上 下
19 / 151

幕間 ???

しおりを挟む
 東京のとある場所の1室、薄暗い空間の中には丸い机が用意され、それを取り囲むように4つの椅子にそれぞれ人が座り込んでいる。

 その中の1人の男が席を立ち他の3人に話しかける。

「皆様お集まりいただき誠にありがとうございます。ただ今より、毎月行われる定期会議を行いたいと思います」

 この男を司会にしてこの4人は何か話し合いを行うようだ。
 そんな中1人の1人がそっと手を挙げる。

「どうぞ」

 司会の男がそう言うと手を挙げた男は話し始める。

「東京派閥の財政が厳しくなってきている点について少し話をしたい」

 そう言うと他の3人は呆れたような顔をしてその中の1人が言葉を出す。

「ちょっと、それは前の会議でも話したでしょう。そこで保留と決まったはずです。なぁに本当に厳しくなればわが東京派閥の戦力でそこら辺をつつけば勝手に相手が降伏してお金を出してくれますよ。」

「その楽観的思考、甘いですよ? いつまでも我々が絶対的強さを持っているとは限らない。最近では主要都市を持っていない派閥でも有力なスキル持ちが生まれてきています」

 どうやら何度もこの話題について触れてきているようで、2人は軽い論争を始める。

「だからこそ今は金を戦士たちに注ぎ込み、戦力を強化するべきでしょう。確かに東京派閥のバブルはもう落ち目かもしれないですがまだはじけてはいません。時が経ったとはいえ東京派閥の強さは未だ健在、このままいけば神奈川派閥や北海道派閥、福岡派閥どころか大阪派閥すら上回る最大派閥に成長するはずです」

「それをしている間に民間人が苦しい思いをしては意味がないでしょう。さらに派閥を取り込んだところで戦争で出るお金には限度があります。そんな破滅的な方法で東京派閥が維持できるとは到底思えません。戦争することに批判するつもりはありませんが一旦ここは足並みを揃え民間人の生活を守りつつ領土を広げていくべきです」

 ああ言えばこう返す。そう言えばああ返すの千日手、こんなのがずっと続いていると……


「その話題はもういいでしょう」

 司会の男が急に言葉を入れてくる。

「それでは――「お静かに」……」

「それは次の会議に移しましょう。そろそろこの会議の本題について話したい」

 他3人の空気がぐっと真剣なものに変わる。みんなその話題については話し合いたいようだ。

「それでは今回の本題……田中伸太の部屋の見張りの殺害について話しましょう」

 そう言うと1人の男が意見を述べる。

「単に偶然では無いのかね? 快楽殺人者の犯行とかでは無いのか?」

「それではわざわざ深夜に殺しにかかってきた理由がわかりません。少なくともその場で思いついての犯行ではないでしょう」

「誰かの計画的な殺人か?」

「その線が1番濃いですね」

 話し合っていく中で4人の中の1人が一石を投じた。

「そういえば……本部の職員の話ですが、トランシーバーの奥からは田中伸太くんそっくりの声がしたらしいですよ?」

「……それは本当か?」

「ええ、本部の人間なので嘘をつくメリットは1つもないかと思われます」

「そうなると本人の犯行の線も見えてくるな……」

 限りなく正解に近くなっていくがその時4人の中の1人が言葉を発する。

「そういえば……『器』の状態はどうだ?」

 発言する。

「正直なところ言うと……かなり不安定な状態になってきています……栄養失調や精神状態の不調も現れてきているようです」

「…………」

「確かに困るが……まだまだ『器』は若い、これからすぐに修復してくるだろう。そこまで気にすることもあるまい」

「……それもそうですね」


 そう言って、男たちの会議は続いていく……



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~

有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。 主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

親友に彼女を寝取られて死のうとしてたら、異世界の森に飛ばされました。~集団転移からはぐれたけど、最高のエルフ嫁が出来たので平気です~

くろの
ファンタジー
毎日更新! 葛西鷗外(かさい おうがい)20歳。 職業 : 引きこもりニート。 親友に彼女を寝取られ、絶賛死に場所探し中の彼は突然深い森の中で目覚める。 異常な状況過ぎて、なんだ夢かと意気揚々とサバイバルを満喫する主人公。 しかもそこは魔法のある異世界で、更に大興奮で魔法を使いまくる。 だが、段々と本当に異世界に来てしまった事を自覚し青ざめる。 そんな時、突然全裸エルフの美少女と出会い―― 果たして死にたがりの彼は救われるのか。森に転移してしまったのは彼だけなのか。 サバイバル、魔法無双、復讐、甘々のヒロインと、要素だけはてんこ盛りの作品です。

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

処理中です...