【改稿版】十六夜はカクテルの香り

氷室龍

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本編

Hunter~予期せぬ出来事~

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Hunter~予期せぬ出来事~

潤は再び小鳥の囀りで目覚める。昨日と違うのはその腕の中に柔らかな温もりがあることだ。愛おしいその温もりである真央の体をもっと味わいたくて強く抱き寄せる。

「ん……」

真央がそれに反応して寝返りを打つ。そんな彼女の額に口づける潤。

「おはよう」
「おはよう」

真央が体をすり寄せてくる。真央の匂いに潤は刺激される。下腹部に血が集まるのを感じずにはいられなかった。

「潤?」
「悪い。我慢出来そうにない」
「え?」

潤は覆い被さるように真央を組み敷く。真央の足を開かせ体を割り込ませる。昨夜の名残で真央の蜜壷は簡単に楔を迎え入れる。

「あんっ」
「気持ちいい?」
「やっ、まだ、朝……」
「でも、真央のここはもっとっていってるよ」

潤はそう囁きかけ、激しく腰を打ち付ける。真央の体はその度に跳ねる。遂には押し寄せる快感の波に飲み込まれ嬌声を上げる。潤はここぞとばかりに真央の最も感じる場所を穿ち続けた。

「潤、やぁっ、もう……」
「ああ、いいよ。イって」

真央は意識を飛ばし、白い世界に落ちていった。肉壁が潤を絡め取り、締め上げる。それに抗うことなく白濁を注ぎ込む。



「なぁ、そろそろ機嫌直せよ」
「知らない」

真央はムッとして黙々と箸を動かす。潤はそれを盗み見ながら眉を下げている。
あのあと、更に真央の体を貪った潤は怒らせてしまった。なんとか機嫌を直して貰おうと甲斐甲斐しく世話を焼いたのだが未だ許して貰えていない。

(どうするべきか……)

真央は無言のまま食べ終わると片付け始める。その後ろ姿を眺めながら潤はどうすべきか悩む。だが、良い案が浮かぶはずもない。ふと、従兄の言葉が蘇る。

『たまには当たって砕けてみろ。意外と良い方に転ぶもんだぞ』

潤は一度深呼吸をしてから真央に声を掛ける。

「ごめん……」
「一緒に片付けるから潤のも持ってきて」

真央は潤の謝罪には答えずそう告げる。潤は二の句が継げずにその場に佇むしか出来なかった。黙々と洗い物をする真央はそんな潤の姿を横目に見る。叱られた子犬よろしくシュンとなっている潤の姿がそこにはあった。

「私、一つ困ってることあるの」
「え?」
「三階に空き部屋があって、そこの整理したいの。手伝ってくれる?」
「ああ、勿論」

潤は漸く許してもらえるきっかけを貰え、喜び勇んで請け合う。そして、すぐに後悔することになるのだった。



「真央、これはどこにしまえばいい?」
「それはヨーロッパの建築建築関係だから、左の奥の棚へお願い」

案内された部屋には大量の書籍が平積みになっており、それを壁一面に設置された本棚に納めなくてはならない。しかも、建築関係以外に洋酒関係の書籍が混ざっているためそれを整理しながらの作業は知識のない潤には大変な作業だった。

「本を箱に詰めるの明日香ちゃんに手伝って貰ったんだけど……」

真央は肩をすくめながら苦笑いを浮かべている。その先に続く言葉は言われずともわかった。明日香は昔からゲームが得意だった。恐らく、パズルを組み合わせるように本の種類を確認せずに詰めたに違いない。綺麗に詰め込んで満足している顔が簡単に想像出来る。

(あの、馬鹿は……)

