三国志シリーズ

氷室龍

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飛将の忘れ形見

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張遼と呂布の娘・呂玲綺のお話
完全に妄想ですのであしからず

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許昌・張文遠邸。奥の練武場から剣戟の音が響く。一人の武将が若い娘に稽古をつけていた。彼は丞相・曹操の家臣で、姓を張、名を遼、字を文遠という。
今、彼が稽古をつけているのは娘の玲綺れいき。といっても、実の娘ではない。その昔仕えていた男の忘れ形見だ。玲綺の実父の名は呂布。あの裏切りばかりを繰り返し、最後はみっともなく命乞いをした男。だが、張遼は知っていた。あの呂布がなぜあそこまで命乞いをしたのかを……。

『文遠、俺はどんなことをしても生き抜く。たとえ、どんなに罵られようともこの子のためならば甘んじて受ける』

そういって最後の戦いに身を投じた。だが、敗戦が濃厚と見るや彼は自分にこう告げた。

『おそらく、俺が生き残ることはないだろう。それでも最後まで足掻くつもりだ。だが、それも叶わなかったその時は玲綺のことを頼む』

そう言い残してその男は、呂布は刑場の露と消えた。あれからどれほどの時が過ぎたであろうか。かの娘は美しく成長した。玲綺は呂布と貂蝉との間に生まれた娘だった。成長するごとにその面立ちは母に似ていく。だが、その中身はどんどん実父にいていくが……。

「玲綺、今日はここまでだ」
「はい、お父様」

玲綺は戟を片付け始める。誰に教わったわけでもなく、父が使っていた獲物を手に取り、使いこなすようになった。気づけば、そこいらの若者など太刀打ちできないほどの腕前となっていた。故に張遼は頭を悩ませる。このままいくと、嫁の貰い手がないからだ。

(どうしたものか……)

そう思っていたところ、馬の嘶きでハッとさせられる。顔を上げると玲綺が一頭の駿馬にまたがっていた。

「玲綺?」
「少し、無双を走らせてきます」
「なっ」
「この暑さでイライラしているようなのです」

そういうが早いか、手綱を捌き、あっという間に屋敷の門を飛び出していった。後に残った張遼は頭を抱えるよりほかなかった。

「相変わらずのおてんばぶりだな」
「夏候惇殿」
「見目麗しく育ったが、あの中身では……」
「それ以上、言わんでくだされ」
「はは、そなたも苦労するな」
「致し方ありませぬ。頼まれてしまったのですから」
「相変わらず、律儀なことだ」
「夏候惇殿?」
「あの様子では嫁の貰い手はあるまい」
「……」
「張遼、いっそのこと自分のものにしてはどうだ?」
「!!!」
「孟徳の言う通り、何も知らぬ娘を自分色に染めるのはなかなかに楽しいぞ」

夏候惇はニヤリと口の端を挙げている。張遼は目を瞠ったが、つい最近この男が若い未亡人を自分の妻として娶ったことを思い出す。

(変われば変わるものだな。あの忠義者の堅物と呼ばれていた夏候惇殿がこのようなことをおっしゃるとは)

「ところで何か御用があったのでは?」
「うん? 大したことではない」
「と言われると?」
「忠告に来ただけよ」
「忠告?」
「そなたの娘、気をつけねば孟徳に目をつけかねられん」
「は?」
「ヤツは気色の変わった女を好む」
「むぅ」
「それだけではない。子桓のほうも物珍しがって近づこうとしているようなのだ」

子桓とは曹操の嫡男・曹丕の字だ。まさか父子揃って玲綺に目をつけるとは思いもよらなかった。張遼の眉間の皺がさらに深くなる。ポンと肩に手を置いて苦笑する夏候惇。

「確かに忠告はした。どうするかはそなた次第」

夏候惇はそれだけ言い残し、自邸へと帰って行った。取り残された張遼はどうすべきか途方に暮れる。それから、夕餉もそこそこに張遼は自室に籠もる。昼間聞いた夏候惇の忠告にどうすべきか思案するが、妙案は浮かんでこなかった。
どれほどの時が過ぎたであろう。既に夜の帳はおり、辺りは闇に包まれていた。
すると、厩の方から嘶きが聞こえてくる。

「あれは無双の嘶きか?」

玲綺が戻ってきたのだ。すぐに厩に向かう張遼。だが、声を掛けることができず、息を呑みその場に立ち尽くす。彼が見たのは襦袢姿となって無双と水浴びをしながら戯れる玲綺の姿。その姿は月明かりに照らされ、まさしく天女のようだった。そして、水に濡れ体に張り付いた襦袢は彼女の体の線をくっきりと浮かび上がらせている。その瞬間、張遼の中にあった『理性』という名の最後の砦はガラガラと崩れ去った。
そして、頭の中で繰り返されるのは夏候惇の『何も知らぬ娘を自分色に染めるのはなかなかに楽しいぞ』との言葉だった。張遼はもはや玲綺のことを『我が子』として見ることはできなかった。

