永久就職しませんか?

氷室龍

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第6話

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後半での会話は【】が英語で、[]がイタリア語です。
すみません。
氷室は語学力ないので脳内補完でお願いします。m(__)m
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第6話

約束の金曜日、いつもより早めに起き朝食をとる。

「どうする? 車出そうか?」
「ううん、駐車場とか困るから電車でいいです。」
「薫がそれでいいなら俺は構わん。」

交通手段が決まれば自ずとデートコースも決まっていく。
まずは本来の目的である薫の戸籍謄本を貰うため市役所に赴く。
そのあとみなとみらいのショッピングモールに行くことにした。

「じゃ、ランチは赤レンガ倉庫でとるか?」
「あ、はい、それでいいです。」
「そのあとはベタだが山下公園と中華街か…。」
「うん、楽しみ。」
「あ~、その…。」
「輝臣さん?」
「今夜は夜景の見えるホテル取ったから…。」
「それって…。」
「たまには違う雰囲気を味わうのもいいかと思って、な。」
「輝臣さんのエッチ…。」
「今更だろ?」
「もう…。」

こうして二人の初めてのデートは始まった。
目的の戸籍謄本はそれほど待たずに手に入れることができた。

「ふぅ、意外と早く終わりましたね。」
「そうだな。 あとはデートを楽しむか。」

そう言って二人で笑いあい手を繋ぐ。
指を絡ませあう、いわゆる恋人繋ぎだ。
始め薫は恥ずかしがっていたが、しばらくすると慣れたようだった。
伊達が楽しそうに笑う。
その笑顔は少年のようにキラキラしていて釣られて薫も笑顔になった。
ショッピングモールを抜け、赤レンガ倉庫へと歩を進める。
ちょうどいい時間帯になっていたので予定通りそこでランチを取った。
そのあとは山下公園を抜け、中華街を散策した。
そこで立ち寄ったのは関帝廟。

「ここが関帝廟か…。」
「そうです。 華僑たちが建てたんですよ。
 関帝聖君は商売の神ですからね。」
「三国志随一の武将が商売の神とはな…。」
「関雲長は義の人ですからね。 民衆に人気があるんです。」
「一緒に祭られてるのは…。 養子の関平と部下の周倉か。」
「そうです。 ただ周倉は架空の人物で演義にしか出てきませんけどね。」
「薫は詳しいな。」
「祖父の影響です。」
「お爺さんの?」
「はい。 祖父は主にその時代の研究をしてましたから。」
「そうか。 それで史学部に?」
「少なからず影響はありましたよ。
 尤も志望動機はもっと不純なものでしたけど。」
「どういう意味だ?」
「秘密です。」

薫は悪戯っぽく笑う。
伊達はいい気はしなかったが、薫から腕を組まれたのでそれ以上のことは聞かないことにした。

「そのうち教えてほしいな。」
「そうですね。 修士課程が修了したら教えます。」
「それはまた随分先の話だな。」
「それ位の秘密なんです。」
「分かったよ。」

二人は関帝廟を後にした。
その後も中華街を散策する。
異国情緒あふれるそこは二人を日常から解放し、時が経つのをを忘れさせる。
気づいた時には西の空が茜色に染まり始めていた。

「ディナーなんだが、薫は牡蠣は平気か?」
「ええ、好きですよ。」
「それはよかった。」
「輝臣さん?」
「シゲに美味しいオイスターバーを紹介してもらったから。
 今の時期は岩手の岩牡蠣が美味いんだ。」
「それは楽しみです。」
「シゲもハルも舌が肥えてるから安心しろ。」
「はい。」

