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第一章 聖者降臨

〇〇八 ソロパーティーに勇者参戦

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「……すぐに楽にして差し上げます、ナナセ」

白騎士の礼服を脱いだエリアスは熱っぽい声でそう言うと、ベッドの上に膝をつき、見事なシックスパックを見せつけながら俺の上に覆い被さってきた。
俺的にはお引き取り頂く意志を伝えたつもりだったんだが、何をどう勘違いしたのかエリアスは俄然ヤル気のようだ。
これはあれか、女王陛下の手前、成果を報告できるような既成事実を作ってしまえと言うことか。
エリアスの立場は理解しているが、俺は俺で俺の大事なものを失うわけにはいかない。
男には守らなければいけないものがある。
だからソロパーティーに勇者参戦とか洒落にならないのでホントやめてください。お願いします。
戦力的にどう考えてもオーバーキルです。
参戦するならせめて女勇者でお願いします。
だがしかし悲しいかな、エリアスに服を脱がされた時点で無意識に自分のチンコを扱いていた俺は、それを認識しながらも為す術もなく自慰に耽続けるのを止められずにいる。

「ら、らめぇっ……! やらぁ……っぁん!」

形ばかりの抵抗を試みるも、口を開けば自分のものとは思いたくない甘ったるい声と呂律の回らない言葉と変な嬌声しか出てこない。
そうこうしているうちにエリアスの整った顔が間近に迫ってきて、何をされるのか察した俺は首を振って抵抗したが、それも空しく唇を重ねられてしまう。
まあ、相手が相手なので例えシコってる最中じゃなくても敵わなかったとは思うけどな。
というわけで俺のファーストキスの相手は勇者様でした……。
因みに勇者様は女勇者ではなく男勇者で俺も男でした。合掌。
自分でチンコ扱きながら男とファーストキスとか最悪過ぎない?
大丈夫俺?
余りの惨劇に震えた。
え……ていうか、キスってこんなに気持ちいいのか!?
気付けば頭の芯が痺れるような快感を追うように俺は忽ちとろんとなって目を瞑り、もっとと強請って口を開けて舌を突き出していた。

エリアスは舌と唇とを使って丁寧に俺の口腔内を犯した。
俺の頭に添えられているエリアスの手が丁度耳を塞ぐような格好になっているから、俺の耳には粘膜の擦れ合うくちゅくちゅといういやらしい水音だけが妙に大きく聞こえる。
蕩けそうなのに油断していると一瞬で全部持って行かれるような恐ろしさも孕んでいて、さっき出したばかりのはずの俺のチンコももうバッキバキですよ。
イケメンのキスのテクニックしゅごい。
このスキルを習得するまでに、さぞや多くの美男美女で経験値を稼がれたのでしょうね。
まあ今勇者様の経験値にされそうになってるのは他ならぬ俺なんですけれどもね。
俺みたいな雑魚狩っても大した経験値にもならないし碌なものドロップしないのに。
俺の息が上がる頃、エリアスは漸く俺の唇を解放した。

「くっ、ふ……っぅん、ゆぅ、しゃ、さまぁっ……」

初めてのキスは想像以上にめちゃくちゃ気持ち良かった。
離れて行く唇が名残惜しく知らず追ってしまい、キラキラしたご尊顔で見下ろしているエリアスと目が合う。
途端に気恥ずかしくなった俺は慌てて唇を手の甲でゴシゴシと拭ってしまった。
流石にちょっと失礼だったかもと思っても後の祭りだ。
エリアスが気を悪くしたかも知れないが、キスの間中もずっと腰を揺らしてただただ自分のチンコを扱いていた俺の現状も忘れないで欲しい。
ああくそっ、さっきイッたばかりだから全然イけない。

