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「2書」 ミリエネッタ令嬢という女の子は

(4) 深夜の客

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このお屋敷で見た事や耳にした事を外に公言しない。という事は、話されると困る事があるとかですか?

そして、それは、真夜中に起こった。

突然の爆音と揺れる屋敷。何かが、襲って来たのだ。モンスターの襲撃か。ジュリエッタは抱いて寝ていた愛剣を手に部屋から飛び出して来る。

すると、屋敷の廊下の闇にランプの灯りに浮かび上がる美少年が1人。驚いたジュリエッタは叫んだ。


「ぎゃあああああああ、オバケ!怖い、助けてー!」


それは、見習い執事のコムでした。モンスターは怖くないけどオバケは怖いようです。コムは、構わずに床に話しかけた。


「また、やられては困ります。お嬢様に叱られますよ?」


そう、下手(したで)に言ってみる。無視されるのは何時もの事。でも、居られるとお嬢様の癇癪が。怒ったら怖いのに。


「ほら、アレッサンドロクスドニベーチェ王太子様?」


伯爵家の館の廊下に転がっている大きな落とし物。大男に近い高身長で手脚が長い若い男。手脚が長いから数人がかりで抱き上げないとモツレルのだ。解くのが手間です。


「愛してる、愛してるんだリミエネッタ!」


酔っ払ってるから恥も外聞も無い。大声で喚く。王宮なみに厳しい警護だと評価されているのに、何時も誰にも気付かれずの侵入。どうやってるのやら。

おまけに、この落とし物は無駄に目を惹く。ほら、侍女達が。


「今日の王太子様の寝顔、素敵。悩ましいわー!」


ああ、遅かったか。王太子は魅惑もちなのに、犠牲者が出そうだ。どうしたものかと、執事見習いは溜め息をつく。

ジュリエッタはオバケには逃げ腰なのに、王太子と知ると目を輝かせた。


「王太子なんだー?お知り合いになりたいのだー!(横島な気持ち)」


これは、やっぱり、お出ましをお願いしないと。ミリエネッタお嬢様は、王太子の婚約者でありますから。と、今朝も決意したのであった。


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