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第九章:好きです。
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部屋に戻ったら時雨さんは起きていた。
バスローブを羽織って、濡れていて、煽情的だった。
「昨日は、ごめんなさい。あんなに怒ると思ってなかったの…」
気まずそうに言う時雨さんを見て昨日の怒りは全然沸かなかった。しかし、俺も気まずい雰囲気を感じてしまい、顔を俯けた。そんな事をしても俺は返しの言葉が見つからず、辛うじて言えることを吐くしかなかった。
「…体調大丈夫ですか?昨日倒れてアレでしたが。それから昨日深夜のこととして言えるのは、尻軽いと言ってしまい申し訳ございません、そして俺が昨日言った言葉に偽りの意思はないです。」
昨日の言葉を覚えていたのだろうか、時雨さんは俯きながらでも、顔を赤らめた。
俺は無意識に時計を見た。
「やべ、そろそろ時間だ。」
「え?」
俺の言葉を理解できなかったのだろうか、時雨さんはきょとんとした。
「支払いは済ませたんですが、チェックアウトの時間が…」
「あ、そういうこと?すぐ準備するわ、時間かけてごめんね」
「まぁ30分あるんでゆっくりでも~」そう言おうと思ったが、脱衣室の飛びだが、ダンッと音を立てて閉まった。
「だいじょ…」とみるみるしぼんでいった。
することがない俺はスマホを見て、今日の講義の時間を見た。
「あー…11時からの講義なら行けるかな…?」
昨日午前中のレポを勉強していたときに今日の分のレポは終わっていた。
その確認しているとふと、時雨さんの顔が脳裏によきった。
「俺、昨日告白したんだよな?…返事貰ってないよな…」
昨日頭に血が登ってしまい、自分の言ったことを気にしていなかったが、俺は時雨さんのことが異性として認識して、好きになっていた。少しだけ時間がある今出てきたらその答えを聞こうと思った。
そんな事を思っていたら、脱衣所のところからブオーンというヘアーアイロンの音が聞こえた。
(もうすぐなんだよな…多分。)
ふと窓を見ると雨上がりの濡れた町並みが川を挟みこちらにギラッと光った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ー脱衣所にてー
(………)
私は髪を乾かしながら、無心になっていた。
じゃないと照れて顔がだらしなくなりそうだからだ。
(あの告白返信しないとよね…?)
昨日私は彼の認識をまた自覚した、してしまった。
私ははっきり言って好きだ。
だから、私の答えは…
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
窓を見ていたら、服を着た時雨さんが前の椅子に座った。
「あの…」
そういいかけると彼女は分かっていたかのように顔を細めた。
しかし身体は震えていた。きっと寒いわけではないだろう…。
(きっと彼女は分かっているんだろうな…)俺もその震えには察しがついた。
「俺は昨日、貴方を異性として見ているといいました。
でも貴方から返事をもらってません、でも仕方ないと思います。あんな状況でしたし、だからもう一度いいます。
……時雨さん、こっち向いてください。」
そしたら恐る恐るこちらに顔を向けてきた、なぜか泣き出しそうな顔だが、俺はその言葉を口にする。
「時雨さん、貴方の事が好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
その言葉を皮切りに見つめ合ったまま時間が過ぎる。
丁度残分が過ぎようとする前に彼女が口を開く。
「私も…好きです。夜嵐くんのことが…この上なくとても大好きです。」
俺は息を呑んだ。
「だからこそ、あなたとは付き合えません。私よりいい人はいます。
その人を大事にしてください。」
俺の脳に「…大事にしてください。」という言葉が響いた。
でも俺はあきらめが悪かった。それに後悔はない。
「俺は貴方が好きなんです。いい人?ふざけんな!それが俺にとっては貴方だ。…俺じゃだめなんですか?」
その言葉を言った途端、時雨さんはボロボロと泣き始めた。
(しまった、また強い口調で…。)
でもそれは杞憂だった。
「嬉しい…とっても嬉しいよ。」
「え?」
俺はよく聞こえなかった。
「あの…こんな私でいいんですか?」
その問の答えは決まっていた。
「貴方だからいいんだ。」
そう答えを返した。
時雨さんは、泣きながら俺に答えをくれた。
泣いて、そして笑って、「よろしくおねがいします。」と。
俺は涙を止めるように彼女を優しく抱きとめた。
バスローブを羽織って、濡れていて、煽情的だった。
「昨日は、ごめんなさい。あんなに怒ると思ってなかったの…」
気まずそうに言う時雨さんを見て昨日の怒りは全然沸かなかった。しかし、俺も気まずい雰囲気を感じてしまい、顔を俯けた。そんな事をしても俺は返しの言葉が見つからず、辛うじて言えることを吐くしかなかった。
「…体調大丈夫ですか?昨日倒れてアレでしたが。それから昨日深夜のこととして言えるのは、尻軽いと言ってしまい申し訳ございません、そして俺が昨日言った言葉に偽りの意思はないです。」
昨日の言葉を覚えていたのだろうか、時雨さんは俯きながらでも、顔を赤らめた。
俺は無意識に時計を見た。
「やべ、そろそろ時間だ。」
「え?」
俺の言葉を理解できなかったのだろうか、時雨さんはきょとんとした。
「支払いは済ませたんですが、チェックアウトの時間が…」
「あ、そういうこと?すぐ準備するわ、時間かけてごめんね」
「まぁ30分あるんでゆっくりでも~」そう言おうと思ったが、脱衣室の飛びだが、ダンッと音を立てて閉まった。
「だいじょ…」とみるみるしぼんでいった。
することがない俺はスマホを見て、今日の講義の時間を見た。
「あー…11時からの講義なら行けるかな…?」
昨日午前中のレポを勉強していたときに今日の分のレポは終わっていた。
その確認しているとふと、時雨さんの顔が脳裏によきった。
「俺、昨日告白したんだよな?…返事貰ってないよな…」
昨日頭に血が登ってしまい、自分の言ったことを気にしていなかったが、俺は時雨さんのことが異性として認識して、好きになっていた。少しだけ時間がある今出てきたらその答えを聞こうと思った。
そんな事を思っていたら、脱衣所のところからブオーンというヘアーアイロンの音が聞こえた。
(もうすぐなんだよな…多分。)
ふと窓を見ると雨上がりの濡れた町並みが川を挟みこちらにギラッと光った。
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ー脱衣所にてー
(………)
私は髪を乾かしながら、無心になっていた。
じゃないと照れて顔がだらしなくなりそうだからだ。
(あの告白返信しないとよね…?)
昨日私は彼の認識をまた自覚した、してしまった。
私ははっきり言って好きだ。
だから、私の答えは…
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窓を見ていたら、服を着た時雨さんが前の椅子に座った。
「あの…」
そういいかけると彼女は分かっていたかのように顔を細めた。
しかし身体は震えていた。きっと寒いわけではないだろう…。
(きっと彼女は分かっているんだろうな…)俺もその震えには察しがついた。
「俺は昨日、貴方を異性として見ているといいました。
でも貴方から返事をもらってません、でも仕方ないと思います。あんな状況でしたし、だからもう一度いいます。
……時雨さん、こっち向いてください。」
そしたら恐る恐るこちらに顔を向けてきた、なぜか泣き出しそうな顔だが、俺はその言葉を口にする。
「時雨さん、貴方の事が好きです。俺と付き合ってくれませんか?」
その言葉を皮切りに見つめ合ったまま時間が過ぎる。
丁度残分が過ぎようとする前に彼女が口を開く。
「私も…好きです。夜嵐くんのことが…この上なくとても大好きです。」
俺は息を呑んだ。
「だからこそ、あなたとは付き合えません。私よりいい人はいます。
その人を大事にしてください。」
俺の脳に「…大事にしてください。」という言葉が響いた。
でも俺はあきらめが悪かった。それに後悔はない。
「俺は貴方が好きなんです。いい人?ふざけんな!それが俺にとっては貴方だ。…俺じゃだめなんですか?」
その言葉を言った途端、時雨さんはボロボロと泣き始めた。
(しまった、また強い口調で…。)
でもそれは杞憂だった。
「嬉しい…とっても嬉しいよ。」
「え?」
俺はよく聞こえなかった。
「あの…こんな私でいいんですか?」
その問の答えは決まっていた。
「貴方だからいいんだ。」
そう答えを返した。
時雨さんは、泣きながら俺に答えをくれた。
泣いて、そして笑って、「よろしくおねがいします。」と。
俺は涙を止めるように彼女を優しく抱きとめた。
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