ヤるしかないっ?

砂月美乃

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8・交代しました

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 あれだけのことをやっておいて、自分は嫌だなんて言えない。ジュリオ様のローブの上に横たわったあたしは、ジュリオ様がぎこちなくボディスの紐を解いてゆくのを、呆然と眺めていた。ボディスが取り去られ、ブラウスのボタンも外されると、押さえられていた胸がぷるんと零れだす。

「あっ……」

 急に心細くなり、あたしは両手で胸を隠して身体をひねった。するとジュリオ様は、スカートの腰紐もするんと緩めてしまった。

「やっ!」

かっと頬に血が昇ったあたしに、ジュリオ様は首をかしげる。

「ああ、僕の下穿きもすぐには下げなかったんだっけね。なら、こっちは後にしよう。なるべく君と同じようにするから、足りないところがあったら言って」

 何と言っていいか分からないうちに、ジュリオ様が顔を近付けてきた。

 ジュリオ様はあたしがしたのと同じに、何度もキスをするところから始めたらしい。あたしと違うのは、さっき泣いたときのように、頭を撫でていてくれることだ。たったそれだけのことであたしは何だか安心して、ジュリオ様に委ねられる気持ちになる。髪に触れる手が心地よくて、キスの間に吐息をもらした。

「んっ……」

 するとジュリオ様の舌があたしの唇を割って、咥内に入って来た。懸命にあたしのしたとおりをなぞっているのか、同じように舌を絡めてくる。
 前にキスされた町の男にくらべると性急で、動きもぎこちないけれど、あのジュリオ様がここまでしてくれていることに驚くしかない。

 さすがの記憶力なのかしら。ジュリオ様は姿勢を変えて、あたしの耳や首筋に唇を移動させた。

「あっ! んっ……」

 さっきジュリオ様にしたとおり、吸い付いたり舌の先で舐めたり、悔しいくらい的確に同じ場所を辿ってくる。あたしは調子にのって工夫したのを後悔した。
 鎖骨のくぼみに舌が這い、あたしはびくりと全身を震わせた。するとジュリオ様が手を握ってくれて、顔を覗き込む。

「ダリア、大丈夫? 辛かったら言うんだよ?」

 その視線が下がり、あたしの胸に向いたのが分かった。

「すごい、ダリア……。女の子の胸って、こんな真っ白で綺麗なんだね」
「や……、見ちゃいや」
「君だって、さんざん見たじゃないか」



 ジュリオ様はそっと手を外し、ためらうように胸に触れた。

「んっ!」

 あたしが震えるとはっとして手を引きかけたけれど、やがて思い直したのか、両手でそっと包み込んだ。

「ああ、なんて柔らかいんだ……。こんな手触り、初めてだよダリア」
「やっ……、ああ……」

 ほんの少しずつ力を込めて、やわやわと何度も感触を楽しむジュリオ様。自分の胸だけど、こんな感覚知らなかった。おっぱいが熱くて、じんじん痺れるみたいだ。やだ、ジュリオ様が触るだけで、なんでこんなに違うの? ああ、マチルダが言ってた「気持ちいい」って、これがそうなの……?
 気付いたらいつの間にか、むにむにとおっぱいの形が変わるくらいに揉まれていた。どうやらおっぱいに夢中になって、他のことはいったん忘れることにしたらしい。

「大丈夫、痛くない?」
「んっ、はぁ……っ、だっ……じょうぶ……! あっ」
「これも、気持ちいいの?」

ジュリオ様の瞳は真剣だ。気持ちいい、ということは、あたしの準備ができるということだから。

「どうなんだい?」
「やだっ……、恥ずかし……」
「言って。僕は、君に聞くしかないんだから」

 ああ、そんなのひどい。神様、これは勝手なことをしたあたしへの罰ですか?

「ダリア」
「きっ……、気持ち、いい……」

恥ずかしすぎて両手で顔を隠しながら、あたしはやっと言った。

「良かった。もっとたくさんしてあげるからね」
「えっ……」

指の隙間から見ると、ジュリオ様は何か思い出すように首をかしげている。

「ああ、そうだった」

 そしてにっこり笑うと、肘をついて身を屈め……、痛いくらいに尖っていた胸の先を口に含んだ。

「ひあ……あっ! あっあっ、それぇ!」

 ああ、ジュリオ様が「魔法が走る」って言った、あの意味が分かった。きゅっと吸い付いた口の中で、ジュリオ様の舌が乳首を転がす。そうされるとびりびり痺れるみたいで、何も考えられなくなってしまう。

「や、ジュリオさま、やめ……!」
「うんうん、その気持ち分かるよ」

 思わずジュリオ様の手を押しとどめようとすると、なんとジュリオ様は笑った。

「さっき、君に同じことをされておいて良かったよ。止めて、っていうのはそのままの意味じゃないんだよね」
「え、ちが……!」

 うそでしょ……?

 まさかそんなことを言われるとは思わず、あたしはあっけに取られて顔を上げた。ちょっと、どう考えてもこれ……、自分で自分の首を絞めたっていうやつ?

「こうすれば、きっと大丈夫だから。頑張ろうね、ダリア」

ジュリオ様はあたしのスカートに手をかけて、無邪気に微笑んだ。

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