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『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(3)』
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『幕間:GW編・二日目 夏木青葉の母、涼香(スズカ)の、とある一日(3)』
衝撃の事実に青葉が固まっていたので、その尻をひっぱたく。
「痛い!」
「そんな昔の事はどうでもいい、いまは未来を考える時だよ!」
私は今、どれだけのチャンスが降ってわいたかを理解していない愚娘をさとす。
「私らみたいな目に見える恋愛弱者が手段を選んでられるほど世の中甘くないんだよ!」
「え、アタシ、説教されてる?」
「ほら、トーストサンドとコーヒー。あとアンタのカフェオレだ。コーヒーぶっかけるのが出来ないってんなら、ちょっとお話しませんかって言って同席ゴリ押してきな!」
「……そんな事してたら、もう二度来ないんじゃないの?」
「そんな事しなくても二度来ないかもしれないんだから、初回から攻めるんだよ!」
ウチの娘は甘すぎる。
あんな極上のイケメン少年で、胸の大きさを嫌悪しないとか絶対に二度現れない奇跡だ。
悲しいかな、それを理解していない娘の人生経験の浅さよ。
ヤッてしまえばどうにかなるし、ヤラなきゃ次のステージには進めないんだよ!
出来上がったトースト、コーヒー、カフェオレを娘に持たせる。
「アンタは顔は悪くないんだから、あとはイケイケドンドンで押せばワンチャンあるんだよ!」
胸さえなければ私に似て見られる顔なんだ。強みを押し付けていくしかない。
「……母さんに似て美人って事?」
「もうちょっと私に似てればと思うけどねぇ」
「冗談でもその自信だけは尊敬するよ」
もちろん本音だ。
あの人は優しかったけど、あんまりイケメンじゃなかったからね。血の混じりってのは結果に正直だ。
「さ、行ってきな。閉店時間なんか気にしなくていいからね」
「……わかったよ」
しぶしぶという顔で、イケメンの座るボックス席に料理を運んでいく。
そして配膳をしつつ、一言二言と交わして……さらっと娘も席についた。
やるじゃないか! よくやった! と心の中で叫びながらキッチンの中で隠れてガッツポーズをとる。
マジで孫の顔チャンス? 青葉がこの年で産んでくれれば、夢のひ孫チャンスまで視野に入る。
オイオイ、私の人生勝ち組まっしぐらか?
サンドイッチを注文していたが、なんならこの場で親子丼をごちそうしてやってもかまわんぞ!? と一人で盛り上がってしまう私の鼓動をおさえこみ、二人を見守る。
こちらに背を向けている少年の表情はうかがえないが、青葉もまんざらじゃなさそうだ。
時折、笑い声があがったりもして、娘は本当に凄腕のナンパ師じゃないかと感心した。
しばらくすると互いに体を乗り出すほどに会話も盛り上がってきた。
私、今日はこのままマンガ喫茶にでもいって帰ってこない方がいいんじゃないかと思うくらいに和気あいあいだ。
しかし、イケメンは閉店時間五分前になると立ち上がった。
そしてレシートを手にカウンターに立っている私の所へやってくる。
青葉ァ! アンタなにやってんだよ、そこは今日はおごりですからまた寄ってくださいねって言う所だろう!?
そんな胸中を隠し、私はレジへと移動してイケメン君を接客用スマイルで迎える。
彼もまたレシートを差し出しながら、私に向かってニコリと微笑んだ。
え、何、この子、私に気があるの? ホントに親子丼食べていく?
「御馳走様でした。すみません、長居してしまって」
しかも礼儀正しすぎるんですけど。
天然記念物レベルの絶滅危惧種なんですけど。
「こちらこそすみません、おくつろぎの所、ウチのがお邪魔してしまったみたいで」
「いえ、とんでもないです。夏木さん……青葉さんには学校でもとてもお世話になっていまして」
「は?」
娘と知り合い? だと?
「申し遅れました。ボク、宮城京と言います。青葉さんとはクラスメートで席が隣です」
「あら、そうでしたか。青葉がご迷惑おかけしていなければいいんですが……」
私は青葉を見る。
すると目をそらした。
こんな男と知り合いって事を私に内緒にしていた理由は……あとで問い詰めてやるとして。
ふーむ。
すると、だ。
娘のベッドシーツに残っているうっすらとした染み。
まさか青葉に限ってと思っていた者の、やっぱりアレは……血の染みか!
