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#Job01.婚活潰し
#J01-30.美女と交渉
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当然ながら、翌、月曜日の仕事は辛かった。明け方に数時間眠った程度で、ずっと美山に狂わされていた。中心に挿し込まれたあの美山の指の感触がまだ残っている。妄執振り払い彼女は仕事に集中した。帰宅すると、先に帰っていた明海に案の定、詰問される。――お母さん、どうしたの? と。
加賀のことはまだ言っていない。娘として突然朝帰りをした母親のことが心配なのだろう。夕食の席にて、恋奈は明海にすべてを打ち明けた。聞き終えると明海は渋い顔をし、
「そっか。……悩んでたんだね、お母さん。てっきり、美山さんのことかと……。気づかなくて、ごめんね」
「いいの。謝るほうはこっちなのよ。いい年して朝帰りだなんて。母親のくせに。自分が、恥ずかしい……」
「そーゆー規定概念で自分を縛ることはないよ」とカレーをスプーンですくう明海は、「誰がどう思うとか。思われるとか。そーゆーのより先ずはさ、自分の気持ちが大事じゃない? 自分に正直にならないと結局相手を傷つけることになるんだよ。……お母さんには時間が必要なんだよね。ゆっくり考えたら?」
「うぅーん。でもぉ……」清涼飲料水に口をつける恋奈は、「タイムリミットっていうものがあるから。流石に、……七夕までには答えを出したい」まさか生のセックスをしたいとは言えず、恋奈は言葉を探す。「いま妊娠しても、出産するならね。結局、四十になるのよ。……お母さん、一度経験したとはいえど、四十歳で出産したらどうなるかとか……そうね。出来るだけ早いほうがいいわ……。聞くけど明海。いいの? 本当に。お母さんが誰かと結婚しても……」
「――お母さんの人生だから」とカレーライスを咀嚼する明海は、「人生、限りがあるんだから。例えばさ、わたしは……女だから。好きなひとが出来たら結局この部屋を出ていき、相手のひとと一緒に生きていくんだよ。お母さんと死ぬまで一緒にいられるかなんて、分からない。だったらさ。お互い、後悔のないように生きたほうがいいんじゃない? いつもお母さんが言ってるようにさ」
「明海……」知らないあいだに娘は大きくなっていた。恋奈の手の届かない境地に辿り着いている。「そうね、七夕までまだ時間があるから、……考えるわ。自分にとってなにがベストなのか……」
「お母さん的には正妻ならぬ正夫は美山さんて決まってるんでしょ? なら……加賀さんをどうするかだよね。美山さん以上に好きになりそうな予感はある? セックスしたい?」
あけすけな質問に恋奈は顔を赤らめた。――が、大事な話である。本当の本気で誰かに惚れたらセックス。それは、避けて通れない道である。「……細マッチョ。なの。だから……たまらない」
「ああ分かる」と同意する明海。「最近芸能人でも多いよね。細マッチョ。西島秀俊とか、無駄に脱ぐシーン多いもんねえ。いや無駄じゃないんだけど。……脱いだからだ見てみたいよねえ、いっぺん。それで? 加賀って男はお母さんのどこが好きだって?」
「……言われてない」
「じゃー次会ったとき聞きなよ? わたしのどこが好きなんですか。……て。それでだいたい、男の価値が見えるからさぁ」
同時刻。とあるコンビニの前に、加賀の姿があった。話す相手は――
「あなたにとっても悪くない話だと思うけど?」悠然と目を細め、「あなたは、美山という男が好きで、ぼくは恋奈さんに惚れている。ならね。お互い、想いを遂げられるように協力したほうがいいと思うけれど?」
「……美山は、あたしのことなんか、もう……」
――あの勢いはどこに行ったのやら。日曜日、恋奈と別れ仕事を終えてからネットで関月陶子の情報を調べ上げ、早速月曜日に出版社に電話を入れ、その出版社へと出向いた。陶子の担当編集をしている宮島(みやじま)という男はやたら口が軽く、陶子さんのファンなんです、と告げると彼女の勤務するコンビニまで教えてくれた。以上加賀が陶子の勤務するコンビニに辿り着いた経緯である。
