62 / 151
必勝パターン
しおりを挟む
「……大きく出たものですね」
「まぁな」
そんなことを言いながらも、俺はきっちりと袖女から視線を離さず常に観察し続ける。少しでも目を離してしまえば何かしらのアクションを起こされることは必定。
だからここは観察する。俺のイメージでも何でもない、実体のある本物の袖女を。
……と、ここであることに気づく。
「……ん?」
(袖女の視線が変わった……?)
どちらかと言うと、俺を見つつもちらちらとバレないように見ようとしている感じ。視線からして俺の左側だろうか。
すると、俺にとって根本的なあることを思い出す。
(……忘れてた)
「……おーいハカセー居るかー?」
「チッ……ペッペッ、マスクの下から砂が入ってしもうたわ……んで?なんじゃ? ……争い事なら、ワシはオヌシらについていけんぞ」
「んなこと頼まねえよ……ほら、俺の左、左」
「ん? ……ああ、そういうことか」
そう言って、残り1個のスチールアイを使い……俺の落としたウルトロンを運ぶ。俺は袖女から視線をはずすことができないので、どんな遊び方をしているのかわからないがごろごろと転がっていく様な音から、ちゃんと運んでくれているのがわかる。
「……おいー伸太ーもう運び終えたぞー」
「サンキュー、ハカセ」
袖女は自分の狙いが言われたことに腹が立ったのか、苦虫を噛み潰したような表情でこちらを見ていた。
「おいおい、黒のポーンともあろうお方がなんて表情をしているんだ? しかも、敵を前にしてその敵に集中しないとはね~、神奈川とは、そんな奴でも上位になれるようなところなのか?」
「……ふん、むしろ助かりましたよ。戦闘中に奪うのではなく、あなたを殺し、あのペストマスクさんを捕まえてからウルトロンを奪う……よっぽど単純になりました」
「……これで、全力であなたに集中できる」
「女に集中してもらえるとは……うれしいね」
すると袖女はすぐさま正拳突きの構えを取る。そこにはもはや手抜きは感じられず、絶対に仕留めると言う意思が強く感じられる。
「……オーラッ!!」
袖女が拳を振りかぶる瞬間、普通ならば横に飛んだり、後ろに下がったりしようとするだろう。だが、それは一般的な平凡の動きだ。そんな行動をとるやつなんて袖女も見た事あるに決まっている。
……ならば、あえて……前に突っ込む!!
俺は足に反射を使い、袖女に向かって突っ走る。
「!?………パン」
袖女も多少驚いたようで、一瞬動揺の色が見てとれた。動揺の色が見えたと言う事は、同時に袖女はこの行動の意図が理解できていないと言う事だ。
そうであって欲しい。そうであってないと困る。でなければこの行動の意味がない。
一見、捨て身のような行動。だが、俺がそんな意味もなく突っ込むわけがないだろう。
俺と袖女の距離が半分まで来たところで遂に袖女がパンチを振り切る。
「チッ!!!」
その瞬間、俺は体に腕を巻き付け、闘力操作を行う。もちろん強化するのは全身。特に腕には特に強力な肉体強化をかける。そしてついに、その一撃が俺の腹にめがけて叩き込まれる。
……その時、俺はある疑惑を確信へと変えた。
(……やっぱりか)
さらに俺は、自分が思い描いていた理想の展開へと突入する。
「なんで……」
「なんで吹っ飛ばないんですかっ!!」
そう……吹っ飛ばない。通常、生き物と言うのはその体が耐えられない攻撃をもらうと、後ろに吹っ飛んでしまうものだ。
それは直す直さないではなく、そーゆーものなのである。
漫画でよくある、主人公が攻撃をくらったのに!!みたいな展開は、そもそもその主人公がその攻撃を耐えられる体にあっただけであって、直せたわけではない。
……ならば、なぜ俺の体がオーラナックルをくらっても吹っ飛ばなかったか。それは単純に、突っ込む直前のことにある。
俺はもともと、ジェット機並みの速度を出せる状態から、"真正面"に攻撃を受けたのだ。横から攻撃を受けたならともかく、そんな状態で真っ正面から攻撃を受けるとどうなるか。答えはまた単純、俺を動かそうとするエネルギーとオーラナックルによって作られたエネルギーが相殺するのである。さらにその際、体が2つのエネルギーが衝突する負担に耐えられる様に全身に闘力操作を注ぐことで、ノーリスクハイリターンで俺の得意な接近戦に持ち込むことができるのだ。
「ほらほら……もう近付いているぞ? いいのか?」
「まぁな」
そんなことを言いながらも、俺はきっちりと袖女から視線を離さず常に観察し続ける。少しでも目を離してしまえば何かしらのアクションを起こされることは必定。
だからここは観察する。俺のイメージでも何でもない、実体のある本物の袖女を。
……と、ここであることに気づく。
「……ん?」
(袖女の視線が変わった……?)