この子とクラスメート、しかも隣の席、さらにこんなに関係良好。
そうなると答えは一つしかない。
衝撃の事実に青葉が固まっていたので、その尻をひっぱたく。
「痛い!」
「そんな昔の事はどうでもいい、いまは未来を考える時だよ!」
私は今、どれだけのチャンスが降ってわいたかを理解していない愚娘をさとす。
「私らみたいな目に見える恋愛弱者が手段を選んでられるほど世の中甘くないんだよ!」
「え、アタシ、説教されてる?」
「ほら、トーストサンドとコーヒー。あとアンタのカフェオレだ。コーヒーぶっかけるのが出来ないってんなら、ちょっとお話しませんかって言って同席ゴリ押してきな!」
「……そんな事してたら、もう二度来ないんじゃないの?」
「そんな事しなくても二度来ないかもしれないんだから、初回から攻めるんだよ!」
ウチの娘は甘すぎる。
あんな極上のイケメン少年で、胸の大きさを嫌悪しないとか絶対に二度現れない奇跡だ。
悲しいかな、それを理解していない娘の人生経験の浅さよ。
ヤッてしまえばどうにかなるし、ヤラなきゃ次のステージには進めないんだよ!
出来上がったトースト、コーヒー、カフェオレを娘に持たせる。
「アンタは顔は悪くないんだから、あとはイケイケドンドンで押せばワンチャンあるんだよ!」
胸さえなければ私に似て見られる顔なんだ。強みを押し付けていくしかない。
「……母さんに似て美人って事?」
「もうちょっと私に似てればと思うけどねぇ」
「冗談でもその自信だけは尊敬するよ」
もちろん本音だ。
あの人は優しかったけど、あんまりイケメンじゃなかったからね。血の混じりってのは結果に正直だ。
「さ、行ってきな。閉店時間なんか気にしなくていいからね」
「……わかったよ」
しぶしぶという顔で、イケメンの座るボックス席に料理を運んでいく。
そして配膳をしつつ、一言二言と交わして……さらっと娘も席についた。
やるじゃないか! よくやった! と心の中で叫びながらキッチンの中で隠れてガッツポーズをとる。
マジで孫の顔チャンス? 青葉がこの年で産んでくれれば、夢のひ孫チャンスまで視野に入る。
オイオイ、私の人生勝ち組まっしぐらか?
サンドイッチを注文していたが、なんならこの場で親子丼をごちそうしてやってもかまわんぞ!? と一人で盛り上がってしまう私の鼓動をおさえこみ、二人を見守る。
こちらに背を向けている少年の表情はうかがえないが、青葉もまんざらじゃなさそうだ。
時折、笑い声があがったりもして、娘は本当に凄腕のナンパ師じゃないかと感心した。
しばらくすると互いに体を乗り出すほどに会話も盛り上がってきた。
私、今日はこのままマンガ喫茶にでもいって帰ってこない方がいいんじゃないかと思うくらいに和気あいあいだ。
しかし、イケメンは閉店時間五分前になると立ち上がった。
そしてレシートを手にカウンターに立っている私の所へやってくる。
青葉ァ! アンタなにやってんだよ、そこは今日はおごりですからまた寄ってくださいねって言う所だろう!?
そんな胸中を隠し、私はレジへと移動してイケメン君を接客用スマイルで迎える。
彼もまたレシートを差し出しながら、私に向かってニコリと微笑んだ。
え、何、この子、私に気があるの? ホントに親子丼食べていく?
「御馳走様でした。すみません、長居してしまって」
しかも礼儀正しすぎるんですけど。
天然記念物レベルの絶滅危惧種なんですけど。
「こちらこそすみません、おくつろぎの所、ウチのがお邪魔してしまったみたいで」
「いえ、とんでもないです。夏木さん……青葉さんには学校でもとてもお世話になっていまして」
「は?」
娘と知り合い? だと?
「申し遅れました。ボク、宮城京と言います。青葉さんとはクラスメートで席が隣です」
「あら、そうでしたか。青葉がご迷惑おかけしていなければいいんですが……」
私は青葉を見る。
すると目をそらした。
こんな男と知り合いって事を私に内緒にしていた理由は……あとで問い詰めてやるとして。
ふーむ。
すると、だ。
娘のベッドシーツに残っているうっすらとした染み。
まさか青葉に限ってと思っていた者の、やっぱりアレは……血の染みか!
この子とクラスメート、しかも隣の席、さらにこんなに関係良好。
そうなると答えは一つしかない。
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