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アイドルたちの裏事情
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「暑いぃ……」
夏休み、僕はおばあちゃんの家に来ていた。今日は親戚皆で集まっておばあちゃん家の大部屋で宴会をするそうで、準備の邪魔だからと僕は部屋を追い出されていた。
日陰で風もあって涼しいけれど、やっぱりクーラーのかかった部屋に居たい。渡されたスイカも食べ終わっちゃって、やることだってなかった。
「翔太君、こんにちは」
「! ケン兄ちゃん! こんにちは!」
暑くて寝ころぶ僕の上に、ふっと影がかかる。なんだろう、と目を開けると、そこにはにっこりと笑ったいとこのケン兄ちゃんが、僕の顔を覗きこんでいた。
ケン兄ちゃんは僕の父さんの弟の息子、なんだそうだ。頻繁に会うことはないけど、たぶん今日の集まりに呼ばれたんだろう。なんでか、っていうのは僕にも想像がついた。
「兄ちゃん、僕、この前兄ちゃんのライブに行ったよ! 凄かった」
「おや、それはありがとうございます。人がたくさんいて疲れませんでしたか?」
「大丈夫! あのね、ステージで踊ってた人の中で、ケン兄ちゃんが一番きれいだったよ!」
「ふふ、嬉しいですね。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いしますね」
「うん!」
ちゃんと言いたかったことが言えて僕は上機嫌。兄ちゃんはアイドルをやっている。優しくてきれいで格好いいケン兄ちゃん。色は白くてまつげが長くて、身長が高いけど怖い感じはしない。僕はケン兄ちゃんが大好きだ。
「おーい、車どこに入れればいいんだ」
そんな兄ちゃんに会えて嬉しくなっていると、遠くから雄介おじさんの声が聞こえた。雄介おじさんは僕の母さんのお兄さんの息子で、本当はおじさんじゃないんだけど、最初におじさんって呼んでからずっとそのままになっている。
ケン兄ちゃんが少し笑って、僕に「じゃあまたあとで」と言っておじさんの方へ行ってしまったから、僕はまた暇になってしまった。車を止める場所くらい兄ちゃん以外の人に聞けばいいのに。遠くに見える兄ちゃんの顔が赤くなって、なにかおじさんに変なことを言われたのかなって嫌な気分になった。
やっと邪魔にならないからって僕が部屋に呼ばれると、兄ちゃんたちが忙しそうにご飯の準備をしていた。お皿を運んだり、料理をしたり。僕は兄ちゃんを手伝って、次々と渡される鍋とかフライパンとかを洗っていた。
「でね、授業はちゃんと聞いてるんだけど、どうにもすぐ忘れちゃって」
「……っ♡~~~っ♡♡~~~~ぅ♡」
「……兄ちゃん?」
「っ!♡は、はい、なんでしょう?」
「気分悪い? 顔真っ赤だよ?」
「! いえ、大丈夫です。気分が悪い訳で、っ♡♡はぁ♡ない、ですよ♡」
「そう? 息が荒いけど……」
「いやホントにっ!?♡ぁ♡イ……っ♡……いえ、少し、部屋に戻りますね」
「うん! そうした方がいいよ! 汗びっしょりだもん、お大事にね」
「はい、ありがとうございます……っ♡♡」
はぁはぁと息を乱す兄ちゃんを見送る僕。兄ちゃんは涙目になっていて、ちょっとだけドキッとしちゃった。
体調は平気かな、って心配してたけど、兄ちゃんは宴会に出席した。そこで話されるのは、やっぱり兄ちゃんがアイドルをやっていることについてだった。ケン兄ちゃんがアイドルになって2年、始めは反対していた親戚の人たちも人気があるのを知って応援するようになっていた。でも、雄介おじさんだけはアイドルなんてっていってケン兄ちゃんをバカにしている。
雄介おじさんは声が大きいしすぐ怒るし、細かいことでねちねち言うから僕は嫌いだ。その時だって兄ちゃんの隣に座ってずっと何かを囁いていて、顔を真っ赤にして俯く兄ちゃんが可哀そうだった。
酔ったからって大部屋からおじさんが出ていったときは兄ちゃんが解放されて安心したけど、直ぐに兄ちゃんも「少し休みます」って部屋から出ていったんだ。みんなは心配そうに見送るだけだったけど、僕はピンと来てしまった。きっとおじさんに脅されて、ついてくるように言われてるんだ、って。
だから僕はいざというとき兄ちゃんを守れるようにこっそり後を付いていった。どんどん進む兄ちゃんは兄ちゃんの部屋を通り過ぎて、やっぱり僕の予想は間違ってなかったんだってちょっと嬉しくなる。
