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待雪草/帰省中
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先月高校の同窓会で、クラスメイトの一人を色男が迎えに来たらしいと女は後で聞いた。何せその時はしたたかに酔っていたのでほとんど記憶が残っていない。そのクラスメイトは留学先のそのまま就職した上に、特に仲良くもなかったので連絡先は知らなかった。それから数日後、休日にショッピングモールで元クラスメイトを見かけた。その隣には見慣れぬ男が連れ添っている。確かに聞いた通りの色男だった。
寝取りに性的興奮を覚える女はクラスメイトが男と離れた隙を狙ってモーションをかけた。だが男は応じるどころか一瞥もしようとせず、足も止めない。大股かつ早足で進む男を女はとうとう見失ってしまった。女は諦めきれず男を探してうろついているとアートフラワーショップで品を見繕っている男を見つけた。
声をかけようと近づくと、ちょうど会計を済ませた男が振り返る。一輪の花を押し付けられた。可愛らしい白い花だった。男は雑踏からクラスメイトを見つけたらしく、そのまま足早に去っていった。何だ、向こうも満更でもないんじゃないとうっとり悦に入る女の視界に、引き攣った店員の顔は入らなかった。
「オスカー様、お待たせしてすみません」
「俺が勝手に着いてきただけだ。カヲル殿、これを」
「まあ、ありがとうございます、綺麗ですね」
カヲルは嬉し気にペチュニアを受け取った。
スノードロップの花言葉は『貴方の死を望みます』。
ペチュニアの花言葉は『貴方と一緒なら心が和らぐ』。
寝取りに性的興奮を覚える女はクラスメイトが男と離れた隙を狙ってモーションをかけた。だが男は応じるどころか一瞥もしようとせず、足も止めない。大股かつ早足で進む男を女はとうとう見失ってしまった。女は諦めきれず男を探してうろついているとアートフラワーショップで品を見繕っている男を見つけた。
声をかけようと近づくと、ちょうど会計を済ませた男が振り返る。一輪の花を押し付けられた。可愛らしい白い花だった。男は雑踏からクラスメイトを見つけたらしく、そのまま足早に去っていった。何だ、向こうも満更でもないんじゃないとうっとり悦に入る女の視界に、引き攣った店員の顔は入らなかった。
「オスカー様、お待たせしてすみません」
「俺が勝手に着いてきただけだ。カヲル殿、これを」
「まあ、ありがとうございます、綺麗ですね」
カヲルは嬉し気にペチュニアを受け取った。
スノードロップの花言葉は『貴方の死を望みます』。
ペチュニアの花言葉は『貴方と一緒なら心が和らぐ』。
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