「美山という男は、一時的にであれ、あなたに絆されたんでしょう?」と交渉に着手する加賀。「……であれば、望み薄だなんて、やってみなければ分からないじゃない? だいたいあなたは、頭の切れる、見た目も美しい、こんなにも魅力的な女性なんだから……自信持ちなよ」
「でも……、男って結局佐々木恋奈みたいなタイプが好きなんでしょう? 叶姉妹顔負けの、フェロモンムンムンの、色香漂う女性が……」
「でもないさ。きみだって美しい。きみは、自分の価値に気づいていないようだね。そのメイク。髪型。ファッション。……自分の見せ方をよく分かっている。仕事柄ね、いろんな人間を見てきている。そのぼくが見てもきみはとても美しい……女性さ」
「――あなた、誰に対してもそんなペラペラ褒めまくるわけえ? なんかパーソナルトレーナーに対する偏見が増しそうだわ……」
「相手を選んでいるよ」と加賀。「それで? どうする? そんなにも魅力的な武器を持つ関月陶子は結局、運命に抗わず、尻尾振って逃げ出す道を選ぶわけ?」
「やっすい挑発」ため息を吐く陶子は、「それで? ……あなたのほうこそ、なにかプランはあるわけ? 美山にあたしのことを振り向かせる。佐々木恋奈に自分を振り向かせるという、プランが」
「いっぺん、四人で会ってみたいと思う。……ぼくは美山悠作を知らないからね。どんな男なのかを知りたい。敵を知らずに攻略することは出来ないからね。先ずは、会ってからだね……」
「ふぅん」唇をすぼめる陶子は、「実際会ってみて、『負けた!』って感じたときはどうするの?」
「そのときはそのときだよ。潔く、諦める……」
「嘘ばっかり。あなた……あなたの目には情欲の炎が燃え盛っていてまっすぐそれが佐々木恋奈へと向かっているのね。ああ羨まし。そんなにも愛されるあの女が……」
「きみだってすごく素敵だよ。美山という男が揺れるのも無理はない。薔薇と百合みたいにね、どちらもすごく……魅力的だ」
「カスミソウに例えられるのかと思ったわあたしは」と肩をすくめる陶子は、「……地味で。一部の男受けが悪いってのは分かってるんだけどね、でもこれがあたしなの。じゃないと地味過ぎてね。誰にも振り向いてや貰えやしないの」
「あのさぁ。必要以上に自分を卑下すんのやめなよ。慰めて欲しいの? それとも、褒められ足らない?」
「あんた……あんたなんかに、あたしのなにが分かんのさ!」とうとう声を荒げる陶子。「加賀恭弥。あんたね、いくらひとと接する仕事に従事してるからって、ちょっと会っただけの相手を分かったような気になるんじゃないの。何様なの。あんた……」
「ぼくはただ、自分の価値に気づかないあなたをもどかしく思うだけだよ。他意はない」
「それでも……佐々木恋奈を選ぶくせに。男は結局そうなのよ」
「だーかーら。そんなの、やってみなきゃ分かんないって。実際ぼくもあなたみたいな綺麗な女性を前にクラクラしてるんだ。何気に結構……辛い」
「――佐々木恋奈以外の女に欲情してるくせに佐々木恋奈を口説き落とそうとしてるわけ? あんた……サイテー」
「ああ言えばこう言う。面倒くさい女の子だなきみは。……ったく。ならいい。いまの話は――忘れて」
「……待って」
立ち去りかけた加賀は笑みを浮かべながら足を止める。「……なんだい」
「その、……あたしが魅力的な女って、本当?」
「勿論さ。嘘は言わない。もし、……あのお嬢さんよりも先にきみに出会っていたら、その麗しい唇に、キスをしていたかもしれない……」
かっ、と陶子の胸が熱くなる。……キス。最後にしたのはそう……美山とだった。
気づけば、彼女の大きな瞳から涙がこぼれ落ちていた。振り返る加賀はまともにそれを目にし、胸の奥がきゅうと締め付けられる。……なんなんだ? この感情は。彼は当惑する。……が陶子に近づくとそっとその濡れた頬を包み、
「……この涙に誓おう。……きみは、美山悠作を手に入れ、ぼくは、あのお嬢さんを自分のものにする。……デッドラインは、七夕だ。恋人たちが愛を誓いあう夜に、ぼくたちも本当の愛を手に入れるんだ……」
なんて美しい瞳をした男なのだろう。こんな男に愛される恋奈へのちりりとした嫉妬の痛みを感じつつ、陶子は頷いていた。「……うん。頑張る」
*
加賀のことはまだ言っていない。娘として突然朝帰りをした母親のことが心配なのだろう。夕食の席にて、恋奈は明海にすべてを打ち明けた。聞き終えると明海は渋い顔をし、
「そっか。……悩んでたんだね、お母さん。てっきり、美山さんのことかと……。気づかなくて、ごめんね」
「いいの。謝るほうはこっちなのよ。いい年して朝帰りだなんて。母親のくせに。自分が、恥ずかしい……」
「そーゆー規定概念で自分を縛ることはないよ」とカレーをスプーンですくう明海は、「誰がどう思うとか。思われるとか。そーゆーのより先ずはさ、自分の気持ちが大事じゃない? 自分に正直にならないと結局相手を傷つけることになるんだよ。……お母さんには時間が必要なんだよね。ゆっくり考えたら?」
「うぅーん。でもぉ……」清涼飲料水に口をつける恋奈は、「タイムリミットっていうものがあるから。流石に、……七夕までには答えを出したい」まさか生のセックスをしたいとは言えず、恋奈は言葉を探す。「いま妊娠しても、出産するならね。結局、四十になるのよ。……お母さん、一度経験したとはいえど、四十歳で出産したらどうなるかとか……そうね。出来るだけ早いほうがいいわ……。聞くけど明海。いいの? 本当に。お母さんが誰かと結婚しても……」
「――お母さんの人生だから」とカレーライスを咀嚼する明海は、「人生、限りがあるんだから。例えばさ、わたしは……女だから。好きなひとが出来たら結局この部屋を出ていき、相手のひとと一緒に生きていくんだよ。お母さんと死ぬまで一緒にいられるかなんて、分からない。だったらさ。お互い、後悔のないように生きたほうがいいんじゃない? いつもお母さんが言ってるようにさ」
「明海……」知らないあいだに娘は大きくなっていた。恋奈の手の届かない境地に辿り着いている。「そうね、七夕までまだ時間があるから、……考えるわ。自分にとってなにがベストなのか……」
「お母さん的には正妻ならぬ正夫は美山さんて決まってるんでしょ? なら……加賀さんをどうするかだよね。美山さん以上に好きになりそうな予感はある? セックスしたい?」
あけすけな質問に恋奈は顔を赤らめた。――が、大事な話である。本当の本気で誰かに惚れたらセックス。それは、避けて通れない道である。「……細マッチョ。なの。だから……たまらない」
「ああ分かる」と同意する明海。「最近芸能人でも多いよね。細マッチョ。西島秀俊とか、無駄に脱ぐシーン多いもんねえ。いや無駄じゃないんだけど。……脱いだからだ見てみたいよねえ、いっぺん。それで? 加賀って男はお母さんのどこが好きだって?」
「……言われてない」
「じゃー次会ったとき聞きなよ? わたしのどこが好きなんですか。……て。それでだいたい、男の価値が見えるからさぁ」
同時刻。とあるコンビニの前に、加賀の姿があった。話す相手は――
「あなたにとっても悪くない話だと思うけど?」悠然と目を細め、「あなたは、美山という男が好きで、ぼくは恋奈さんに惚れている。ならね。お互い、想いを遂げられるように協力したほうがいいと思うけれど?」
「……美山は、あたしのことなんか、もう……」
――あの勢いはどこに行ったのやら。日曜日、恋奈と別れ仕事を終えてからネットで関月陶子の情報を調べ上げ、早速月曜日に出版社に電話を入れ、その出版社へと出向いた。陶子の担当編集をしている宮島(みやじま)という男はやたら口が軽く、陶子さんのファンなんです、と告げると彼女の勤務するコンビニまで教えてくれた。以上加賀が陶子の勤務するコンビニに辿り着いた経緯である。
「美山という男は、一時的にであれ、あなたに絆されたんでしょう?」と交渉に着手する加賀。「……であれば、望み薄だなんて、やってみなければ分からないじゃない? だいたいあなたは、頭の切れる、見た目も美しい、こんなにも魅力的な女性なんだから……自信持ちなよ」