伊達は重綱から紹介されたオイスターバーに薫を案内した。
そこは青を基調にしたレストランで店内はジャズが流れていた。
二人はそこで思う存分牡蠣を堪能する。

「牡蠣って冬が旬だとばかり思ってました。」
「通常はな。 でも、岩牡蠣は逆に夏の今が旬なんだ。」
「そうなんですね。」

二人の会話は弾んだ。
いつも以上に楽しいひと時を過ごした。
そして、伊達のエスコートで案内されたのは美しい夜景を見下ろすラグジュアリーホテルのスイートルーム。

「はぁ、キレイ…。」
「気に入ってくれたか?」
「勿論。」
「じゃ、先にシャワー浴びておいで。」
「いいの?」

薫が驚いた顔をしている。
いつもなら伊達が強引にバスルームに連れ込むからだ。
どうやら、それが当たり前になっているらしい。

「今日は初めてのデートだっただろ?」
「うん…。」
「最後にサプライズを用意してるんだ。
 だから、その準備をさせてくれ。」
「輝臣さん…。 わかった。」

薫がバスルームに消えたのを確認して、伊達は準備を始める。
照明を落とし、ルームサービスでシャンパンを頼む。
あらかた準備が終わったころ、薫が出てくる。
入れ替わりに伊達がバスルームへと消える。
いつもと違う雰囲気に薫は落ち着かないが、窓から見える美しい夜景に見とれてしまう。
横浜で育った薫にとって見慣れたはずの街並みがその顔を変える夜景は幻想的に映った。
まして、こんな高いところから見下ろす夜景は初めてで見入ってしまった。

「やっぱりキレイだなぁ…。」
「俺にとっては薫の方が何倍もキレだがな。」
「て、輝臣さん?!」

いつの間にか伊達が出てきて、後ろから薫を抱きしめた。
薫はすっぽりと伊達の体に収まっている。
いつもより甘さを感じて薫は心臓が跳ねあがる。

「シャンパンを用意したんだ。 この夜景には似合うだろ?」
「輝臣さん、今夜はどうしたんですか?」
「どうって?」
「いつもと違う。」
「何が?」
「いつもより、甘い…。」
初めて・・・のデートだから。」
「馬鹿…。」

自然と二人は唇を重ねる。
いつもの伊達なら舌を入れ、貪るように味わうのだが今夜はそうはしなかった。
すぐに離れた唇に薫は物足りなさを感じ少し不満な表情をする。
伊達は苦笑して、額に口付けを落とした。

「そんな顔をするな。」
「でも…。」
「今夜は思い出に残る夜にしたいんだ。」
「輝臣さん?」

伊達はグラスにシャンパンを注ぎ、薫に渡す。
それを受け取った薫はグラスを合わせ、一気に飲み干す。

「薫、漢前過ぎ。」
「そう?」
「何で、一気に飲み干す?」
「う~~~ん、シャンパンっていっつもこんな感じに飲んでるけど。」

薫が首を傾げて、キョトンとしてる。
伊達は肩を竦めるしかなかった。
そして、空になったグラスを受け取り、腰に手をやり引き寄せる。
今度はいつものような濃厚なキス。
薫が喜んでいるのがわかる。
積極的に舌を絡めてその先を求めてくる。

「薫…。」
「輝臣さん、シテ…。」
「仕方ないな。」

伊達は薫のバスローブを脱がす。
手を足の付け根に這わせばそこは既に潤っており、待ち構えているようだった。
伊達は自身を宛がい、一気に貫く。
薫はその衝撃に耐えるかのように伊達の首に腕を回した。
密着が強くなり、伊達は堪らなくなる。
薫の臀部を鷲掴みにし、駅弁スタイルとなって激しく穿つ。
薫は与えられる快楽の波にその身を委ね、ただただ嬌声を上げる。
薫が達するのにそう時間はかからなかった。
つられるように伊達も白濁を解き放つ。

「ベッドにいくか?」
「うん…。」

そのままベッドへとなだれ込む。
もはや伊達の理性は焼き切れていた。
あとは本能の赴くままに薫を貪る。
薫もそれを望んでいるのだから遠慮する必要はなかった。
あとはいつものように深く穿ち、何度もイかせるだけ。
既に薫のいい所は知り尽くしている。
故にそう難しいことではなかった。
気が付けばいつも通り、三度目の吐精をしていた。

「はぁ…。」
「輝臣さん?」
「結局、いつもと同じか…。」

伊達は自己嫌悪に陥っていた。
結局は薫の体に溺れてしまったから…。
だが、薫にとってはそれの方が当たり前のことで自分を求めてくれる伊達の行為に喜びを感じている。
それがわかるだけに複雑な思いでいっぱいになる。

