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第11章 デート
お騒がせな仲間達
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「もしかして彼が誠君かい?」
カウンターの中で作業をしながらマスターがアイシャに話しかけた。
「そうよ。それと外でこの店を覗き込んでいるのが同僚」
その言葉に誠は木の扉の隙間にはめ込まれたガラスの間に目をやった。そこには中を覗き込んでいるかなめとカウラの姿があった。
目が合った二人が頭を掻きながら扉を開く。だがそれだけではなかった。
「見つかっちゃったね!」
そう言いながらいつものように猫耳をつけたまま店に入ってくるシャムの姿が見える。そして彼女に手をとられて吉田が引きずり出される。
「ストーキング技術が落ちたみてーだな。ちょっとCQB訓練でもやったほうがいいんじゃねーのか?」
子供服を着ているランが肩で風を切って入ってくるなり誠の隣に座った。あまりに自然なランの動きに呆然と見守るしかなかったかなめとカウラだが、ようやく誠の隣の席を奪われたことに気づいて、仕方がないというようにシャムと吉田が座った四人掛けのテーブルに腰を落ち着ける。
「ずいぶん友達がいるんだね。大歓迎だよ」
そう言いながらマスターは水の入ったコップを配った。
「パフェ無いんだ」
メニューを見ながらシャムは落ち込んだようにうなだれた。
「お嬢さんは甘いのが好きなんだね。まあ、うちはコーヒーとケーキだけの店だから」
淡々とマスタは優しい口調で話す。彼はそのまま手元のカップにアイシャと誠のコーヒーを注いだ。
「ココアもねーんだな」
そう言いながらランが顔をしかめる。アイシャはにんまりと笑顔を浮かべながらランを見つめている。
「なんだよ!アタシの顔になんか付いてんのか?」
「ああ、鬼の教導官殿は味覚がお子様のようですねえ」
シャムの隣の席に追いやられた腹いせにかなめがつぶやいた。すぐさまランは殺気を帯びた視線をかなめに送る。
『なんだよ、これじゃあぜんぜん気分転換に……』
そう思いながら誠はアイシャを見つめた。そこにはコーヒーの満たされたカップを満足そうに眺めているアイシャがいた。まず、何も入れずにアイシャはカップの中のコーヒーの香りを嗅いだ。
「ちょっとこの前のより香りが濃いわね」
そう言うと一口コーヒーを口に含む。
「わかるかい、できるだけ遼州の豆で味が保てるか実験してみたんだけど」
「ええ、以前よりいい感じよ」
そう言うとアイシャは手元のミルクを少しだけカップに注いだ。誠もそれに習って少しだけミルクを注ぐ。カップの中ではミルクが白い螺旋を描いた。
「じゃあ俺もアイシャと同じブレンドで」
吉田がそう言いながら隣でじっとメニューとにらめっこしているシャムを見つめる。
「アタシ等もおなじでいいよな」
そんなかなめの言葉にカウラも同意するようにうなづく。
「じゃあ、アタシもそれで」
諦めたようにランがそう言った。少し、うつむき加減なのはこの前のビールと一緒でほとんどコーヒーを飲んだことが無いからなのだろうと誠はランを見ながら思った。
「いいわよ。私も同じのにする!」
シャムは明らかに不機嫌そうにそう言った。
「わかりました」
そう言うとマスターは忙しげに手元のカップを並べていった。
カウンターの中で作業をしながらマスターがアイシャに話しかけた。
「そうよ。それと外でこの店を覗き込んでいるのが同僚」
その言葉に誠は木の扉の隙間にはめ込まれたガラスの間に目をやった。そこには中を覗き込んでいるかなめとカウラの姿があった。
目が合った二人が頭を掻きながら扉を開く。だがそれだけではなかった。
「見つかっちゃったね!」
そう言いながらいつものように猫耳をつけたまま店に入ってくるシャムの姿が見える。そして彼女に手をとられて吉田が引きずり出される。
「ストーキング技術が落ちたみてーだな。ちょっとCQB訓練でもやったほうがいいんじゃねーのか?」
子供服を着ているランが肩で風を切って入ってくるなり誠の隣に座った。あまりに自然なランの動きに呆然と見守るしかなかったかなめとカウラだが、ようやく誠の隣の席を奪われたことに気づいて、仕方がないというようにシャムと吉田が座った四人掛けのテーブルに腰を落ち着ける。
「ずいぶん友達がいるんだね。大歓迎だよ」
そう言いながらマスターは水の入ったコップを配った。
「パフェ無いんだ」
メニューを見ながらシャムは落ち込んだようにうなだれた。
「お嬢さんは甘いのが好きなんだね。まあ、うちはコーヒーとケーキだけの店だから」
淡々とマスタは優しい口調で話す。彼はそのまま手元のカップにアイシャと誠のコーヒーを注いだ。
「ココアもねーんだな」
そう言いながらランが顔をしかめる。アイシャはにんまりと笑顔を浮かべながらランを見つめている。
「なんだよ!アタシの顔になんか付いてんのか?」
「ああ、鬼の教導官殿は味覚がお子様のようですねえ」
シャムの隣の席に追いやられた腹いせにかなめがつぶやいた。すぐさまランは殺気を帯びた視線をかなめに送る。
『なんだよ、これじゃあぜんぜん気分転換に……』
そう思いながら誠はアイシャを見つめた。そこにはコーヒーの満たされたカップを満足そうに眺めているアイシャがいた。まず、何も入れずにアイシャはカップの中のコーヒーの香りを嗅いだ。
「ちょっとこの前のより香りが濃いわね」
そう言うと一口コーヒーを口に含む。
「わかるかい、できるだけ遼州の豆で味が保てるか実験してみたんだけど」
「ええ、以前よりいい感じよ」
そう言うとアイシャは手元のミルクを少しだけカップに注いだ。誠もそれに習って少しだけミルクを注ぐ。カップの中ではミルクが白い螺旋を描いた。
「じゃあ俺もアイシャと同じブレンドで」
吉田がそう言いながら隣でじっとメニューとにらめっこしているシャムを見つめる。
「アタシ等もおなじでいいよな」
そんなかなめの言葉にカウラも同意するようにうなづく。
「じゃあ、アタシもそれで」
諦めたようにランがそう言った。少し、うつむき加減なのはこの前のビールと一緒でほとんどコーヒーを飲んだことが無いからなのだろうと誠はランを見ながら思った。
「いいわよ。私も同じのにする!」
シャムは明らかに不機嫌そうにそう言った。
「わかりました」
そう言うとマスターは忙しげに手元のカップを並べていった。
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