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兄
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「何あれ」
「墓標だよ。昔戦争で、川が水じゃなくて死体で溢れたんだそうだ」
「そうなんだ……」
これでいいよね兄さん。御大層な逸話を出せば、駆落ちでいなくなった義姉さんを埋めた事なんてすぐ忘れられるさ。実は埋めてある事も。
容姿端麗文武両道の上に性格も良かった兄は、その世間の評価を両親祖父母から全く認知されませんでした。四十九日を過ぎてからは、母と祖母が世話している花壇と父と祖父が世話している家庭菜園の隅に二つずつ穴を掘っています。葬式さえ私が言い出さなければやらなかった四人はやはり気付いていないようで不憫で仕方ありません。
「墓標だよ。昔戦争で、川が水じゃなくて死体で溢れたんだそうだ」
「そうなんだ……」
これでいいよね兄さん。御大層な逸話を出せば、駆落ちでいなくなった義姉さんを埋めた事なんてすぐ忘れられるさ。実は埋めてある事も。
容姿端麗文武両道の上に性格も良かった兄は、その世間の評価を両親祖父母から全く認知されませんでした。四十九日を過ぎてからは、母と祖母が世話している花壇と父と祖父が世話している家庭菜園の隅に二つずつ穴を掘っています。葬式さえ私が言い出さなければやらなかった四人はやはり気付いていないようで不憫で仕方ありません。
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