碧の青春【改訂版】

美凪ましろ

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第十九章 当たり前やろが

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「あー疲れたあ……」
 蛙でも踏み潰された声が出る。
 昼夜バスに揺られ。畑中にて一時間半待ち合わせようやく緑川行きのバスに乗れ、緑川に到着する頃には東京を出て半日が経過していた。この旅で総計二十四時間バスに乗った計算となる。
 旅行では無いのだが。
 丸一日だと思うと疲労感が増幅するというか、平衡感覚を失いそう。着崩したポロシャツと同じくよれよれでバスを降りる。
 と、

「お、母さん……?」

 降りた先に発見する。ガラスの向こうで母は、急いで出るとすぐさま私のほうに駆け寄ってくる。
 朝方帰ると伝えていた。何時とは伝えていなかった。畑中での乗り換えが不便で、二三時間前後するだろうと。
 それを。
 いまかいまかと、待っていたというのか。私のいないバスを何台も見送っては。
 四日ぶりの再会だった。
 母は、見るに心労のいろを濃くしていた。だが私の前に立つとそれを抑え、気丈にも笑みを作り、

「お帰りなさい、真咲。……疲れとるやろ」

「……ただいま。ぜんぜん」

 それなのに、私は置き去りにし、歩き始めた。

「風呂、……沸かしとるから。すぐ入るやろ」
「ん。そうする……」

 からだじゅうがべたべただった。
 母の気配りに、
 嬉しさのなかへ砂を噛む思いが混ざる。
 汚れは洗い流せ、疲れは一晩休めば消える。

 けれども消せない悩みが私のなかに組み込まれた。

 そもそも母が早く言ってくれてたら、あんなにも苦しむことはなかった。
 いや。
 時期がいつであろうと悩むのに変わりはない。
 なんてことをしてくれたのかと母を恨んでも、私が生まれたという事実は事実なのだし、――場合によっては、私は生まれなかったかもしれないのだ。
 母の決断なくして私の生存は起こりえなかった。
 柏木慎一郎の存在なくしても。
 何故だろう。
 仮に、母が身ごもったと聞き及んでいたとしても、柏木慎一郎がそれを受け入れないとは断じて思えなかった。
 決して彼が、人間の心理に向き合うことを専門にしているからではなく。
 あの穏やかな眼差しが、人間の存在を拒否するように思えなかったのだ。

 いつの間に抜かれた。考えごとをしているせいか。
 黙る母の後ろを私は黙考してついていく。
 この国道沿いの道を縦に並んで歩いたのは、――この地に移り住んだ夏の日。忘れもしない、昨年の八月十日。
 あれから一年が経つ。
 すこし強い風が私と母の間をすり抜ける。天候はいつかよりも涼しい。
 けども変わらず迎える潮の薫りが、私に、帰郷したことを感じさせた。
 帰ってこられた、という望郷の念に等しい、安堵が私のなかを満たしていった。

「会ってきたよ。私」

 出し抜けに呼びかける。

「素敵な先生だったよ。ナイスミドルなおじさんって感じでね。声が、落ち着いていて……立ち振る舞いに品があって、なんていうのかな。なんでも話したくなっちゃう。包容力のあるひとだね」
 母は頷く。
 最後に会った、青年だった頃の彼を思い返しているのだろう。
 おじさんでは無かったに違いない。
「私のことはもちろん言ってないよ」すこし笑って私は口にする。母の気にしているだろうことを。
「そうがなね」驚きも皆無の声色だった。
 母こそも落ち着いていた。
 甘えたいような、くすぐったい欲動が内部から湧いてくる。
「でもさ。髪とか私にそっくりなんだよね。まっすぐでバレッタ留めたら落っこちそうな髪質もさ」母はゴム一つで結い上げることが多い。私の場合バレッタをすれば滑り落ちる。「このね、手の感じなんか、信じられないくらいそっくりで……」

 あれ。

 そこまで言うとしずくが落ちる。
 この手の甲が、滲んで、震えて、

「あん、な、すごいひとが父親、なんて、私っ……」

 言葉になどできやしなかった。
 喉の奥が狭まり、
 母は――
 背中を震わせていた。
 動じず、守り続けていた、母のつよい、背中が。
 振り返らないよう人生をそう進むと覚悟を固めていた母の後ろ姿を。
 私は、
 つながりを感じられる手を握りしめ、
 しゃくりあげながらも、追い続けた。

