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「4」新しい国の作り方

( 3 ) 美味しい話

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狭い世界で皆んなが親戚みたいに知り尽くしている人間関係の貴族階級。そこへ、ニュース。


「王様が、小国の申請を認められた!」


国を作るのは簡単なのだが、周辺の国々に友好を求めるのが大変。無視されると有っても無い国となる。それが、国を立ち上げたという噂から僅かな間で認可されたのだからバックが大きいのが知れる。


「あの、のっぺらぼうーは強腕でござますね。」

「王妃は、あのエガンス伯爵の息女だ。当たりクジを引いたよなものだ。」

「そうよなあ。エガンスが倒産した時に婚約破棄した子息は今頃は公開しているだろう。」

「だって、噂ではミリエネッタ令嬢は跡継ぎにするように仕事を手伝わせてるようですわ。出来た子供は役に立つって本当!」

「さすれば、気に入ったなら財産を与えてくれるかも。これは、良い話ではないか!」


欲の皮の突っ張ってる方達は、まるでハイエナなように王妃城へ集まって行くのでした。我が子に晴れ着を着せて売り込む為に。

サンリク伯爵家では、ミリエネッタ令嬢の義理の両親にあたる伯爵夫妻の馬車が王城へ出発した。玄関ホールでは、本日の主人公であるコムが婚約者のマルグリットを待っていた。


「とっても、綺麗ですね。王妃様。」


厳しく叩き込まれた礼儀をコムは見せてくれた。棒読みでは無い台詞。流れるような仕草で身を折り腕を差し出す。本物の貴族のようだ。


(負けたわ、お嬢様の入れ込みが違うもの!)


豪華な大輪の薔薇の色鮮やかな色取り取りの刺繍が縫い込まれたガウンは、ふんだんに使われた絹のレースの服のコムを輝かせていた。レースに埋もれているようにさえ見えた(この国ではレースの多さで財産を示している)。


(私のドレスもミリエネッタお嬢様が特注して下さった品ですけど、その何倍ものお値段でしょうね。だって、あの薔薇は動いてますもの!)


はい、ガウンの薔薇はリアル刺繍で花を開いたり閉じたりしている3D使用です。さぞかし、お客さま達の話題になるでしょう。

羨ましい気持ちをこらえて、笑顔でコムの腕に手を掛ける。この時、マルグリットは彼の背が伸びている事に気がついたのだ。コムが以前とは変わりつつある事を。
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