253 / 1,474
第4章 お友達
隊長の娘
しおりを挟む
「それにしてもあの熊はやばいんじゃないか?ただでさえ同盟司法局のお荷物部隊ってことで叩かれているアタシ等だ。これ以上何かあったら……」
そう言いながらかなめは階段の手すりに手をかける。
「それは気にしなくてもよろしくてよ」
ハンガーに入って詰め所に向かってあがる階段を見下ろしている女性幹部警察官の制服を見てかなめの顔がまた明らかに不機嫌になるのを誠は見てしまった。階段の上で誠達を待っていたのは、隊長嵯峨惟基の娘で同盟司法局法術特捜主席捜査官、嵯峨茜警視正だった。
「なんだよ茜か。ずいぶん余裕だねえ」
そう言うとかなめはそのまま階段を上がり始める。几帳面な彼女の襟元が少しずれて見えるのはおそらく中央に呼び出されて司法局の幹部とやりあったからだろう。
「すみませんね。また西園寺が何か……」
「知らねえよ!シャムが保護動物を連れまわしていることより問題なのはむしろ叔父貴の方じゃねえのか?実の親だ。自分で責任取れ」
かなめは我関せずという感じで茜の脇を通り抜けようとする。茜はそんなかなめを見て大きくため息をついた。
「まあお父様の独断専行の結果の小言くらいならいくらでも頂きますわ。お金と活動権限を制限されること。そちらのほうが問題なのですもの」
そう言いつつかなめの表情を見ていた茜だがかなめはただにんまりと笑うだけだった。
「言いてえことはわかる。これまで嵯峨家の身銭で運営しているうちは手を出せるお偉いさんはいなかったからな。第四小隊の創設でそれも限界。予算が欲しくなるのは当たり前だな」
かなめはそう言うとハンガーを見下ろすガラス張りの管理部のオフィスを覗く。自分から目を逸らしたかなめに少しばかり気分を害したように一度茜が大きく足踏みをした。
「まあ……近藤事件でその実力を見せつけた今。同盟機構としては逆に予算を増やして監査などを入れやすい状況を作り出して叔父貴に鈴を付けたいところだろうしな。予算規模しだいでは同盟加盟国のやり手の文官を差し向けてくるくらいのことはあるんじゃないのか?」
かなめはそう言うと上目遣いのタレ目で茜を見つめた。
「司法実働部隊に文官を入れる……まあ素直に叔父貴が納得するとは思えねえけど。それよりオメエのところ、司法局法術特捜の人材の確保のめどはどうなんだよ」
かなめは下種な笑みを浮かべて茜をにらむ。だが、茜は表情一つ変えずに語り始めた。
「厳しいところですわね。現状では私達法術特捜は、人員面であなた方四人の兼任捜査官でことが済むというのが司法局の上層部の判断ですわ。そう言えば、一般市民の法術適正者の特定と把握には東和政府は及び腰ですが、遼北や大麗では市民の法術適正検査の義務化の法案を通しましたわよ」
「あれだろ?本人に通知するかで揉めたって法案。遼北は非通知、大麗は通知だったか。それがどうしたんだよ……何か?一般市民から捜査官の公募でもするのか?」
そう言うとかなめはポケットからタバコを取り出そうとして茜ににらまれる。
「それもいい考えかも知れませんわね。適正に関することならネットではもうすでに法術の発動方法に関する論文が流出して、もう法術はオカルトの分野の話とごまかすことも出来ないのが現状ですもの。それを見た少しばかり社会に不満のある人物が自分の法術適正に気付いて、そしてその発動の方法を知ることができる機会があれば……それが何を意味するかおわかりになりますわよね?」
茜の言葉にかなめは顔色を変えた。
「馬鹿が神様気取りで暴れるのにはちょうどいいお膳立てがそろうって事か」
誠はアイシャやカウラの方を見てみた。二人とも先ほどまでのじゃれあっていた時とは違った緊張感に飲み込まれたような顔をしている。
「でもそんな急に……僕だって実際今でも力の制御ができないくらいだから……」
そう言いかけた誠を見て茜はため息をついた。
「確かに訓練もまともに受けていない適正者が法術を使用すれば、結果として自滅するのは間違いないですわね」
淡々と茜はそう答えた。
「じゃあどうするんだ?シンの旦那みたいなパイロキネシストがあっちこっちで連続放火事件を起こそうとして火達磨になって転げ回るのを黙って見てろってことか?」
かなめの表情が険しくなる。
「今のうちはそれでも仕方ないですわ」
あっさりと茜はそう答えた。その冷たく誠達を見つめる視線に誠は少し恐怖を感じた。
「今、そんな人々を救える力は私達には有りません。それは私も認めます。ですが今の同盟にはそれを主張しても押し通すだけの権限が無いのはどうしようもありませんわ。今は時を待つ。かなめお姉さまも自重して下さいね」
そう言う茜にどこか寂しげな表情が見て取れて、誠は彼女を正面から非難することができなかった。
「わあってるよ!んなことは!」
そう言ってかなめは管理部の壁に拳をぶつけた。中では心配そうな主計下士官、菰田曹長の顔が見える。
「まあこうして話していても何も起きないわよ。私はお昼ご飯食べたいから行くわね」
そう言ってかなめと茜の間を縫ってアイシャは廊下の奥に消えていく。ただ呆然と四人は彼女を見送った。
そう言いながらかなめは階段の手すりに手をかける。
「それは気にしなくてもよろしくてよ」
ハンガーに入って詰め所に向かってあがる階段を見下ろしている女性幹部警察官の制服を見てかなめの顔がまた明らかに不機嫌になるのを誠は見てしまった。階段の上で誠達を待っていたのは、隊長嵯峨惟基の娘で同盟司法局法術特捜主席捜査官、嵯峨茜警視正だった。
「なんだよ茜か。ずいぶん余裕だねえ」
そう言うとかなめはそのまま階段を上がり始める。几帳面な彼女の襟元が少しずれて見えるのはおそらく中央に呼び出されて司法局の幹部とやりあったからだろう。
「すみませんね。また西園寺が何か……」
「知らねえよ!シャムが保護動物を連れまわしていることより問題なのはむしろ叔父貴の方じゃねえのか?実の親だ。自分で責任取れ」
かなめは我関せずという感じで茜の脇を通り抜けようとする。茜はそんなかなめを見て大きくため息をついた。
「まあお父様の独断専行の結果の小言くらいならいくらでも頂きますわ。お金と活動権限を制限されること。そちらのほうが問題なのですもの」
そう言いつつかなめの表情を見ていた茜だがかなめはただにんまりと笑うだけだった。
「言いてえことはわかる。これまで嵯峨家の身銭で運営しているうちは手を出せるお偉いさんはいなかったからな。第四小隊の創設でそれも限界。予算が欲しくなるのは当たり前だな」
かなめはそう言うとハンガーを見下ろすガラス張りの管理部のオフィスを覗く。自分から目を逸らしたかなめに少しばかり気分を害したように一度茜が大きく足踏みをした。
「まあ……近藤事件でその実力を見せつけた今。同盟機構としては逆に予算を増やして監査などを入れやすい状況を作り出して叔父貴に鈴を付けたいところだろうしな。予算規模しだいでは同盟加盟国のやり手の文官を差し向けてくるくらいのことはあるんじゃないのか?」
かなめはそう言うと上目遣いのタレ目で茜を見つめた。
「司法実働部隊に文官を入れる……まあ素直に叔父貴が納得するとは思えねえけど。それよりオメエのところ、司法局法術特捜の人材の確保のめどはどうなんだよ」
かなめは下種な笑みを浮かべて茜をにらむ。だが、茜は表情一つ変えずに語り始めた。
「厳しいところですわね。現状では私達法術特捜は、人員面であなた方四人の兼任捜査官でことが済むというのが司法局の上層部の判断ですわ。そう言えば、一般市民の法術適正者の特定と把握には東和政府は及び腰ですが、遼北や大麗では市民の法術適正検査の義務化の法案を通しましたわよ」
「あれだろ?本人に通知するかで揉めたって法案。遼北は非通知、大麗は通知だったか。それがどうしたんだよ……何か?一般市民から捜査官の公募でもするのか?」
そう言うとかなめはポケットからタバコを取り出そうとして茜ににらまれる。
「それもいい考えかも知れませんわね。適正に関することならネットではもうすでに法術の発動方法に関する論文が流出して、もう法術はオカルトの分野の話とごまかすことも出来ないのが現状ですもの。それを見た少しばかり社会に不満のある人物が自分の法術適正に気付いて、そしてその発動の方法を知ることができる機会があれば……それが何を意味するかおわかりになりますわよね?」
茜の言葉にかなめは顔色を変えた。
「馬鹿が神様気取りで暴れるのにはちょうどいいお膳立てがそろうって事か」
誠はアイシャやカウラの方を見てみた。二人とも先ほどまでのじゃれあっていた時とは違った緊張感に飲み込まれたような顔をしている。
「でもそんな急に……僕だって実際今でも力の制御ができないくらいだから……」
そう言いかけた誠を見て茜はため息をついた。
「確かに訓練もまともに受けていない適正者が法術を使用すれば、結果として自滅するのは間違いないですわね」
淡々と茜はそう答えた。
「じゃあどうするんだ?シンの旦那みたいなパイロキネシストがあっちこっちで連続放火事件を起こそうとして火達磨になって転げ回るのを黙って見てろってことか?」
かなめの表情が険しくなる。
「今のうちはそれでも仕方ないですわ」
あっさりと茜はそう答えた。その冷たく誠達を見つめる視線に誠は少し恐怖を感じた。
「今、そんな人々を救える力は私達には有りません。それは私も認めます。ですが今の同盟にはそれを主張しても押し通すだけの権限が無いのはどうしようもありませんわ。今は時を待つ。かなめお姉さまも自重して下さいね」
そう言う茜にどこか寂しげな表情が見て取れて、誠は彼女を正面から非難することができなかった。
「わあってるよ!んなことは!」
そう言ってかなめは管理部の壁に拳をぶつけた。中では心配そうな主計下士官、菰田曹長の顔が見える。
「まあこうして話していても何も起きないわよ。私はお昼ご飯食べたいから行くわね」
そう言ってかなめと茜の間を縫ってアイシャは廊下の奥に消えていく。ただ呆然と四人は彼女を見送った。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる