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喫煙室
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昔働いていた会社の喫煙室には、咳をする幽霊が出たらしい。煙や病気で咽るものではなく、注目されたい人間がわざとやるような動作の。後輩を含めて社員は誰一人気に留めなかった。だって会社がきめた喫煙ルームなのだから。ぷかぷかといっそみんな面白がって紫煙をくゆらせていたら、咳払いはいつからか嗚咽に変わり、それでも喫煙ルームに人は絶えず、怪音はきこえなくなった。
「生きた人間の勝利だってみんな喜んでたけどね、それから一週間も経たないうちに社長と秘書が会社の金と一緒にトンズラ。座敷童みたいな存在だったのかも」
中途採用の中年男性は電子パイポを咥えて苦笑した。
「生きた人間の勝利だってみんな喜んでたけどね、それから一週間も経たないうちに社長と秘書が会社の金と一緒にトンズラ。座敷童みたいな存在だったのかも」
中途採用の中年男性は電子パイポを咥えて苦笑した。
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