「もっと雰囲気を楽しんでもらいたかったんだがな。」
「十分楽しめたよ。」
「そうか? 俺としてはまだまだと思ったんだが。」

そんな伊達の胸板に顔を埋め、抱きしめてくる薫。
それが意思表示と分かり、伊達はその肩を優しく抱き寄せる。

「輝臣さん、素敵なデートをありがとう。」
「薫…。」

その夜、二人はそのまま抱き合って深い眠りについた。

****************************************************************

あれから数日が過ぎ、8月となった。
そんなある日、薫のもとにクレアからメールが届く。
来日の日程を知らせるメールだった。

「輝臣さんにお願いがあるんだけど…。」
「お願い?」
「11日に車、出してもらっていい?」
「11日? 薫の誕生日か…。」
「えっと、こないだ連絡くれたアメリカの友人が11日に来日するって…。」
「迎えに来いと?」
「弟から輝臣さんのこと聞いたみたいで…。 多分、値踏みされると思う。」
「値踏み?」
「うぅぅぅ…。」
「薫?」
「輝臣さん、こないだ私が大学受験の動機云々話したの覚えてます?」
「不純な動機とかって言ってたあれか?」
「はい。」
「それがどうした?」
「クレアはそれ知ってるんです。」
「ほう、俺には話せないといったのに?」
「だって、恥ずかしいから…。」
「恥ずかしい?」
「オープンキャンパスで素敵な人に出会って、その人にもう一度会いたいから日本に残って大学受けるって、そう宣言したんです。」
「は?」
「だ、だから! オープンキャンパスの日。
 て、輝臣さんに助けてもらって…。 もう一度会いたいって思ったんです。」
「そ、それって…。」
「そうです。 輝臣さんに会いたくて受けたんです。」

薫は顔を赤くして俯く。
伊達はその様子を呆然と見ていたが、やがてじわじわと熱が広がるように心が温かくなる。
気づけば、薫を抱き寄せて、額にキスを落としていた。
そして、薫を横抱きにして寝室へと運ぶ。

「輝臣さん?」
「そんな嬉しいことを言われたら我慢できん。」
「はい?」

伊達は有無を言わせずベッドに押し倒し、薫を啼かせたのは言うまでもない。
結局、薫が解放されたのは夕方近くだった。

「輝臣さん、盛り過ぎです。」
「薫があんな可愛いこと言うからだ。」
「そういうの責任転嫁っていうんですよ。」
「そうかもな。」
「もう…。」
「で、11日の何時に着くって?」
「羽田に13時って。」
「そうか、なら大丈夫だな。」
「何が大丈夫なんですか?」
「婚姻届。 11日に出すって決めただろ?」
「ホントに11日に出すんですか?」
「薫の誕生日だからな。 嫌なのか?」
「嫌、じゃないんだけど…。」
「けど?」
「クレアに絡まれる。」
「どっちにしても、指輪してるから突っ込まれるはずだ。
 だから、薫は開き直っとけばいいんだよ。」
「そうなんですけどね。」
「けど?」
「クレアは俗にいう恋愛脳だから、一人で盛り上がりそう。」
「なら、そのままチャペルにでも行くか?」
「やめて、そんなことしたら収集付かなくなる!!」
「わかった、わかった。」
「なら、イイですけど…。」

****************************************************************

そうこうしている間に11日はやってきた。
その日は朝からバタバタしていた。
二人で婚姻届けを出し、その足で羽田へと向かった。

「俺は面識ないからこの辺で待ってるから。」
「うん…。」

薫は一人で到着ロビーに向かった。
ほどなくすると、見知った金髪美人が現れる。
クレア・ランバートだ。
その彼女が連れているのは婚約者フィアンセのスペイン人、カルロス・アレハンドロ。

【カオル!!】
【クレア、いらっしゃい】
【カオル、久しぶり!!】
【カルロスもね。 相変わらずいい男だね。】
【ありがとう。クレアはなかなか言ってくれないから嬉しいよ。】
【あら、それはあなたが寄ってくる女性みんなに愛想を振りまくからでしょ?】
【レディに対してジェントルマンでないとね。】
【変わらないね、クレアもカルロスも…。】

薫がクレアとカルロスと話し始めてしばらくたったころ、双子の赤ちゃんを連れた男女が現れる。

【ディーノ、シャーリー。 こっちよ!!】
【クレア…。】
【随分遅かったな。】
【ああ、子供たちが愚図ってね。】
【あらあら、それは大変だったあね。】
【仕方がないわ。 初めての海外なんだから…。】
【カオル、見て! この子たちがディーとシャーリーの子だよ。】

