上 下
18 / 165

第18話 混沌の魔女vsアクセル 後半

しおりを挟む
同時に動いた
魔女はその計り知れない威力と数の魔法と球体でアクセルに畳み掛ける。
それはまさにミサイルかの如く、兵器と言っても過言ではないだろう。

だが、アクセルはこれを難なく回避、斬撃や魔法を使って相殺し、魔法、球体を斬る。
先ほどとは思えない程の魔法の数の暴力だが、彼はこれを耐えていた。

その圧倒的なセンスと身体能力が混沌の魔女という戦いの中で学んでいってるのだろう
つまり彼は戦いながら成長しているということだ。

その証拠に彼の表情は余裕に満ちており今にも魔女にも届きうる領域に立とうとしていた。

アクセルがだんだんと魔女に近づいていき———


複数化マルチプル: 岩石流星ロックブラスト!」

虚無力で応用した擬似的な魔法で、魔女にも負けない数の暴力が至近距離で彼女を襲う。

魔女も負け時と岩石のような物を構築し、相殺している。その衝突でカケラが残る

たまに、魔女に当たったりしてダメージは与えられてるが、魔女の再生能力は桁ハズレですぐに元に戻っていた。
だが、不思議と魔女の顔は先ほどよりほんの少し僅かだが、少し疲れているようにも見る。
それを見たアクセルが口角を上げる。

「混沌の魔女さんも流石に疲れることがあるんだな!!」

アクセルの疲労も正直半端ないが、それを気合いでカバーしている。
魔女は顔を険しめ、先ほどの魔法や球体よりも威力が増した攻撃をぶつけてくる

「くっ!まだこれだけの力が残ってたのか…だけどそれだけ余裕もないってことだよな?」

アクセルは顔を顰しかめ面になりながらも、それは余裕がないということだと考え 岩石流星ロックブラストを相手に与え続ける。

またそれだけではなく、アクセルは魔女の背後に複数の魔法陣を展開させる
複数化マルチプル激流の波アクアブレイク!」

土壇場で発動させた遠隔操作での魔法ができるほど彼もまた魔法という解釈を広げ、そして技術も少しずつ上がっていた

混沌の魔女は後ろに魔法が発動された瞬間
異能の力で作った防御壁を展開しながら、アクセルに攻撃をし続ける
だが、アクセルが発動させた激流の波アクアブレイクはそう簡単には防御しきれず――

突如防御壁が溶け始める
魔女は驚き、再度構築し続ける。なぜだ?普通の水魔法なら簡単に防げるはずだと思考を回しながら。

(うまくいった!水魔法に物体を溶かす性質を混ぜて発動させられた。それに、混沌の魔女は混乱している。叩くなら今!)

アクセルは一気に魔法を全開に発動させながら、魔女に近づいていく。その一瞬の隙が命取りと考える余裕がない魔女は、アクセルが近づいたことで身を引いてしまう。

そして、アクセルが神威に力を込めた途端、神威の刀身が何かを纏い始める。その光景は驚くべきものであり、まるで神々の力が刀身を包み込むかのように見えた。その力の源は、アクセルの虚無力と神威の融合であり、その結果として新たな力が生まれつつあることを示唆している。


虚無付与エンチャント虚無の力ヨグ=ソトース

神威自身に虚無を、さらに「虚無の力ヨグ=ソトース」を「虚無付与エンチャント」することで、膨大なエネルギーを刀に集中させる。

その結果、神威の刀身はまばゆい光を放ち、周囲に強烈な虚無の波動を発することになった。それは、アクセルの意志と神威の力の融合によって生まれたものであり、刀自体が虚無の力を帯びた存在となる

「お前を倒せば、あいつは帰ってくるんだろ!!」
今にも暴走しそうな力をなんとか押し込み、アクセルは魔女に自分の最大火力をお見舞いする。


伊邪那岐の神イザナギ!」


その瞬間、「キーン!」という音が消滅したかのような静寂が訪れ、神威から放たれた力が魔女に直撃した。その威力は絶大で、アクセル自身も反動でダメージを受けるほどのものだった。これは、アクセルがまだ膨大な虚無の力を完全に制御しきれていない証拠でもあり、同時に彼の未来の力を示している。風を切るような音が響く中、地震や津波、天変地異に匹敵する大爆発が発生し、アクセルはその反動で後ろに吹き飛ばされながらも、その光景を見守っていた。 

「クッ.....はぁ.....はぁ......我ながら恐ろしい威力だな。回復は....できるか?一応反動で飛ばされただけだからな。さ、流石にこれでだめならもうどうすることもできないな....」

アクセルはもう立たないでくれと心の底から思いながら、満身創痍になりながらも見守っていた。


だがその願いは崩れさることとなる。


「...ア、アク、セ....」

混沌の魔女の様子を見ていたら、声が聞こえてきた。その声はローレンスだった。

「ローレンス!良かった、元に戻っ....」
元に戻ったんだなとそう言いかけた時だった

「逃げ...て.....!」
その瞬間、煙から弾丸のようななにかが俺の腹部に貫いた。

「がはっ!」
俺は激しい激痛から身体を地に伏せてしまった。
そして倒れたと自覚した時、自分が油断していたことに気づいた。

(くそっ!油断した!てっきりローレンスの声が聞こえたからもう元に戻ったんだと思ってしまった!なぜ気づかなかった?どうしてその可能性を見落としていた?)

そんな自責の念に苛まれながら、俺は彼女の方を見る

すると煙の中から現れたのは、少女のような姿のローレンスではなく、ローレンスが成長した未来の姿を彷彿とさせる混沌の魔女だ。

そう、原作ではなかったから「それ」はないとずっと思っていた

ローレンスと魔女の人格を入れ替えることを

アクセルはなんとか立ち上がろうとしたが、腹部の激痛からか、うまく立ち上げれない。
そんな魔女は何も感じないのか、アクセルを滅ぼさんとばかりに右手をこちらに向ける。

だが、その膨大な魔法と球体の数からは彼を絶対に殺すと言わんばかりの殺意が芽生えてる証拠だった。

これは混沌の魔女にしても初めてのものだ、故に困惑してしまった。
自分は混沌という世界を生み出すために生まれたのに、たかが一人の男に「殺意」というものを向け、そして怒りという「感情」をこの男によって自分感じてしまったことを。

そんな感情を抱きながら彼女は彼のことを見た。自分が死に瀕しているというのに彼は今にも自分を殺さんとばかりの目を向けている。

ドクン....!
その瞬間、自分の鼓動が高鳴るのを感じた。
なぜだ、今までこのような経験はしたことがなかったのに、この男を見ると不思議と身体がゾクゾクする。初めてだ、まるで自分ではない誰かになっているようで。

いまだ高鳴る心臓を抑え、彼女は改めて彼を見た。そして自分自身でも予想外な行動を彼女はしてしまう。

『.....あなた、名前は?』

「ッ!」
彼が目を見開いて驚く。かくいう魔女も自分自身に驚いていた。
いままでこの方、誰かと話したことも無ければ、声を発したこともない。
だが、アクセルという自分に初めての気持ちや感情のようなものを自覚させた存在に会ったことで彼女の中のなにかが壊れてしまった

戸惑いながらも悪い気分ではないと感じ、そのままアクセルに声をかける
『聞こえてるのかしら?名前は?』

再度問う。次答えなければ殺すと言わんばかりに魔素濃度を高めるが、彼は戸惑いながらも魔女の問いに答えた。

「...アクセル・アンドレ・レステンクール」
瞬間、自分の鼓動が早くなる。答えてくれて嬉しいのかは分からない。
だが、この姿は見せてはならないと思い、感情を無にする

『そう....あなたの名前は一生忘れないわ』
満足したかのように、再度魔女は彼を殺さんとばかりに魔法と球体の準備をする
....いやもしかしたら魔女は考えたかもしれない

自分のことを変えてくれた人と一緒にいたらまた何かが変わったかもしれないと。

しかし、アクセルはまだ諦めるつもりはなかった。彼の目には、まるで今にも相手を殺すかのような執念が宿っているように見え、さらに、彼の意志が折れる様子は微塵もなく、それが彼の不屈の精神を象徴していた。

その彼が再び動き出す


「....豪火球フレアボール!」
前方に豪火球フレアボールを発射させたが、魔女にはかすり傷つかず、そもそも当たってなどいなかった

魔女はある意味失望していた。もうここまでなのね、自分のことを変えてくれるかもしれないと思ったのはただの杞憂だったと。

『...さようなら』
今楽にしてあげるとそう思ってるかのように、魔女は彼に魔法や球体を放った....












....はずだった。

『ゔぅっ!』
放とうとした瞬間、何故か魔女は急に膝をついて苦しそうに胸を抑えている。

「...ははっどうやらバレなかったらしいな」

アクセルは激痛に耐えながらも、なんとか立ち上がり混沌の魔女を見下ろした。
誰もが予想できなかったであろう形勢逆転の瞬間だった

「知ってるか?ヒ素って硫酸加えて、加熱すれば有害な毒ガスになるってよ?
俺もあんまり知らないが、覚えておいて正解だったぜ。」

アクセルは立ち上がり、不敵な笑みを浮かべながらそんなことを言う。

実は彼、もしものために少し保険をかけていたのだ。
勘がいいのか、魔女が自分の後ろに振り向くと――



―そこには煙を出しながら溶けている石があった


アクセルが放った魔法は3つ
岩石流星ロックブラスト」「激流の波アクアブレイク」「豪火球フレアボール」である。

このとき、土魔法である岩石流星ロックブラストにはヒ素を含めた岩石があった。
威力に関しては彼女の土魔法と相殺、もしくは威力で押されたりして、なんの変哲のない土魔法だ。そして岩は石のような欠片となり、そのまま地面に落ちていった

そこに激流の波アクアブレイクで純粋な水ではなく硫酸を元にした水魔法をできるだけヒ素に当たるように調節

伊邪那岐の神イザナギで殆どが散っていったが、僅かに残ったヒ素を豪火球フレアボールで加熱した

そうすると人工的な毒の完成だ。
ただほんとに危険だからみんなは真似しないでね?

……誰に言ってるかはともかく
とりあえずアクセルは自分が負けそうになった時に毒を精製していたのだ。

『…あのときから?』

魔女は驚いた。体の自由は効かないし、息も苦しい。
なんとか呼吸ができるように魔法で擬似的に空気を送る。だが、それでも駄目らしくなかなか魔女は立ち上がれない。

それにこの世界は毒という存在は認知されてはおるが、治療方法に関しては現時点ではほとんどない。その方法に魔法による治療は該当しない。
だから魔法で治すことは出来ないある意味アクセルの「最終奥義」なのだ。

「俺はなんとか毒を打ち消してるからな……
さぁ、ここからだぜ?本当の勝負はよぉ!」

アクセルはそう言い、今も膝をついている混沌の魔女との最後の戦いをしようとした……
だか、いくら経っても魔女が立ってこない。様子がおかしいと思ったアクセルは少し観察することにした。

『…………は、はは』

「?」

すると、魔女が声を発する。この時、魔女が最初に抱いたのは怒りや憎しみではなく———











『ハハ、ハハハ…アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!』







———純粋な「喜びと嬉しさ」だった。

『そう、そうよ!私を変えてくれた存在がこんなことで終わるはずないわ!!』

魔女は嬉しかった。自分でも操れない毒を作り、さらには自分をここまで楽しませてくれる、変えてくれる
さっきまで失望していた自分を思いっきりぶん殴ってやりたいという気持ちを抱いたほどでもある。

『はぁ…はぁ……苦しい………これが毒なのね………でもそれ以上に嬉しいわ!1000年以上生きている私をまだまだ変えさせてくれる!混沌の世界を作るだけが使命だった私をここまで楽しませてくれる!最高だわ!!』


魔女は空を飛び、まるで毒など喰らっていないかのように踊っている。
初めての体験、初めての感情、初めて本気の自分と渡り合えるの相手……そんな初めてをさせてくれる存在が今、目の前にいる
この人といればまだまだ楽しめる、私をまだまだ変えさせてくれる。
湧き出てくる想いは次第に大きくなる。

『はぁ…素敵だわ、この子が好きになるのも無理ないわよ……』

すると混沌の魔女がアクセルの方を見る。

彼を見ているだけでドキドキが止まらない。
彼女はまた新しい自分がいることに嬉しさを覚え、そして変えさせてくれるアクセルに異常な程にどんどん沼っていく



(な、なんだ?急に混沌の魔女の雰囲気が変わった……変な毒でも入れたのか?それになぜだ?……ソフィアと同じ匂いがするぞ)

アクセルは妹と少し似ている雰囲気となった
混沌の魔女を見て、呆気に取られてた。


『ねぇアクセル?』

「ッ!」
アクセルが再び構え出す。
もう油断しないように激痛に耐えながらも相手を見る。

すると、混沌の魔女は戦う前とは全く違う雰囲気でとんでもない発言をする。




















『この勝負、アクセルの勝ちでいいわ。この子のことも返してあげる……その代わり、これから先ずっと貴方のそばに居させてくれないかしら?』





………………




……………………?






…………………………???





「………は?」





こうして、混沌の魔女との戦いは彼女の発言であっさりと終幕したのだった






………いやなんの冗談だよ?





カクヨムにも投稿しております!
内容はそっちの方が先にしれますので、もし良かったら応援お願いします!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

処理中です...