夏休み、僕はおばあちゃんの家に来ていた。今日は親戚皆で集まっておばあちゃん家の大部屋で宴会をするそうで、準備の邪魔だからと僕は部屋を追い出されていた。
日陰で風もあって涼しいけれど、やっぱりクーラーのかかった部屋に居たい。渡されたスイカも食べ終わっちゃって、やることだってなかった。
「翔太君、こんにちは」
「! ケン兄ちゃん! こんにちは!」
暑くて寝ころぶ僕の上に、ふっと影がかかる。なんだろう、と目を開けると、そこにはにっこりと笑ったいとこのケン兄ちゃんが、僕の顔を覗きこんでいた。
ケン兄ちゃんは僕の父さんの弟の息子、なんだそうだ。頻繁に会うことはないけど、たぶん今日の集まりに呼ばれたんだろう。なんでか、っていうのは僕にも想像がついた。
「兄ちゃん、僕、この前兄ちゃんのライブに行ったよ! 凄かった」
「おや、それはありがとうございます。人がたくさんいて疲れませんでしたか?」
「大丈夫! あのね、ステージで踊ってた人の中で、ケン兄ちゃんが一番きれいだったよ!」
「ふふ、嬉しいですね。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いしますね」
「うん!」
ちゃんと言いたかったことが言えて僕は上機嫌。兄ちゃんはアイドルをやっている。優しくてきれいで格好いいケン兄ちゃん。色は白くてまつげが長くて、身長が高いけど怖い感じはしない。僕はケン兄ちゃんが大好きだ。
「おーい、車どこに入れればいいんだ」
そんな兄ちゃんに会えて嬉しくなっていると、遠くから雄介おじさんの声が聞こえた。雄介おじさんは僕の母さんのお兄さんの息子で、本当はおじさんじゃないんだけど、最初におじさんって呼んでからずっとそのままになっている。
ケン兄ちゃんが少し笑って、僕に「じゃあまたあとで」と言っておじさんの方へ行ってしまったから、僕はまた暇になってしまった。車を止める場所くらい兄ちゃん以外の人に聞けばいいのに。遠くに見える兄ちゃんの顔が赤くなって、なにかおじさんに変なことを言われたのかなって嫌な気分になった。
やっと邪魔にならないからって僕が部屋に呼ばれると、兄ちゃんたちが忙しそうにご飯の準備をしていた。お皿を運んだり、料理をしたり。僕は兄ちゃんを手伝って、次々と渡される鍋とかフライパンとかを洗っていた。
「でね、授業はちゃんと聞いてるんだけど、どうにもすぐ忘れちゃって」
「……っ♡~~~っ♡♡~~~~ぅ♡」
「……兄ちゃん?」
「っ!♡は、はい、なんでしょう?」
「気分悪い? 顔真っ赤だよ?」
「! いえ、大丈夫です。気分が悪い訳で、っ♡♡はぁ♡ない、ですよ♡」
「そう? 息が荒いけど……」
「いやホントにっ!?♡ぁ♡イ……っ♡……いえ、少し、部屋に戻りますね」
「うん! そうした方がいいよ! 汗びっしょりだもん、お大事にね」
「はい、ありがとうございます……っ♡♡」
はぁはぁと息を乱す兄ちゃんを見送る僕。兄ちゃんは涙目になっていて、ちょっとだけドキッとしちゃった。
体調は平気かな、って心配してたけど、兄ちゃんは宴会に出席した。そこで話されるのは、やっぱり兄ちゃんがアイドルをやっていることについてだった。ケン兄ちゃんがアイドルになって2年、始めは反対していた親戚の人たちも人気があるのを知って応援するようになっていた。でも、雄介おじさんだけはアイドルなんてっていってケン兄ちゃんをバカにしている。
雄介おじさんは声が大きいしすぐ怒るし、細かいことでねちねち言うから僕は嫌いだ。その時だって兄ちゃんの隣に座ってずっと何かを囁いていて、顔を真っ赤にして俯く兄ちゃんが可哀そうだった。
酔ったからって大部屋からおじさんが出ていったときは兄ちゃんが解放されて安心したけど、直ぐに兄ちゃんも「少し休みます」って部屋から出ていったんだ。みんなは心配そうに見送るだけだったけど、僕はピンと来てしまった。きっとおじさんに脅されて、ついてくるように言われてるんだ、って。
だから僕はいざというとき兄ちゃんを守れるようにこっそり後を付いていった。どんどん進む兄ちゃんは兄ちゃんの部屋を通り過ぎて、やっぱり僕の予想は間違ってなかったんだってちょっと嬉しくなる。
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