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23・謙斗の真実 中
しおりを挟むその夜遅く、私はふと目が覚めた。
自分の愚かさを泣いて泣いて、当の謙斗に八つ当たりをして。泥のように疲れ果てて眠ったのに、なぜ目覚めたのだろう? さんざん泣いたからなのか、不思議に落ち着いた気持ちになっていた。
隣には謙斗が、私の腰を抱いて眠っている。そっと起き上がると一瞬身動ぎしたけれど、謙斗は起きなかった。そこで初めて気がついた。
―――あれ? 私、回復してる……?
こうしている今も、城の中の気を吸収しているのを感じる。どうやら魔力も封じられていないようだ。
やはり、謙斗を叩きまくったときに、何らかの制限を外してくれたのかもしれない。謙斗の言うとおりなら、ゲームの設定を変更するとか……そういうことができるのだろう、きっと。
眠る謙斗をぼんやり眺めていると、今更だけど、罪悪感が胸にじくじくと湧いてきた。でも後悔しても遅い。どうしてあんなことになったのか。謙斗は何も悪くなかったのに。
―――そういえば、あの後、謙斗はどうしたんだろう?
恥ずかしながら、今までそれを考えたことすらなかった。間接的とはいえ謙斗にも原因があると思って、考えるのを避けていたのかもしれない。
でも、そうではなかった。何の落ち度もなかったのに、勝手に勘違いして怒られて、その上目の前で彼女が死んでしまったら……。謙斗はどう思っただろう?
でもたぶん謙斗のことだから、聞いても全部は話してくれないに違いない。
しばらく考えて、私はあることを決めた。
今なら魔法が使える、これも天の配剤に違いない。魔王らしからぬことを思いつつ、私は謙斗に向けて眠りの呪文を唱えた。これで、しばらくは目を覚まさないだろう。続けてもうひとつ―――魔王としても滅多に使ったことのない、相手の夢を覗く呪文。夢から夢を伝い、過去へ遡ることも出来る。
目の前に白い靄が広がり、そこに映像が浮かんだ。
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