「本を戻すときも手伝って貰う予定だったんだけど……」
「アイツ、約束を守らなかったのか?」
「そうじゃなくて……」
「?」

真央は言いにくそうにしているのを潤は怪訝な様子で見つめる。すると、苦笑いと共に告げる。

「彼氏が離してくれないんですって」
「なんだ、それ?」
「えっと、つまりね。その……。休日はベッドから……」

少し恥ずかしそうに尻すぼみに呟く真央。意味を理解したがそれ以上に妹をそんな風に囲い込む男がいたことが驚きだった。

「いつの間に……」
「最近になって両思いになったそうよ」
「へぇ」

潤はどう反応して良いかわからずに適当に頷くのだった。それから、2時間ほど掛けて漸く半分ほどをしまい終える。

「残りはまた後日にしましょう」
「いいのか?」
「でないと、日が暮れちゃうし」
「それもそうだな」

二人で部屋を出ようとしたところで真央が本に躓き、倒れそうになる。潤はとっさに抱き寄せるが二人して床に転がってしまった。

「イタタ……]
「大丈夫?」
「ああ。たいしたことない。真央は?」
「潤がかばってくれたから大丈夫よ」

抱き合うような状態で見つめ合う二人。どちらともなく唇が重なる。軽く触れるだけだったそれは徐々に濃厚さを増していく。潤の手が不埒に真央の背中を這う。

「ダメ……」
「なんで?」
「汗、かいてるし……」
「俺は気にしないけど?」
「私が嫌なの」
「じゃ、シャワーを浴びようか」

そういって潤は真央をバスルームへと連れ込む。再び口付けを交わしながら剥ぎ取るように服を脱がせていく。一位と纏わぬ姿となった真央の胸元にはあのペンダントが光る。それに触れながら顔をほころばせる潤。

「このペンダント、ちゃんとしてくれているんだ」
「うん」
「ありがとう」 

潤ははめ込まれたエメラルドに口付けを落とす。そして、そのまま体をずらし、真央の柔らかな双丘を揉みしだきその頂の赤い実にしゃぶりつく。

「あんっ」
「真央、気持ちいい?」
「うん」

その返事に満足して潤は片手を脇腹からかの太腿へと這わせる。そして、蜜口に指を這わせた。真央の体がビクリと跳ね、甘い吐息が漏れる。ゆっくりと上下に撫でてやると奥から蜜が溢れて指を濡らしていく。『もっと気持ちよくさせたい』そう思った潤は舌を這わせ蜜口の上にある花芯に吸い付く。

「やぁぁぁっ!」

悲鳴にも似た喘ぎを上げ、潤の頭を両手で押さえつける。それは感じている証拠。だから、潤は蜜口に指を入れて奥をかき混ぜ始める。同時に花芯を舐め上げては強く吸った。やがて、真央は立っていられなくなったのだろうか、太腿がプルプルと震え始めた。

「潤。もう……」
「ツラい?」
「うん……」
「わかった。じゃ、壁に手を突いてこっちにお尻向けて」

真央は言われるままに壁に手をつき、お尻を潤に向ける。潤はそれを鷲掴みにして自らの硬く勃ち上がった肉棒を挿入した。

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「くっ」

それだけで真央は軽くイく。中がギュッと締め付け、まるで子種を強請るように蠢く。潤は額に汗を浮かせ、眉を寄せ必死に吐精感をやり過ごす。そして、ゆるゆると抽挿を始める。ギリギリまで引き抜き、一気に奥まで穿つ。それを繰り返しながら、徐々にスピードを上げていった。
バスルームという声の響く特殊な場所での行為は互いを興奮させるのには十分だ。真央は普段からは想像できないほどに乱れ、はしたなく甲高い喘ぎを漏らす。潤もいつもの紳士然とした御曹司の顔はどこにもない。ただ、快楽を貪り、獣のように激しく腰を打ち付ける。

(やっぱり真央は最高だ)

そう思うと腰の動きを止めることは出来なかった。真央を高みに押し上げるべく奥を強く穿つと呆気なく真央はイッた。一拍遅れて潤もその白濁を中に解き放つ。崩れ落ちそうになる真央を抱き寄せ、顔だけを振り向かせて唇を重ねる。肉棒はまだドクドクと白濁を放ち続ける。それを一滴も無駄にしないように数度抽挿を繰り返し、奥へと注ぎ込んだ。

「真央、ベッドへ行こう」

力を失った肉棒を引き抜くと、真央を抱き上げ寝室へと運ぶ。ベッドに降ろすと、そのまま押し倒し挿入する。真央はシーツに手を這わせて快楽の波をやり過ごそうとするが、潤はそうはさせまいと激しく穿つ。室内には真央の絶え間ない喘ぎと潤の荒い息遣い、ベッドの軋む音、そして淫靡な水音がしばらく響き渡った。

「真央、真央。まだ、いいか?」
「あっ、はっ、やぁん……。も、もう、無理……」
「悪い、俺、とまれない」

潤は真央の体を抱き上げ対面座位となる。繋がりが深くなったせいか、真央は悲鳴に似た喘ぎを上げ、潤にしがみ付いた。やがて二人は同時に絶頂を迎える。そのままベッドへと倒れ込み、しばらく二人の息を整える呼吸音だけが室内に響いたのだった。



「もう、無理。少し寝かせて」
「俺も流石にこれ以上は出ない」

潤は力をなくした肉棒を引き抜くと、真央の横に寝転がる。そして、彼女を抱き寄せ口づけを交わす。二人は微笑み合い、そのまままどろみの海へと漕ぎ出した。互いに取り戻した幸せをかみしめるかの如く、その手は強く握られていたのだった。

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