「っ……そんな物欲しそうな顔で見ないでください……期待してしまいますよ?」

待って♡
制止するより早くエリアスは再び俺の上に覆い被さり、首筋や鎖骨に口付けながら俺の雄っぱいを揉み拉いてコリコリと乳首を弄び始めた。
途端にじんじんとありえないくらいの快感が全身を駆け巡る。
あー、多分これ、自分でシコるときはそんなとこ触らないから気付かなかったけど、例の「代償」の効果で感度が爆上げ状態になってるやつぅ……。

「ひぃあっ! っふ、それ、きもちいっきもちい! きもちいっおかしくなっちゃ……っああああっん!」

やめよう?
ねえ、乳首はやめよう?
乳首を刺激するとオキシトシンっていう愛情ホルモン出ちゃうってマックでJKが言ってたし!
エリアスのこと好きになっちゃったらどうするんだよ!
男の乳首を開発しないで!
もうね、これね、摘ままれたり、口に含んで舌の上で転がされたり、軽く歯を立てられたりすると、じーんて感じでちょっと感動するくらい気持ち良いですはい。
全部、オキシトシンのせい。

「……ふふ、ナナセはここを弄られるのがお好きなのですね。いいですよ。おかしくなって。もっと乱れてください」

耳元で低く囁くイケボにさえ全身がゾクゾクした。
どうしようもなく感じてしまって腰が跳ねる。
あ、これ知ってる!
耳が妊娠するってやつだろ!
マックでJKが言ってた!

ここまで快楽に溺れさせられたら、抵抗する気なんてとっくに失せている。
だって、エリアスに触れられるところ全部が無茶苦茶気持ち良いんだ。
大きな手で俺の素肌の感触を楽しむように身体中を隈なく撫で上げられて、ねっとりじっとり舐められて、特に敏感に反応を返してしまった個所は印でも付けるように強く吸われ、もう俺の身体でエリアスの指と舌と唇が触れたことがない場所なんてないんじゃないだろうかってくらいだ。
そうしてエリアスの愛撫のは徐々に下へ下へと移動して、遂にその指が俺の尻の穴に伸ばされる。
やっぱり最終地点はそこですよねー!
何かを塗られたのは分かったが、俺には確認する余裕なんかない。
ちゅっちゅっと唇を啄むような口付けを与えながら俺の様子を窺いつつエリアスの指が俺の中に侵入してくる。

「……あなたのここはまるで処女のようだ……やはりこちらの世界に来てから誰ともこういった行為をされていなかったのですね。故郷のお相手に操でも立てておられるのでしょうか」

後ろは処女だし、前は童貞だし、そんな相手いないし!

「そ、んなっ、したこと、ないしっ……」
「したことがない……? 失礼、それは今まで誰とも性交渉をしたことがないという意味で合っていますか?」
「キ……キスしたのだって、さっきのが初めてだし……」 

ヤケクソで言い返したが語尾が消え入るように小さくなってしまったので余計に恥ずかしい。
なのにエリアスは聞き逃してはくれなかったようで、弾かれたように身を起こして瞠目する。

「初めて……とは、一体……? あなたは今年二十歳になると言っていませんでしたか!? その年齢で誰とも口付けを交わさず、誰とも肌を合わせることもなく生きてきたとは俄かには信じ難い!」
「……っ……」

ゴフッ!
それ、言葉の暴力だから!
勇者様の攻撃はオールクリティカルなのかよ!?
心が抉られるんだけど!?
最早言い返すことも出来ず涙目で屈辱に耐えるしかない。
いいんだ、この手の屈辱には慣れてるし……。
視線を外して口を噤んでしまった俺を見て、漸く己の不用意な発言に気付いたらしいエリアスはハッとして慌てて見当違いのフォローを付け足す。

「すみません、失言でした。ナナセ、決してあなたの純潔を疑っているわけではありません。ただ、あなたの初めての男になれる幸運が信じられないほど嬉しくてつい……ああ本当に信じられない! あなたの周囲にいた異界の男は全員不能なのですか? それとも高嶺の花と気後れして奇跡的に摘み取られなかったのか……!」

そーですね、ミジンコの俺から見たら人類は皆高嶺の花ですね……。
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