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「3」 ムスタカス家の子息

(18) 婚約披露

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とうとう、来てしまいました。イーグルとジュリエッタの婚約披露パーティーの夜。


「こんばんわ。宜しくお願いします。」


ジュリエッタは、戸惑う。何故だ、ゴメス商会のジョナサンが控え室に居るのだ。それも、紫色のセクシーなバックにパックリのお尻からスリットなのだ!


(ジュリエは、笑い者だ。お前は、注目されてモテるのだ。ふざけるななのだー!)


ジュリエ、怒り心頭。こんな差別があっていいものなのか。馬鹿みたいなドレスなんか脱いでやるのだ!


ゴソゴソ・・・


「あら、ジュリエッタ姫様。どうされました、痒いのですか?」

「違う、痒いのでは無いのだ。脱ごうとしただけだ。」

「脱ぐ?何故?」


ジョナサンの迫力を込めた目線が刺さる。ジュリエッタは震えた。



『ほら、言って下さい。着衣したくないのだと。ミリエネッタお嬢様の意志に逆らうと、どうなるのか。分かっておられますよね?』


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「私、お嬢様の婚約者のイーグル様から求婚されております。お断りしましたが、第2夫人候補という事でお付き合いする事になりましたの。宜しくお願いします。」


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