 家にたどり着き。扉を開きかけた母を私は呼び止めた。「お母さん」
 私に顔を傾ける。涙は浮かべていなかった。
「ひとつだけ訊かせて?」
「いくつでも構わんがに」

 痛々しくも笑みを作り、首を傾げる母のことを、私は、それ以上困らせるつもりは無かった。

「私は生まれてきて良かったの?」

 母の顔が大きく歪んだ。

「当たり前やろが」

 あたたかい腕に迎えられていた。
 緊張感を保つピアノの線が切れたように、
 声を殺して泣き続けていた私たちが、互いに大声をあげて泣いていた。
 背丈が変わらない母。いつも――気づかないうちに私を気遣ってくれた。私を産み、育てた母の、腕のなかに。
 いつぶりから分からないくらいに包まれ、
 私はただの赤子だった。

 この私たちの様子を、薄い扉一枚隔てた向こうで見守っていたのだろう。
 ひとしきり泣き終えて開くと驚いた祖母が二三歩つんのめる。腕を引き支える祖父を含め、――赤い目をした全員にただいまと伝えて招き入れられると、私は改めて、この家に受け入れられた気がした。

 * * *

 墓地は独特の匂いがする。
 あの公園が近いからこその大地の、生い茂る緑の匂いたつ。お線香の煙に混ざり腐った花の匂い。それ以上に、――厳かな、人を悼む思いが粒子となり集う場所にて。
 蝉が大泣きするのに私の内面は水の静けさだった。
 それこそは、柏木慎一郎と眺めた波立たぬ湖面の。
「……随分長く祈ってたよね、真咲さん。なんて言ったの、僕の家族に」
「和貴には教えない」
「……僕にはって」寸時目を剥くもののの薄笑いを浮かべ、「なんだいそりゃ。僕以外に教えるっつうニュアンスが引っかかんねえ。紗優には言えんの?」
「それも教えない」
「……どこでそんな意地悪を覚えたんだい」
「教えてくれるひとがいたの。すごく身近に」
「ふぅん。誰のことかな?」
「心当たりが無いなんて信じられない」
 声を立てて楽しげに笑い、手桶の水を墓石にかける。水をかけるときに頬がまっすぐに戻ったのに私は気づいた。彼の手つきは丁寧だった。熱く熱を帯びた墓石に水をあげれば、眠る和貴の家族も、快適に過ごせるのではないか――そう、願っていた。
「あたし。桶返してくるな」
「ほんならわしは、住職さんとこ挨拶に行ってくるわ」
 なにか話していた風な二人がほぼ同時に離れる。
 灼熱を阻む木陰に取り残される。
「……いこっか」
「うん」
 影のなかでも彼のことがどうしようもなく眩しかった。
 父よりも彩度の強い髪の色といい。
 ポッケに両手を入れ、やや猫背で段を降りる。コンバースのハイカットが影をついては離れる。淡々と。
「……いつから畑中市に行くんだっけ」
「明日」
 今日を外しての選択だったのだろう。

 八月一日は、和貴の両親の命日だ。

 紗優に電話したときに行かんかと誘われ、私はお墓参りについてきている。

 会いたかったからだと言うと天罰が下るだろうか。

 母同様に二人の間で揺れる私を人は責めるであろうか。親子揃ってだらしがないと。
 東京の……正確には埼玉の神社でお守りを求めた。買い物をする時間は無かったもののみんなになにかを買って帰りたいなと。
 真っ先に白いお守りを手にとった。
 健康祈願をするものを。
 白っぽい服を好んで着る、彼のことを思って。
 もちろんみんなのぶんを買ったけれども、自分の自発的な行動に驚いてしまった。
 私は彼ほどに白のポロシャツが似合う男の子をほかに、知らない。
 モノトーンのギンガムチェックの細身のパンツに、テイストを外したかのピンクのコンバースのハイカット。
 かばんを持ちたがらないのは男の子の特性なのか、ヒップバッグを肩から下げ、持て余す両手をポケットに入れては出してはの言動が見受けられる。
 様子伺いをやめにして私は段を降りるのに集中する。
 二人並び歩けない狭い細い石の段々を、和貴は既に降りている。
 降りきると、逆光にまぶしげに手をかざす。
 丸い目を一瞬細め、
 目が合うと、口許をほころばせた。
 待たれていたのもなんだか嬉しい、という気持ちの輪郭を私が意識するより早く、