クレアに促されてベビーカーを覗き込めば、そこには男女の双子がすやすやと眠っていた。

【男の子がアラン、女の子がエリカっていうの。】

シャーリーが優しい笑みを浮かべながら紹介する。
薫はその可愛らしいほっぺを指で軽く触れる。
身じろぎするその子たちは可愛い天使たちだった。
薫の心にはいつか自分と伊達の間にもとの思いが沸き上がる。
そこへ声をかけてきたのはディーノだった。

[カオル、しばらく見ないうちにまた綺麗になった?]
[そう?]
[ああ、少し色っぽくなった。 やっぱり彼氏ができたからかい?]
[どうかしら。]

ディーノにそう言われ、薫は曖昧に返事をする。
ディーノは薫に話しかけるときだけ母国語であるイタリア語で話す。
周りから見ると二人だけ違う世界にいるようで誤解を受けやすい。
だから、薫は常に手短に終わら得るように努めた。

【それより、俺腹減ったから何か食いたい。】
【みんな食べてないの?】
【時間のタイミングが悪くて、食べ損ねたのよ。】
【誰かさんが変な時間にプライベートジェット飛ばすから…。】
【あら、私のせい?】
【半分以上はそうだろ。】
【そこはクレアらしいんじゃない?
 私もお昼はまだだから、美味しいお蕎麦屋さんに連れて行ってあげる。】
【さすが、カオル。 話がわかるじゃん。】
【で、例の彼は一緒に来てるの?】
【うん…。 あとで紹介するわ。】

薫は皆を連れて伊達のところへと向かった。
伊達は待合ロビーで文庫本を読んでいた。

「輝臣さん、おまたせ。」
「ちゃんと合流できたようだな。」
「うん…。」

【へぇ、噂の彼氏はこんなに年上なのか…。】
【カルロス、茶化さないの!】
【連れが失礼しました。 英語はできますか?】
【専門用語でなければ問題ない。】
【流石カオルの選んだ男だねぇ。】
【どういう意味かな?】
【カルロス、いい加減にしなさいよ。】
【はいはい、婚約者殿。】
【すみません、自己紹介もせずに…。】
【いえ、お気になさらずに。】
【私はクレア・ランバート。 こっちは婚約者のカルロス・アレハンドロです。】
【カルロス・アレハンドロ? もしかして、バルサ期待の星の?】
【俺のこと知ってくれてるとか?】
【双子の姉がサッカーが好きでよく付き合わされる。】
【へぇ、日本ではまだ知られていないかと思ったのに。】
【よかったわね。】
わたくしたちもよろしいかしら?】
【シャーリー。】
【初めまして、わたくしはシャーロット・アシュフォード。
 彼は私の夫のディーノ・ランディーニ。】
【初めまして、ディーノ・ランディーニです。】
【俺はテルオミ・ダテ。よろしく】
【テルオミは何をしてるのだい?】
【カオルの通うカレッジの准教授、でしたっけ?】
【そうだ。】
【へぇ…。】
【ここで立ち話もなんだから、いきましょう?】

薫は皆を促した。
はっきりいって目立つ。
カルロスはプロサッカー選手で最近はレギュラーとしてチームを引っ張ってる。
スペイン人特有の甘いマスクに人懐っこい笑顔。
加えて高身長にバランスの取れた体型。
男女問わずに注目を浴びる。
更にディーノもカルロスと同じく母国でプロサッカー選手をしている。
細身だがしっかり筋肉もついている。
こちらも背は高かいし、顔もいわゆるイケメンだ。
更に二人のパートナーであるクレアとシャーリーも美人である。
英国貴族出身のシャーリーは気品の溢れており、まさに薔薇の如き美しさだった。
クレアもキャリアウーマン然としているせいか、近寄りがたい美しさを誇っていた。
それに加えて伊達も190近い長身に筋骨隆々の大人の男性。
そんな集団が英語で話していたら、悪目立ちもいいところだ。
薫は早々にこの場を離れたくて仕方なかった。

「つ、疲れた…。」
「大丈夫か?」
「あまり大丈夫じゃないです。」

伊達の運転するワンボックスカーの助手席で薫は深いため息をついていた。
後ろでは英語でワイワイと楽しそうに話している四人。
ただ、バックミラー越しに見えるディーノの顔は何た言いたげだった。
薫は嫌な予感がしてすぐい目を逸らす。
伊達もその薫の態度になにがしら不安を覚えた。
それが露見するのはもう少し後のことである。

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