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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は
(27) お久しぶりの再会
しおりを挟む人払いしたお嬢様の部屋から大きな音が聞こえて屋敷が揺れ動いた。魔法を使ってるようだ。召使い達は終わるのを部屋の外から見守るだけ。
でも、一体、何の魔法なのだろうか。知りたいけど怖い。
「ふわー、眠いぞ。誰だ、我(よ)を起こしたのは?」
眩しい光りの中から現れたのは、部屋の屋根まである金色のドラゴン。頭でミシミシと天井を壊す。ミリエネッタはドラゴンを小さくした。
「にゃにゃにゃにゃーー!(小さすぎるぞ)」
そりゃ、そうだ。手のひらサイズに変えられるたのだから。ミリエネッタ令嬢は指先で摘み上げて自分の手の上に乗せる。
「また、お目にかかれて光栄ですわ。陛下?」
「にゃにゃ?(お前は誰だ?)」
「あなたの親しい友ですけど(忘れたな)」
「この匂いと魔力の感触は、ご老体のレニーか!若くなったのか?(急に明確な発音になった)」
「お久しぶりでございます。私も転生しましたので。」
ジーとドラゴンは手のひらから見上げる。その眼差しは熱き想いに釘付け。そして、申された。
「うーむ、孕(はらま)せてみたい!」
コムは、仰天。ミリエネッタ令嬢は呆れ顔。前世は200歳まで生きたのだから少々の事では驚かない。
「元気だのう、フランチェスコ。あの時は私など色気のある態度など少しも見せなかったのに。お主がロリコンとは知らなかった。だが、身体なくして何が出来るのだ。ガハハハー。」
笑われて、大王は頑張ってみる。ミリエネッタ令嬢を襲った。
スカー、スカー、と空振りの音を繰り返す。当たり前だ、魂だけの存在。事を成すには生身の身体が必要である。
「さ、お遊びは終わりにしましょう。コムや、こちらは流星人の王のフランチェスコ・ドラコ大王ですよ。ご挨拶なさい。」
え、このオモチャみたいな生き物が伝説の大王ですか?信じられません。それよりも、あのフレーズが頭から消えない。
【孕ませてみたいー!】
初めて聞く言葉。何て男らしいセリフなんだ。コムにとっては、男らしく思えた。僕、16歳になったんだ。お嬢様が成人の儀式を行なってくれたし。 I度は使ってみたい。男の子なら。
「うーむ、孕ませてみたい。」
朝の掃除の時間に屋敷のベッドのシーツを交換している使用人のお姉さん達の側で言ってみた。
「まー、コムちゃんたら。私に?」
予想外の反応。大喜びしています。他のお姉さん達が怒り出したぞ。どうしよう。
「ちょっと、何?私を通り越して、そっち?許さないわよ、私からよ!」
そ、そ、それは、考えて無かった。助けて、お嬢様!
騒ぎを聞きつけて執事の登場。話を聞いて呆れる。痴情の縺れとなると手に余る。よって、主人へお頼み致しました。聞いたミリエネッタ令嬢は笑う。
「まあ、そう。コムや、「孕ませる」は乱発しないでおくれ。お前は、1人しか子は成せない。その時の為に大事にしてないとね。」
その時?只今、婚約中ですが。マルグリット令嬢が僕の子供を孕むのでしょうか。理解しました、気をつけます!
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