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『春に咲いた花を揺らす胡蝶の如く(13)』
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『春に咲いた花を揺らす胡蝶の如く(13)』
「はいはい、落ち着いて、ね? 大丈夫、わかってるよ。春日井さんはとってもお利口なセフレだものね?」
「ええ、ええ、私、私……ッ」
私は、すぐに興奮してしまうこの悪癖をなんとかしないといけない。
そうして息を整えていたら、不意に宮城君に体を寄せられる。
「み、宮城君?」
宮城君は私を抱き寄せたまま……近くの売店の建物の陰へと入っていく。
「きゃっ」
そして私はそのまま壁へと押し付けられた。
「ふふ、もう逃げられないね」
何がどうなっているのか、宮城君が何を考えているのかわからないままに、私は彼の顔を間近にして固まった。
その黒縁眼鏡の奥の瞳から逃れるように、うつむいて視線をそらす。
「顔を上げて。それともボクの顔なんか見たくないかな?」
「あ……ご、ごめんなさい、そういう事じゃないの!」
違う! とあわてて顔をあげたところ、頬に羽根が触れるような感触。
「こんなところに連れ込まれて色々と想像しちゃったかな?」
「ひゃぁ、あ、あっ!」
――キスをされた。
それは羽根のような感触などではない。まさに天使の羽根が触れたのだから。
がんばって立っていたものの、ついに私の意思とは関係なく足が震えて、力が抜ける。
私は地面にへたり込んでしまう。
見上げると、そこには微笑んだ宮城君。
良かった、こんな情けない私を見ても怒っていない。
「ご、ごめんなさい、すぐに、すぐに立つから……」
「ううん。いいんだよ、そのままで」
え?
と思った時には、宮城君は自分のズボンのファスナーに指をかけていた。
「……あ、あのっ」
「ん?」
私のとまどいをよそに、ズボンの中から黒いボクサーパンツに包まれた盛り上がりが私の前にあらわれた。
え、え、え?
うめき声すら出せず、私はただそれに見入る。
「どう?」
「……え、ええっ、えっと、その……」
「見てわかると思うけど、抑えつけられてちょっと苦しいんだ」
「そ、そうなのね……いえ、そうよね、その、本にもそう書いてあったわ」
そうだ。確かにそう書いてあった。
男性はそうなると苦しんだ。
どうすればいいのだったか、私は必死に本の内容を思い出す。
「じゃあ、その本にはこの後どうしたらいいって書いてあったかな?」
「え、ええと、えっと本には、こう……」
下着をおろしてしまえばいい。
下着をおろす?
下着に触れる?
私が?
「さ、さわっても……いいの、かしら?」
触れそうになっていた指を止める。
もし、何かの勘違いだったら、とんでもない事だ。
「本に書いてあったいやらしい事、教えてくれるんでしょ?」
「そ、そうね、そうね……そう……」
宮城君がくすりと笑った。
私はそっとふくらみに触れた。
「はいはい、落ち着いて、ね? 大丈夫、わかってるよ。春日井さんはとってもお利口なセフレだものね?」
「ええ、ええ、私、私……ッ」
私は、すぐに興奮してしまうこの悪癖をなんとかしないといけない。
そうして息を整えていたら、不意に宮城君に体を寄せられる。
「み、宮城君?」
宮城君は私を抱き寄せたまま……近くの売店の建物の陰へと入っていく。
「きゃっ」
そして私はそのまま壁へと押し付けられた。
「ふふ、もう逃げられないね」
何がどうなっているのか、宮城君が何を考えているのかわからないままに、私は彼の顔を間近にして固まった。
その黒縁眼鏡の奥の瞳から逃れるように、うつむいて視線をそらす。
「顔を上げて。それともボクの顔なんか見たくないかな?」
「あ……ご、ごめんなさい、そういう事じゃないの!」
違う! とあわてて顔をあげたところ、頬に羽根が触れるような感触。
「こんなところに連れ込まれて色々と想像しちゃったかな?」
「ひゃぁ、あ、あっ!」
――キスをされた。
それは羽根のような感触などではない。まさに天使の羽根が触れたのだから。
がんばって立っていたものの、ついに私の意思とは関係なく足が震えて、力が抜ける。
私は地面にへたり込んでしまう。
見上げると、そこには微笑んだ宮城君。
良かった、こんな情けない私を見ても怒っていない。
「ご、ごめんなさい、すぐに、すぐに立つから……」
「ううん。いいんだよ、そのままで」
え?
と思った時には、宮城君は自分のズボンのファスナーに指をかけていた。
「……あ、あのっ」
「ん?」
私のとまどいをよそに、ズボンの中から黒いボクサーパンツに包まれた盛り上がりが私の前にあらわれた。
え、え、え?
うめき声すら出せず、私はただそれに見入る。
「どう?」
「……え、ええっ、えっと、その……」
「見てわかると思うけど、抑えつけられてちょっと苦しいんだ」
「そ、そうなのね……いえ、そうよね、その、本にもそう書いてあったわ」
そうだ。確かにそう書いてあった。
男性はそうなると苦しんだ。
どうすればいいのだったか、私は必死に本の内容を思い出す。
「じゃあ、その本にはこの後どうしたらいいって書いてあったかな?」
「え、ええと、えっと本には、こう……」
下着をおろしてしまえばいい。
下着をおろす?
下着に触れる?
私が?
「さ、さわっても……いいの、かしら?」
触れそうになっていた指を止める。
もし、何かの勘違いだったら、とんでもない事だ。
「本に書いてあったいやらしい事、教えてくれるんでしょ?」
「そ、そうね、そうね……そう……」
宮城君がくすりと笑った。
私はそっとふくらみに触れた。
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