のよさそうな青年の顔がそこに浮かんでいる。
「神前、お前の番だ」
中を覗き終えたカウラがそう言うので仕方が無く誠は覗き穴に目を近づけた。
レンズに汚れがついているようで赤いものと黒いものがうごめいているような視界の中にしばらく誠は黙り込んで目を凝らした。だが、次第にその形がはっきりしていくにしたがって再び震えのようなものが体を支配していくのを感じていた。しばらくしてそこに人影があるのを発見して誠は大きく息をする。さらに集中して覗き穴を見つめる。手にした刀が熱く感じられてくる。
そこにはズボンをはいた上半身裸の男がいた。その男からは黒い見たこともない種類の煙が立ち上っている。
「見えるだろ?」
ランの言葉に誠は集中して中の男を見つめる。両手を挙げた男が、そのこぶしで自分の頭を叩いた。そのこぶしは頭蓋骨を砕いてそのまま頭にめり込む。血が吹き上げ、辺りを赤く染めた。
思わず誠は目をそらす。
「何が見えた?」
再びランが聞いてくる。誠はランの問いに答える代わりに再び中を覗き込んだ。
男の自分の頭にめりこんだこぶしが黒い霧に覆われている。その霧は頭の傷跡から血に代わって吹き上がり、すぐに頭を覆いつくした。うなり声を上げながら男が両手を差し上げるころには、へこんでいた頭の形が次第に元の姿に戻りつつあるように見えた。
そこで誠はそのまま覗き穴から目をそらして彼の後ろに立ち尽くしている茜の顔を見た。
「ご覧になりまして?」
茜の言葉。誠は感想を言おうとするが、口が震えて声にならなかった。
「あれが『エターナルチルドレン』と呼ばれる存在だ」
ランの言葉にどこと無く悲しげな色があった。
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