「お父様?」

無双を厩に戻し、振り返ると張遼が立っていた。その瞳に獰猛な雄のの輝きを見て、玲綺は身構える。だが、相手は百戦錬磨の将軍だ。あっという間に捕らえられ、その腕の中に引き寄せられる。突然のことに混乱する玲綺。それをよそに張遼は顎に手をかけ無理矢理に口づける。

「!!!」

余りのことに目を見開き、抵抗する玲綺。だが、張遼に一瞬の隙を突かれ舌をねじ込まれ口腔内を蹂躙されるうちにその甘い痺れに溶かされていく。やがて、答えるように張遼の背に腕を回し、おずおずと舌を絡めてくる。張遼は一度その唇を離すと、二人の間には銀の糸ができる。

「きゃっ!」

張遼は玲綺を横抱きにして歩き始める。

「お、お父様?」
「文遠だ」
「え?」
「今宵から私は其方の養父ちちではない」

それが何を意味するか、玲綺は分からぬほど子供ではなかった。『父』慕い憧れていた目の前の男が自分を『娘』ではなく『女』として見ているのだと。玲綺の心は歓喜に沸いた。そうして連れていかれたのは張遼の寝室だった。そのまま寝台に降ろされ、組み敷かれる。

「玲綺……」
「おと……、文遠、様」

張遼は自分の名を呼ばれ、目を細める。そして、自身の着物を脱ぎ捨て、玲綺に覆い被さると無遠慮に襦袢を剥ぎ取る。露わになった双丘の頂の赤い実にしゃぶりつき、舌で転がす。突然与えられた刺激に身を固くする玲綺。思わず漏れた喘ぎは張遼を刺激するだけだった。張遼は舌を徐々に下へと這わせ、足を開かせると誰にも触れられたことがないであろう、繁みに指と舌を這わせる。

「あぁぁ。だ、ダメ。そ、そこは……」
「何がダメなのだ? 玲綺のここは欲しがるように蜜を零しているぞ」

そう言って、張遼は繁みの奥に隠されて秘裂に舌を這わせ、舐め上げる。その刺激に耐えかね背を仰け反らせる玲綺。それに気を良くして、今度は探り当てた花芯を強く吸い上げる。

「はぁぁぁぁん!!」

甲高い嬌声とともに玲綺が達した。だが、張遼はそれでは満足せず、秘裂を押し広げ蜜壺に指を差し込む。その間も花芯を舌で嬲り続け、何度も頂点に押しやる。そうして、玲綺の隘路をほぐし、頃合いを見計らって己の熱杭を一気に押し込んだ。

「くっ」

そこはとても狭く、キツイ。腹に力を入れていなければ簡単に搾り取られそうだった。それでも何とか堪え、抽挿を始める。始めて受け入れた『男』に敷布を握りしめて苦悶の呻きを上げていた玲綺だったが、徐々に甘い響きが混じるようになる。

「玲綺、分かるか?」
「あ、んぁ!!」
「今、我らは一つになっている。お前の中を私が蹂躙しているのがわかるか?」

そう言って奥を強く穿つと玲綺の背が跳ねる。と、同時に甘い喘ぎが上がる。もはや玲綺は言葉を紡ぐことはできなかった。代わりに体で答える。与えられる快楽に貪欲に答える玲綺の中は突き入れられた熱杭を締め付け奥へ誘うように蠢いた。その蠕動に抗うのは無理と判断し、抽挿を速める。室内に響き渡る玲綺の嬌声と張遼の荒い息遣い、そして肉のぶつかる音。そして、再び絶頂を迎える玲綺。それと同時に張遼は己の熱を解き放つ。
その熱に侵食される中、玲綺は今までにない幸福の中にいた。
張遼はその額に優しい口付けを落とす。二人はそのまま抱きしめ合い、深い眠りの淵へと落ちていった。



翌朝、目が覚めると玲綺は張遼にしっかりと抱きかかえられていた。起き上がろうと身を捩るが、鍛えられたその逞しい腕から逃れることなどできなかった。

「起きたのか?」
「ぶ、文遠様?」
「もう少し寝ておれ」
「で、でも……」
「無理をするな」
「なら、このまま抱きしめてくださいますか?」
「勿論だ」

そう言うと、張遼は強く引き寄せる。その温かい胸板に顔を押し付ける玲綺。幸福の余韻に浸る二人だった。

その後、この年の離れた二人が男女の仲になったとの噂はあっという間に広まり、あの父子の興味はあっさりと削がれたのだった。それを一人ほくそ笑むのは同じく若い妻を娶った夏候惇だったのは言うまでもない。


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