愛着キャッチアップ(12/3更新)

夏【月と藤】

　科学準備室はクーラーがよく効いていました。生徒が休みだからといって教師も同様かといえば、全然そんな事はありません。出勤する方が多いです。それでもいつもより静かな校舎に、同じく人が少ない職員室や特別教室。ガラリと扉が開きました。

「先生？　急用って何ですか？」
「ユカちゃん、いらっしゃ～い」

　誰も居ない職員室。月矢が現れた紫に手招きをします。

「職員室って涼しいですね。いいなぁ」
「教室って扇風機しかないもんな、ゆっくりしてけよ～」

　さりげなく腰を引き寄せた月矢に、ちょうど彼の顎の下辺りに居る紫は眉を潜めています。

「……ご用事は？」
「用事～？　これが用事でいいじゃん」
「えー？　めーわくー」

　月矢は涼しい室内で誰も居ないのを良い事に、膝の上に乗せた紫を抱き締めます。

「いいじゃーん」

　夏休み中の人気のない学校で、頃合いを見計えば存分にイチャつける。かったるい出勤もユカちゃんがいればおっけェ！　朧月矢の夏、準備室で愛を堪能中でした。