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第三章 黎明と黄昏
〇一一 痛いのは飛んでった①
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一度や二度出したくらいじゃエリアスは萎えない。
未だ硬度を保ったままのエリアスのチンコを自分で自分の雄膣に宛がい、ゆっくりと腰を落とした。
「……っく、ナナセッ……!」
亀頭をぬぷりと飲み込んで、ずりゅんと根元まで一気に挿入すれば雷に打たれたような快感が雄膣から脳天まで突き抜ける。
「……っは、あッ! い、い……!」
力が抜けて崩れそうになるのを服の上からでも分かるエリアスの腹筋に手をついて堪えた。
呼吸を整えながら馴染ませるようにゆっくりと腰をグラインドさせると、緩やかな快感が腹の中から広がっていく。
騎乗位でも俺が主導権をとっていられるのはほんの最初のうちだけで、どうせ途中で形勢をひっくり返されて、最後にはガンガン突き上げられてしまう。
それはそれで頭が変になるほど気持ち良いんだけど、俺だってたまにはセックスの主導権を握ってみたい。
でもそれにはひとつ問題があって、俺が主導権を握ってしまうと気持ち良いのは俺だけでエリアスはあんまり気持ち良くはなれないってことだろう。
今もエリアスのチンコは俺の結腸まで届いていて、俺のそこが先端にじゅぽじゅぽ吸い付いてるのを感じる。グリグリ攻められるだけで物凄く気持ちが良い。
けど突っ込んでる方のエリアスは、チンコを出し入れしないと全然気持ち良くないだろうと思う。
だからこそ俺は今日、誕生日っていう特権を利用して我儘を通しているのだ。
エリアスには後で好きなだけ付き合ってやるとして、今は俺の気が済むまで一時の愉悦に浸りたい。
俺は自分で乳首を弄りながら、エリアスのチンコが気持ち良いところにグリグリ当たるように無心で腰をくねらせると得も言われぬ快感が全身を駆け巡るのをただひたすら享受した。
――……セ、ナナセ!
名前を呼ばれてハッとして知らず閉じてしまっていた瞼を開けると、エリアスが何時の間にか肘をついて上体を半分くらい起こしかけていて心配そうに俺をじっと見詰めている。
ヤバイ。メスイキ中に恍惚としててちょっと涎垂れちまった。
慌てて手の甲で涎を拭いてグラインドを再開する。
「ナナセ? どうかしたか? 様子が変だ。何か思い詰めているだろう」
イキすぎて意識を飛ばすことなんてよくあるから、エリアスはそういうことを言っているのではない。
エリアスは俺のこと見過ぎだから些細なことにもよく気が付く。
これは多分、俺が嫉妬してるのバレてる。
「べ、べつに?」
「私にも言えないことなのか?」
ずるいぞ。
騎乗位なのをいいことに、上目遣いで悲しそうな顔して俺を見るな。
「言えなくもないけど、あんまり言いたくない……」
「……それは何故か訊いてもいいか?」
惚れた弱みだ。そんな訊き方されたら誤魔化し切れない。
エリアスは今まで一度たりとも俺に過去の女の気配も過去の男の気配も感じさせなかったんだぞ。
そんな奴が、もしも俺が嫉妬してたことを知ったりしたら、一体どんなアフターフォローが待ってるんだ。
また恥ずかしい呼び方や恥ずかしいプレイをされてしまうかもしれない。
俺、今度は何されちゃうんだよ?
「ナナセ?」
俺が尚も言い淀んでいると、視線を逸らした先に端正な顔が回り込んできて圧に負けた。
「……分かった! 言う! 言うからその顔面で圧力掛けるのやめろ! 俺はエリーの過去の相手に嫉妬してました!」
開き直った俺は思っていたことを言葉にしてみる。
「だって、俺はキスもセックスもエリーが初めてだったのに……」
言葉にしてみると想像以上に最低な内容だった。
だって俺はエリアスが初めての相手だったけど、その後不可抗力とはいえ他の男とも散々セックスしていたくせに、出逢う前のエリアスの過去が許せなくて嫉妬しているだなんて。
しかも自分の言葉に自分が一番ダメージ喰らってるし。
さっきまで浮かれて天にも昇るほど舞い上がってた分、墜ちた時の落差が痛い。
ちくりとしていただけの胸の痛みは、今ではきゅうっと締め付けられるような痛みに変わっていた。
「ナナセ、私は……」
「エリー、それは違う。そうじゃない。その先は言うなよ。それを言われたら俺は今よりもっと最低な奴になっちまう」
恐らく贖罪の言葉を口にしようとしたエリアスを俺は慌てて制して続ける。
「俺は自分のことは棚に上げて、エリーの過去の相手に理不尽に嫉妬してて、そんな自分自身が大っ嫌いで、考えないようにすればするほど考えちまって、もう頭ん中ぐちゃぐちゃでこの辺がきゅうっと痛くなって……」
こんなつもりじゃなかった。
痛い。自分が痛い。
ひとつだけ救いがあるとすれば、それでも今ここでエリアスに謝らせてしまうより俺が痛い方がずっとマシだってことだ。
「もういい。ナナセ、もう分かったから」
エリアスはやけに嬉しそうな顔で繋がったまま俺を抱き締めた。
