72 / 415
『冬原の難易度』
しおりを挟む
『冬原の難易度』
「さて。昨日の説明でわかりにくかった所があったか?」
進路指導室のカギを開けながら先生がオレにたずねかける。
「そうですね……わからない所というか、ボクの個人的な問題というか」
「ふむ。ま、ゆっくり聞こう。入れ」
「失礼します」
そうして昨日のように先生の前に座る。
「それで?」
「……こんな事を話すのは初めての事でとても恥ずかしいんですけれど……これからお話する事、先生は他人に言ったりしませんよね?」
まるで先生を疑うような物言いだ。
これは怒られるかもしれないなと思いながら、必要な前振りなので確認しておく。
「当たり前だ。大丈夫、絶対に他言しない。恥ずかしいかもしれないが、他人に話す事で開ける事もある。安心しろ、私でよければ力になる」
頼りになる声と微笑みを向けてくる。
まさに教師の鑑。
実年齢的には年下ながらも尊敬してしまう。
そんな生徒思いの先生をこれから手段を選ばずセフレにしようというクズがオレである。
「実はボク……」
「うむ」
「人と比べて性欲が強いみたいなんです。それでどう発散したらいかと……」
「うむ、性欲がな」
ふむふむと腕を組んだままうなずく先生。
む、手ごわい。
夏木さんがイージーなら、冬原先生はハードか?
夏木さんの時のように初手でスキを作って勢いで流れに持っていくつもりだったが、そう簡単にはいかないようだ。
「それでですね」
「……」
「冬原先生?」
ウンウンとうなずいていた先生が動きを止めていた。
「宮城」
「はい」
「今、なんと言った?」
「ですから性欲が人より強くて困っているんです」
先生がスッと立ち上がる。
そして背中を見せながら、ふう、とため息をついて。
「先生をからかうものじゃないぞ?」
冗談の類と思われているのか。
いや、本当にそう思っているなら怒られているだろう。
半信半疑といったところか。
「先生……!」
オレは真剣な口調で、再度先生に詰め寄った。
「こんな事、冗談で言えません。本当に性欲をもてあまして困っているんです」
「むむ、むむむ」
うなるようにして先生がこちら向く。
「そういう話であれば、やはり養護教諭の山崎先生の方が適任じゃないか? 私は女だし、その、具体的にどういたせばいいのかという指導はやはり同性でないと……」
どういたす、とか言い出したよ、この人。
「いえ。そういう……自分でどうこうというのは色々と試したんですけど」
「試したのか!? あ、いや、スマン、そうだな。宮城も男とは言え、健康な年頃の若者だしな、うんうん、自然な事だぞ!」
やたら過剰な反応を見せる先生。
なんでだ?
「さて。昨日の説明でわかりにくかった所があったか?」
進路指導室のカギを開けながら先生がオレにたずねかける。
「そうですね……わからない所というか、ボクの個人的な問題というか」
「ふむ。ま、ゆっくり聞こう。入れ」
「失礼します」
そうして昨日のように先生の前に座る。
「それで?」
「……こんな事を話すのは初めての事でとても恥ずかしいんですけれど……これからお話する事、先生は他人に言ったりしませんよね?」
まるで先生を疑うような物言いだ。
これは怒られるかもしれないなと思いながら、必要な前振りなので確認しておく。
「当たり前だ。大丈夫、絶対に他言しない。恥ずかしいかもしれないが、他人に話す事で開ける事もある。安心しろ、私でよければ力になる」
頼りになる声と微笑みを向けてくる。
まさに教師の鑑。
実年齢的には年下ながらも尊敬してしまう。
そんな生徒思いの先生をこれから手段を選ばずセフレにしようというクズがオレである。
「実はボク……」
「うむ」
「人と比べて性欲が強いみたいなんです。それでどう発散したらいかと……」
「うむ、性欲がな」
ふむふむと腕を組んだままうなずく先生。
む、手ごわい。
夏木さんがイージーなら、冬原先生はハードか?
夏木さんの時のように初手でスキを作って勢いで流れに持っていくつもりだったが、そう簡単にはいかないようだ。
「それでですね」
「……」
「冬原先生?」
ウンウンとうなずいていた先生が動きを止めていた。
「宮城」
「はい」
「今、なんと言った?」
「ですから性欲が人より強くて困っているんです」
先生がスッと立ち上がる。
そして背中を見せながら、ふう、とため息をついて。
「先生をからかうものじゃないぞ?」
冗談の類と思われているのか。
いや、本当にそう思っているなら怒られているだろう。
半信半疑といったところか。
「先生……!」
オレは真剣な口調で、再度先生に詰め寄った。
「こんな事、冗談で言えません。本当に性欲をもてあまして困っているんです」
「むむ、むむむ」
うなるようにして先生がこちら向く。
「そういう話であれば、やはり養護教諭の山崎先生の方が適任じゃないか? 私は女だし、その、具体的にどういたせばいいのかという指導はやはり同性でないと……」
どういたす、とか言い出したよ、この人。
「いえ。そういう……自分でどうこうというのは色々と試したんですけど」
「試したのか!? あ、いや、スマン、そうだな。宮城も男とは言え、健康な年頃の若者だしな、うんうん、自然な事だぞ!」
やたら過剰な反応を見せる先生。
なんでだ?
31
お気に入りに追加
860
あなたにおすすめの小説
シン・三毛猫現象 〜自然出産される男が3万人に1人の割合になった世界に帰還した僕はとんでもなくモテモテになったようです〜
ミコガミヒデカズ
ファンタジー
気軽に読めるあべこべ、男女比モノです。
以前、私がカクヨム様で書いていた小説をリメイクしたものです。
とあるきっかけで異世界エニックスウェアに転移した主人公、佐久間修。彼はもう一人の転移者と共に魔王との決戦に挑むが、
「儂の味方になれば世界の半分をやろう」
そんな魔王の提案に共に転移したもう一人の勇者が応じてしまう。そんな事はさせないと修は魔王を倒そうとするが、事もあろうに味方だったもう一人の勇者が魔王と手を組み攻撃してきた。
瞬間移動の術でなんとか難を逃れた修だったが、たどり着いたのは男のほとんどが姿を消した異世界転移15年後の地球だった…。
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる