59 / 135
act.58
しおりを挟む
マックス達三人は、笑いながら移動遊園地のゲートを出た。
空はもう、ゴージャズな夕焼け色に染まっていた。
風は寒かったが、次第に気候が穏やかに緩んでいく気配を感じさせる。春はもう近い。
「パパ、ディナーは外で食べましょうよ。ね、いいでしょ」
シンシアがテディーベアを抱え直しながら傍らの父親を見上げる。ウォレスは少し肩を竦めた。
「そうだな。何が食べたい?」
「マックスは? マックスは何が食べたい?」
シンシアが、父親とは反対側に立つ金髪の青年を見上げた。
マックスも、ウォレスがしたように肩を竦めて見せる。
「シンシアが選べはいいよ」
「私はいいの! もう十分我儘きいてもらっちゃったんだもの。二人のハンサムガイにお姫様扱いされて、もう満足。今度はマックスが我儘言わなきゃ。ね、パパ」
シンシアが意味ありげな瞳の色を浮かべながら、父親を見る。
ウォレスは、リラックスした微笑を浮かべた。
「そうだな。マックス、何がいい?」
二人に見つめられ、マックスが「そうだなぁ・・・」と空を見上げた時、耳障りなサイレンが遠くから徐々に近づいてくる。
三人が思わず道路に視線を向けると、轟音を立てながら凄いスピードで道路を駆け抜けていく消防車の一団に追い抜かされた。
「火事・・・」
夕刻の空に乱反射するサイレンに、シンシアの声が重なった。と、マックスの胸ポケットから、携帯電話のベルが鳴った。
「ごめん」
マックスは軽く断わると、二人から距離を置いて携帯電話の通話ボタンを押した。
『マックス?』
受話器から急くように零れ出てきたのは、叔母パトリシアの声だった。
「叔母さん。どうしたの?」
マックスは、叔母の声が不安に震えているのを察知した。
パトリシアは、感情を表に良く出す女性だが、今の叔母の声にはいつもよりも過剰なほどの恐怖感が滲んでいた。
『ああ、よかったわ。連絡がついて。家に電話しても出ないんだもの・・・』
「ごめんよ、出かけてたんだ。それよりどうしたの?」
『今すぐ新聞社に行ってほしいのよ。あの子、すっかり取り乱してて・・・』
「取り乱す? 何が?」
『レイチェルよ! 今日は休みだったのに、新聞社から連絡があった途端、気が狂ったように癇癪を起して、飛び出して行ったの・・・』
叔母はその時の様子を思い出したらしい。彼女は、声を詰まらせた。
マックスには、状況がまったくわからない。
「何があったの? 叔母さん、落ち着いて。何を言ってるのか全くわからない」
叔母の泣き声がしばし聞こえた後、大きく深呼吸する音が続き、彼女は再び話し始めた。
『レイチェルの同僚のケヴィンが亡くなったの。家が燃えて・・・。ああ、恐ろしい。お願い、マックス、新聞社に行ってちょうだい。レイチェルが大丈夫なのか、確かめてきてほしい。あの子の様子は異常だった。怖いわ・・・』
マックスは、今しがた消防車が通り過ぎて行った方向を見つめた。
ざわざわと胸騒ぎがした。
「わかったよ、叔母さん。俺に任せて。また連絡するから。いいね」
電話を切る。
振り返ると、少し距離を置いて、ウォレス親子がマックスを見ていた。
二人とも不安げな顔をしていた。
「何かあったのか?」
「レイチェルの同僚が急に亡くなったようです。それでレイチェルが新聞社に向って飛び出して行ったみたいで・・・。叔母が心配して、電話をかけてきました。彼女の様子を見てきてほしいって。── レイチェルは、昔から感情の起伏が激しくて」
「それで?」
シンシアが、マックスの手を握ってくる。
マックスはその手を軽く握り返した。
「ちょっと様子を見てきます。だから・・・すみません。折角・・・」
「そんなこといいんだ。すぐに行ってあげなさい。新聞社まで送っていこう」
「すみません・・・」
マックスは再度謝って、空を仰いだ。
強烈な茜色の空が、炎のように見えた。
血が滲むほど、レイチェルは編集長のデスクを叩き続けた。
「現場に行きたいのよ!! なぜ?! なぜ止めるの?!」
ヒステリックにレイチェルが叫ぶほど、編集長は強固な態度を固めていった。
「何度も言ったが、もうバーマン達が向った。状況は逐一ここに入ってくることになってる。君はここにいろ。落ち着くんだ」
レイチェルは悲鳴のような声を上げた。
編集室に集ったスタッフ達が、開け放たれた編集長室のドアから、悲壮感漂う表情で二人の対決を見つめていた。
「落ち着け?! 落ち着けですって?! 正気なの?! 部下が・・・。あんたの部下が死んだのよ!」
「そんなこと、言われなくてもわかっている!!」
腕組みをしたままの編集長が、レイチェルの声を掻き消すほどの大声で怒鳴った。
レイチェルは思わず口を噤む。
編集長の目が赤く充血していくのを見たからだ。
レイチェルは耐えられなくなった。
どんどん顰め面になっていく編集長の顔を見ていたら、ボロボロと涙が零れ落ちた。
レイチェルの口から嗚咽が洩れる。
やがて号泣に変った。
悲しみが抑えられなかった。
自分の悪い予感が的中した結果だった。
ドースンの家は、原因不明の爆発を起して飛び散った。
家の外壁や屋根が粉々に飛び散り、周囲の道路や庭に転がった破片の中には、ドースンや彼の妻の身体の一部と思われるものも含まれていた。
今、現場周辺は、消防車や警察の関係車両で封鎖されているという。
記者がそこへ向ったとして、どれほどの状況が知らされるというのだろう。
── もし今回のことが単なる事故でないとすれば・・・。
昨夜のドースンの様子はやはりおかしかった。
レイチェルは、全身後悔の念に包まれた。
自分に彼を救うチャンスはあったはずだ。自分がもっと早く彼に警告しておけば、状況は変っていたのではないか。
彼の様子からして、明らかにドースンは、危険な領域まで足を踏み込んでいたのだ。
ここ最近のドースンは、ジム・ウォレスのことを調べているというよりは、何かもっと別のものに取り憑かれていた。
── 自分はそれに、気づかぬふりをしたのだ・・・。
床に泣き崩れるレイチェルの肩を、先輩女性記者が抱いた。
「レイチェル・・・、休みましょう。ね・・・」
レイチェルは抱き起こされ、編集室の外に連れ出された。
廊下の先の休憩ブースに連れて行かれた。
「何か飲むものを持ってくるわ。何か飲みたいものがある?」
女性記者にそう訊かれても、レイチェルは言葉を返すことができなかった。
永遠に涙が流れ落ちるのだと思った。
ドースンが結婚する以前には、恋人として思いを交わした時期もある。
些細な喧嘩で別れた後は、しばらくは気まずい関係が続いたが、ドースンが今の奥さんと知り合ってからは、次第に元のいい友人関係を築くことができていた。
もうあの狐のような顔も、辛辣な嫌味を言う声も、臨場感溢れるあの文体も、永遠に失われてしまった。
仕事における大切な同僚 ── いや、“戦友”を失い、レイチェルの胸は痛みを覚えた。
気が狂いそうだった。
── どうして・・・、どうして・・・・!
おんぼろのソファーに蹲るレイチェルの耳に、誰かが自分の名を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
それは、騒がしい廊下の雑音に混じって、掻き消されかけていたが、耳馴染みの良いその声を、レイチェルの耳は聞き逃さなかった。
「レイチェル!」
レイチェルは涙塗れの顔を上げる。彼女はソファーから立ち上がって、廊下を覗き込んだ。
「レイチェル!!」
「マックス!」
心配げで必死な顔をした従弟は、レイチェルの顔を見るなりほっとしたのか、安堵の表情を浮かべた。
行き交う社員の波を潜って、真っ直ぐに走ってくる。
「レイチェル」
従弟の逞しい腕が、レイチェルの小さな身体を包んだ。
レイチェルの胸の痛みが少し和らぐ。
「大丈夫。俺がついてるから・・・」
レイチェルの耳元で、従弟の優しい声が響いた。
レイチェルは瞳を閉じた。
新たな涙が零れ落ちたが、気分は大分落ち着いてきていた。
これからは穏やかな涙を流すことができそうだった。
「マックス・・・・、どうして?」
ソファーに腰を下ろして、マックスはハンカチをレイチェルに渡した。
「叔母さんから連絡があって。叔母さん、凄く心配してた」
レイチェルは溜息をついた。泣きじゃっくりがレイチェルの身体を揺らした。
「来てくれて嬉しいわ・・・。今にもどうにかなりそうなところだったのよ・・・。それにしても、よくここまで入って来れたわね」
「入口のガードマンが俺の顔を知っていて。君のことを話すと、入れてくれた。新聞社の前は、他社のテレビ局や新聞社が集まってきつつあるよ。こういうことは伝わるのが早いんだね」
「ハイエナだからよ。そいつらも、私も── そして・・・ケヴィンも」
硬い表情でレイチェルは言った。
その毒のある台詞に、レイチェルの心の痛みが滲み出ているような気がして、マックスは唇を噛み締めた。
レイチェルの手を握る。
レイチェルは、また新たな涙を零しつつ、洟を啜った。
「きっとケヴィンは殺されたのよ。間違いないわ。これはただの火事じゃない。ケヴィンは家ごと吹き飛ばされた」
マックスは、レイチェルの言ったことに息を呑んだ。
一瞬、マックスの脳裏に、空に伸び上がる巨大な炎の柱が浮かんだ。
── 道路に転がる赤い塊・・・。
マックスの強張った表情を見て、レイチェルは頷いた。
「ええ、そうよ、マックス。これはまた新たな爆弾事件よ」
空はもう、ゴージャズな夕焼け色に染まっていた。
風は寒かったが、次第に気候が穏やかに緩んでいく気配を感じさせる。春はもう近い。
「パパ、ディナーは外で食べましょうよ。ね、いいでしょ」
シンシアがテディーベアを抱え直しながら傍らの父親を見上げる。ウォレスは少し肩を竦めた。
「そうだな。何が食べたい?」
「マックスは? マックスは何が食べたい?」
シンシアが、父親とは反対側に立つ金髪の青年を見上げた。
マックスも、ウォレスがしたように肩を竦めて見せる。
「シンシアが選べはいいよ」
「私はいいの! もう十分我儘きいてもらっちゃったんだもの。二人のハンサムガイにお姫様扱いされて、もう満足。今度はマックスが我儘言わなきゃ。ね、パパ」
シンシアが意味ありげな瞳の色を浮かべながら、父親を見る。
ウォレスは、リラックスした微笑を浮かべた。
「そうだな。マックス、何がいい?」
二人に見つめられ、マックスが「そうだなぁ・・・」と空を見上げた時、耳障りなサイレンが遠くから徐々に近づいてくる。
三人が思わず道路に視線を向けると、轟音を立てながら凄いスピードで道路を駆け抜けていく消防車の一団に追い抜かされた。
「火事・・・」
夕刻の空に乱反射するサイレンに、シンシアの声が重なった。と、マックスの胸ポケットから、携帯電話のベルが鳴った。
「ごめん」
マックスは軽く断わると、二人から距離を置いて携帯電話の通話ボタンを押した。
『マックス?』
受話器から急くように零れ出てきたのは、叔母パトリシアの声だった。
「叔母さん。どうしたの?」
マックスは、叔母の声が不安に震えているのを察知した。
パトリシアは、感情を表に良く出す女性だが、今の叔母の声にはいつもよりも過剰なほどの恐怖感が滲んでいた。
『ああ、よかったわ。連絡がついて。家に電話しても出ないんだもの・・・』
「ごめんよ、出かけてたんだ。それよりどうしたの?」
『今すぐ新聞社に行ってほしいのよ。あの子、すっかり取り乱してて・・・』
「取り乱す? 何が?」
『レイチェルよ! 今日は休みだったのに、新聞社から連絡があった途端、気が狂ったように癇癪を起して、飛び出して行ったの・・・』
叔母はその時の様子を思い出したらしい。彼女は、声を詰まらせた。
マックスには、状況がまったくわからない。
「何があったの? 叔母さん、落ち着いて。何を言ってるのか全くわからない」
叔母の泣き声がしばし聞こえた後、大きく深呼吸する音が続き、彼女は再び話し始めた。
『レイチェルの同僚のケヴィンが亡くなったの。家が燃えて・・・。ああ、恐ろしい。お願い、マックス、新聞社に行ってちょうだい。レイチェルが大丈夫なのか、確かめてきてほしい。あの子の様子は異常だった。怖いわ・・・』
マックスは、今しがた消防車が通り過ぎて行った方向を見つめた。
ざわざわと胸騒ぎがした。
「わかったよ、叔母さん。俺に任せて。また連絡するから。いいね」
電話を切る。
振り返ると、少し距離を置いて、ウォレス親子がマックスを見ていた。
二人とも不安げな顔をしていた。
「何かあったのか?」
「レイチェルの同僚が急に亡くなったようです。それでレイチェルが新聞社に向って飛び出して行ったみたいで・・・。叔母が心配して、電話をかけてきました。彼女の様子を見てきてほしいって。── レイチェルは、昔から感情の起伏が激しくて」
「それで?」
シンシアが、マックスの手を握ってくる。
マックスはその手を軽く握り返した。
「ちょっと様子を見てきます。だから・・・すみません。折角・・・」
「そんなこといいんだ。すぐに行ってあげなさい。新聞社まで送っていこう」
「すみません・・・」
マックスは再度謝って、空を仰いだ。
強烈な茜色の空が、炎のように見えた。
血が滲むほど、レイチェルは編集長のデスクを叩き続けた。
「現場に行きたいのよ!! なぜ?! なぜ止めるの?!」
ヒステリックにレイチェルが叫ぶほど、編集長は強固な態度を固めていった。
「何度も言ったが、もうバーマン達が向った。状況は逐一ここに入ってくることになってる。君はここにいろ。落ち着くんだ」
レイチェルは悲鳴のような声を上げた。
編集室に集ったスタッフ達が、開け放たれた編集長室のドアから、悲壮感漂う表情で二人の対決を見つめていた。
「落ち着け?! 落ち着けですって?! 正気なの?! 部下が・・・。あんたの部下が死んだのよ!」
「そんなこと、言われなくてもわかっている!!」
腕組みをしたままの編集長が、レイチェルの声を掻き消すほどの大声で怒鳴った。
レイチェルは思わず口を噤む。
編集長の目が赤く充血していくのを見たからだ。
レイチェルは耐えられなくなった。
どんどん顰め面になっていく編集長の顔を見ていたら、ボロボロと涙が零れ落ちた。
レイチェルの口から嗚咽が洩れる。
やがて号泣に変った。
悲しみが抑えられなかった。
自分の悪い予感が的中した結果だった。
ドースンの家は、原因不明の爆発を起して飛び散った。
家の外壁や屋根が粉々に飛び散り、周囲の道路や庭に転がった破片の中には、ドースンや彼の妻の身体の一部と思われるものも含まれていた。
今、現場周辺は、消防車や警察の関係車両で封鎖されているという。
記者がそこへ向ったとして、どれほどの状況が知らされるというのだろう。
── もし今回のことが単なる事故でないとすれば・・・。
昨夜のドースンの様子はやはりおかしかった。
レイチェルは、全身後悔の念に包まれた。
自分に彼を救うチャンスはあったはずだ。自分がもっと早く彼に警告しておけば、状況は変っていたのではないか。
彼の様子からして、明らかにドースンは、危険な領域まで足を踏み込んでいたのだ。
ここ最近のドースンは、ジム・ウォレスのことを調べているというよりは、何かもっと別のものに取り憑かれていた。
── 自分はそれに、気づかぬふりをしたのだ・・・。
床に泣き崩れるレイチェルの肩を、先輩女性記者が抱いた。
「レイチェル・・・、休みましょう。ね・・・」
レイチェルは抱き起こされ、編集室の外に連れ出された。
廊下の先の休憩ブースに連れて行かれた。
「何か飲むものを持ってくるわ。何か飲みたいものがある?」
女性記者にそう訊かれても、レイチェルは言葉を返すことができなかった。
永遠に涙が流れ落ちるのだと思った。
ドースンが結婚する以前には、恋人として思いを交わした時期もある。
些細な喧嘩で別れた後は、しばらくは気まずい関係が続いたが、ドースンが今の奥さんと知り合ってからは、次第に元のいい友人関係を築くことができていた。
もうあの狐のような顔も、辛辣な嫌味を言う声も、臨場感溢れるあの文体も、永遠に失われてしまった。
仕事における大切な同僚 ── いや、“戦友”を失い、レイチェルの胸は痛みを覚えた。
気が狂いそうだった。
── どうして・・・、どうして・・・・!
おんぼろのソファーに蹲るレイチェルの耳に、誰かが自分の名を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
それは、騒がしい廊下の雑音に混じって、掻き消されかけていたが、耳馴染みの良いその声を、レイチェルの耳は聞き逃さなかった。
「レイチェル!」
レイチェルは涙塗れの顔を上げる。彼女はソファーから立ち上がって、廊下を覗き込んだ。
「レイチェル!!」
「マックス!」
心配げで必死な顔をした従弟は、レイチェルの顔を見るなりほっとしたのか、安堵の表情を浮かべた。
行き交う社員の波を潜って、真っ直ぐに走ってくる。
「レイチェル」
従弟の逞しい腕が、レイチェルの小さな身体を包んだ。
レイチェルの胸の痛みが少し和らぐ。
「大丈夫。俺がついてるから・・・」
レイチェルの耳元で、従弟の優しい声が響いた。
レイチェルは瞳を閉じた。
新たな涙が零れ落ちたが、気分は大分落ち着いてきていた。
これからは穏やかな涙を流すことができそうだった。
「マックス・・・・、どうして?」
ソファーに腰を下ろして、マックスはハンカチをレイチェルに渡した。
「叔母さんから連絡があって。叔母さん、凄く心配してた」
レイチェルは溜息をついた。泣きじゃっくりがレイチェルの身体を揺らした。
「来てくれて嬉しいわ・・・。今にもどうにかなりそうなところだったのよ・・・。それにしても、よくここまで入って来れたわね」
「入口のガードマンが俺の顔を知っていて。君のことを話すと、入れてくれた。新聞社の前は、他社のテレビ局や新聞社が集まってきつつあるよ。こういうことは伝わるのが早いんだね」
「ハイエナだからよ。そいつらも、私も── そして・・・ケヴィンも」
硬い表情でレイチェルは言った。
その毒のある台詞に、レイチェルの心の痛みが滲み出ているような気がして、マックスは唇を噛み締めた。
レイチェルの手を握る。
レイチェルは、また新たな涙を零しつつ、洟を啜った。
「きっとケヴィンは殺されたのよ。間違いないわ。これはただの火事じゃない。ケヴィンは家ごと吹き飛ばされた」
マックスは、レイチェルの言ったことに息を呑んだ。
一瞬、マックスの脳裏に、空に伸び上がる巨大な炎の柱が浮かんだ。
── 道路に転がる赤い塊・・・。
マックスの強張った表情を見て、レイチェルは頷いた。
「ええ、そうよ、マックス。これはまた新たな爆弾事件よ」
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
男の子たちの変態的な日常
M
BL
主人公の男の子が変態的な目に遭ったり、凌辱されたり、攻められたりするお話です。とにかくHな話が読みたい方向け。
※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる