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第三章 黎明と黄昏

〇二四 創造都市ゴルゴヌーザ①

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楽しい思い出を胸に、俺たちはルヴァ魔導帝国を後にして転移門でロスへ飛んだ。
ロスの創造都市ゴルゴヌーザは、橙色の大地に真っ白な四角い建物が立ち並ぶ古代文明みたいな街並みの都市だった。
都市を囲む高い墻壁の外には「永遠の死の国」があると言われているが、墻壁の内側からはその様子を窺い知ることはできない。

ここは芸術家と研究熱心で職人気質な魔法士を多く抱えた商業都市で、全ての新しいものはここから生み出されると言われるほど、多岐にわたるな新商品が日々開発されている。

この都市は何処の国にも属さず政府は議会制で、出迎えてくれたのは議長や組合長といったこの都市の有力者たちだった。
まさかこの世界で民主主義というものにお目に掛かれるとはな。
とはいえ、社交という意味では彼らも貴族と大して変わらないので、ここでもやはり治癒を申し出て、治癒術後の消耗を理由に放っておいて貰う作戦で乗り切る。

因みに創造都市ゴルゴヌーザには騎士団がなく、街の治安は自警団のみで護っている。
ロスへ渡航出来る者は限られているから、それで充分なのだろう。
俺たちが外出する際には自警団から警護が付くが、二十四時間付きっ切りという訳にはいかない。
第一師団ディビジョン竜騎兵ドラグナー連隊まで出してきたルヴァ魔導帝国の厳重な警護と格差が激しいが、エリアスっていう最強の護衛がついてる俺にはぶっちゃけ誤差の範囲といえる。
それに俺にはこっちのほうが気楽だった。

滞在場所として案内されたのは古城を改装した金色に輝くタマネギ型の屋根の付いた白亜のホテルで、東欧と中東文化の融合する内装は砂糖菓子で出来たような白とパステルブルーで描き出された蔦模様がエキゾチックで美しい。

備え付けの家具も西洋式の椅子とテーブルではなく中東と東欧の文化が混ざり合った様式で、ソファーは窓際や壁に張り付くように設置されているが、絨毯を敷かれた床に卓袱台のような丸いローテーブルとクッションが幾つも置かれていて実家のような安心感がある。

おまけに各部屋の風呂に温泉を引いていて、魔法でどうにかしているらしく二十四時間源泉掛け流しの湯を楽しめるらしい。

だが、最も俺を喜ばせたのは部屋には壁の一部を繰り抜いて埋め込んだような中二病憧れの所謂アルコーブベッドだった。
寝室は奥にあるみたいだから、このアルコーブベッドはインテリアみたいなもんだが、俺ずっとこういうので寝てみたかったんだよ。
俺は部屋に入るなり一目散にベッドへ突進してダイブした後、転げ回った。

「エリー! この部屋最高じゃね!? 俺ここ超好き!」

直後にエリアスが膝から崩れ落ちたように見えたけど、絨毯の上に幾つも置かれたクッションの上に突っ伏して珍しくすっかり寛いでる様子なので俺の気のせいかもしれない。
可哀想に余程疲れていたんだな。
ルヴァではエリアスの苦手な夜会に連れ回して気疲れさせてしまったし、寛いでるならそっとしておこう。
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