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『セフレのベッドから登校するって実にビッチらしくて良くないですか?(2)』

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『セフレのベッドから登校するって実にビッチらしくて良くないですか?(2)』

「夏木さん」
「な、なんだ! お前が悪いんだぞ! アタシをナメた扱いしやがったから!」
「ボクは夏木さんが大好きだから、いつでも好きにしてもらっていいんだけどね?」
「あ、うん、お、おう」

オレが真面目な顔でそう言うと、怒りで真っ赤になっていた夏木さんの顔が多分別の意味でさらに真っ赤になった。

「でもケンカしながら、抱かれるのはイヤだなぁ」

などとわざとらしく悲しげな声で言ってみる。

この世界、男は女に抱かれるもの、だ。

オレの感覚では逆なんだが今の状態はまさにそんな雰囲気だし、それをネタに少し夏木さんをいじめてみようと思う。

「べっ、べつに! ケンカしてるわけじゃないぞ! お前がアタシをからかうからだ!」
「ボクはそんなつもりはなかったんだ。夏木さんとは軽口や冗談を言ってジャレあえる特別な仲だと勝手な勘違いしてたみたい。初めて同士だからって馴れ馴れしすぎたかな。ごめんね?」
「と、特別……初めて同士……」

ちょろい。

だがオレの攻めはまだ続く。

「けど、夏木さんは距離感の無い付き合い方はイヤだったんだね。これからは気を付けるよ」

オレの続けた言葉にハッとなった夏木さんは、慌てて言葉を取り繕った。

「いや、アタシがちょっとムキになっちまっただけだ! 宮城は、その、そのままでいいから!」
「いいの? ボクがまた夏木さんのイヤがる事を言っても怒らない? こんなふうに襲わない?」
「あ、ああ! こ、今回は、その、わ、悪かったな!」

夏木さんはあわててベッドの端に落ちていたオレのパンツを拾い上げて、寝転がったままのオレに着せようととする。

「夏木さん」
「な、なんだ?」
「立たせておいてパンツをはかせるの?」
「それは、その……えっと、続けていいのか?」

罪悪感のせいか今日はお開きにしようとした夏木さんだったが、それはそれでオレも息子も困る。

「ケンカしながらはイヤだけど、夏木さんがいつもみたいにしてくれるならボクは嬉しいな」
「そ、そうか、そうだな! じゃあ、いつもみたいに……していい?」

そこは最後までがんばろう。

照れて下を向く夏木さんもかわいいんだけどもね。

しかしせっかく夏木さんが負い目を感じているので、ビッチを目指すオレとしてはそこに付け込み新たなプレイに臨みたい。

「うーん。でも、せっかくだし、少し趣向を凝らそうよ?」
「趣向?」
「忘れてるかもだけど、夏木さんはなんでもいう事を聞くセフレだよね?」
「あ、おう、まぁな」

すでに建前と化しているがオレと夏木さんはそういう前提の仲であり、この関係の上位はオレだ。

「というわけでね、夏木さん。今日はラブラブな感じでしよう」
「ラ、ラブラブ!?」

素っ頓狂な顔と声でうろたえる夏木さん。

「そんなに驚かないでよ。ケンカした仲直りも含めて、ね?」
「仲直りか……そうだな、今日はアタシが悪かった。ラ、ラブラブだな、やってやるよ」

オレはできる限りの笑顔で夏木さんを誘うと、夏木さんも少し安心したらしい。

「それで、どうすりゃいいんだ? 痛い事と苦しい事とヘンな事はしないからな!」

しかしギリギリの警戒心は残っているらしい。健気である。

「そんなに構えないで。難しい事をするわけじゃないから」
「だから具体的に言えって」
「簡単だよ。好きって言って?」
「は?」
「夏木さんがボクへ何かするたび、好き、って言って欲しいな」
「はぁん? 何かするたび? ……ッ」

何を想像したのか、夏木さんの顔が真っ赤だ。

さっきから何度も真っ赤になるホッペだけど、今日見た中で一番に真っ赤だ。

白い肌だから余計にそう見えるとは言え、リンゴみたいになってきた。

「じゃあさっそくやってみよっか」
「え、いや待て、そんなチャラい事をアタシが!?」
「夏木さん、ボクと仲直りしてくれないの? ボクは仲直りしたいなぁ」
「ぐ、ぬ……ッ」

もはや完全にオレのいいがかりだが、所詮この世は弱肉強食。

男性優位のこの世界、男がゴネればだいたいの無理は通ってしまう。

しかもこの状況とオレとの関係。

大半の女性が望むものでもあり、男のオレの機嫌を損ねたら失われてしまう脆いもの、という意識はいまだ夏木さんの心中にあるんだろう。無論、

オレにそんな気はさらさらないが、女の子を弄ぶビッチとしては常に新しい試みにチャレンジしていきたいのである。

結局、無言の肯定とばかりに夏木さんは黙り込んでしまった。

しかしオレはその悔しそうな表情の中に、ちょっとした期待があるのを見逃さない。

なんだかんだでこの子はマゾっけがあるのだ。

「夏木さん」

オレは寝転がったまま、自分のペニスを指さす。

「なんだよ?」
「まずはチューして。あ、くわえなくていいからね。夏木さん、すぐにダメになっちゃうし」
「うるせぇ」

そうして閉じたままま唇がペニスに触れようとした時。

「ストップ。夏木さん、ストーップ」
「今度はなんだってんだ」
「さっき言ったでしょ。なにかするたびに好きって言わないと」
「こんな時にもかよ!?」
「どんな時もだよ。今日だけだから。ね、仲直り仲直り」
「ぐぬぬ」

ぐうの音をしぼり出しながら、夏木さんはいったん閉じた口を、少しだけ動かした。

「……き」

聞こえない。いや、聞こえているが、聞こえてない。

「夏木さん。聞こえない」
「……すき」

うつむいたまま、小さくつぶやく夏木さん。耳まで赤い。

最初はこんなものだろうか。

「いいね。じゃあ続けて」
「くそ」

夏木さんの唇がペニスに触れる。

チュッと鳥の羽根が触れるような感触を残して、柔らかい唇が離れていく。

「はい、続けて。仲直りしたいって気持ちをこめて」
「何度も言うな、アタシが悪かったよ!」

続けてキスをしようとした夏木さんの額をつつく。

「なんだよ!」
「夏木さん。もう忘れたの? 好きって言ってからキスするんだよ?」
「ま、毎回か!?」
「毎回です」

たくさんチュッチュッしろ、しかも毎回好きと言え。

オレのオーダーをようやく理解した夏木さんは、顔を赤くしたまま、しかし覚悟を決めたのか。

「すき。こ、これでいいんだろ!」

と吐き捨てるようにしてから、再びキスをした。
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