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小鳩と吸血鬼【外出】

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「ミハイさん、国際会議に行きましょう。申し込みはちゃんと済ませてありますから、後は荷造りするだけですよ」

 いつの間にか、親戚一同は異世界の人族の味方になっていた。部屋に引き籠もっているというより、魔電子の世界に住んでますと言わんばかりのミハイを強制的に外に引っ張り出してくれる婚約者(暫定)は実に得難い存在であるらしい。しかも行き先が学術的な国際会議(研究内容発表等あり)とあって、喜んでミハイを引き渡した。難関の日差しも、現在は遮断魔法や日焼け止めの薬が発達しているので問題ない。
 空いた時間には予約が必要なお洒落なカフェのアフタヌーンティーだ。この世界はインターネットがあるので簡単に予約できる。悩む楽しさもある豊富なメニューに、期間限定のスイーツも入っている。だからお喋りしながら或いはしなくても、時間をたっぷり潰せる。
 ミハイとしてはキラキラの巣窟に連れて行かれるよりは多少マシだが、どう考えても多種族人が溢れているしいつメディアに突撃されるか判らない場所に行きたいとは思わない。しかも有名な観光地リゾート近くだ。『会議に出席して、ついでに観光もエンジョイしてね!』という主催者と自治体、観光協会の意図が痛い程に伝わってくる。当然ながら「イヤダァァァ!」と拒否したが、聞き入れられる事はなかった。
 ――数時間後、偶然シルクと一緒に転移した者達と鉢合わせし、あまりにも横柄な言動と態度に久しぶりにキレ散らかしてしまい、それが新聞記事半分を占める事をミハイは知る由もない。
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