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37-精嚢マッサージにも挑戦しましょう。

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「ああッ」
 大悟の指先から受け取った刺激が、アナルの奥までビリリと伝播する。思わず腰が引け、アナルをぎゅっと絞ってしまった。ちゅぷりと立った粘着音は、きっと大悟の指先を食い締めた音だ。

「すごいよ、ゆきなり。俺の指、しゃぶってる」
 それは自分でもわかった。絞ったアナルへじんと響く心地よさに、理性がマッタをかけて力を緩める。それでも、昂ぶりきった身体がすぐに物欲しそうに焦れるから、ついついアナルを……そんな動きが、まるで『しゃぶってる』みたいになってるんだ。

「ゆきなりのなか、あったかい。襞とかも……指だとこんなにはっきりわかるんだな」
 感嘆したような声をこぼしながら、ひくつくアナルの奥へと大悟が指を沈めてくる。やっともらえた確かなものに、甘い溜め息がこぼれた。

「ん、ふぅ」
 やっぱりいつものローションとは違う。ぬるぬるしていても吸い付くような摩擦があった。指の抜き挿しにあわせてワセリンを追加されたけど、粘稠度を増したそれは、ぬるぬる越しに触れてくる指先の動きを何倍にもして内壁へと伝えてくるみたいだった。

 いったん引き返され、指を二本に増やされる。そんななんてことない動作にも感じて腰の奥が震えてしまう。

 先程よりも重量を持った存在感が、アナルのなかを探索しはじめた。揃えた指で壁を辿り、ときに手首を返して指を曲げ、俺には予測できない動きをする。ゆるゆると何かを確かめながら進むそれは、よく知る大悟の指だけど、俺の知らないものだった。自分の指でもない。オモチャでもない。俺とは別の意思を持つ、大悟の指だ。


「確か」
 大悟が上の空でつぶやいた。きっと指先に集中しているせいだろう。指の動きが停滞気味に、同じ個所を探ってる。
 もしかして……だめだ、そこに触れたら。
 期待とも不安ともつかない感情に負けて、大悟の指を思いきり食い締めてしまった。

「ゆきなり、そんなに締めたら探せない」
 指をアナルに拘束された大悟が、「ゆるめて」と、空いてる手で背中をそっと撫でてくる。やさしい手つきにホッとして、うっかりアナルが緩みそうになるけど、ここで緩めたら大悟は……。

「探すって、なにを」
「ゆきなりのイイところ」
 やっぱりか。
「そんなのもう、」
「ちゃんと知っておきたいんだ」
 知ってるじゃないかと言おうとした俺の言葉に被せて、大悟のひたむきな声がうなじの向こうから聞こえた。ああ、ダメだ。大悟は聞く耳を持たないつもりらしい。

 「ほら、ゆるめて?」と、アナルに入ったままの二本の指を左右にくくんっと揺らされた。
「ああッ!」
 浅い場所に散る衝撃に身体が勝手に反応する。指を追いかけ、余韻をむさぼり、腰を突き出しては、もっとくれと催促してる。

「ゆきなり、じょうずだよ」
 ぱかりと緩んだアナルに満足したらしい。大悟の声がいっそう甘くなった。

 アナルのなかを大悟の指がゆっくり動く。粘るワセリンを纏って、ぬちぬちと肉を引き摺りながら。ときどき内壁を軽く押さえながら探してる。

「は、ぅあ、」
 腰が抜けたみたいな情けない声に口を閉じなきゃと思ってみても、アナルにつられてるのか、どんどん力が抜けてひとりでに開いていく。
 もうだめだ。見つかっちゃう。
 大悟の指先が、俺のよく知る例のしこりに行きついた。


「ここか?」
「あぁんンッ」
 内壁の向こう側、その位置を、大きさを、弾力を、覚え込もうとするかのように大悟の指が探り出す。二本の指がしこりのふちに沿って、わかれて、じりじり進む。奥がひろがる。指が埋まる。挟み込むようにされたまま、押し込んだり、引かれたり。

「んあッ、なにっ、なにそれっ、やっあぁっっ」
 自分で弄るときだって、グッズを使ったときだって、そんな触り方はしたことがない。ペニスの根元を裏側から掴まれたような快感に身悶えて、シーツに腹をぺたりと押しつけしがみついた。

 毛穴がひらいて、汗が吹き出る。涙腺がゆるんで、視界がにじむ。口の端を伝った唾液が、頬を押しつけたシーツの繊維のあいだにじわりと染み込んでいくのがわかった。

「すこしかたくて、ざらっとしてる。前立腺、きもちいい?」
 指がとまり、視界に大悟の顔が入ってくる。浅くて早い息をするのが精一杯で、その問いに答えることはできなかった。それでも答えはわかったらしく、「ゆきなり、なんて顔してるの」と言われたけど、大悟のほうこそそんな顔して……。


「はッ、アアッ、やめっ、でちゃうっ」
 今度は二本揃えたたらしい指が、その上で軽く弾みだす。強くもなく、弱くもない。確かな衝撃がペニスの裏から先までびりびりと走り抜けた。

「やめてっ、とんとん、やめてッ、でちゃうからあッ」
 強烈な刺激に泣き叫ぶと、指の動きが唐突にやんだ。
 ホッとして、射精を堪えるのに閉じていた目蓋をそっともちあげると、さっきと同じ位置に大悟の顔があった。人が悶える顔を鑑賞するなんて、趣味がいい。そうは思っても、文句を言うだけの気力はすでにない。

「出せばいいのに」
「やだ」
「何度でもイカせてやる」
「だいごの、いれて」
「俺のおちんちんじゃないとやなの?」
「ん」
「じゃあ、もう少しひろげないと」
「ひアッ」

 長い指がずるりと奥へ入り込んだ。前立腺を越えたその向こう……俺の知らない、俺の指じゃ届かない場所にそれはあった。

「あああっっ、やめっ撫でな、イやああッ」
 なんだこれ。肉の壁の向こう。気持ちいいいつものしこりのその奥に、小さなこりこりが隠れてた。ひと撫でされるたびにそのこりこりがぶわって膨らむような気がして、じっとしていられないのに力も入らない。

「やめっ、ソコやめてっ、はじける、ばくはつするッ」
「ソコって、ココ?」
 膨らんだこりこりを指先でつつかれた。
「ひああっ、こわ、こわいぃっ」
 本当にっ、爆発するっ。


「……そんなに?」
 俺の狂乱ぶりに驚いたらしい大悟が動きをとめて神妙な声で聞いてきた。
「こわいぃ、もうやだぁ」
 指は動いてないのにまだジンジンする。未知の快感に訴える声も半泣きだ。
「ごめん、いじめすぎた」
 涙越しに見える大悟がしゅんと落ち込んでいった。

「こんなだなんて、しらなかった」
「知らないって?」
「ひとに、なかいじられると、こんなだなんて」
「え、」
「ほぐすの、ぜんぶ自分でしてきたし。だいごのゆび、ながいし、うごきもエロいし」
「え、ゆきなりのなか触ったの……俺が、はじめて?」
「ん、おれのほかには、だいごが」

 はじめてだ、と言い終わるその前に、大悟がふっと視界から消えた。
「ごめん、真面目にほぐすから」
 低く掠れた声で真剣にそう宣言されて、俺のアナルは三本目、四本目と受け入れる指の数を次々と増やされていった。
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