俺の中でエリアスのチンコがさっきよりデカくなっている。
くっそ。やっぱ言うんじゃなかった。
未だ硬度を保ったままのエリアスのチンコを自分で自分の雄膣に宛がい、ゆっくりと腰を落とした。
「……っく、ナナセッ……!」
亀頭をぬぷりと飲み込んで、ずりゅんと根元まで一気に挿入すれば雷に打たれたような快感が雄膣から脳天まで突き抜ける。
「……っは、あッ! い、い……!」
力が抜けて崩れそうになるのを服の上からでも分かるエリアスの腹筋に手をついて堪えた。
呼吸を整えながら馴染ませるようにゆっくりと腰をグラインドさせると、緩やかな快感が腹の中から広がっていく。
騎乗位でも俺が主導権をとっていられるのはほんの最初のうちだけで、どうせ途中で形勢をひっくり返されて、最後にはガンガン突き上げられてしまう。
それはそれで頭が変になるほど気持ち良いんだけど、俺だってたまにはセックスの主導権を握ってみたい。
でもそれにはひとつ問題があって、俺が主導権を握ってしまうと気持ち良いのは俺だけでエリアスはあんまり気持ち良くはなれないってことだろう。
今もエリアスのチンコは俺の結腸まで届いていて、俺のそこが先端にじゅぽじゅぽ吸い付いてるのを感じる。グリグリ攻められるだけで物凄く気持ちが良い。
けど突っ込んでる方のエリアスは、チンコを出し入れしないと全然気持ち良くないだろうと思う。
だからこそ俺は今日、誕生日っていう特権を利用して我儘を通しているのだ。
エリアスには後で好きなだけ付き合ってやるとして、今は俺の気が済むまで一時の愉悦に浸りたい。
俺は自分で乳首を弄りながら、エリアスのチンコが気持ち良いところにグリグリ当たるように無心で腰をくねらせると得も言われぬ快感が全身を駆け巡るのをただひたすら享受した。
――……セ、ナナセ!
名前を呼ばれてハッとして知らず閉じてしまっていた瞼を開けると、エリアスが何時の間にか肘をついて上体を半分くらい起こしかけていて心配そうに俺をじっと見詰めている。
ヤバイ。メスイキ中に恍惚としててちょっと涎垂れちまった。
慌てて手の甲で涎を拭いてグラインドを再開する。
「ナナセ? どうかしたか? 様子が変だ。何か思い詰めているだろう」
イキすぎて意識を飛ばすことなんてよくあるから、エリアスはそういうことを言っているのではない。
エリアスは俺のこと見過ぎだから些細なことにもよく気が付く。
これは多分、俺が嫉妬してるのバレてる。
「べ、べつに?」
「私にも言えないことなのか?」
ずるいぞ。
騎乗位なのをいいことに、上目遣いで悲しそうな顔して俺を見るな。
「言えなくもないけど、あんまり言いたくない……」
「……それは何故か訊いてもいいか?」
惚れた弱みだ。そんな訊き方されたら誤魔化し切れない。
エリアスは今まで一度たりとも俺に過去の女の気配も過去の男の気配も感じさせなかったんだぞ。
そんな奴が、もしも俺が嫉妬してたことを知ったりしたら、一体どんなアフターフォローが待ってるんだ。
また恥ずかしい呼び方や恥ずかしいプレイをされてしまうかもしれない。
俺、今度は何されちゃうんだよ?
「ナナセ?」
俺が尚も言い淀んでいると、視線を逸らした先に端正な顔が回り込んできて圧に負けた。
「……分かった! 言う! 言うからその顔面で圧力掛けるのやめろ! 俺はエリーの過去の相手に嫉妬してました!」
開き直った俺は思っていたことを言葉にしてみる。
「だって、俺はキスもセックスもエリーが初めてだったのに……」
言葉にしてみると想像以上に最低な内容だった。
だって俺はエリアスが初めての相手だったけど、その後不可抗力とはいえ他の男とも散々セックスしていたくせに、出逢う前のエリアスの過去が許せなくて嫉妬しているだなんて。
しかも自分の言葉に自分が一番ダメージ喰らってるし。
さっきまで浮かれて天にも昇るほど舞い上がってた分、墜ちた時の落差が痛い。
ちくりとしていただけの胸の痛みは、今ではきゅうっと締め付けられるような痛みに変わっていた。
「ナナセ、私は……」
「エリー、それは違う。そうじゃない。その先は言うなよ。それを言われたら俺は今よりもっと最低な奴になっちまう」
恐らく贖罪の言葉を口にしようとしたエリアスを俺は慌てて制して続ける。
「俺は自分のことは棚に上げて、エリーの過去の相手に理不尽に嫉妬してて、そんな自分自身が大っ嫌いで、考えないようにすればするほど考えちまって、もう頭ん中ぐちゃぐちゃでこの辺がきゅうっと痛くなって……」
こんなつもりじゃなかった。
痛い。自分が痛い。
ひとつだけ救いがあるとすれば、それでも今ここでエリアスに謝らせてしまうより俺が痛い方がずっとマシだってことだ。
「もういい。ナナセ、もう分かったから」
エリアスはやけに嬉しそうな顔で繋がったまま俺を抱き締めた。
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くっそ。やっぱ言うんじゃなかった。
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