「僕がおらんかったら、寂しい?」

「うん」

 なにを。
 言ってしまったのだろう。
 本音をこぼした、……気まぐれを起こした口を押さえる。和貴の瞳も見開く。
 どちらなのか自分でも分からない。
 下ろした手をポケットに突っ込み。
 足元が唯一動く。ピンクのハイカットが。
 棒立ちの私のところへ、
 左の肩が動き、
 挙げた手が、

 ――思わず私は目を瞑った。

「電話するよ、真咲さんち。……お店の番号で平気だよね」

 日差しに照射される灼熱から、
 陽だまりのあたたかさに、満ちる。
 触れられるだけのその行動に、鎖骨の間から苦しさがほとばしる。
 どうかしている、震えてしまうなんて。
 近い熱い半袖から覗く、顔の横に近い腕のこと。
 汗と混ざったフローラルの香りと。
 小刻みに頷くことしか、ならない。

「なー和貴ぃ」
 呼ばれ、離れる手が。
 去るその彼のことが、惜しく思えた。
 後ろ姿に、戻ってきてと思った。

 もっと、――触れて欲しい。

 なにを考えているのだろう。首を振って打ち消す。
 いろいろあってこころが弱くなっている。

 この晩は紗優の誘いを受けて宮沢家に泊まった。

 * * *

「眠れんの?」
「……うん」

 来客用の布団から眺める天井は。
 白地にオレンジや赤のドットが入っている。暖色で彩られたポップな部屋。大きさは私のとほぼ同じだが、洋室なのが羨ましい。

「そっか、……当然やよなあ」

 紗優は、出来事のすべてを明かせる、たった一人のひとだった。

「ね。やっぱり紗優は……タスクのことが好きなの?」
「そやね。望み薄いけどなあ」
「無いなんてことは無いじゃない」
「真咲には分からんよ」

 弱気な言葉に続き、強い口調。

「ごめん……」
 肘をつき、ベッドのうえから紗優はこちらを見下ろす。首を振る代わりに私は質問をする。「ほかのひとのことは考えられないの? 紗優のことちゃんと見てる男の子だっているはずだよ。例えば」
「――坂田?」

 名を出すつもりは無かった。

 教室で、紗優と和貴と坂田くんの三人は仲がいい。
 和貴と坂田くんのいがみ合いは、子犬のじゃれあいといった様相で。それを仲裁するのが紗優の役割化していた。
 時折、坂田くんは気持ちを隠さない目をする。
 恋してるのが分かる眼差し。ふざけてばかりの彼がそういう目をよこすと……紗優ならずともときめくものがある。
 うまくいって欲しいな、と。
 落ち込んでいるならば、私よりも早く気づき、からかうか怒らせるか。
 受験のこともあって、休み時間を積極的に遊べなくなった私は、彼に、自分の友達としての振る舞いを託している感もあった。

「……なしてこう、片思いばっかなんやろな、うちらの周りは」
「だね」お互い、眠る姿勢に戻りつつ、「パソコン部で恋人がいるのって石井さんだけだよ」
 それを聞いて紗優が笑った。「ギャルのくせしてあの子がいちばんしっかりしとるわ」
 ギャル男とギャル同士で、出会いの場はチャット。それも遠距離恋愛というのにおつき合いは半年以上続いているのだから。
 紗優は背中を向ける。
「なあ、……真咲」
 寝返りを打っただけのようだ。声が眠気を帯びてきた。
「いま目ぇ閉じてみたら、……誰のこと浮かぶ?」

 言われるままに。
 天井の暗がりよりも深い、瞼の裏に意識を這わす。

『無いといえば嘘になるな』

 昔を懐かしむように思えた、言葉の響きと揺らがぬ静かな水面とを。

「柏木慎一郎と……」

『やーっぱ真咲さんだ。どしたのこんなとこで?』

 人懐っこい声をしてそう笑った。
 柏木慎一郎と同じように、私のことを見つけてくれた、すこし驚いた彼の、表情が。

 私はその名を明かす。

 そっか、と紗優は嬉しそうな、でも小さい声で言った。「んー違うひとやったら教えたげたいこと、あってん、けどな……」
 え。「なになに?」
「あんなあ……」

 私は続きを待った。
 待っていたのだが続いて訪れるのは、安らかな寝息だった。
 暗闇でも分かる、こちらに寝返りを打った天使の寝顔を認めてから、私は布団を出た。

 カーテンの、厚地を開き、レース越しの空を眺める。
 遠く置いてきた東京に、柏木慎一郎は生きている。
 いくども思い返した。帰り道に擦り切れそうなほどリピートした。
 あの、穏やかな声と、語り方と、微笑とを。
 その、すべてを。

