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ep.8 下準備

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 元部さんが居なくなった後、火野さんに気になったことをは聞いてみた。

 ソウタ「あの時さらっと流されてたけど、狩人階級ハンタークラス:EX規格外ってなんだ?聞いたことねぇぞ、そんな階級。」

 火野「ハンタークラスは基本E+~A+に分けられるのは知ってるよな?」

 ソウタ「ああ、一般的にA-以上からがプロハンターって言われてるのは知ってる。でも規格外ってなんだ?」

 火野「ハンタークラスでの判別ができないハンターに割り振られる特別な…いや、ぶっちゃけちゃうか。EXエクストラクラスは現代最強クラスのハンターの集まりだ。A+の中から上位数名の猛者や規格外すぎるZONEを持つハンターがEXとして抜擢される。例えばZONEで言ったら時を止めたりする能力は必ずここにぶち込まれる。」

 あれ、火を操る操作系じゃなかったっけ?それなのにEXは…
 
 ソウタ「火野さんのZONEって火を操るZONEですよね…?」

 火野「ん?ああ最初に会ったときはそれだけで十分だと思ってたからな。私のZONEはちょっと中二病臭いんだが、ZONE名:紅蓮の鬼魔王ラヴァルというZONEなんだが肉体系ZONEのくくりに入るんだが他の系統のZONEの性質も持ってるんだ。」

 ソウタ「なにそれ面白い詳しく」

 火野「簡単なイメージで言ったら、ファンタジー作品であるような火の魔王みたいな。」

 ソウタ「すっごいつよそう(小並感)」

 火野「火を操り、まるで鬼のような身体能力の向上。状態異常を引き起こすようなZONEや、時間に関連した自身へのZONEも無効。挙句の果てに武器まで変化しちまうから…」

 ソウタ「なんですかー!そのチートZONEはぁーーー!?!?!?」
 
 神は何て不平等なんだ、幼馴染持ちの最強ZONE持ち美女とかどうやって勝てと?

 ソウタ「そういえば、弟子にするとかなんとか言ってたけど具体的にどんな修行するんですか?」

 火野「それは学校に任せることにした。」

 ソウタ「えぇー」

 火野「大丈夫だ。私はその学校の教師でもある。」

 ソウタ「なら一応師弟関係にはなるのか…?てか学校で何するの?」

 火野「ハンターになるための基礎知識やその応用。戦闘訓練にサバイバル訓練、七区周辺のパトロールや慈善活動……」

 ソウタ「やってること地味すぎやしませんか。」

 火野「まあとにかく、明後日くらいには学校に行けると思うから。それまでは、バイトとかしててくれれば」

 ソウタ「えーちょっと暇すぎますってそれは!!!」

 ゴールテープを一緒に切りたいと言ったことをすぐに後悔することになったが、学校にはZONE持ちは半数以上を占めるだろうし。武器の一つや二つほしいものだ。

 火野「あっ、そういえば言い忘れてたことがあった。ソウタ、これから自然界に入ることを許可する。」

 ソウタ「えっ?いいのか?」

 火野「お前は元部と同じくらいの実力だってのはお前の戦いを見てわかったし、武器さえ整えば自然界でもやっていける。」

 ソウタ「それは俺も思ってたんだよな。でも武器って高いだろ?」

 クリーチャーとの戦闘にはZONEもそうだが、武器も欠かせない要素の一つだ。
 あの時は手製の木でできた槍だった。小動物は狩れるだろうが、クリーチャーとの戦闘は想定してなかったし、というか区の周辺にいること事態がおかしい。

 火野「そうだな、暇なら今から買いに行くか?」

 ソウタ「まじで!?」

 火野「資金については心配するな。」

 ソウタ「どんだけ予算があるんだ?」

 火野「ざっと一億」

 ソウタ「さすがハンターランク規格外、金も規格外だー」

 火野「それじゃ七区に行くぞ。それと後これも渡しておかないとな。」

 火野らカードを投げ渡す。

 ソウタ「これってパスポートか?」

 そっか、俺もそういえば軽く犯罪犯してるんだった。
 区の移動にはパスポートが必要になる。その理由は至極単純。クリーチャーの侵入を防ぐためだ。

 区というのは、現在の日本は第三次世界大戦後の自然界の出現などによる地殻変動が原因で生存箇所が極端に狭まった。そのため人々はバリケードや地形を利用した新たな住処。

 俺が住んでた七区は、過去の日本における愛知県、刈谷市に該当する七区は大きな切り株のような巨大な岩石の上に作り上げられた区である。

 七区の広さは50.45キロ平方メートル、地上との距離は50メートルほどであり、一般のクリーチャーなどはここにはこれず、飛行能力を持つ、あるいは、絶壁を登り区へと侵入する。そのため比較的安全な区ではある。
 七区に出入りするためには七区の所々に設置されているエレベーターを起動する必要がある。その起動に必要になるのがこのパスポートである。

 火野さんと共にエレベーターに乗って七区へと移動する。エレベーターに乗っている間に火野さんから質問があった。

 火野「希望する武器種はあるか?」

 ソウタ「別に特にはないかな。」

 火野「武器はあの槍と二刀流以外に使える武器はあるか?」

 ソウタ「思い当たらないな。あの二刀流も別に初めて使ったし…」

 火野「あのレベルの剣技を初見で行うか……ソウタもしや技能系ZONEなんじゃ」

 ソウタ「そうなのか?実感湧かないんだが…」

 火野「技能系のZONEは発現がわかりにくいってのがあるが、ZONEは発現していれば潜在的にわかるものだ。ソウタにそんな感じがしないなら、凄い才能ってことになるな。」

 ソウタ「そんなので片付けていいのだろうか…?というか、武器を買いに行くって一体どこで買うんだ?七区といっても沢山の武器屋があるぞ?」

 火野「着けばわかるさ。」

 エレベーターから降りて七区を進み、町から少し離れた農業地帯のようなところまでタクシーで移動して目的地の近くに着いた。

 ソウタ「こんな偏狭な場所にあんのか?こんなのとこに武器屋があるなんて聞いたことねぇぞ?」

 火野「そりゃ、一部の人間しか知らない初見さんお断り。というか、ハンターじゃないと入れない武器屋、いや鍛冶屋だからな。」

 タクシーを降り、道を歩いて数分。

 火野「ここが目的の鍛冶屋だ。」

 鍛冶屋「本多」と書かれた古臭いというか、江戸時代?とかにありそうなそんな感じの看板が取り付けられた一軒の古民家のような建物の目の前で火野さんが立ち止まり指さす。

 ソウタ「ここが…」

 火野「たのもー!!!」

 風情ある建物に若干見とれている自分の隣で火野さんが返事をするが

 「……」

 返事が返ってこない。引き戸を引いて中を確認するとどうやら先客がいた。

 「悪かねえ、いい出来だ。先代様も、ようこんな代物作ったもんだ。」

 「それで、ボクの武器はちゃんと直せたのかい?」

 「あたぼうよ。依頼されれば礼を尽くしてモノを造り、直す。それが鍛冶師の仕事、いや…オレさがってもんだ。」

 「うん、ばっちり♢支払いは、いつも通り小切手でいいかい?」

 「ああ、そいつで頼む。」

 「それじゃあ、ボクはこれで♤次も頼むよ♧」

 ジョーカーは受け取った鎌を背中に携えて店を後にしようとカウンターから立ち去ろうと入り口に向く。そして、俺と目が合う。

 ソウタ「あっ…」

 俺は咄嗟に入り口から離れると

 ジョーカー「おや?子供とは珍しいね♧新入りかい?」

 先ほどまでジョーカーがいた場所から一瞬で俺の背後を取る。

 速っ!?初めて会ったってのにヤバさというか、只者じゃない感がすごい。これがプロハンターか……

 ソウタ「い、いえ。俺は師匠と試験のための武器を……ってあれ?」

 師匠の姿がない。というよりも、この場にいない。外にでもいるのか?

 ジョーカー「なるほどね、キミはまだハンターじゃないのか♢キミの年齢から察するにそろそろZONEの方も目覚めてる頃合いだ♤」

 ソウタ「それが、自分でもよくわからなくて。」

 ジョーカー「うーん♧それじゃあ、ボクが占ってあげるよ♡」

 ジョーカーはどこからともなくカードを取り出して確認する。

 ジョーカー「マジシャンの正位置、意味は……才能か…♧キミがZONEに目覚めてないのは、キミ自身の才能に気づいていないから♤」

 ソウタ「ごもっともです…」

 ジョーカー「しかし、その片鱗は見え始めている♢」

 ソウタ「え?」

 ジョーカー「キミの師匠さんが同行できる問題かは分からないけど♢ZONEについてもっと学びたいのなら、火野くんに話を聞いてもらうのが一番かもね♧これ渡しておくよ♤」

 ソウタ「これは?」

 ジョーカー「火野くんの名刺♪」

 ぶふぉっ!?いきなり渡してきた。これやっぱり付き合ってんのか?名刺すぐ渡して俺様のアピールか!?

 ジョーカー「それじゃ、ボクはここで♢」
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