208 / 208
番外編
頑張り屋さん
しおりを挟む
■
ゆっくりと腰を動かす彼。
卑猥な水音と皮膚のあたる音、それからお互いの呼吸音がやけに大きく聞こえる。
「っふ、はぁ……はぁ……っ」
「はぁ……やっぱり、ゆっくりの方が、好きだろ」
「んっ、そう、かも……っん! 声、漏れちゃう……」
真都を起こしてしまわないように、必死で声を抑えるけれど、どうしても漏れてしまう。
「な、凪、声抑えるの、手伝って……」
「うん」
唇が重なり、漏れる声は凪の口内に消えていく。
少しだけ律動が速くなった。
「んふっ、ふ、んっ!」
「っは、真樹、足、閉じないで」
「も、イッ、ちゃう……!」
「ん、いいよ」
凪の顔が首筋に埋まって、ガブッとそこを噛まれる。
「──ッッ!」
快感の波が来て爪先がピンと伸びた。
目の前がチカチカして、背中が反れる。
後孔がギュッと締まり、中にある質量の形もわかった。
「っは、ぁ……」
お腹の中が熱くなる。その感覚も久々で何だかホッとする。
「ん、まだ抜かないで……」
そう言うと背中を屈め、何度目かのキスをしてくれた。
しばらくして「抜くよ」と彼が言い、それが抜かれていく。
少し寂しくてキュッと後孔を締めれば、凪が眉を寄せた。
「真樹さん。明日もあるし、無理はしない。それに一回って言っただろ。」
「だって……寂しかった」
「……俺だってしたいけど、ほら、もうこんな時間。」
時計はもう、零時に差し掛かっている。
ペニスが抜けて、寂しく感じている俺を、隣に寝転んだ彼が抱きしめてくれた。
お腹に回る彼の腕を摩って、思っていたことを口にする。
「真都が産まれてからしてなかったでしょ……?」
「真樹の負担になるのは嫌だから、俺も抑えてたんだよ。」
「じゃあ、凪さんも寂しいなって思ってた?」
「うん。産後、最初の発情期がくるまでは無理させるのもいけないなと思っていたし。」
妊娠して子供が産まれるまで、発情期は一度無くなる。
産まれてからはだいたい三ヶ月後に発情期がくると言われているけれど、やはりそれは人それぞれで。
「産まれてから半年以上来なかった人もいるって聞くよ」
「それはさすがに我慢できなさそうだ。今でもギリギリだしな」
「気遣ってくれるのはすごく有難いけど……でも、そういうことは言ってほしいな。俺は俺で魅力が無くなったんじゃないかって不安になる」
「は? 真樹の魅力が無くなるなんて一生無いだろ。」
「それはわからないじゃん」
くるっと振り返って目が合う。
くすくす笑いあって、そう言えばと大切な話を思い出す。
「結婚式、海が見える場所にしようよ」
「いいよ」
「真都を抱っこして写真撮ろうね。真都の服も準備しないとね」
「そうだな」
「またお店に行くのが楽しみ。真都も連れて行って……ぐずっちゃったら迷惑かな……。」
「そしたら俺が見ておくから大丈夫」
その後はどこかにデートに行こう。
自然のたくさんある場所で、三人でお散歩をしよう。
そんな計画を立てて、気がつけば眠りに落ちていた。
ゆっくりと腰を動かす彼。
卑猥な水音と皮膚のあたる音、それからお互いの呼吸音がやけに大きく聞こえる。
「っふ、はぁ……はぁ……っ」
「はぁ……やっぱり、ゆっくりの方が、好きだろ」
「んっ、そう、かも……っん! 声、漏れちゃう……」
真都を起こしてしまわないように、必死で声を抑えるけれど、どうしても漏れてしまう。
「な、凪、声抑えるの、手伝って……」
「うん」
唇が重なり、漏れる声は凪の口内に消えていく。
少しだけ律動が速くなった。
「んふっ、ふ、んっ!」
「っは、真樹、足、閉じないで」
「も、イッ、ちゃう……!」
「ん、いいよ」
凪の顔が首筋に埋まって、ガブッとそこを噛まれる。
「──ッッ!」
快感の波が来て爪先がピンと伸びた。
目の前がチカチカして、背中が反れる。
後孔がギュッと締まり、中にある質量の形もわかった。
「っは、ぁ……」
お腹の中が熱くなる。その感覚も久々で何だかホッとする。
「ん、まだ抜かないで……」
そう言うと背中を屈め、何度目かのキスをしてくれた。
しばらくして「抜くよ」と彼が言い、それが抜かれていく。
少し寂しくてキュッと後孔を締めれば、凪が眉を寄せた。
「真樹さん。明日もあるし、無理はしない。それに一回って言っただろ。」
「だって……寂しかった」
「……俺だってしたいけど、ほら、もうこんな時間。」
時計はもう、零時に差し掛かっている。
ペニスが抜けて、寂しく感じている俺を、隣に寝転んだ彼が抱きしめてくれた。
お腹に回る彼の腕を摩って、思っていたことを口にする。
「真都が産まれてからしてなかったでしょ……?」
「真樹の負担になるのは嫌だから、俺も抑えてたんだよ。」
「じゃあ、凪さんも寂しいなって思ってた?」
「うん。産後、最初の発情期がくるまでは無理させるのもいけないなと思っていたし。」
妊娠して子供が産まれるまで、発情期は一度無くなる。
産まれてからはだいたい三ヶ月後に発情期がくると言われているけれど、やはりそれは人それぞれで。
「産まれてから半年以上来なかった人もいるって聞くよ」
「それはさすがに我慢できなさそうだ。今でもギリギリだしな」
「気遣ってくれるのはすごく有難いけど……でも、そういうことは言ってほしいな。俺は俺で魅力が無くなったんじゃないかって不安になる」
「は? 真樹の魅力が無くなるなんて一生無いだろ。」
「それはわからないじゃん」
くるっと振り返って目が合う。
くすくす笑いあって、そう言えばと大切な話を思い出す。
「結婚式、海が見える場所にしようよ」
「いいよ」
「真都を抱っこして写真撮ろうね。真都の服も準備しないとね」
「そうだな」
「またお店に行くのが楽しみ。真都も連れて行って……ぐずっちゃったら迷惑かな……。」
「そしたら俺が見ておくから大丈夫」
その後はどこかにデートに行こう。
自然のたくさんある場所で、三人でお散歩をしよう。
そんな計画を立てて、気がつけば眠りに落ちていた。
478
お気に入りに追加
1,954
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(16件)
あなたにおすすめの小説
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
僕を愛して
冰彗
BL
一児の母親として、オメガとして小説家を生業に暮らしている五月七日心広。我が子である斐都には父親がいない。いわゆるシングルマザーだ。
ある日の折角の休日、生憎の雨に見舞われ住んでいるマンションの下の階にある共有コインランドリーに行くと三日月悠音というアルファの青年に突然「お願いです、僕と番になって下さい」と言われる。しかしアルファが苦手な心広は「無理です」と即答してしまう。
その後も何度か悠音と会う機会があったがその度に「番になりましょう」「番になって下さい」と言ってきた。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おめでとうございます。゚(゚´Д`゚)゚。
ご感想ありがとうございます。
確かに蒼太はヒートのトラウマがあると思います。。
そこも洋哉と一緒に乗り越えて幸せになってほしいです💕