 ――見込みはありません。それだからといって不幸では無いのです。

 一人のことが浮かぶ。
 片思いをして実らないと決まっている。

 ――自分ひとりで好きなことを考えたり感じたりするのは自由ですから。

 これもまた、通じない思いのひとつだと思う。

「ええ愛しています。でもただそれだけです」

 声に出すと、自然と目が行く。

 彼の存在する方角に。

 ここから徒歩で一分も立たぬところに住んでいる。
 早くに両親を亡くした、
 子リスのように愛らしくてあどけない瞳を持つ、彼は。

 ――なんで、どうして父さんと母さんが……嘘言うなや。僕を置いてきぼりにするわけないだろ。じーちゃん、僕さ、うちで一人でさ、ずっとずっと待ってたんだよ。ちっちゃいのに留守守れるん偉いねーって母さんがさ、近所にも僕のこと自慢にしてたんだよ? こないだ糸こん入れ忘れたんちゃーんと入れたるからねって僕楽しみにしてて……父さんも。帰り遅いかんさあ、たまにゃー二人で入ろーっつってさ、温泉の素。僕草津の緑ぃのがいいってゆったんだ。指切りもしたんだ。約束したんだ。

 頼むからじーちゃん。

 父さんと母さんを嘘つきにしないでくれ。

 星になったなんて綺麗事も僕は要らない。

 こんな現実なんか要らない。

 父さんと母さんを、返してくれよ。

 ――願いごとなんて書きたくないや僕。だってさ、いくら願ったって一番の願いごとをお星様は叶えてなんかくれないんだ。
 ……翌年の七夕に彼はこう、口にした。小学校のまだ四年生だった。翌々年からは心配をかけない無難な願いごとを書くようになった。足が長くなりますように、女の子にますますモテますように、じーちゃんの白髪が減りますように……これにはお祖父さんが怒った。んなことねごーたらわしの髪のうなってまうがな! と。

 お祖父さんの語る和貴と、
 私の知る和貴には、相違がある。

 幼い頃の和貴は悲しみの片鱗をこぼしたということ。

 お祖父さんからすればいつからかそういう胸中を明かさなくなったということ。
 成長したなあて思う反面で寂しくも思う、その胸中を素直に明かしてくれた。

 突然来ちゃって、ごめんね。
 私、なんて言ったらいいか分かんないけれど、……

 ん? どしたの深刻な顔してさー。もー九年も経ってんだ。

 割り切れてる。

 と語る彼は、左上を見過ぎだった。

 唯一和貴が本音を漏らしたのは、

 ――電話するよ、真咲さんち。

 ただの単語の羅列のはずが、彼が口にするというだけで甘い果実に変貌する。
 甘酸っぱいような、狂おしさが胸のうちを満たす。

 触れてはいけない人物を知り、自ら離れる寂しさを感じる私には。
 彼の、声を、言動を、繰り返すと、寂しさが乗りきれる、
 魅惑的な誘惑だった。

 自分の隙間を埋めるために誰かを利用してはならない。

 この愚かさを、白い月が見下ろす。
 その月に向かい、手を組み合わせる。

 ……和貴が、
 無事にボランティアをできますように。
 夢を、叶えられますように。
 どうか、これからの人生を幸せに生きて行けますように。
 健やかに、長生きできますように。

 笑顔でいられる日々が、続きますように。

 こころあたたまらせる、救いの、あの笑顔を。

 墓前で願ったことを再度願い、私はやや冷えた布団に入った。

 表参道で、人ごみの中を颯爽と抜ける、あまり見ないいろのスーツ姿を見かけた。

 目覚めたときにそれが夢であることが嫌になった。
 後ろ姿でしか出会えないことに悔しさも覚えた。
 でも。

 信じられるだけ私は幸せだ。

 そう思うよう努力し、部屋にも私のこころにも朝日が入り込むのを確認し、薄く微笑みながら眠りに、戻った。
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