「でも……、男って結局佐々木恋奈みたいなタイプが好きなんでしょう? 叶姉妹顔負けの、フェロモンムンムンの、色香漂う女性が……」
「でもないさ。きみだって美しい。きみは、自分の価値に気づいていないようだね。そのメイク。髪型。ファッション。……自分の見せ方をよく分かっている。仕事柄ね、いろんな人間を見てきている。そのぼくが見てもきみはとても美しい……女性さ」
「――あなた、誰に対してもそんなペラペラ褒めまくるわけえ? なんかパーソナルトレーナーに対する偏見が増しそうだわ……」
「相手を選んでいるよ」と加賀。「それで? どうする? そんなにも魅力的な武器を持つ関月陶子は結局、運命に抗わず、尻尾振って逃げ出す道を選ぶわけ?」
「やっすい挑発」ため息を吐く陶子は、「それで? ……あなたのほうこそ、なにかプランはあるわけ? 美山にあたしのことを振り向かせる。佐々木恋奈に自分を振り向かせるという、プランが」
「いっぺん、四人で会ってみたいと思う。……ぼくは美山悠作を知らないからね。どんな男なのかを知りたい。敵を知らずに攻略することは出来ないからね。先ずは、会ってからだね……」
「ふぅん」唇をすぼめる陶子は、「実際会ってみて、『負けた!』って感じたときはどうするの?」
「そのときはそのときだよ。潔く、諦める……」
「嘘ばっかり。あなた……あなたの目には情欲の炎が燃え盛っていてまっすぐそれが佐々木恋奈へと向かっているのね。ああ羨まし。そんなにも愛されるあの女が……」
「きみだってすごく素敵だよ。美山という男が揺れるのも無理はない。薔薇と百合みたいにね、どちらもすごく……魅力的だ」
「カスミソウに例えられるのかと思ったわあたしは」と肩をすくめる陶子は、「……地味で。一部の男受けが悪いってのは分かってるんだけどね、でもこれがあたしなの。じゃないと地味過ぎてね。誰にも振り向いてや貰えやしないの」
「あのさぁ。必要以上に自分を卑下すんのやめなよ。慰めて欲しいの? それとも、褒められ足らない?」
「あんた……あんたなんかに、あたしのなにが分かんのさ!」とうとう声を荒げる陶子。「加賀恭弥。あんたね、いくらひとと接する仕事に従事してるからって、ちょっと会っただけの相手を分かったような気になるんじゃないの。何様なの。あんた……」
「ぼくはただ、自分の価値に気づかないあなたをもどかしく思うだけだよ。他意はない」
「それでも……佐々木恋奈を選ぶくせに。男は結局そうなのよ」
「だーかーら。そんなの、やってみなきゃ分かんないって。実際ぼくもあなたみたいな綺麗な女性を前にクラクラしてるんだ。何気に結構……辛い」
「――佐々木恋奈以外の女に欲情してるくせに佐々木恋奈を口説き落とそうとしてるわけ? あんた……サイテー」
「ああ言えばこう言う。面倒くさい女の子だなきみは。……ったく。ならいい。いまの話は――忘れて」
「……待って」
立ち去りかけた加賀は笑みを浮かべながら足を止める。「……なんだい」
「その、……あたしが魅力的な女って、本当?」
「勿論さ。嘘は言わない。もし、……あのお嬢さんよりも先にきみに出会っていたら、その麗しい唇に、キスをしていたかもしれない……」
かっ、と陶子の胸が熱くなる。……キス。最後にしたのはそう……美山とだった。
気づけば、彼女の大きな瞳から涙がこぼれ落ちていた。振り返る加賀はまともにそれを目にし、胸の奥がきゅうと締め付けられる。……なんなんだ? この感情は。彼は当惑する。……が陶子に近づくとそっとその濡れた頬を包み、
「……この涙に誓おう。……きみは、美山悠作を手に入れ、ぼくは、あのお嬢さんを自分のものにする。……デッドラインは、七夕だ。恋人たちが愛を誓いあう夜に、ぼくたちも本当の愛を手に入れるんだ……」
なんて美しい瞳をした男なのだろう。こんな男に愛される恋奈へのちりりとした嫉妬の痛みを感じつつ、陶子は頷いていた。「……うん。頑張る」
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