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第118話

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 顔を上げると優しく微笑んでくれる。


「大丈夫」


 そんな保証どこにもないのに、彼がそう言えば本当にそうなんだと思って、一度頷いた。


「この他に何も連絡は来てない?」
「来てないです」
「そう。もしまた何か連絡が来たら、すぐに教えて欲しいな。」
「わかりました」
「ありがとう」


 スマートフォンがテーブルにコトっと置かれた。

 話は一応終わったから、仕事を再会しようとすると腕を掴まれて止められる。


「何してるの。まだ話は終わってないよ?」
「え?もう話すことない……。仕事もしたいし……」
「急ぎじゃないって言っただろ。」
「えぇ……」


 そのままソファーに連れられ腰を下ろす。
 とりあえず、彼の気が済むまで一緒にいればいい。
 どうせ明日も家にいるんだし、彼が眠った後にでも仕事を再開すれば問題ない。
 そう判断して、彼にもたれ掛かり暫く甘えることにした。
 顔を上げると、にこにこと笑顔を向けてくる凪さん。どうやらくっついているのがいいらしい。


「俺の服着て安心できた?」
「実は、ずっとソワソワしてたんだけど、それはちょっと治まって……でもやっぱり本物がいい。」


 寝転がって凪さんの膝に頭を乗せる。
 お腹に顔をぐりぐりと擦り付けて、腰周りに腕を回すと頭を撫でられた。


「可愛いな。あ、こら、そんなに嗅がないで。」
「いい匂いがする」
「やっぱり番の匂いって落ち着くのかな。」
「俺は凪さんの匂い大好き。安心できるもん」


 彼の匂いを嗅いで頭を撫でられているうちに、眠気が襲ってきて瞼が重くなる。


「眠い」
「寝ていいよ。最近夜も余り眠れてないみたいだし、昼寝は大事だ。」
「夜、夢を見るんです。さっき話した事件のこと」


 怖くて、悲しい夢だ。
 何故か最近、頻繁に見るようになった夢。
 そのせいで眠りが浅い。


「じゃあ、真樹が辛そうなら起こすから、少し眠って。」
「うん」
「おやすみ」


 トン、トン。腰辺りを規則的なリズムで軽く叩かれる。それに誘われて今にも意識が落ちそうだ。


「凪さん、十五分、だけ……」
「わかった」


 十五分だけ寝かせて。
 そう伝えて完全に眠りに落ちた。


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