197 / 1,536
第16章 引っ越し
かなめの昔話
しおりを挟む
誠とかなめ。二人は黙ってそれぞれの仕事を続ける。沈黙と次第に熱せられていく夏の午前中の空気が、気の短いかなめには耐えられなかったように口を開いた。
「いいか?」
三つ目の畳を拭きながらかなめが口を開いた。
「別に聞いてなくても良いぜ。ただの独り言だ」
誠はそんなかなめを背中に感じながら、バケツで洗ったばかりの雑巾だ窓のサッシを拭いながら聞いていた。
「アタシの家は知ってるだろ?前の大戦中はアタシの爺さんは反戦一本槍の政治屋だっただろ?中央政界から追い出されて、政府からは非国民扱いされてはいたけど、腐っても四大公家の筆頭の家だ。アタシは三つの時に爺さんを狙ったテロでこの体になったわけだ。爺さんもかなり落ち込んでたらしいな」
雑巾をかけている自分の手を見つめるかなめ。誠はそれとなく振り返る。かなめのむき出しの肩と腕の人工皮膚の隙間が誠にはなぜか物悲しく見えた。かなめは落ち着いた様子で畳を拭いていた。
「この体になる前の記憶はまるで無い。まあ三つの時だからな、覚えているほうがどうかしてるよな。でもこの体になってからのことはしっかり覚えてるぜ。脳の神経デバイスは忘却なんていう便利な機能は無いからな。嫌だと言っても昔のつまらない記憶まで引っ張り出してきやがる」
そう言うとかなめは畳を拭く手を止めた。
「まるで腫れ物に触るみたいに遠まわしに気を使う親父、家から出るのにも護衛をつけようとるすお袋。家の使用人や食客達は、出来るだけアタシから距離を取って、まるで化け物でも見てるような面で逃げ回りやがる。まあ、今思えばしょうがないんだけどさ」
誠のサッシを拭く手が止まった。
「当然だよな。三つの餓鬼が一月のリハビリ終えて帰ったらこの大人の格好だ、まともに接しようとするのが無理ってもんだ。でも中身は三つの餓鬼だ。わかってくれない、わかられたくもない。暴れたね。かえでや茜には結構酷いこともしたもんだ。幼稚園、小学校、中学校、高校。どこに行っても友達なんて出来るわけもねえや。気に入らなかったらぶん殴ってそれで終わり」
かなめはそう言うと掃除に飽きたとでも言うように畳の上に胡坐をかいてタバコを取り出した。
「叔父貴のことをさ、茜から何度も聞かされて。陸軍なら親父や赤松の旦那の手も回って無いだろうっていきがって入ってみたが、士官学校じゃあ西園寺の苗字を名乗ってるだけで教官から目をつけられてすぐに喧嘩だ。どうにか卒業してみれば与えられたのは汚れ仕事の山ってわけだ。つまらないだろ?アタシの身の上話なんて」
「かなめさん」
誠はサッシから手を離して真っ直ぐにかなめを見つめた。
「アタシが言いたいのは、自分が特別だなんて態度は止めてくれって事だ。アタシも東都戦争の頃はそうだった。こんな体だから悪いんだ、こんな家柄だがら嫌われるんだってな。でもな、そう思ってる間は一人分のことしか出来ねえんだ。一人で生き抜けるほどこの世は甘くねえよ」
そう言ってかなめはタバコをふかす。
「西園寺さん」
誠は横を向いて照れているかなめを見つめた。
「私の話なんてつまんねえだろ?良いんだぜ。とっとと忘れても」
「そんな……忘れるだなんて……すばらしいことをおっしゃいますわね、かなめお姉さま」
かなめがその声に血色を変えて振り返った先には朱色の留袖にたすきがけと言う姿の茜が立っていた。
「脅かすんじゃねえよ、あれが来たかと思ったじゃねえか!」
「かえでさんのことそんなにお嫌いなのですか?一応実の妹じゃないですの」
明らかにかなめをからかうことが楽しいと言うような表情を茜は浮かべた。かなめはその表情が憎らしいと言うように口をへの字にした後、落ち着きを取り戻そうと深呼吸をしている。
「あのなあ、アタシにゃあそう言う趣味はねえんだよ!いきなり胸広げて待ち針を差し出されて『苛めてください』なんて言われてみろ!かなり引くぞ」
タバコを携帯灰皿に押し込みながらかなめが上目遣いに茜を見る。
「そうですわね。……それにかなめさんは神前くんのこと気に入ってらっしゃるようですし」
「ちょっと待て、ちょっと待て!茜!」
小悪魔のような笑顔を浮かべると茜はかなめの汚れた雑巾を取り上げてバケツに持ち込んで洗い始めた。
「なんでオメエがいるんだ?」
「かなめさん。昨日、引越しをするとおっしゃってませんでしたか?」
茜は慣れた手つきで畳の目にそってよく絞った雑巾を動かす。
「オメエの引越しは……」
冷や汗を流しながらかなめが口を開く。
「お父様には以前から部屋を探していただいていたので、すでに終わってますわ」
すばやく雑巾をひっくり返し、茜は作業を続ける。
「でもいきなり休みってのは……」
そう言うかなめに茜は一度雑巾を置いて正座をして見つめ返す。
「かなめさん……いや、西園寺大尉」
茜は視線を畳から座り込んでいるかなめに向ける。
「なんだよ」
突然の茜の正座に不思議そうにかなめが応える。
「第二小隊の皆さんには私達、法術特捜の予備人員として動いていただくことになりましたの。このくら
いのお手伝いをするのは当然のことでなくて?」
沈黙する部屋。かなめはあきれ返っていた。誠はまだ茜の言葉の意味がわかりかねた。
「そんなに驚かれること無いんじゃありませんの?法術に関する公式な初の発動経験者が現場に出るということの形式的意味というものを考えれば当然ですわ。テロ組織にとって初の法術戦経験者の捜査官が目の前に立ちはだかると言う恐怖。この認識が続いているこの機に法術犯罪の根本的な予防の対策を図る。このタイミングを逃すのは愚かな人のなさることですわ」
「そりゃあわかるんだよ。あんだけテレビで流れたこいつの戦闘シーンが頭に残ってる時に叩くってのは戦術としちゃあありだからな。でも……」
かなめは不思議そうな顔で覗き込んでくる茜の視線から逃れるようにうなだれた。
「第二小隊ってことはカウラさんも入るんですか?」
今度は窓を拭きながら誠が尋ねる。
「当然ですわ。あの方には第二小隊をまとめていただかなくてはなりませんし」
そう言うと茜は再び良く絞った雑巾で丁寧に畳を撫でるように拭く。
「結局、あいつの面を年中拝むわけか」
「他には本人の要請でアイシャさんも状況分析担当で編入予定ですわ」
しばらく茜の言葉にかなめはせき込んでタバコの煙を吐き出した。しばらくしてその目は楽しそうに自分を見つめている茜へと向けられる。
「まじかよ……」
かなめは茜の言葉にただ茫然と立ち尽くしていた。
「嘘をついても仕方ありません」
茜はそれだけ言うと慣れた調子で着々と畳を拭いていた。
「いいか?」
三つ目の畳を拭きながらかなめが口を開いた。
「別に聞いてなくても良いぜ。ただの独り言だ」
誠はそんなかなめを背中に感じながら、バケツで洗ったばかりの雑巾だ窓のサッシを拭いながら聞いていた。
「アタシの家は知ってるだろ?前の大戦中はアタシの爺さんは反戦一本槍の政治屋だっただろ?中央政界から追い出されて、政府からは非国民扱いされてはいたけど、腐っても四大公家の筆頭の家だ。アタシは三つの時に爺さんを狙ったテロでこの体になったわけだ。爺さんもかなり落ち込んでたらしいな」
雑巾をかけている自分の手を見つめるかなめ。誠はそれとなく振り返る。かなめのむき出しの肩と腕の人工皮膚の隙間が誠にはなぜか物悲しく見えた。かなめは落ち着いた様子で畳を拭いていた。
「この体になる前の記憶はまるで無い。まあ三つの時だからな、覚えているほうがどうかしてるよな。でもこの体になってからのことはしっかり覚えてるぜ。脳の神経デバイスは忘却なんていう便利な機能は無いからな。嫌だと言っても昔のつまらない記憶まで引っ張り出してきやがる」
そう言うとかなめは畳を拭く手を止めた。
「まるで腫れ物に触るみたいに遠まわしに気を使う親父、家から出るのにも護衛をつけようとるすお袋。家の使用人や食客達は、出来るだけアタシから距離を取って、まるで化け物でも見てるような面で逃げ回りやがる。まあ、今思えばしょうがないんだけどさ」
誠のサッシを拭く手が止まった。
「当然だよな。三つの餓鬼が一月のリハビリ終えて帰ったらこの大人の格好だ、まともに接しようとするのが無理ってもんだ。でも中身は三つの餓鬼だ。わかってくれない、わかられたくもない。暴れたね。かえでや茜には結構酷いこともしたもんだ。幼稚園、小学校、中学校、高校。どこに行っても友達なんて出来るわけもねえや。気に入らなかったらぶん殴ってそれで終わり」
かなめはそう言うと掃除に飽きたとでも言うように畳の上に胡坐をかいてタバコを取り出した。
「叔父貴のことをさ、茜から何度も聞かされて。陸軍なら親父や赤松の旦那の手も回って無いだろうっていきがって入ってみたが、士官学校じゃあ西園寺の苗字を名乗ってるだけで教官から目をつけられてすぐに喧嘩だ。どうにか卒業してみれば与えられたのは汚れ仕事の山ってわけだ。つまらないだろ?アタシの身の上話なんて」
「かなめさん」
誠はサッシから手を離して真っ直ぐにかなめを見つめた。
「アタシが言いたいのは、自分が特別だなんて態度は止めてくれって事だ。アタシも東都戦争の頃はそうだった。こんな体だから悪いんだ、こんな家柄だがら嫌われるんだってな。でもな、そう思ってる間は一人分のことしか出来ねえんだ。一人で生き抜けるほどこの世は甘くねえよ」
そう言ってかなめはタバコをふかす。
「西園寺さん」
誠は横を向いて照れているかなめを見つめた。
「私の話なんてつまんねえだろ?良いんだぜ。とっとと忘れても」
「そんな……忘れるだなんて……すばらしいことをおっしゃいますわね、かなめお姉さま」
かなめがその声に血色を変えて振り返った先には朱色の留袖にたすきがけと言う姿の茜が立っていた。
「脅かすんじゃねえよ、あれが来たかと思ったじゃねえか!」
「かえでさんのことそんなにお嫌いなのですか?一応実の妹じゃないですの」
明らかにかなめをからかうことが楽しいと言うような表情を茜は浮かべた。かなめはその表情が憎らしいと言うように口をへの字にした後、落ち着きを取り戻そうと深呼吸をしている。
「あのなあ、アタシにゃあそう言う趣味はねえんだよ!いきなり胸広げて待ち針を差し出されて『苛めてください』なんて言われてみろ!かなり引くぞ」
タバコを携帯灰皿に押し込みながらかなめが上目遣いに茜を見る。
「そうですわね。……それにかなめさんは神前くんのこと気に入ってらっしゃるようですし」
「ちょっと待て、ちょっと待て!茜!」
小悪魔のような笑顔を浮かべると茜はかなめの汚れた雑巾を取り上げてバケツに持ち込んで洗い始めた。
「なんでオメエがいるんだ?」
「かなめさん。昨日、引越しをするとおっしゃってませんでしたか?」
茜は慣れた手つきで畳の目にそってよく絞った雑巾を動かす。
「オメエの引越しは……」
冷や汗を流しながらかなめが口を開く。
「お父様には以前から部屋を探していただいていたので、すでに終わってますわ」
すばやく雑巾をひっくり返し、茜は作業を続ける。
「でもいきなり休みってのは……」
そう言うかなめに茜は一度雑巾を置いて正座をして見つめ返す。
「かなめさん……いや、西園寺大尉」
茜は視線を畳から座り込んでいるかなめに向ける。
「なんだよ」
突然の茜の正座に不思議そうにかなめが応える。
「第二小隊の皆さんには私達、法術特捜の予備人員として動いていただくことになりましたの。このくら
いのお手伝いをするのは当然のことでなくて?」
沈黙する部屋。かなめはあきれ返っていた。誠はまだ茜の言葉の意味がわかりかねた。
「そんなに驚かれること無いんじゃありませんの?法術に関する公式な初の発動経験者が現場に出るということの形式的意味というものを考えれば当然ですわ。テロ組織にとって初の法術戦経験者の捜査官が目の前に立ちはだかると言う恐怖。この認識が続いているこの機に法術犯罪の根本的な予防の対策を図る。このタイミングを逃すのは愚かな人のなさることですわ」
「そりゃあわかるんだよ。あんだけテレビで流れたこいつの戦闘シーンが頭に残ってる時に叩くってのは戦術としちゃあありだからな。でも……」
