ちょっと怖い話(6/26更新)

狂言巡

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動作と因果

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 同級生から「夜の公園で踊ってる誰かがベランダから見えるから見に来いよ」と誘われた夏生は彼の家に泊まりに行った。風呂と夕食を済ませ、彼の自室のベランダから外を見ると成る程、敷地内の真向かいの公園に誰か居る。正確には踊っているというよりひたすら足踏みをしているように見えた。
 何だアレ変なのと隣に居たはずの同級生に顔を向けたら、いつの間にか居なくなっていた。就寝スペースには居ないのでトイレかな、夏生は部屋の扉を開けた。すると同級生の両親が寝ているはずの部屋から物音がする事に気付く。恐怖より好奇心が買った夏生が中を覗くと、同級生家族が電気も点けずに外の誰かと同じように足踏みしていた。
 意味不明な光景に、夏生は戦いて家から飛び出した。近隣の住民が外で一人で泣いている子供に驚いて警察に通報してくれ、無事保護された。その後の事を夏生はほとんど覚えておらず、家族や近所の人から聞いた話だ。
 同級生一家(以下、時雨)が借りていた部屋は蛻の殻で、同階の住人から最近夫婦喧嘩が絶えなかったという証言もあり、やむを得ない事情で夜逃げしたのだろうという結論に至った。夏生と時雨はクラスは別で、最近休みがちだったという。彼の担任教師から「仲良しだったのね」と言われて夏生はハタと気付いた。友達は多い方だが、お泊まりするほど彼と遊んだ記憶はない。
 それにあの夜に見たのはただの足踏みではなかったかもしれないと夏生は思っている。テレビで流れた四股を観たからだ。力士が土俵の上で片足を高く上げて強く地を踏む所作。あの力強い足踏みが悪霊鎮魂の呪的動作という意味もあるらしい。公園に居たのと時雨一家がそれを夜にしていた経緯は、今でも不明のままだ。
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