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公園
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皐月棗と春朝ひばりが小学生だった時の話。
「ねぇ棗! 今日は鉄棒で遊ぼう」
「うん!」
棗とひばりは従兄妹同士で家も近く、しょっちゅう一緒に遊んでいた。
「俺、一番高い鉄棒で逆上がりできるようになったよ。父さんと特訓したんだ」
「すっご~い!」
家から一番近い公園の前ではマンションが建設されている途中だった。工事の音が喧しかったが、遊びに夢中になると気にならなくなってくる。その時は二人以外誰もいなかった。
「僕だって負けないもん!」
「背、届いてないよ?」
「大丈夫だもん!」
「ネェ」
すると、いつの間にやら何処から来たのか分からないが……棗やひばりより少し年下らしい女の子が後ろに立っていた。
「何だい?」
「スベリ台……ドコ?」
「すべり台? あそこだよ」
ひばりが指を指し、女の子の方に目を向けると……。
「フフフ」
女の子はとても楽しそうにすべり台で遊んでいた。
「足はやっ……」
「ま、気にせず遊ぼっか」
棗は従兄に負けられない! と思って、鉄棒に手を掛けた。
「よし! やるぞ!」
その時。
「ネェ」
また女の子の声がした。後ろを振り向くと棗の真後ろに立っていた。
「どうしたの?」
「ブランコ……ドコ?」
「ブランコは……あっち、」
キーコ……キーコ……。
「フフフ……」
棗がまた女の子の方に目を向けると、既にブランコで遊んでいた。
「何だろ…あの子……」
気味が悪い……二人は小さいながら第六感が働いていたのか、女の子と関わらない方がいいと思い、公園を出ようとした。
「ネェ……」
また……真後ろから声がした。棗とひばりは同時に後ろを向いた。
「シーソー……」
また、何処にあるのかを聞かれると思い、棗は先に言って逃げてしまおうとした……。
「一緒ニ……ノロウ?」
女の子の台詞は、予想していたものではなかった。
「い……いや……俺達はもう帰るからやめとくよ」
「ゴメンね?」
「ハヤク……ハヤク!」
女の子は嬉しそうにシーソーに乗り、手招きしていた。
「い……行こう!」
「ドコニ?」
また真後ろにいた。
「ヒッ!」
「ハヤク……マニアワナイヨ」
「え?」
ガッ、シャアアアン! シーソーの方から凄まじい大きな音が聞こえた……。
「なっ!?」
ひばりが声を上げたが、棗は恐怖で声も出なかった。
「残念ダネ……死ネバヨカッタノニ、アタシミタイニ」
その後。近所の人に聞くと工事中に金属の柱を落ちてしまったらしい。警察に事情を聴いた親曰く、ロープで頑丈に縛っていたのに誰かに切られた跡があると言っていたが……。それから二度とその女の子は現れなかった……。
「ねぇ棗! 今日は鉄棒で遊ぼう」
「うん!」
棗とひばりは従兄妹同士で家も近く、しょっちゅう一緒に遊んでいた。
「俺、一番高い鉄棒で逆上がりできるようになったよ。父さんと特訓したんだ」
「すっご~い!」
家から一番近い公園の前ではマンションが建設されている途中だった。工事の音が喧しかったが、遊びに夢中になると気にならなくなってくる。その時は二人以外誰もいなかった。
「僕だって負けないもん!」
「背、届いてないよ?」
「大丈夫だもん!」
「ネェ」
すると、いつの間にやら何処から来たのか分からないが……棗やひばりより少し年下らしい女の子が後ろに立っていた。
「何だい?」
「スベリ台……ドコ?」
「すべり台? あそこだよ」
ひばりが指を指し、女の子の方に目を向けると……。
「フフフ」
女の子はとても楽しそうにすべり台で遊んでいた。
「足はやっ……」
「ま、気にせず遊ぼっか」
棗は従兄に負けられない! と思って、鉄棒に手を掛けた。
「よし! やるぞ!」
その時。
「ネェ」
また女の子の声がした。後ろを振り向くと棗の真後ろに立っていた。
「どうしたの?」
「ブランコ……ドコ?」
「ブランコは……あっち、」
キーコ……キーコ……。
「フフフ……」
棗がまた女の子の方に目を向けると、既にブランコで遊んでいた。
「何だろ…あの子……」
気味が悪い……二人は小さいながら第六感が働いていたのか、女の子と関わらない方がいいと思い、公園を出ようとした。
「ネェ……」
また……真後ろから声がした。棗とひばりは同時に後ろを向いた。
「シーソー……」
また、何処にあるのかを聞かれると思い、棗は先に言って逃げてしまおうとした……。
「一緒ニ……ノロウ?」
女の子の台詞は、予想していたものではなかった。
「い……いや……俺達はもう帰るからやめとくよ」
「ゴメンね?」
「ハヤク……ハヤク!」
女の子は嬉しそうにシーソーに乗り、手招きしていた。
「い……行こう!」
「ドコニ?」
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「ヒッ!」
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「え?」
ガッ、シャアアアン! シーソーの方から凄まじい大きな音が聞こえた……。
「なっ!?」
ひばりが声を上げたが、棗は恐怖で声も出なかった。
「残念ダネ……死ネバヨカッタノニ、アタシミタイニ」
その後。近所の人に聞くと工事中に金属の柱を落ちてしまったらしい。警察に事情を聴いた親曰く、ロープで頑丈に縛っていたのに誰かに切られた跡があると言っていたが……。それから二度とその女の子は現れなかった……。
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