どちらかと言うと、俺を見つつもちらちらとバレないように見ようとしている感じ。視線からして俺の左側だろうか。
すると、俺にとって根本的なあることを思い出す。
(……忘れてた)
「……おーいハカセー居るかー?」
「チッ……ペッペッ、マスクの下から砂が入ってしもうたわ……んで?なんじゃ? ……争い事なら、ワシはオヌシらについていけんぞ」
「んなこと頼まねえよ……ほら、俺の左、左」
「ん? ……ああ、そういうことか」
そう言って、残り1個のスチールアイを使い……俺の落としたウルトロンを運ぶ。俺は袖女から視線をはずすことができないので、どんな遊び方をしているのかわからないがごろごろと転がっていく様な音から、ちゃんと運んでくれているのがわかる。
「……おいー伸太ーもう運び終えたぞー」
「サンキュー、ハカセ」
袖女は自分の狙いが言われたことに腹が立ったのか、苦虫を噛み潰したような表情でこちらを見ていた。
「おいおい、黒のポーンともあろうお方がなんて表情をしているんだ? しかも、敵を前にしてその敵に集中しないとはね~、神奈川とは、そんな奴でも上位になれるようなところなのか?」
「……ふん、むしろ助かりましたよ。戦闘中に奪うのではなく、あなたを殺し、あのペストマスクさんを捕まえてからウルトロンを奪う……よっぽど単純になりました」
「……これで、全力であなたに集中できる」
「女に集中してもらえるとは……うれしいね」
すると袖女はすぐさま正拳突きの構えを取る。そこにはもはや手抜きは感じられず、絶対に仕留めると言う意思が強く感じられる。
「……オーラッ!!」
袖女が拳を振りかぶる瞬間、普通ならば横に飛んだり、後ろに下がったりしようとするだろう。だが、それは一般的な平凡の動きだ。そんな行動をとるやつなんて袖女も見た事あるに決まっている。
……ならば、あえて……前に突っ込む!!
俺は足に反射を使い、袖女に向かって突っ走る。
「!?………パン」
袖女も多少驚いたようで、一瞬動揺の色が見てとれた。動揺の色が見えたと言う事は、同時に袖女はこの行動の意図が理解できていないと言う事だ。
そうであって欲しい。そうであってないと困る。でなければこの行動の意味がない。
一見、捨て身のような行動。だが、俺がそんな意味もなく突っ込むわけがないだろう。
俺と袖女の距離が半分まで来たところで遂に袖女がパンチを振り切る。
「チッ!!!」
その瞬間、俺は体に腕を巻き付け、闘力操作を行う。もちろん強化するのは全身。特に腕には特に強力な肉体強化をかける。そしてついに、その一撃が俺の腹にめがけて叩き込まれる。
……その時、俺はある疑惑を確信へと変えた。
(……やっぱりか)
さらに俺は、自分が思い描いていた理想の展開へと突入する。
「なんで……」
「なんで吹っ飛ばないんですかっ!!」
そう……吹っ飛ばない。通常、生き物と言うのはその体が耐えられない攻撃をもらうと、後ろに吹っ飛んでしまうものだ。
それは直す直さないではなく、そーゆーものなのである。
漫画でよくある、主人公が攻撃をくらったのに!!みたいな展開は、そもそもその主人公がその攻撃を耐えられる体にあっただけであって、直せたわけではない。
……ならば、なぜ俺の体がオーラナックルをくらっても吹っ飛ばなかったか。それは単純に、突っ込む直前のことにある。
俺はもともと、ジェット機並みの速度を出せる状態から、"真正面"に攻撃を受けたのだ。横から攻撃を受けたならともかく、そんな状態で真っ正面から攻撃を受けるとどうなるか。答えはまた単純、俺を動かそうとするエネルギーとオーラナックルによって作られたエネルギーが相殺するのである。さらにその際、体が2つのエネルギーが衝突する負担に耐えられる様に全身に闘力操作を注ぐことで、ノーリスクハイリターンで俺の得意な接近戦に持ち込むことができるのだ。
「ほらほら……もう近付いているぞ? いいのか?」
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
新人神様のまったり天界生活
源 玄輝
ファンタジー
死後、異世界の神に召喚された主人公、長田 壮一郎。
「異世界で勇者をやってほしい」
「お断りします」
「じゃあ代わりに神様やって。これ決定事項」
「・・・え?」
神に頼まれ異世界の勇者として生まれ変わるはずが、どういうわけか異世界の神になることに!?
新人神様ソウとして右も左もわからない神様生活が今始まる!
ソウより前に異世界転生した人達のおかげで大きな戦争が無い比較的平和な下界にはなったものの信仰が薄れてしまい、実はピンチな状態。
果たしてソウは新人神様として消滅せずに済むのでしょうか。
一方で異世界の人なので人らしい生活を望み、天使達の住む空間で住民達と交流しながら料理をしたり風呂に入ったり、時にはイチャイチャしたりそんなまったりとした天界生活を満喫します。
まったりゆるい、異世界天界スローライフ神様生活開始です!
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜
Open
ファンタジー
就活浪人生に片足を突っ込みかけている大学生、本田望結のもとに怪しげなスカウトメールが届く。やけになっていた望結は指定された教会に行ってみると・・・
神様の世界でも異世界転生が流行っていて沢山問題が発生しているから解決するために異世界に行って転生者の体の一部を回収してこい?しかも給料も発生する?
月給30万円、昇給あり。衣食住、必要経費は全負担、残業代は別途支給。etc...etc...
新卒の私にとって魅力的な待遇に即決したけど・・・
とにかくやりたい放題の転生者。
何度も聞いた「俺なんかやっちゃいました?」
「俺は静かに暮らしたいのに・・・」
「まさか・・・手加減でもしているのか・・・?」
「これぐらい出来て普通じゃないのか・・・」
そんな転生者を担ぎ上げる異世界の住民達。
そして転生者に秒で惚れていく異世界の女性達によって形成されるハーレムの数々。
もういい加減にしてくれ!!!
小説家になろうでも掲載しております
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる