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第三章 黎明と黄昏
〇三二 生と死①
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トムソンガゼルのような黒くて長い角を持つレンという魔族は魔王の側近だっただけでなく、俺の従僕をしているヒューの実の父親でもあった。
ヒューは魔物に襲撃された村の出身だが、脅されて俺を魔王の元へと拉致する手助けをした張本人であり、魔王城で俺の世話をしていたという複雑な経歴を持つ半人半魔の少年だ。
そうだ。あのとき魔王城でレンは、俺がエリアスに救出される直前に魔王から放逐を言い渡され城から追い出されたので、結果的に間一髪で勇者軍の討伐の手から逃げ果せたのだ。
「睦み合いの最中に申し訳ないが、その魔導書を渡して貰おうか?」
トムソンガゼルみたいな二本の長い角を反り返らせて、レンがこちらを見下ろしている。
登場時の科白といいタイミングといい、なんてテンプレに忠実!
などど感心している場合ではない。
俺の中にエリアスのチンコがまだ入ってるからな。
抜くタイミング失ったっていうより、今抜いたら未だ不安定な魔導書がどうなるかわからなくて抜くに抜けない状況なんだよ。
「それがあれば魔王様を蘇らせることが出来るかも知れん!」
出来ねーよ!
てか、魔王を蘇らせるってお前、魔王狙いだったんか!
俺に対してあんなにしつこかったんは、魔王にレイプされてた俺に嫉妬してたからか!
予期せぬお前の登場より、そっちのほうが衝撃の事実だよ!
だが、おっさんずラブ in the 魔族に俺を巻き込まないでくれ!
刹那、突如としてレンの頭上に魔法陣が現れ、一筋の青白い光の柱が落ちた。
これ、前にも見たことがある。
あれは確か、俺の初任務のとき魔物に襲撃された村でのことだ。
納屋の陰に子供が蹲っていて、助けようとした俺が駆け寄ったら足元に会った魔法陣を踏んじまって、アブダクションされてキャトルミューティレーションされそうになって……。
光の柱から見覚えある黒髪碧眼の少年が現れる。
――なんで。
どうしてここにいるんだ。
ヒュー!
これは後からエリアスの推測を聞いて知ったことだか、あの魔法陣と青白い光の柱は、今回レンの頭上に出たものと俺が攫われたときものと同じもので、転移魔法の一種ではないかという。
転移魔法は魔法陣が最も重要となる。
常設された転移門ではなく紙に書いた魔法陣でも転移門と同等の働きはするだろう。
俺は誰に教わらないでも自分ん家の物置の転移門の位置だけは分かってて転移できたし、俺があしながおじさんに貰った腕輪に填め込まれている石と同じものを持っていれば一度行ったところなら位置情報も記録できる。
転移魔法の魔法陣を構築できる魔法士は少ないが、俺の親父がヴェイラの王都を転移門にしちまったくらいだから、魔族であるレンが好きな時、好きなところへ自由に転移出来ても不思議はない。
ヒューが魔法を使えるなんて思ってなかったし、実際使うところを見たことがなかったから、その可能性を考えたことすらなかったけど、俺を攫ったときの転移魔法は実はヒューがやったのかも知れない。
半魔だから魔力量が多いし、レンに魔法を教わっていた可能性だってある。
恐らくヒューは、どうやってかレン自身に魔法陣を仕込んでいて、様子を窺っていたのだろう。
そうしてレンが俺たちに接触すると、速やかに転移魔法を発動させこの場に現れたのだ。
ヒューは魔物に襲撃された村の出身だが、脅されて俺を魔王の元へと拉致する手助けをした張本人であり、魔王城で俺の世話をしていたという複雑な経歴を持つ半人半魔の少年だ。
そうだ。あのとき魔王城でレンは、俺がエリアスに救出される直前に魔王から放逐を言い渡され城から追い出されたので、結果的に間一髪で勇者軍の討伐の手から逃げ果せたのだ。
「睦み合いの最中に申し訳ないが、その魔導書を渡して貰おうか?」
トムソンガゼルみたいな二本の長い角を反り返らせて、レンがこちらを見下ろしている。
登場時の科白といいタイミングといい、なんてテンプレに忠実!
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抜くタイミング失ったっていうより、今抜いたら未だ不安定な魔導書がどうなるかわからなくて抜くに抜けない状況なんだよ。
「それがあれば魔王様を蘇らせることが出来るかも知れん!」
出来ねーよ!
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だが、おっさんずラブ in the 魔族に俺を巻き込まないでくれ!
刹那、突如としてレンの頭上に魔法陣が現れ、一筋の青白い光の柱が落ちた。
これ、前にも見たことがある。
あれは確か、俺の初任務のとき魔物に襲撃された村でのことだ。
納屋の陰に子供が蹲っていて、助けようとした俺が駆け寄ったら足元に会った魔法陣を踏んじまって、アブダクションされてキャトルミューティレーションされそうになって……。
光の柱から見覚えある黒髪碧眼の少年が現れる。
――なんで。
どうしてここにいるんだ。
ヒュー!
これは後からエリアスの推測を聞いて知ったことだか、あの魔法陣と青白い光の柱は、今回レンの頭上に出たものと俺が攫われたときものと同じもので、転移魔法の一種ではないかという。
転移魔法は魔法陣が最も重要となる。
常設された転移門ではなく紙に書いた魔法陣でも転移門と同等の働きはするだろう。
俺は誰に教わらないでも自分ん家の物置の転移門の位置だけは分かってて転移できたし、俺があしながおじさんに貰った腕輪に填め込まれている石と同じものを持っていれば一度行ったところなら位置情報も記録できる。
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半魔だから魔力量が多いし、レンに魔法を教わっていた可能性だってある。
恐らくヒューは、どうやってかレン自身に魔法陣を仕込んでいて、様子を窺っていたのだろう。
そうしてレンが俺たちに接触すると、速やかに転移魔法を発動させこの場に現れたのだ。
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