かなめは不思議そうな顔で覗き込んでくる茜の視線から逃れるようにうなだれた。
「第二小隊ってことはカウラさんも入るんですか?」
今度は窓を拭きながら誠が尋ねる。
「当然ですわ。あの方には第二小隊をまとめていただかなくてはなりませんし」
そう言うと茜は再び良く絞った雑巾で丁寧に畳を撫でるように拭く。
「結局、あいつの面を年中拝むわけか」
「他には本人の要請でアイシャさんも状況分析担当で編入予定ですわ」
しばらく茜の言葉にかなめはせき込んでタバコの煙を吐き出した。しばらくしてその目は楽しそうに自分を見つめている茜へと向けられる。
「まじかよ……」
かなめは茜の言葉にただ茫然と立ち尽くしていた。
「嘘をついても仕方ありません」
茜はそれだけ言うと慣れた調子で着々と畳を拭いていた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第五部
遼州人の青年神前誠(しんぜんまこと)が司法局実働部隊機動部隊第一小隊に配属になってからほぼ半年の時が過ぎようとしていた。
訓練場での閉所室内戦闘訓練からの帰りの途中、誠は周りの見慣れない雪景色に目を奪われた。
そんな誠に小隊長のカウラ・ベルガー大尉は彼女がロールアウトした時も同じように雪が降っていたと語った。そして、その日が12月25日であることを告げた。そして彼女がロールアウトして今年で9年になる新しい人造人間であること誠は知った。
同行していた運用艦『ふさ』の艦長であるアメリア・クラウゼ中佐は、クリスマスと重なるこの機会に何かイベントをしようと第二小隊のもう一人の隊員西園寺かなめ大尉に語り掛けた。
こうしてアメリアの企画で誠の実家である『神前一刀流道場』でのカウラのクリスマス会が開催されることになった。
誠の家は母が道場主を務め、父である誠一は全寮制の私立高校の剣道教師としてほとんど家に帰らない家だった。
四人は休みを取り、誠の実家で待つ誠の母、神前薫(しんぜんかおる)のところを訪れた。
そこで待ち受けているのは上流貴族であるかなめのとんでもなく上品なプレゼントを買いに行く行事、誠の『許婚』を自称するかなめの妹で両刀遣いの変態マゾヒスト日野かえで少佐の訪問、アメリアの部下である運航部の面々による蟹パーティーなどの忙しい日々だった。
そんな中、誠はカウラへのプレゼントとしてイラストを描くことを思いつき、様々な妨害に会いながらもなんとか仕上げることが出来たのだが……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第五部 『カウラ・ベルガー大尉の誕生日』
橋本 直
SF
遼州司法局実働部隊に課せられる訓練『閉所白兵戦訓練』
いつもの閉所白兵戦訓練で同時に製造された友人の話から実はクリスマスイブが誕生日と分かったカウラ。
そんな彼女をお祝いすると言う名目でアメリアとかなめは誠の実家でのパーティーを企画することになる。
予想通り趣味に走ったプレゼントを用意するアメリア。いかにもセレブな買い物をするかなめ。そんな二人をしり目に誠は独自でのプレゼントを考える。
誠はいかにも絵師らしくカウラを描くことになった。
閑話休題的物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

びるどあっぷ ふり〜と!
高鉢 健太
SF
オンライン海戦ゲームをやっていて自称神さまを名乗る老人に過去へと飛ばされてしまった。
どうやらふと頭に浮かんだとおりに戦前海軍の艦艇設計に関わることになってしまったらしい。
ライバルはあの譲らない有名人。そんな場所で満足いく艦艇ツリーを構築して現世へと戻ることが今の使命となった訳だが、歴史を弄ると予期せぬアクシデントも起こるもので、史実に存在しなかった事態が起こって歴史自体も大幅改変不可避の情勢。これ、本当に帰れるんだよね?
※すでになろうで完結済みの小説です。
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる