上 下
166 / 208

第166話

しおりを挟む


「真樹……真樹、大丈夫?」
「ぅ……」
「あーあ、顔ぐちゃぐちゃになってる」
「……ん」


 ずっと顔を押し付けていたから、凪が心配して俺の顔を横に向けさせる。
 汚れた顔を見られて恥ずかしいけれど、体に力が入らなくて全く隠せなかった。


「ごめん。我慢できなくて、動くね。」
「ぁ……あ、うぅ、ぐう……っ!」
「は……っ、すごい、締め付け」


 奥の壁からペニスが抜けて、また入ってくる。
 頭の中がグラグラして、快感に包まれて考えることを放棄した。


「ぉ、あ……あっ、あ、あ……」
「はぁ……」
「い、く……ぁ、もう、いく、いっ──ッ」



 射精せずに何度目かの中で達する。
 無理、もう落ちる──そう思った時、一番奥を突かれ、それと殆ど同時にお腹の中が熱くなった。


「ぁ、あ、つい……」
「っ」


 ゆっくりと中から質量が抜けていく。
 中に出されたそれも零れていきそうで、慌ててお尻に力を入れて後孔を締めた。

 隣に寝転んだ凪が、俺を抱き寄せる。
 俺は涙や涎、その他諸々の液体で汚れているから、正直早くお風呂に入ってベッドを綺麗にして眠りたい。


「凪さん……お風呂……」
「うん。でも、真樹まだ震えてる。もう少し落ち着いた方がいいんじゃないか?」
「ん、そうだね」


 腰を撫でられてゾクゾクと快感が走り、慌てて頷いた。



「ごめんなさい。ぐちゃぐちゃにしちゃったから、今日は俺のベッドで寝よう……?」
「んー、じゃあ、片付けた後に真樹の部屋に行くよ。」
「……明日片付ければいいのでは」
「そうだけど、早く片付けて真樹と寝て、明日はゆっくり起きたい。」
「なるほど。」


 傍にあったティッシュで顔を拭いてゴミ箱に捨てる。
 震えも治まり、凪さんに支えられながらお風呂に行って、髪と体を綺麗に洗った。


 湯船に浸かりながら、『そういえば』と思い出して、顔だけ振り返り後ろにいる凪さんを見る。


「一回しか出せてない、よね……?」
「うん」
「あの、俺……よかったら抜きましょうか……」
「いや、気持ちよかったし、充分だよ。ありがとう」


 凪の手がお腹に回って引き寄せられ、背中と胸がくっつく。もたれかかっていると、突然項に噛みつかれてビクッと跳ねた。


「な、何……?」
「発情期来ないかなぁ」
「えっ……何で?」


 正直発情期が来ると、いつも以上に訳が分からなくなるから苦手なんだけれど。
 もしかして……そんな俺の方が好きなのかな。凪さんって……むっつりスケベってやつ……?


「子供ができるから」
「あ……そっちか。」
「え、どっち?」


キョトン……とする彼に、ムフフと笑う。


「凪さんはもしかしたらむっつりスケベなのかもって思って。」
「……それもあながち間違ってないだろ。真樹限定だけど」
「喜ぶべきところ?」
「そうだろ」


 くすくす笑いあって、体が温まってきた頃、また凪さんに支えられながらお風呂を出た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

この噛み痕は、無効。

ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋 α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。 いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。 千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。 そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。 その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。 「やっと見つけた」 男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

α嫌いのΩ、運命の番に出会う。

むむむめ
BL
目が合ったその瞬間から何かが変わっていく。 α嫌いのΩと、一目惚れしたαの話。 ほぼ初投稿です。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

僕を愛して

冰彗
BL
 一児の母親として、オメガとして小説家を生業に暮らしている五月七日心広。我が子である斐都には父親がいない。いわゆるシングルマザーだ。  ある日の折角の休日、生憎の雨に見舞われ住んでいるマンションの下の階にある共有コインランドリーに行くと三日月悠音というアルファの青年に突然「お願いです、僕と番になって下さい」と言われる。しかしアルファが苦手な心広は「無理です」と即答してしまう。 その後も何度か悠音と会う機会があったがその度に「番になりましょう」「番になって下さい」と言ってきた。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...