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03 トライアル (2)エア・ランナー
07 Baltroy (察知)
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射撃場から帰ると、ちょうどヴェスタも帰ってきたところだった。すぐわかった。アラスターとやったな。こういう時、一番自分の体質が嫌になる。
ちゃんとシャワーは浴びてきている。髪も体も洗ったんだろうと思う。でも、それでも、そのことはわかる。
「おかえり」
「おかえり」
でも、ヴェスタの髪はとても微妙な色だった。緑? 青? どちらかと言うと……。
まあいいや。この間の喧嘩の続きもあったのかも知れない。考えない。ヴェスタのことはアラスターに任せる。
「バルは何してたの?」
「射撃場行ってた。ホルスターから抜くところから練習したくて。サイホルスターは久々だからな」
「そっか。俺も行きたかったな」
ついとヴェスタは部屋に入ってしまった。
「夕食は食べるんでしょうか」
「だから。お前が聞け」
「個人のお部屋の中には入れないんですよ。設定を変えないと」
「ありがたいね。それは」
夕食の時間になってレッダが食事を運んできても、ヴェスタは出てこなかった。
「聞いてください」
「食わないでいいんじゃねーの」
「食材をせめてエネルギーに変えて欲しいですね。生ゴミになってしまうので。生ゴミになると処理が終わるまでに別なエネルギーが必要になります」
「お前本当に俺に似てんの?」
「ユーザーに似るというのは都市伝説ですよ」
仕方なく白いドアをノックする。
「ヴェスタ! レッダが飯食えって」
反応がない。
「……ヴェスタ?」
どうすっか。ドアを開けるかどうか。もう一度ノック。
「食材を生ゴミにすんなと」
かちゃっとドアが開いた。顔色の悪いヴェスタが出てきた。髪ははっきり青味が勝っている。
「ごめん。ちょっと疲れちゃって」
ヴェスタは黙って席につき、出された食事を黙々と食べた。今日はどうだったとか聞いてもいいのかこれ? でも俺、何やってたかわかってるしな……。わざわざそんな話聞きたくない。
「来週行くか?」
ヴェスタが少し目を上げた。
「どこに?」
「射撃場」
うん、とヴェスタは頷いて、髪を少し緑にした。
ちゃんとシャワーは浴びてきている。髪も体も洗ったんだろうと思う。でも、それでも、そのことはわかる。
「おかえり」
「おかえり」
でも、ヴェスタの髪はとても微妙な色だった。緑? 青? どちらかと言うと……。
まあいいや。この間の喧嘩の続きもあったのかも知れない。考えない。ヴェスタのことはアラスターに任せる。
「バルは何してたの?」
「射撃場行ってた。ホルスターから抜くところから練習したくて。サイホルスターは久々だからな」
「そっか。俺も行きたかったな」
ついとヴェスタは部屋に入ってしまった。
「夕食は食べるんでしょうか」
「だから。お前が聞け」
「個人のお部屋の中には入れないんですよ。設定を変えないと」
「ありがたいね。それは」
夕食の時間になってレッダが食事を運んできても、ヴェスタは出てこなかった。
「聞いてください」
「食わないでいいんじゃねーの」
「食材をせめてエネルギーに変えて欲しいですね。生ゴミになってしまうので。生ゴミになると処理が終わるまでに別なエネルギーが必要になります」
「お前本当に俺に似てんの?」
「ユーザーに似るというのは都市伝説ですよ」
仕方なく白いドアをノックする。
「ヴェスタ! レッダが飯食えって」
反応がない。
「……ヴェスタ?」
どうすっか。ドアを開けるかどうか。もう一度ノック。
「食材を生ゴミにすんなと」
かちゃっとドアが開いた。顔色の悪いヴェスタが出てきた。髪ははっきり青味が勝っている。
「ごめん。ちょっと疲れちゃって」
ヴェスタは黙って席につき、出された食事を黙々と食べた。今日はどうだったとか聞いてもいいのかこれ? でも俺、何やってたかわかってるしな……。わざわざそんな話聞きたくない。
「来週行くか?」
ヴェスタが少し目を上げた。
「どこに?」
「射撃場」
うん、とヴェスタは頷いて、髪を少し緑にした。
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